山元式新頭鍼療法セミナーレポート11

山元式新頭鍼療法セミナーレポート11

山元式新頭鍼療法セミナーの2日目、午後からの授業、最後は50年前の山元先生の手術映像でした。この映像があまりにも衝撃的だったので、メモを取る事も忘れ、映像にのめり込んでしまいました。

それでもレポート用紙1枚に、殴り書きのメモをかろうじて残したので、それを元にレポートしてみます。

約25分の映像。症例は4~5人、ドイツから帰国され山元医院を開業されて間もなくの手術室だと思います。

男性患者は、手術30~40分前に電気バリを腰から下に刺しての麻酔。そのため、上半身は目覚めています。男性は水を飲んだり、手術の様子を覗き見ようと、何度も起き上がろうとしますが、看護師さんに制止されます。

また、別の男性患者は、膝下をノコギリで切断されています。その患者さんも水をゴクゴクと勢いよく飲んでいます。

次のシーンは、お腹を切開され、プラスチック袋のような腸が出ている女性患者。イレウス(腸閉塞)の手術、綺麗に縫合され、手術終了後は、自室のベッドまで歩いて帰られます。

また、別の女性患者は、手術後、自室に歩いて帰り美味しそうにご飯を平らげています。

最後のシーンは、帝王切開。

山元先生は、ドイツでは産婦人科の医師だったため、帝王切開もされています。

帝王切開の映像を見るのは、初めて!

驚きました、お腹を真っ二つに切り出し、その中央部から、赤児が顔を出して来るんです。

「ハッハッハッハハハ・・・」

赤児の顔見て、山元先生はニコニコ顔。

50年も前にこんな前衛的(少々芸術的な表現で申し訳ありません)手術をされている山元先生が、今回のセミナーで、手術の是非について何回か質問を受けられました。

「悪いものを取ったらいいという訳ではないですね。」

「手術をすると良くない・・・ぼくは、そう思う・・・メスを入れないほうがいい・・・」

としみじみ語ってくださいました、手術映像とニコニコ顔が重なりあって私の心に響いてきました。セミナーレポートにお付き合いありがとうございました!

7月にも宮崎に向かいます。今度は、もう少し症例を増やすつもりです~~。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート10

左腕が2年間上がらない60才くらいの女性患者Jさん。20年前、3回続けてギックリ腰をしたため、腰も痛いそうです。

山元先生は合谷診では、左腕が上がらないにも拘(かかわ)らず、右合谷を診ます。

おでこの生え際、正中線やや右のA点に3本置鍼。

すると、2年間上がらなかった左腕が上がりました。今度は、左耳の後ろに3本置鍼。

耳の周辺にはI ~ソマトトープ(小さな人型)が上肢、下肢、頚椎、胸椎、腰椎を全て逆さまにした状態でバラバラに存在しています。

山元先生が置鍼された耳の後ろには、腰椎があります。Jさんが問診で腰痛を訴えていたからかも知れません。あるいは、合谷診で腰痛と判断されたのか・・・

続いて、10番脳神経(迷走神経)の頭頂部に置鍼2本されました。

「どうですか?」

「痛みはありますが、肩は上がります❣️」

と、退室されるJさんでした。

2年間上がらなかった腕(肩)が3本の置鍼で上がるということは、驚きです。

そこには、一体何があったのでしょう?

今年2月に初めて山元先生のセミナーに参加し、本当のYNSAを体験しました。その時のリーダー格だったG先生が、よく質問をされていました。

その中の一つ、

「先生、この患者さんは腰痛ですよね。腰痛もA点で治すのは、なぜですか?」

「・・・・生き物だからね~~(A点あたりを指して)立体的に渦巻いているから・・・」

ほとんど禅問答。

とにかく、何もかもが初めての私には、ちんぷんかんぷん。

それから2ヶ月経ち、イメージしたのは、おでこのA点にソマトトープ(小さな人型)が存在していて奥深く渦巻いている様子でした。

山元先生が置鍼した3本は、Jさんのカラダがもっと必要としていた鍼だったので、結果、腕が上がったという事でしょうか?そうなると、〇〇痛、□□痛は参考であり、あくまで今の診断に対して治療をすればいいことなのでしょうか?

