心腎不交

2週間前、1日中眠くてどうしよもない状態が続いていた30才代の女性患者Cさんの続報です。2週間前は、バスから降りていつの間にか道に倒れ込み寝てしまうほどでした。現在、眠気は無くなったのですが、精神的にややうつの状態で、一番気になるのは、頭頂部のコリと熱。頭頂部に500円玉ほどの大きさ2カ所が動かなくて、熱を持った状態です。

週に2回の通院で、自律神経と内臓の調整をしているので、徐々に症状が安定してきており、具体的な症状がはっきりしてきたようです。そこで、感じたのは東洋医学的な見方の*「心腎不交」*「心火上炎」です。

*心腎不交とは心火上炎などで生じた過剰な熱が腎(じん)の津液を消耗させてしまった状態を指します。イメージとしては鍋の中に入っている水が強火を受けることで蒸発しているようなものです。心腎不交の具体的な症状としては心火上炎の症状にくわえて下半身の重だるさ、手のひらや足の裏の不快なほてり感、寝汗、口の渇き、聴力低下や耳鳴りなどが挙げられます。

*心火上炎とは主に激しい怒りや精神的なストレスが慢性的にかかり続けた結果として現れる病能です。心火上炎の具体的な症状としてはイライラ感、焦燥感、多動、不眠症、のぼせ、顔面紅潮、口の渇き、口内炎などが挙げられます。心火上炎は心火旺(しんかおう)や心火亢盛(しんかこうせい)とも呼ばれます。

そこで、いつものように合谷診、膝診、上腕診、首診を行います。

合谷診:左(左側を診ます)

膝診:(省略)

首診:(省略)

膝診をしていると、Cさんが突然、

「頭が熱くなる前は、ずっと両脚のふくらはぎの奥がつった状態が続いていたんです。だから、背中が丸まった状態にいつもなっていたんです。」

「なるほど・・・・今、膝をチェックしていますが、これはふくらはぎの奥にあるヒラメ筋という筋肉のチェックです・・・・これが背骨の状態を表していると、考えています。背骨が萎縮していると、そこから出る自律神経の働きが悪くなります。ですから、ふくらはぎ、背骨、自律神経はつながっていると考えられます。最初に来られたときは、眠くなる原因が分からなかったのですが、自律神経を整えてはっきりと症状が出てきたような気がします。」

膝診をして、頭に置鍼(自律神経の調整)したあと、心と腎に関連する治療点に置鍼することを決めていました。膀胱に1本、心包に2本置鍼。

「これで、頭はどうなっていますか?」

「・・・えええええ?冷たい・・・不思議・・・・もう熱くないです。」

「よっしゃ!」

おもわずガッツポーズを取ってしまいました・・・・ちょっと、恥ずかしい・・・もっと淡々とすべきでした。

「これは、東洋医学的な考え方で、心腎不交といって心臓と腎臓がアンバランスな時の症状なんです。」

「腎臓ってどこにあるんですか?」

「背中の下の方です。」

「あああここ・・・ここ、硬くて痛い時があるんです・・・なるほど!」

と、Cさんは、納得された様子でした。これで、治療はほぼ終了。あとは、見つけた足の治療点にお灸をして完全終了となりました。

壁に感謝

 

長距離運転の仕事が入ったので、体調管理のため来院された30才代の男性患者Aさん。Aさんは、置鍼後の反応が早いのです。

「先生、全身が疲れとるんじゃけど、特にふくらはぎ・・・・長距離運転するけん・・・診てください・・・・前回の花粉症の治療で、花粉症良くなりましたわ!」

「それは、良かった!」

前回は目と鼻の治療点(オデコ)と、肺、舌咽神経の治療点(頭頂部)に置鍼したあと、オデコにパイオネックス(円皮鍼)を4個貼ったのが効いたようです。次回から花粉症の患者さんには、パイオネックスをおすすめしようと思います。Cさんの自律神経と内臓の状態を整えたあと、やはり両ふくらはぎに張りが残りました。このふくらはぎの張りにはデルマトーム(皮膚分節)を考慮した置鍼が一番効きます。写真で見るとブルーのS2の個所です。このS2の治療点が耳の前面(D点)にあり、正確に置鍼すると一瞬で緩みます。

