最近、股関節の手術をする中高年齢層の方が増えているように思います。これは、股関節の過緊張を招く普段の姿勢、歩き方が原因です。股関節が緊張すると、ソケイ靭帯(股関節にある靭帯)が緊張し、その中を通る動脈、静脈、リンパ腺を圧迫することで、様々な機能の低下を招くことになります。二足歩行を始めた人類は、四つ足歩行の哺乳類に比べ、ソケイ部に負担がかかるのですから、ソケイ部が緩るむ生活をする必要があります。
それではどの様な姿勢と歩き方をすれば良いのでしょうか?
大野朝行先生の著書「生命の神業」から引用します。
『マノスへ(脱力した立ち姿)の姿勢を作って歩いてみましょう。まずは菱形筋(背中上部の筋肉)を意識して寄せます。すると、肩甲骨が寄って、胸の肋骨が引き上がり、顎も上がり、肩は後方に移ります。骨盤が後方に回旋して背中が陸(平ら)になります。同時に肛門は前方に移動して、お腹が引っ込みます。大腿の内転筋も動いて足先はややハの字になります。そこから小股でゆっくりと歩いてみましょう。脚は股関節から振り子のように降ります。これは腸腰筋を働かせています。
歩いた時に腰や大腿に力みを感じる時は歩幅が大きいのです。力みを感じないところまで歩幅を小さくします。歩幅を大きくすると、蹴る歩きになりやすいからです。
また、足を高く上げるのは大腿筋を使う無駄な動きです。踵を地面すれすれにして歩きましょう。力みをなくして歩くほど、アワ(生命力)が増えます。』