フルスイング

私の大学野球生活。

私は、中途半端な人生を徹底的に送って今年70才になります。何をしても中途半端。何一つ極めたものがありません。多分、このままで死んでいくのだと思います。

大学では、芸術専門学群彫塑科に籍を置き、野球部に所属。どっちつかずの生活を楽しみ、何の目標もなく放浪。気がつくと鍼灸師になっていました。そんな人生を送っていた中、ターニングポイントとなる言葉が蘇ります。

「佐伯、ちょっと来い・・・・バッテイングはな、キンタマ挟む。」

と東京教育大学(筑波大学前身)の2年先輩からの一言です。松山東の野球部に所属した時のバッテイングは、バットを2あまり短く握り、きた球を当てるだけのものでした。結果、1試合には1~2本の安打を残していました。しかし、2塁打以上の記録はありませんでした。

ところが、先輩の「キンタマ挟む」という言葉が、高校時代の野球スタイルを変えてしまったのです。当時の大学同級生は、それぞれの地区で活躍していたメンバーで、私とはレベルが違っていました。しかし、「キンタマ挟む」バッテイングを始めると、同級生と同じように飛距離がでるようになったのです。

それからです、「キンタマ挟む」バッテイングで振り回すようになったのは。それ以来、打席に立つとホームランしか狙わなくなったのです。たった2本のホームランしか打っていない私が、ホームランしか狙わなくなったのですから、成績はひどいものです。しかし、単打より2~3塁打が多かったように思います。

筑波大野球部の合宿が、西条市ひうち球場で現在行われており、その前日に、筑波大学野球部OB会が開かれたおり、3年後輩の仲間から、

「佐伯さんの印象は、フルスイングです。それしか、なかったです。」

といわれました・・・・・・・そうなんじゃ!「キンタマ挟む」を追求するとフルスイングになる・・・・と思ったような、思わなかったような・・・・まあ、中途半端なフルスイングだったのでしょう。