現在進行形

昨年暮れ、飛び込みで当院にこられた70才代の男性患者Aさん。現在は、週2回のペースで来院されています。Aさんは息苦しさのため、死をも覚悟したそうです。たまたま、近所にあった当院を選んだだけで、当院に対しての予備知識は、全くありませんでした。

 

「先生、もし頭に鍼刺す治療法じゃと知ってたら、絶対来なんだですワ!・・・・この間も、腰痛の知り合いに勧(すす)めてみたけど、頭に鍼刺すというだけで、相手にしてくれませんでした。」

一般的に鍼のイメージは、患部に刺して痛みを和(やわ)らげる治療だと思います。そんな治療をしていたのは、母校・東京医療専門学校附属施術所で研修をしていた2年間だけです。しかし、ここでの2年間は、治療家としての基礎を学ぶことが出来たので非常に有意義でした。また、母校では卒業生を対象とした卒後研修があり、それに参加後、お世話になった先生に挨拶(あいさつ)に行ったのが、

運命的な出会いとなりました。

「今、山元式新頭鍼療法(YNSA)が凄いよ!」

N先生のこの一言で、私の人生が変わりました。インターネットで調べてみると、山元敏勝先生はご高齢にもかかわらず、現役医師として治療をされています。「創始者に会わないと、後悔する」という気持ちが行動の原動力となり、宮崎セミナーに参加したのです。あれからもう2年経ちます。今では、鍼治療は、山元式新頭鍼灸療法(YNSA)のみ。現在進行形で頭から足のみの治療法に移行しています。まだ、数ヶ月かかると思いますが、実現は可能だと思います。

そうなると、「頭に刺す?!」という壁がなくなり患者さんも来やすくなるかも知れません。

ご奉公

私が最も好きなテレビ番組は、「プレバト」。
言葉の才能がない私にとって、少ない言葉で人生の断面を描写できる技に憧れます。今日も、「プレバト」を見て、選者・夏井いつき先生の指導に納得感動。

当院の待合室にある「民家ロマンチック街道ー伊予路」犬伏武彦著の180pに私が生まれ育った茅葺き民家が「一畳庵 佐伯惟揚家」と紹介されています。佐伯惟揚とは私の祖父で俳人でした。祖父の師匠である松根東洋城先生が、我が家に1年半ほど滞在し、祖父を始めとした地域の人々に俳句を教授されました。東洋城先生が寝泊まりしたのが座敷の横にある一畳ほどの空間。そこを一畳庵と命名されたようです。その様子を描いた一説を記載します。

「俳句は社交にあらず、慰安の具に非ず、遊楽喜遊の法でもない。東洋文化の持つ精神の流露発揚、人としての完成のための内部工作すなわち修行の道である」と説いてある。

(中略)

後進や弟子の指導はきびしく、「これがわからんのか」と何度も何度もこぶしを机に打ちつけていたという。句会いうよりも、道場と言うような観であったと言う。

(中略)

この民家の保存と維持のことであるが、当家は社家でもあり、また敷地も広い。建物は現存居住されていないが、当主がよく管理され、保存も行き届いている。祭りの日や地域の人の集まりにも使われ、以前には句会にも使用されていた。民家を生かす適切な使われ方である。しかし、それも社家ということ、家に対する当家の誇りや氏子の方々の理解によるものである。このように民家の維持保存は、その土地の人、所有者の個人的な力によってなされているのが現状である。

とあります。私の夢は、私が生まれ育ったこの茅葺き民家で、治療をすることであります。それがご先祖さまに対してのご奉公だと思っています。

連動体験

 

今回も、しつこく「重心安定の法則・足は親指、手は小指」のうち、「手は小指」の具体的な有豆骨、有鈎骨という骨を改めて紹介しました。同じ様な動作でも、自然で可動域が広がる連動と、全く動く事ができない連動があるという事を、身をもって感じてもらうためのYouTubeを制作しました。そのポイントが、有豆骨、有鈎骨です。

仰向けの状態になり、両膝を立てて、右腕を天井に向け親指側を天井の方向に伸ばすと、一体どの様な動きになるのでしょう?

また、同じ状態で有豆骨、有鈎骨を意識して右腕を天井の方向に伸ばすと、カラダの動きはどうなるのでしょう?

