100均

興居島は、みかん農家が多く、島唯一の男性患者さんは、忙しくて本日は施術できませんでした。それでも、7名各ご家庭を訪問しながらの往診を無事終了できました。興居島往診も、1か月以上経過したので、少しずつペース配分が身につきつつあります。また、1日に7~8名の訪問施術となると、いかにコンパクトに施術道具を収めるかが、ポイントになります。

そこで、昨日100均に行き「透明印鑑入れ(朱肉付き)」、「長いステンレスの耳かき」、「短い先端が円盤形のステンレス耳かき」、「大きなクリップ」を購入。これらが、それぞれいい仕事をしてくれました。

で興居島から帰り、当院での治療が3人。

100均話は、明日いたします!

4種類のモグサ

 

ヨモギを1か月ほど乾燥し、ミキサーで攪拌(かくはん)すると、葉の裏側に生えている腺毛という白い産毛(うぶげ)だけがカタマリとなって残りモグサとなります。この時、ミキサーの攪拌(かくはん)する時間で、モグサの品質が決まります。長時間攪拌すると上質のモグサになります。

今日は、4種類のモグサを作ってみました。これらを患者さんの感性に合わせて、臨機応変に使える灸師になる!・・・・いい目標ができました!

 

一人一人感性が違う

ある患者さんから、「このモグサ(粗悪モグサといい、乾燥したヨモギを一度ミキサーにかけて作ったもの)の方が、火をつけた瞬間から熱が伝わるので、断然いい!」

とアドバイスを受けていたので、紫雲膏を患者さんの皮膚に乗せたところに、粗悪モグサを置き、線香の火をつけていたのです。ところが、先日ある男性患者さんに、7~10回ミキサーで攪拌した上質のモグサで灸治療をしたところ、

「その方が、上品な感じでいいですね。」

と全く違う感想が返ってきました。そこで、今日1年ぶりに来院された女性患者さんに粗悪モグサと上質モグサの灸治療をしてみました。

「どちらの方がいいですか?」

「私は、断然上質モグサの方が、いいです。ふわっとしていて、空気が含まれている様で、熱の伝わり方が早く、そして気持ちいいです。」

との回答が返ってきました。そこで、やっと分かりました。「一人一人、感性が違う」ということを!

そこで、自分自身で体験することにしました・・・・・・どうやら、私も上質モグサの方が、今日はいいようです。しかし、明日は分かりません・・・・しばらく、私への人体実験を続けてみます!

発熱は薬

「石原医学大全」から、「出すことが何よりの健康法」の一節を紹介します。

『風邪、肺炎、胆嚢炎などの炎症性疾患、ガン、白血病などの悪性腫瘍、リウマチなどの自己免疫性疾患などの多くの病気に発熱はつきものだ。単に疲労が重なった時でも発熱することがある。

人間は体温が1℃下がると免疫力が約30%するとされているが、反対に1℃上がると一時的に四~五倍にも増強するといわれている。「発熱」が病を癒す「自然治癒力」となるのは、体温が上昇すると白血球の貪食・殺菌能がパワーアップするから。病気の時、体調が悪い時は熱を出して免疫力を上げる必要があるので、「元気になるために発熱する」のである。

しかし、風邪などで発熱すると、患者をもとより医師さえも、「熱=病気」と言う認識のもと、熱を下げようと躍起になる。

抗生物質や解熱剤を服用すると、その日のうちに解熱するが、「治った、楽になった」と安心するのもつかの間、たいていすぐにぶり返すかいつまでもすっきり治らずダラダラ長引くことが多い。

一方、漢方医学では、発熱に対しては、体を温め、発汗作用を有する葛根湯を投与するし、民間療法でも、生姜湯と梅醤番茶、卵酒など、体を温める効果の高い食材をさらに熱々にして飲んで熱産生を促し発させる。

漢方薬も民間療法も、体が良くなるために出している熱を冷ますのではなく、発熱の後押しをしさらに発散させることで治癒を促す。治るとぶり返すことはまずない。もし、発汗してなお発熱が続き、気力体力も萎えていくようなら、医師に見てもらう必要があるが・・・・』

とあります。発熱はお薬であることを認識しておきましょう!

同意書

鍼治療も、保険適用が出来る・・・・こともあります。この場合、患者さんを診ておられる医師の同意書が必要となり、療養費という名目で、施術する鍼灸師が支給を受けることが出来ます。その対象となる疾病は、慢性病で医師による適切な治療手段のないものと、限定されています。具体的には、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症等があげられています。

そこで、幸運にもその同意書を書いてくださる医師が2名おられ、今回「国保連合会」という公の機関に支給申請書を提出することが出来ました。

事務仕事を不得意とする私が、厚生労働省から渡された難解な書類に挑(いど)み、2回沈没し、今日やっと提出することが出来ました。

公のお金をいただく事が、いかに大変か・・・・よく分かりました。

触覚アート

 

 

私の大学論文は、「触覚アート」でした。もう40数年前のことです。当時の世の中は、コンピュータによるヴィジュアルアートが、沸々と生まれ始めていました。その時点で、「俺はもう、追いていけない!」と観念しました。それでは、どう生き抜くか?