山元式新頭鍼療法セミナーレポート9

70才くらいの男性患者Iさん。興奮すると口びるが震え、手にも震えがきます。

合谷診で右A点(おでこの生え際、正中線よりやや右)に8本置鍼。

特に口びるの震えが激しいので、右眉毛の口腔治療点に1本置鍼。

それでも、振戦は治りません。

Iさんは、パーキンソン病ではなく、本態性振戦と思われます。

本態性振戦の原因は、不明。精神的に緊張すると症状が悪くなることなどから、興奮したときに働く交感神経が関係していると考えられます。

そこで、山元先生はIさんの右手を取り、手のひらの圧痛点を探します。

「ここ?」

「今、痛いです!」

圧痛点にパイオネックスを貼ります。

「どうですか?」

「あっ・・・震えを感じません!」

と、震える手で答えるIさん。

実際には、震えているのですが(多少震えが小さくなったかも知れません)、Iさん本人が、震えを感じないのですから、治療は終了。

「ハッハハハハハ」

「合谷のうしろで震えは止まる。」

合谷のうしろとは、どうも労宮穴(ろうきゅうけつ)を指すようです。

針灸経穴辞典(東洋学術出版社)によると、作用:清心、安神、涼血、和胃とあります。

鍼狂人・藤本蓮風先生も労宮穴をセンサーとして捉えて労宮穴で触診することを勧めておられます。

暗闇を歩く時は、労宮穴を突き出し気配を感じ取るわけですから、立派なセンサーです。

また、労宮穴は心包経ですから、震えとの関係も何となく納得できます。

実際、労宮穴に灸をしてみると、カラダが身震いするほどの反応があります。直刺だと相当効くでしょう(自分にはちょっと刺せません・・・鍼灸師なのに・・・)

レポートはもう2~3日続けようと思います。お付き合いありがとうございます

山元式新頭鍼療法セミナーレポート8

60才くらいの女性患者Hさん、去年の3月に脊柱管狭窄のため、手術をし入院1カ月。今は膝から下がしびれ、支えがないと立てない状態です。

山元先生は合谷診で、 右の合谷から、おでこの生え際、正中線よりやや右のA点に置鍼2本。

「どこが、しびれる?」

「足のウラ」

すると、先生はパイオネックスを、Hさんの手を取り母指球と合谷(手の甲で、親指と人差し指の間)の圧痛点にパイオネックスを6個貼りました。

「今度は、どう?」

「しびれてはいるけど、少し変わった・・・・先生、猫の肉球があるような感じ!」

「・・・・」

良く意味がわからない先生。

「ちょっと、立ってみて。」

支えがないとまだ立てないHさんです。頚椎に注射をして、

「これで、様子をみていきましょう。」

「・・・・・手術した後は、なかなか難しい・・・」

手術という大怪我の代償は、山元先生でも、とてつもなく大きいようです。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート7

35年間、運送会社に勤務され、2年前から右下肢全体の痺(しび)れに悩んでおられる男性患者Gさん。推測ですが、長距離トラックの運転で、右下肢を使い続けた結果だと思います。