興味ある方は、是非YouTubeをご覧ください。

明教

 

「明教」という愛媛県立松山中学校・松山東高等学校の同窓会誌が当院の待合室にあります。その50号に、私が書いた文章があるので、記載します。

天才との出会いから

昭和48年卒 佐伯 弘

25歳の頃、ブルックリン・ミュージアムアートスクールの奨学金をいただき、ニューヨークに行く事となりました。そして、大学の先輩、久保田成子さんと会う事になり、芸術家が数多く住むソーホー・マーサー通りのロフト(倉庫を仕事場に改築した空間)4階へ向かうことになったのです。

今にも床が落ちそうな物運び用のエレベーター(鎖を下げるとガッタン、ガッタンと上がっていきます)にこわごわ乗りこみますが、生きた心地がしません。やっと4階に到着。ドアが開くと、ごちゃごちゃと作品らしきものが転がっています。

「あれっ・・・・どこかで見たことがある作品・・・あれっ、ナムジュン・パイクさんがいる!」

ナムジュン・パイクさんと言えばビデオアートの創始者で、既存のアートをぶち壊し日常にアートを落とし込もうとするグループ・フルクサスの中心メンバー。当時、最も注目されていた天才芸術家。芸術を学んだものなら、誰もが知っている憧れの人です。実は、その方が、久保田成子さんの旦那様だったのです。

それからパイクさんのアシスタントをするようになり、様々なことを学び、感じることがありました。天才は周辺を巻き込み破壊と創造を繰り返し、より優れたものを作り続ける台風のようなパワーと優しさを持った神の化身であると感じたのです。そして、鍼灸師となった現在、再び台風のようなパワーと優しさを備えられた神様に最も近い方にお会いできる機会を得ました。山元式新頭鍼療法の創始者、山元敏勝先生です。

単純明快で普遍的しかも、脳神経疾患、視覚聴覚等の感覚疾患、整形外科疾患などあらゆる疾患に効くツボを頭皮に見つけられたのは、何千年と続く鍼灸の歴史上、山元先生ただ1人。89歳で、ますます進化し続ける現役医師、まさに天才です。山元先生は、のべ150万人の患者の声を丹念に拾い上げていく臨床体験の中から「ソマトトープ」と言うものを見つけ出しました。これを私は「小さな人型の投影」と呼んでいます。「小さな人型の投影」が頭皮だけでなく体の表皮に存在して、その治療点となっているのです。

具体的な例をあげれば、胸骨は頭、首、胸部、腹部となり、第一肋骨は上肢に、第6、7、8肋骨は下肢の「小さな人型の投影」となり、治療点を示しています。例えば首痛の場合、胸骨の首に対応する箇所に置鍼します。すると一瞬にして首痛が消失します。この普遍的な事実が、海外の医師に認められドイツ、アメリカ、ブラジル等海外で数十万人の医師がYNSA治療を行っています。

アートを日常に落とし込んだ天才芸術家ナムジュン・パイクさんと患者さんの声を拾い上げソマトトープを見つけ出した天才医師・山元敏勝先生に遭遇した幸運。それを、次世代にどう伝えるか・・・・お楽しみに!

(一部文章を書き代えています)

空腹健康法

私の母親は、88才になりますが、病気で寝込んだ事はありません。趣味は、「ナンプレ」で頭の体操をしています。健康の秘訣は、少食にあると思います。1日3食するのですが、驚くほど食べません。ゆっくり食べて「はい、ごちそうさま」で終了。

当院の本棚に「空腹健康法」ー空腹を楽しんだら元気になったー監修医学博士 真弓定夫

この本には、サーチュイン遺伝子について書いていますので、記載します。サーチュイン遺伝子は1999年にアメリカのマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士によって確認され、全世界の医療関係者から注目されました。

サーチュイン遺伝子は長寿の人だけが持っているわけではありません。すべての人がサーチュイン遺伝子を持っているのです。だから、サーチュイン遺伝子を活性させると、誰でも健康なまま長生きできるのです。100歳でも元気で若いそれも夢ではないのです。

体の中には心臓、肺、胃、腸、肝臓、腎臓、膵臓など様々な臓器があります。それぞれの臓器は、生活習慣により、老化のスピードが違います。例えば、暴飲暴食をしていれば、胃腸の老化が早くなります。膵臓の細胞が劣化すると糖尿病を引き起こします。肝臓の細胞が劣化すると肝硬変を引き起こします。心臓の血管が劣化すると心筋梗塞を引き起こします。

ところが、サーチュイン遺伝子のスイッチがオンになると、すべての臓器の老化、劣化のスピードが遅くなるのです。サーチン遺伝子は、いろいろな病気の発症を抑えてくれるのです。その結果、脳、血管、肌などの様々な器官の、若さと健康が保たれ寿命が伸びるのです。私たちもカロリー制限をして、腹7分と空腹感でサーチュイン遺伝子のスイッチをオンにすれば、見た目年齢も身体年齢も、人が驚くほどの若さを得ることができるのです。

とあります。この小誌をある患者さんにお渡しして、勉強してもらった結果、体重が5kg減り徐々に調子が良くなっています。空腹健康法は、素晴らしい健康法だと思います。是非お試しください。

