過食の害

石原医学大全の一部をご紹介します。これは、肥満で悩んでおられる方、必見です。

『私は大学院時代の4年間、白血球の機能解明のため、連日連夜研究に没頭し、白血球のすさまじい貪食力を目の当たりにした。

少量の血液をガラス板に置いて、1000倍の顕微鏡で覗きつつ、細菌や墨汁やラテックス(ゴム)などの異物を加えると、白血球はすぐさま攻撃して、猛烈な勢いで貪食を始める。墨汁で我が身を真っ黒に染めながら、なお貪食を止める事はない。人体に備わった免疫力がいかに強いか理解するに十分であった。ちなみに入浴や運動で体熱が上昇したときに、白血球の増殖力が上がることも確認した。

これほどパワフルに異物を貪食する白血球を備えているにもかかわらず、人はなぜ病に倒れるのか白血球は満腹の時に活動が極端に低下するのだ。満腹になると血液中に糖、脂肪、タンパク質等の栄養素がたっぷり存在することになり、白血球もまたそれらを食べて満腹になる。このような時に病原菌が侵入してきても、白血球は食べようとしない。体内で発生したがん細胞に対しても同様だ。

白血球1個で通常14から15個の病原菌を貪食するが、アイスクリームやパイなどをたくさん食べた後の子供、または肥満児の白血球は、貪食率が半減してしまうことがわかっている。過食の日々を送り、常に満腹状態では免疫力は低下してしまい、種々の健康被害を受けることになる。逆に、空腹の時は白血球も空腹になり、病原菌ウィルスがん細胞を貪欲に強力に貪食する。

人体に備わった病気に対抗するための力ー免疫力ーの足を引っ張るのが過食なのだ。一日三食を目一杯食べているようでは、一日のうちで空腹を感じる時間はわずかだ。白血球が活発に動く時間は極端に減り、代わりに病原菌や異物が跋扈(ばっこ)するというわけだ。健康のためにしっかり食べているはずが、皮肉なことに白血球の活動を鈍化させ、免疫力が落ちると言う正反対の結果を招いている。』