「先生、鍼が刺さった瞬間、ふくらはぎに血が通うのが分かりましたわ。」

反応の早いCさんは、左右2本の置鍼で緩みました。全ての患者さんがCさんのような反応ならば良いのですが・・・・決してそうではありません。本日の急患の男性患者さんは、全く反応がないような状態でした。なぜこんなに違いがあるのかを考えるのは、次のステップとして必要なことだと思います。こういう壁に感謝です。

足に触れて治す

70才代の男性患者Cさんは、月に1回健康管理のために通院されています。Cさんには山元式新頭鍼療法(YNSA)と操体法の指先で軽く触れる操法を融合した施術をしています。前回、軽く触れる場所は、頭部の山元式新頭鍼療法(YNSA)治療点でしたが、今回は見つけた足の治療点に指先で触れることにしました。

Cさんは、3年半前から週一回の通院で、両膝痛が徐々に良くなり、ゴルフコンペで1ラウンドを回ることが出来るようになりました。また、Cさんはお教えした操体法をしっかりされているので、治療は全て操体法です。まず、膝診、首診を行い、骨盤の調整をして、足指を丁寧に揉む操法を25分。

合谷診:左(左側を診断します)

上腕診:左頸椎

膝診:左胸椎(#11、#12)、左腰椎(#4、#5、#6)

首診:左腎、左肝、左三焦、左脾、左小腸、右大腸、右三焦

これで、かなりカラダが緩みます。その後、見つけた治療点にそれぞれ3分間中指を触れるだけです。

「OKグーグル、タイマー3分お願いします。」

「3分ですね、ではスタート!」

施術時間を患者さんに知らせることで、安心感が生まれるような気がするので、あえて行っています。

「カラダのほうで、何か変化がありましたら教えてください・・・・眠くなったら眠っていただいて結構です。」

もうこの時点で、Cさんは眠りの体勢になっておられます。無意識の動きが足や手に出ています。Cさんは、意識があるにも関わらず、カラダが緩ん眠った状態になっています。今回は、頸椎、胸椎、腰椎の治療点に3分ずつ指先を置き、膝ウラ及び肘の緩みを確認しました。鍼を刺す代わりに、指先の触れで診断点(膝ウラ、肘)が緩めば、治療となります。

今度は、腎の治療点に指先を3分置きます。これは、ずいぶん効いたようで全ての診断点(首にあります)が緩みました。これで、治療は終了となり、Cさんには、5~10分ベッドでゆっくりしていただきます。

今後もCさんには、この治療法を行っていこうと思います。

石垣完成!

 

やっと、駐車場の石垣ができました。試行錯誤すること5回で、友人から頂いた石と真砂土を全て使い切ることができました。これは、私にとって奇跡です。嬉しくてしょっちゅう見に行っています。アート作品を仕上げた気分なのです。白い花崗岩を4個ずつ2列置いて、3台の車がきちんと置けるようにしました。

あとは、腐葉土を買って畑にまけば完成です。さて、何を植えるか?もうすでに友人から頂いたキャベツの苗とヘチマは植えました。患者さんから頂いたレタス、サツマイモも植えました。大根は、いつも患者さんからいただくので、植える必要はありません。特に切り干し大根にする術を覚えたので、年中大根には不自由しないと思います。

そこで、ヒマワリを植えようと考えました。ヒマワリの種はビールのツマミにピッタリ!もうこれで決まりです。大輪のヒマワリがのびのびと咲いているイメージを思い浮かべるだけで元気になります。また、治療院の前の道は狭いのですが、車の行き来が多くヒマワリの笑顔を見ていただくには最高の場所になります。

ヒマワリ元気を送るぞ!

チネオール

お灸に使うモグサは、ヨモギの葉の裏側にある2種類の毛から出来ています。一つは毛茸(もうじょう)と呼ばれる密生した白い毛で、もう一つは腺毛。これは「チネオール」という精油を含んでいるため、抗炎症作用、鎮痛作用、鎮静作用などの働きを促すそうです。このヨモギの作用と共に患部を直接お灸で温めて血行を良くすることにより、痛みは改善されるのです。

私が小学生の頃は、すり傷が絶えませでした。その度に、ヨモギを見つけては平らで大きな石の上に置き、拳(こぶし)より小さめの石で、たたいてその汁を傷口につけて治療をしていました。この時の原体験がカラダに染みついているのでしょう、いつのまにか鍼灸師になっていました。

「ひろむ(私の本名)、ケガしたらヨモギの汁を付けたらええんじゃ、それで治るんじゃ。」

これが、父親の生き様であり、私もそのように生きてきました。京都の山奥美山町で生活していた時、木から転げ落ちた事がありました。その時も、右膝の傷口にヨモギ汁をしっかりと塗りつけたのですが、中々腫れが治らないので、翌日病院に行ったのです。

「いいですか、ケガをしたら余計なものを塗ったりしないでください・・・・傷口が悪化するだけです。」

と医師に言われ、以後ヨモギ汁は使わなくなりました・・・・でも、チネオールの作用は信じています。

モグサを作るぞ!

