友人から野口整体の創始者・野口晴哉(はるちか)先生の整体入門という本をいただきました。野口先生は、17才で「自然健康保持会」を設立され65才で亡くなられるまで、自然治癒力を高める治療と教育に邁進されました。私の父親は、カラダが疲れると、
「今日は、オオトヤに行ってこうわい。」
と言うのが口ぐせでした。「オオトヤ」というのは、子供心に「指圧家さん」だろうと思っていたのですが、どうやら野口晴哉先生のお弟子だったようです。そのお弟子さんの治療を受けた父親がしょっちゅう私に指圧をしてくれたのですから、私のカラダもずいぶん間接的ですが野口晴哉先生の影響を受けたのかも知れません。その野口先生は、気をおくり、通す法としての「愉気」を分かりやすく説明されています。本の一節をご紹介しましょう。
『愉気というのは、他人の体に息を通すことである。離れていても、手をつないでいても、その部分に手を触れていてもよい。自分の気を相手におくるつもりで、気をこめて息を送る。それだけである。静かな気、澄んだ気がよい。強くとも荒(すさ)んだ気、乱れた気はいけない。
愉気法とは、人間の気が感応し合うと言うことを利用して、お互いの体の動きを活発にする方法です。こういうことが果たしてできるかと疑念をもつ人がいるが、気を感じる人ならできる。物しか見えない人にはできない。』
とあります。鍼灸師になる以前は、この愉気法のような治療法をしていました。そこで今日は、2人の患者さんに治療点と診断点に軽く中指をあて、息を通す方法で治療を行いました。2人とも置鍼したのと全く同じ結果が出ました。今後、鍼が怖いという患者さんには、積極的にこの方法を使ってみようと思います。