耳と腎の関係

石原結實先生の「石原医学大全」は、どのページを開いても面白いので、パッと開いたところを、ご紹介します。

『耳を観察

耳の形は腎臓とほぼ同じであることから、漢方では「腎気は耳に通じ、腎和すればよく五音を聞く」「腎は耳に※開孔す」という。

漢方で定義する「腎」の意味は広い。西洋医学で言う腎臓はもちろん、副腎、泌尿器、生殖器そして生命力そのものも含んでいる。足腰が衰え、先にあげた腎臓臓器の機能も低下した状態を示す「腎虚」という表現は、単に体力の低下にとどまらず、生命力の低下(老化)を意味する。

[耳たぶにシワがある→心臓病]

シカゴ大学医学部のウィリアム・J・エリオット元助教授による「耳たぶと心臓病」に関する調査報告がある。54歳から72歳までの108人を8年間にわたって調査したところ、次の結果が出た。

①耳たぶにシワのある人が心臓疾患で死亡した件数→シワのない人の3倍

②「耳たぶにシワがあるが、冠状動脈疾患のない人」の心臓発作死亡率→耳たぶにシワがなく、冠状動脈疾患もない人」の約6倍。

耳たぶのシワは35歳以上になると現れ、単に老化現象のこともある。しかし、心臓病が隠れている可能性も考えられるのである。耳たぶには動脈の毛細血管が少なく、脂肪はたっぷりあるため、体内で動脈硬化が進むと、血流不足がまっ先に顕在化する。つまり動脈硬化によって血流が減少すると、耳たぶの脂肪が栄養不足で萎縮し、シワを作るのだ。』

※開孔す とは、穴が開くことなので、通じていると解釈しています