残念ながら、道後温泉湯艾の発売元の棟田商会が、今年4月で仕事を辞められました。私が、専門学校(東京医療専門学校)の学生時、その品質の良さからわざわざ取り寄せていたほどのしっかりとした仕事をされていました。専門学校の実技試験では、いかに早く綺麗なモグサをひねれるかが、重要になるので、このモグサを秘密兵器としてクラスメートに教えていたのです。しかし、時代の流れには勝てませんでした。

そこで、今年はモグサを作ります。YouTubeを見れば簡単に作ることがわかりました・・・これも、棟田商会がなくなる原因かも知れません。5月ころ、比較的柔らかいヨモギを収穫し、乾燥。それをミキサーで何度も何度も細かくしていくと、ヨモギの葉のうらにある細かい繊維だけが残ってきます。それがモグサなのです。

大根葉を干すベランダがある我が家は、モグサ作りに最適なのです。患者さんでヨモギがたくさんある土地をお持ちの方がおられるので、取りに行きます。きっと新たな発見があると思います。楽しみです。

直接灸

 

今までやったことのないお灸をしています。本来のお灸は、半米粒大~米粒大の大きさのモグサに線香の火をつけ、火が皮膚に到達する手前で人差し指と中指を使って、火を消します。そのため、ヤケドにはなりません。ところが、多くの人はてんこ盛りのモグサに火をつけて皮膚を焼ききるイメージを持っておられると思います。しかし、こんなことをしたら、患者さんは逃げてしまいます。

そこで、私はゴマ油、ミツロウをベースとしたヤケドに効く紫雲膏を皮膚にのせ、その上にお灸をする間接灸をしています。これだと心地よい熱のお灸となり、結構人気があります。ところが、そんなお灸をではなく、皮膚を焼ききるお灸をせざるを得なくなったのです。

「すみません、突然で申し訳ないのですが、腰に印をつけたところに、お灸をしてもらえないでしょうか?偉い先生に診てもろて、ここにお灸したら一発で治ると言われたんです。」

「・・・・・いいですよ。ただ、どうしてその偉い先生にはしてもらえないのですか?」

「もうお年で、治療院も閉められたので、やっておられるんのです。」

「・・・・・なるほど、そうしたらやりましょう。」

ということになり着替えていただき、ベッドでうつ伏せにのままお灸をすることとなりました。

一回目のお灸は焼ききるようにはしない間接灸としたにですが、

「偉い先生曰く、焼ききらんといかんそうです。」

ということになり、2回目は米粒大のモグサを、焼ききるお灸を行いました。すると、

「普段歩くには、痛みを感じんのですが、朝起きてから10分が腰が痛いのです。」

と、徐々に良くはなっているようです。3回目はモグサをもっと大きい半小豆大くらいのモグサにして焼ききりました。腰回りの9カ所に45分のお灸です、かなり辛抱されていました。さて、次回はどのような結果になるのやら・・・・見当がつきません。

石積み、小休止

先日、友人からキャベツの苗をいただき、早速出来つつある畑の最も日当たりのいい場所に植えました。

『キャベツは害虫が多く、シンクイムシ、ヨトウムシ、コナガ、アオムシなどがつきやすいので、見つけ次第捕殺するか、殺虫剤を散布します。防虫ネットをトンネル状にかけると被害を抑えることができます。病気は比較的少ない方ですが、黒腐病、萎黄病、菌核病、根こぶ病が発生します。』

 

とインターネットで出ています。友人も防虫ネットをはることを勧めてくれました。今回は、この防虫ネットに挑戦してみます。そのうち、モンシロチョウがやって来て卵を産みつけるはずです。キャベツ1個作るのに、様々な知識と工夫、労力がかかると思うと、チョット自信を無くしますが、楽しくやります!