「必ず、触れるという原始感覚が必要となる」という確信がありました。そこで始めたのが木を積み上げる作品。触れると壊れる作品でした。触覚を異常に刺激する作品を作り続けたのですが、これでお金儲けが出来る訳なく・・・・辞めたのです。

それでも、触覚アートにこだわる私。触れることで生命力を引き上げる操体法を学び、頭に鍼を刺す山元式新頭鍼療法を仕事としています。

もう、これは触れるアートだらけなのです。

キャンペーン

本日は、興居島出張費。

8名の患者さんにお会いできる日なのです。島の光は海からの反射を受けて、まばゆいばかり!心が洗われます。1週間に1度こんな素晴らしい体験が出来るなんて、本当に恵まれています。これは、全て興居島診療所所長のおかげです。ありがとうございます。

最終8人目の80才代女性患者Cさんは、

「先生、朝起きた時から頭が痛くて仕方がないんです。」

と、悲痛な訴えをされます。そこで、痛みのある前頭部を丁寧に触れていくと、痺れるような痛みを感じました。

「ここじゃないですか・・・・痛いの。」

「そこです・・・・先生、今日は頭の鍼じゃのうて、お灸をしてください。」

「はい、分かりました・・・・でも、ここ痛くないですか?」

と、お灸をする前に、すべき事を感じた私。足に見つけた治療点に右中指がしっかりと居場所を決めていました。中指を触れるだけで、頭痛がなくなると分かっていたようです。数分して、

「頭の痛いの、どうなってます?」

「・・・・痛くない」

「・・・・じゃあいいか、今日は・・・終わりにしましょうか?」

「膀胱と腎臓を診てください!」

頭痛があまりにも激しいので、それがなくなるだけで良いと感じていたのですが、やはり、それ以外の患者さんが訴える声を、謙虚に伺う必要があります。そこで、いつものように膝診、首診を行います。すると、やはり腎、膀胱の診断点に圧痛があります。それを鍼ではなく、お灸で治療していくのですが、これはまだ学会に発表していない個所。治療していく間、足の指の歪みがひどいので、その理由を聞きたいと思っている私を察知したCさん。

「スリッパを履いていて転んで、こんな指になったんです。」

「スリッパ履くのを、やめましょう!布で出来た草履の方がいいです。足の指先は繊細なセンサーです。江戸時代、電気のない真っ暗な凸凹道を歩いていた日本人は、草鞋で足の指先を地面につけて、探りながら歩いていたから、転ばなかったんです。スリッパはそのセンサーを覆ってしまってるんです。」

と、大声で(Cさんは耳が悪いので)まくし立てる私。Cさんに伝わることが出来たかどうか・・・・老人のスリッパ履きはやめましょうというキャンペーンになりました!

記念日

 

 

昨日は、記念すべき日となりました。令和6年6月11日、「鍼1本の日」と制定いたします。

山元式新頭鍼療法(YNSA)を治療法として、5年。未だかつて1本の鍼だけで治療を完結したことはありませんでした。小学校5年生の捻挫を2本の鍼で治療したのが、最少本数でした。ところが、昨日は、1本の置鍼で頸椎から仙骨にかけての背骨が整ってしまいました。

60才代の男性患者Cさん。長時間歩行すると腰痛が発生する間欠性跛行(かんけつせいはこう)という病名で来院され、8ヶ月目になります。膝診、首診の基本的な治療を行なっていくうち、Cさんのカラダは徐々に良くなっていったようで、

「特に、痛いところはありません。」

という報告を受けることが多くなり、最近では3週間に1度の通院になっています。その結果、昨日の膝診は、頸椎、胸椎、腰椎の圧痛点が顕著にあるだけで、首診(内臓の状態を診断する)には反応がありませんでした。今考えると、鍼1本で良くなる条件は整っていたようです。そこで、1番気になったのが胸椎1~2番。膝ウラの内側がゴリゴリしています。

「これを取れば・・・・面白い!」

と思ったのでしょう、いつのまにか膝ウラ内側に手がいっていました。その治療点を見つけ置鍼。

「どうですか?」

「・・・・・っぱっ!ははは・・・痛くない!」

「そしたら、ここ(膝診の別にある診断点)は?」

「・・・あれ?ははは!」

診断点全てから圧痛点が消えてしまいました。

「Cさん、今日は記念すべき日です。初めて1本の鍼で治療終了となりました。」

この日は、これからの治療人生でのターニングポイントになるかも知れません。

セルフケア

 

40才代のとき、五十肩になった男性患者Bさん。ステロイド注射あるいは、ヒアルロン酸の注射だったのかも知れませんが、病院の注射で治ったそうです。70才代になったBさん、再び左肩が五十肩になり、病院で注射治療を受けたのですが、今回は治らなくなり、当院の治療を受けることになりました。少しずつ良くなっていますが、まだ完治していません。7本頭に置鍼して、

「どうですか?・・・・・チョットは、可動域が増えて来ました?」

「・・・・・・う~ん、確かに可動域は右と、さほど変わらんようになったけど・・・・肩の中の方が痛い。」

「そしたら、お灸をしましょう。」

と、足に見つけた肩の治療点にお灸をすることに、1ヶ所に4~5壮お灸。

「どうですか・・・肩?」

「・・・・・・あれ?痛くない!先生、そこに印つけといて、お灸そこにするけん。」

「結構、効くでしょう?毎日お灸をやってみてください。」

お灸のいい所は、患者さんご自身がやれるセルフケアにあります。そのため、積極的に灸治療をしているのです。治療家任せにしないで、ご自身の体をいたわりましょう!