合谷診では、右にコリがあります。

Gさんのおでこ、正中線よりやや右の生え際のA点に置鍼6本。

「どうですか?」

「右脚の筋肉が柔らかくなってきて・・・・でも、膝にしびれが残ります・・・先生、正座が出来ないんです!」

と突然、両膝を床についてお尻がフクラハギに付かないアピールをするGさん。

「・・・・・・・・・・・・・・」

山元先生は、Gさんの右肘下横紋(曲池あたり)に置鍼1本。続いてパイオネックスをその周辺に2個。

「だいぶ、しびれが取れてきました。」

3個目のパイオネックスを、右合谷(親指と人差し指の間)に貼ります。

「今度は?」

「上に移動しました。」

すると山元先生は、GさんのおでこA点の上の方に1本置鍼。

「・・・・上のしびれがなくなって来ました・・・ただ、こわばりは、残っています。それと、膝の内側がマヒしている感はあります。」

「これですか?」

Gさんの右膝やや上の内側(血海あたり)のこわばりをピンポイントで押す山元先生。

「はい!そうです!」

「ちょっと、足出して・・・・」

投げ出されたGさんの内踝(うちくるぶし)を抑えながら、

「ここじゃなくて・・・ここですか?」

「あ~~はい!」

パイオネックスを内踝(うちくるぶし)の際(太渓あたり)に貼る山元先生。

「こわばりが柔らかくなって来ました。マヒの感覚もなくなり・・・・楽になりました。走れそうです❣️」

「ごくろうさんです。」

ニコニコ顔の山元先生でした。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート6

トライアスロンをしているガッチリした体躯の男性患者Fさん。

朝起きた時は大丈夫なのですが、車の運転後、腰痛となり、冷え性も激しく電気ストーブがないと生活が出来ない程です。

山元先生は、Fさんの両手を取り、合谷診を始めます。

「先生、上に行けば行くほど痛いです。」

人差し指の根元から、手首にかけての第2中手骨の際上わずか1.5cmほどにソマトトープ(小さな人型)があり、①下肢②腰部③胸部④頚部⑤頭部(たぶん脳)に区分の合谷診。

「上に行けば行くほど痛い」ということは、④頚部⑤頭部(たぶん脳)あたりが痛いという事になります。

そこで山元先生は、④頚部基本点のA点(Fさんは右合谷に圧痛点があるため、正中線からやや右の生え際)に刺鍼。

この時、A点を見つける左親指の爪の当て方を、丁寧に教えてくださいました。

「間隔は、本当にせまいです。爪を立てた所ここと、下と、もっと下、どれ?」

立てた爪をローラーのように下にほんの少しまわし、Fさんに感覚を効き分けてもらいます。これを繰り返してA点に3本置鍼。

今度は、肘下横紋(肘の内側のスジ)の外側(曲池というツボ)を腕診。

Fさんは痛みを感じませんでした。ここは、腕診では頚部にあたる所です。頚部の痛みが無くなったかどうかの確認だったのでしょう。

再び先生は合谷診をされます。そして、今度は外踝(そとくるぶし)の下、外果治療点(マレリウス)にパイオネックスを2個貼ります。

次に、右耳の後ろのソマトトープ(腰椎に当たります)に置鍼をしていきます。1本刺すごとに腰の状態を確認します。

4本目、

「あっ、効いていますが、まだ痛いです。」

5本目、

「効いた!」

「もう一本、やりますか?」(山元先生)

「はい!」

「ハッハハハ・・・・」

「だいぶ、違います!」

最後に仙骨注射をするため、治療室にスタスタと歩くFさんでした❣️

山元式新頭鍼療法(YNSA)セミナーレポート5

60才くらいの男性患者Eさん、足の指先から踵(かかと)にかけて痛くしびれがあります。

山元先生はEさんの合谷を両手の親指で、爪先が皮膚に直角になるよう診ていかれます。

「これではなくて、これですね?」

Eさんの右手の合谷の方が、左手よりコリがあるため、右合谷を丁寧に診ていかれます。

そして、おでこの生え際で正中線よりやや右(A点)に、置鍼5本。

「どうですか?」

「足は楽になっています・・・足先のしびれは取れましたが、踵(かかと)は痛いです。」

「おかしいところが、痛いの・・・」

(先生のこの言葉よく分からなかったのですが・・・合谷診で最も気になるA点を置鍼で良くしたあとは、おかしいところが、痛みを残して教えてくれている・・・とでも、初心者の私は理解するしかないようです)

山元先生は、おかしな踵(かかと)の圧痛点を親指で触れて確かめ、それに対応する箇所の左掌(ひだりてのひら)にパイオネックスを貼っていかれます(イラスト参照)。

「どうですか?」

「楽になりました❣️

山元式新頭鍼療法(YNSA )は、頭以外にも鍼を刺します❗️

山元式新頭鍼療法セミナーレポート4

午後のセミナーは、山元先生の講義です。ところが、途中から患者さんがみえられました。

70才くらいの男性患者Dさん。

「どこが痛い?」

「全身ですが、特に肩です・・・両手バンザイができません・・・・朝起きるとですね~、肩が痛うなって、ションベンちびりそうになるとです・・・でも、先生の顔を見ると痛みが和(やわ)らぎます。」

今回、山元先生は合谷診から右腕診(合谷のコリが強い右腕を選択し、右肘内側の圧痛点を探ります)。その結果、正中線からやや右側のおでこの生え際(A点)に、刺鍼を9本。

