コレステロール

前述の不整脈を気にされていた女性患者Aさんが、もう一つ気にされておられたコレステロールに関して、石原結實先生は、『なぜ、「おなかをすかせる」と病気にならないのか?』(石原結實 著)で、下記のように述べられています。これを次回の治療日にお伝えしようと思います。

『西洋医学では、血液中のコレステロールの正常値を130~219mg/dlと決め、少しでも多いと抗コレステロール剤を処方する傾向がある。コレステロールを動脈硬化、ひいては心筋梗塞、脳梗塞の元凶と考えているからだ。

しかし、コレステロールは、人間を形作っている60兆個の細胞の膜の成分であるし、胆汁や男性ホルモン、女性ホルモン、さらにはストレスに耐える副腎皮質ホルモンの原料でもある。だから、「コレステロールを無理に薬で下げたら、ストレスに弱くなり、種々の病気にかかりやすくなる」と指摘する医師もいる。最近では「コレステロール値が高い人ほど長生きする」というデータも数多く発表されている。

フィンランドのヘルシンキ大学で、高脂血症1200人を対象にした調査が実施され、次のような結果が得られた。高脂血症を食事療法と薬で下げたグループAと、下げる手段を何も講じなかったグループBを比べたところ、10~15年後の心筋梗塞の発症率、死亡率ともに、Aグループのほうが高かった。

日本でも、1980年、厚生(現・厚生労働)省国民栄養調査対象者1万人に対する14年間の追跡調査で、「240~259mg/dl」が「健康長寿」にもっともよいコレステロール値であることが判明している。また、茨城県で40~79歳の男女10万人を5年間調査したところ「コレステロール値が低いほど、全死亡率、特にガンの死亡率が高かった」「240mg/dl以上の全死亡率が一番低かった」ことが明らかになっている。

抗コレステロール剤である「スタチン剤」は、毎年400万人に処方されている。しかし、その副作用として、横紋筋融解症(筋肉が溶ける。その前に患者さんは筋肉痛を訴える)、肝機能障害、血小板減少(出血)などが現れることがある。

コレステロールに対して、過剰な「敵意」をもつことは、むしろ危険なのである。』

そういえば、私が専門学校に通っていた時、ある医師の基調講演で、コレステロールは下げる必要性がないと力説されていたのを、思い出しました。