山元先生

山元式新頭鍼療法(YNSA)という、優れた治療法にめぐり逢い、この道を貫き通したいと思いました。宮崎での山元敏勝先生との出会いが私の人生を決めたのだと思います。言葉では説明できない・・・・何なのか・・・・

4回しか山元先生にお会いしていないのに・・・・先生の人間力に圧倒されました。少しでも先生に近づいていきたいと思っています。謙虚さを忘れずに・・・・

お尻のホオズキ

松山市国民健康保険・後期高齢者医療制度による助成金として、該当の患者さんには1000円の補助金を支払う制度があります。この制度についてのチラシを松山市針灸協会が発行し、当院にもたった1枚だけですが、チラシが残っていました。内容は下記の通りです。

はり・灸にはこんな特徴があります

1:生活習慣などの予防医学のひとつとして注目を集めています。

2:身体と心のバランスを調える全身治療で自然治癒力を高めます。

3:痛みを和らげ、血行を改善し、病気に対する免疫力を強めます。

4:習慣性や副作用がなく、安心して治療を受けることができます。

はり、きゅうはこんな病気に効果があります

1:整形外科系の病気

肩こり症、変形性脊椎症、頸肩腕症候群(手のしびれ感と痛み)、寝ちがい、むち打ち症、五十肩、テニス肘、変形性膝関節症、捻挫、打撲、腰痛症、ぎっくり腰、椎間板ヘルニアなど

2:脳神経科系の病気

神経痛(三叉神経痛・肋間神経痛・坐骨神経痛)、顔面神経麻痺、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠症など

3:循環器科系の病気

どうき、息切れ、心臓神経症、高血圧症、低血圧症、不整脈など

4:呼吸器科系の病気

風邪ひき、せき、気管支炎、気管支喘息など

5:消化器科系の病気

胃炎、胃下垂、胃酸過多症、食欲不振、下痢、便秘など

6:耳鼻咽喉科系・口腔器科系の病気

急性扁桃腺炎、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、耳鳴り、中耳炎、難聴、メニエール症候群、歯痛、歯肉炎、口内炎など

7:泌尿器科系の病気

排尿困難、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、インポテンス、遺尿症、尿失禁など

8:眼科系の病気

仮性近視、眼精疲労、ものもらい、白内障など

9: 産婦人科系の病気

生理痛、更年期障害、乳腺炎、冷え性、逆子など

10:小児科系の病気

夜泣き、夜尿症、小児喘息、虚弱体質など

11:内分泌科系の病気

糖尿病、バセドウ病、肥満症など

12:皮膚科系の病気

じんましん、帯状疱疹など

これをご覧になった80才代の女性患者Aさんから電話がありました。

「先生、チラシを見て・・・・ちょっと言いにくいんですけど・・・もしかして、お尻から出たホオズキみたいなのも、治るかしら・・・と思って。」

「ああああ・・・大丈夫ですよ。」

という事で、翌日の治療予約を取りました。そこでやったのは、頭の天辺にある百会(ひゃくえ)というツボに50壮のお灸。それだけです。お灸の大きさは米粒(こめつぶ)ほどの小さなものです。お灸には間接灸と直接灸とがあり、治療に使うのは9割以上、間接灸です。間接灸とは、皮膚を焼ききらないヤケドをしないお灸です。ポイントは、火だねが皮膚に到達する手前で火を消すことにあります。

ところが、多く人々はお灸とはてんこ盛りのモグサに火をつけて火傷(やけど)を作る荒療法と思っています。もっとも「お灸をすえる」「ヤイトをする」というのが子供のしつけの常套(じょうとう)手段になっているので、仕方ありません。

ところが、Aさんの場合、間接灸を何壮かやっても熱が通らないので、途中から焼き切る直接灸にしてみました。

「Aさん、熱感じますか?」

「感じます・・・・気持ちいいです。」

何ど聞いてもこんな返事なので、気持ちいいお灸を50壮したことになります。そして、翌日の朝、Aさんから電話。

「先生、お尻のホオズキなくなりました。ありがとうございます。」

午後には、野菜好きの私のためにレタス、ブロッコリー、椎茸、アボカド、酒好き用にタラコ料理、柚木のタレをいただき・・・・・美酒に酔っているのです。

患者さんが教えてくれる

2ヶ月ほど調子が良かったので、来院していなかった60才代の男性患者Aさん。昨日6mの高さのところへ、30kgの荷物を2回運んだのが原因なのか、良く眠れず、朝起きると首の左側が痛く、さらに縦揺れのめまい(50cmくらい垂直に揺れる)におそわれたそうです。それで来院されました。