すると、合谷のコリはとれました。

次に、正中線沿いに生え際から頭頂部にかけての脳神経点。

私が見た限りでは、10番迷走神経、11番副神経に刺鍼。

「手を上げてよ!上がる?」

Dさん、勢いよく耳に付くくらいに、両手をあげます。

「うお~~~~~~~~」

研修生全員から思わず驚きの声。

「肩は、どう?」

「先生の念力のおかげで、肩も柔らかくなった気がします。両手上げて、背中洗いも・・・・出来ます・・・ほらっ!・・・痛みは9割なくなりました・・・楽になりました。」

とニコニコ顔のDさんでした。

山元式新頭鍼療法セミナーレポート3

中年男性Cさん、

「去年から右目の視力が落ちはじめ、4ヶ月前に思いっきり落ちて、信号も暗くなって見えなかったんです・・先月の治療で見えるようになったけど・・去年は0.3あった右目が0.05。左目は0.7です。」

山元先生は、合谷診をしながら、

「腰、痛いですか?」

「いいえ・・・ただ、両足がしびれています。」

などと、話をしながらCさんのおでこ中央部からやや右の生え際(A点)に8本。

「どうですか?」

「前より、近くの方は見えています。」

今度は、右耳後ろ(I ソマトトープの腰椎)に7本。

「これは、どうですか?」

「変わったような、変わらんような・・・」

そこで、山元先生は右耳後ろの上に1本刺鍼。

「これで、どうですか?」

「見えかけている様な気がします・・・ちょっと見えてきた・・・だんだん字が見えてきた❣️・・・・木(標識)に字が3つあるのが見える・・・・室(治療室の 3文字)が見える❣️」

山元先生は、Cさんの右足外踝(そとくるぶし)の中央部脳点(外果治療点)を爪で刺激し、パイオネックスを貼ります。

「一瞬見えますが、持続性はないです・・・・まあまあいい感じで見えつつあります。」

「ハッハハハ・・・」

右頚部に注射をし終了。

 

山元式新頭鍼療法セミナーレポート2

山元式新頭鍼療法セミナーレポート 2

遠方から来られた全盲の60才代の男性患者Bさん、奥様が車椅子を押して来院。

3日連続で治療を受けられます。

Bさんは、3~4年前から視野狭窄になり、現在では全く見えなくなりました。また蓄膿症とパーキンソン病も併発しています。

セミナー初日(Bさんの2日目)

「先生、ずいぶん変わりまして、顔がうつ向かなくなりました。楽になりました。足のこわばりも取れました。」

奥様がBさんに代わって話してくれました。確かに、普通にしておられます。どうやら以前は、顔が地面と並行になるくらい頭を垂らしておられたようです。奥様の仕草で分かります。

山元先生は、昨日のレポートで書いたように、左右の親指と人差し指の間の合谷(ごうこく)というツボの診断を丁寧にされます。

人差し指の根元から、手首にかけての第2中手骨の際上わずか1.5cmほどにソマトトープ(小さな人型)があります。

どの様な人型かというと、第2中手骨と第1中手骨の交わるところを頭(あたま)とした身長1.5cmのソマトトープ。

これを、①下肢②腰部③胸部④頚部⑤頭部と分けます(5つに分けることは確かですが、分類は定かではありません・・・(*^ω^*)そして、この合谷診のポイントは、中手骨の際を軽く押圧すること。

山元先生はBさんに対して、合谷診とおでこへの刺鍼を繰り返し、8本の鍼を打ち、首への注射で治療終了。

Bさんに限らず、多くの患者さんに対して山元先生は、合谷診をした後、おでこのA点に鍼を刺されます。これは、合谷診の④頚部=A点に当たるところの反応があるからなのかもしれません。

セミナー2日(Bさん最終日)

「先生、真夜中に起きることなく、朝まで良く眠れました。」

治療の効果があり顔はうつ向いていません。山元先生は合谷診をしながら、おでこのA点1ヶ所に微妙な間隔を開け5本刺鍼。

「おお~~右が無くなると、左が出てきた・・・左は、陽性じゃないから、出てきた・・・右は、取れましたね、左はちょっとありますね。」

と、左(だったと思います)に1本。

「目は全然見えないんですね?僕の顔も見えない?」

うなずくBさんでした。

左首に注射で終了。