畑の石積みはほぼ出来、石垣の隙間にバラスを入れるだけとなりました。ところが、ここまで来て完成させるかどうか、チョット躊躇(ちゅうちょ)しています。と言うのは、造園業をされている石積みのプロの方が、患者さんとして来られる可能性があるからです。もし来られたら、この石積みをチェックしていただきたいのです。一番気になるのが、強度です。台風などの大雨に耐えられるかどうか、やはり心配です。

そのため、しばらく小休止としましょう!

感性豊かな患者さん、続報

 

感受性豊かな30才代女性Cさんの続報です。生理前に調子が悪くなるのに、今回は調子が良かったそうです。ところが、今回は生理が始まった途端、調子が悪くなり、朝中々起き上がることができず、這(は)いつくばって移動。歩くことさえ出来ない状態が続いたそうです。

「前回は、お灸を中心に治療しましたが、今回は何がいいでしょうか?」

「・・・・・・・鍼がいいです。ここ(頭頂部)の50円硬貨の範囲が、指で押しても動かないんです。頭に鍼をして欲しいです。でも前回のように(頭頂部が)熱を持っていることはありません。」

「なるほど・・・ここに来られる患者さんの多くは、右の骨盤が上がって右の骨盤がうっ血して、右脚が短くなっています。これは、腸管膜根(ちょうかんまっこん)という小腸の根元がストレスで縮んで右骨盤が上がってしまうから起こるんです。ですから、まず骨盤を整えてから、鍼治療をしましょうか?」

と、骨盤を調整してから鍼治療を行いました。Cさんに置鍼をすると様々な反応があります。例えば、右脾の治療点(頭頂部)に置鍼すると、

「あれ?ここ(右三角筋後部繊維)の痛みがなくなった!・・・・今朝からずっと痛くて・・・バイク事故に遭ったような鈍痛で、腕が上がらなかったのに、楽に上がる!」

「ええええ~、そうだったの・・・なんでじゃろ?右の脾臓は、経絡の流れからすると足の親指から股関節そして大包(たいほう)という脇の下までじゃけん、右上腕近くまで流れとる。右脚が良うなると右上腕も良うなるし・・・・何か関係あると思う。」

などと、推測するのです。また、Cさんからこんな質問がありました。

「心臓がハーハーしんどくなると、決まって薬指が茶色っぽく変色するんですけど、何でしょう?」

「・・・・・・・・何でかな・・・・よく分からない・・・」

と答えを見つけることができなかったのですが、Cさんが帰られたあと(Cさん、「歩ける!」って喜んで帰られました)ゆっくり考え直しました。

『ええ~と、薬指は三焦(さんしょう)・・・三焦は・・・・そうじゃ、心包(しんぽう)と陰陽関係・・・・・つまり、心臓と関係がある!』

と、気づいたのです。次回Cさんに説明します。

追伸:頭頂部の動かなかった皮膚も動き出しました。

感性の鋭い患者さん

 

感覚の鋭い患者さんから学ぶことばかりです。今回の患者さんは、1日中眠くてどうしよもない状態が続いている30才代の女性患者Cさんです。昨日は、バスから降りていつの間にか道に倒れ込み寝てしまうほどでした。そのため、来院。特に生理1週間前から、ひどい眠気に襲われるそうです。Cさんは、カラダの状態を言語化することに優れているので、リアルに伝わってきます。

「(今まで眠っていたのに)起きて来た!」

Cさんの脳幹治療点(オデコの生え際中央部)に置鍼したときの一言です。脳幹は、自律神経に携(たずさ)わっている非常に重要ところ。Cさんは、眠気から覚めてきたことをいち早く感知され、目の輝きが全く違ってきました。そこで、内臓の状態を診断する首診をして、見つけた足の治療点にお灸をすることにしました。左腎、左膀胱、左子宮の治療点にお灸をすると、

「左の子宮が動いている感じがある!」

「・・・・今度は、左右の子宮が動き始めた・・・・内臓を守るために、伏せていたのが起き上がるようになってきた・・・・血色(足の)がよくなってきた。」

今度は、右足の治療点にお灸。

「内臓が暖かくなってきたので、勝手に背筋が伸びてきた・・・・首が上がる・・・・重力に勝てた!・・・・いつも足が冷えるので、靴下をはくと、逆に汗で冷えてくるので、はだしでいるんです・・・でも、手足が温くなってきた。」

と、カラダの変化を伝えていただきました。カラダが冷え気味のCさんには、足のお灸は効果的だったようです。Cさんには、しばらく続けて来院するようにお伝えしました。Cさん、良くなりますよ!