「Aさん、最近は足にパイオネックス(円皮鍼)を貼るように変わってきてますよ。」

「そうなんじゃ・・・」

早速、靴下をぬいでもらい、足の合谷診(第一中足骨と第二中足骨の間の触診)右に痛み(右から治療)。次に膝診(腓腹筋周辺の触診)

頸椎

右:#4、#7

左:#3、#5、#6

胸椎

右:#1、#2、#4

左:#1、#2

腰椎

右:#5

左:#6

 

上記に圧痛点があり、右に4個のパイオネックス(直径0.15、長さ0.6mmの鍼)で圧痛点消滅。ところがAさんの左首は痛みが取れません。そこで、左足の頸椎治療点(まだ仮説のため、公言出来ません)に爪を立てるとものすごい反応。Aさんは、のけ反りイスから倒れそうでした。そこにパイオネックスを貼り、私の右中指先端を軽く触れる操法を始めました。しばらくすると、

「先生、これ気持ちええねえ・・・・・手のひらが温(ぬく)なってきた・・・首が緩んできた・・・・」

Aさんに首をチェックしてもらうと、もう痛みはなくなっていました。ただ、左目が上手く開(あ)けられません。そこで足の甲をあちこち触っていると、

「先生、今日はそこらあたりが痛うてたまらんかった・・・・そこじゃ!」

足の甲に猛烈な圧痛点がありました。そこにパイオネックス。

「・・・・・先生、目が開(あ)いた・・・・分かった、そこじゃったんじゃ。先生、縦に揺れるめまいのツボはそこじゃ!今度、縦にめまいがある言う患者さんが来たら、そこをやってあげて。相当気持ち悪いし、脳じゃないんかと不安になるんじゃけん。」

と、Aさんから教わるばかりでした。このような体験を通して少しずつ治療点が分かってくるのだと思います。

出張治療

ご高齢で来院出来ない患者さんには、出張治療をしています。今日は、出張日。

ご夫婦を同時に治療します。前回までは頭に置鍼をしていたのですが、今回から、足にパイオネックス(円皮鍼)を貼る治療に変えました。奥様のAさんには、2~3本の置鍼をしていたのですが、パイオネックスだと、もう少し多く貼る事ができます。理由は、パイオネックスは、長さ0.6mmの弱刺激だからです。皮膚に貼っても痛みは全くなく、しかも1週間くらいは、はげ落ちたりしません。お風呂に入っても大丈夫です。

Aさんには、パイオネックスを6個貼りました。ご主人のBさんには4個貼り終了。

これは、あくまでも私の仮説で勝手にやっていることなので、パイオネックスを貼った場所などは、お知らせ出来ません。ただ、膝診、足首診の圧痛が無くなっていることは、確かです。また、パイオネックスの上に中指を軽く触れる操法が、効果的なので患者さんにご自身で出来るように指導しています。次回の訪問が楽しみです。

追伸:治療の途中でお隣の方が来られて、ご主人が作った足大根の写真を見せてもらいました。絵のように偶然にも5つの指がある大根❗️・・・・・お隣さんは、週に一回来院される私の患者さんです・・・・・とにかく、この写真で大盛り上がり、治療効果抜群でした。

クスノキのコブ再び

2年間右母趾球を蹴(け)って歩けなかったのが、出来る様になった70才代の女性患者Aさん。1週間後の本日来院されました。

「先生、これ見て!」

「・・・・・すごい、蹴(け)ってる!」

足の甲にパイオネックス(円皮鍼)を貼っていたのが効いたのかも知れません。以前なら1~2日で元に戻っていたのですが、1週間持ったようです。実際、Aさんの治療以降、鍼を足の甲やウラにパイオネックス(円皮鍼)を貼って治療することが多くなりました。今後は、益々この傾向が加速していくと思います。いくら足に置鍼することが多くなっても、山元式新頭鍼療法(YNSA)に変わりないので、自由に研究してみようと思います。とにかく、患者さんの言うことに素直に耳を傾ける以外ありません。

改めて待合室にクスノキのコブを並べて、ゆっくり歩いて足を刺激してみました。これはいいです、効きます。以前にも言いましたが、クスノキは英語ではカンフルツリー、つまり「元気の出る木」なのです。コブにあるイボイボからは新芽が出て枝になろうととします。それを人為的に取るとイボイボのままになり、翌年に再びイボイボができ新芽を作る・・・・これを繰り返して、大きなコブが出来上がるのです。クスノキ のコブはイクラやタラコのようなエネルギーの源(みなもと)なのです。

このコブの道を歩くだけで、足ウラがポカポカしてきます。バランスを取ろうとする無意識の動きはカラダの歪みを取って行きます。今後とも、暇な時(ヒマが多いのです・・・)このコブで遊んでみます❣️