3本指が鍼(はり)のかわり

92才の女性患者Aさん、右足先(第2、3趾)が痛く歩くのに不自由だそうです。 また、右腕にしびれを感じます。

「Aさん、ベットでじっとしていても右足先は痛いのですか?」

「ハイ、痛みはあります。」

ということで、足先から最も遠い右側頭部の圧痛点を探すことにします。 この圧痛点は、山元式新頭鍼療法(YNSA)に沿った3カ所です。本来なら、この3カ所に鍼を刺し置きすればいいのですが、Aさんは、鍼が嫌(きら)いなため、右手の親指、人差し指そして中指の3本を、鍼の代わりにします。

3本の指をAさんの右側頭圧痛点に、軽く触(ふ)れるだけです。この状態で15~20分経過。

「Aさん、右足先の痛みはどうですか?」

「痛くありません❣️」

右足先は良くなったようです。3点のうち2点は、右足先狙(ねら)いだったのですが、残りの1点は右腕のしびれ狙(ねら)いです。しかし、右腕のしびれはなかなか取れません。

そこで、お灸を右肘の圧痛点4ヶ所に3壮ずつ、第4指の圧痛点にも2壮しますが、お灸の熱があまりお好きではないようです。

 「Aさん、ユックリ起き上がって歩いていただいてよろしいでしょうか?」

「あっ・・・右足痛くないです❣️」

右腕のしびれは取れませんが、右足先の痛みは取れましたので、治療を終了しました。

足首は手首で治す

長時間の正座で感覚がマヒしてしまい、立ち上がろうとした時、左足首が可動域を超えて外側の靭帯を損傷してしまった30才代女性患者Cさん。

近くの病院に行き診てもらったところ、大した捻挫ではないと診断されました。

しかし、翌日から外踝(くるぶし)が紫色に腫れ上がり、もう一度、別の病院に行き、手当を受けました。現在は、包帯でしっかりと固定されています。

「Cさん、捻挫をしたら、まず患部を氷水で徹底的に冷やしてください。毛細血管が切れているのでその切り口を閉じなければ、どんどん内出血してしまいます。」

Cさんは、この重要な処置をしなかったため、内出血の腫れが出来てしまいました。

今回は、左足首は固定されているため、その対角に当たる右手首の圧痛点を見つけ出し、全身のバランスを取っていく事にします。

右手首周辺の皮膚を丁寧につまみ上げていくと、痛いところと、そうでないところがはっきりと、現れてきます。痛いところに赤印を付けていくと、手首外側に大きな長細い地図ができます。この形の相似形が、左足首外側に存在しているのです。

今回は、右手の圧痛地形図にクスノキの瘤(こぶ)を軽く当て、気持ちよく揺(ゆ)擦ります。

かなり、ほぐれて来たので、お灸をします。

最も痛いであろうところは最後に残し、徐々に外側から始めます。

「ここ、痛いですか?」

「痛い‼️痛いです‼️」

やはり、足首の患部に対応する部位が、飛び上がる程痛いのです。そこにしっかりとお灸をし、今回は終了しました。

追伸、Cさんから下記のメールが届きました。

佐伯先生にこの前お灸して頂いたら、それまでズキズキ痛んでいた靭帯の痛みは治っています(ビックリ!)

また痛くなってくるのかなあ、と不安でしたが、今のところ大丈夫です。

佐伯先生のおかげです。ありがとうございます!

正座が出来た❣️

昨年の4月から正座が出来なくなった60才代の女性患者Bさん。変形性膝関節症と診断され、今回の治療で8回目となります。徐々に回復し正座した時、太ももと踵(かかと)が接触するぐらいになっています。初診の時は、14~5cmくらいは空いていたと思います。

山元式新頭鍼療法(YNSA)で、膝、下肢に対応する頭部に鍼を刺し置きします。

あとは、松山から持ってきた2個のクスノキの瘤(こぶ)をBさんの両膝うらに置き、3個目の瘤(こぶ)を太ももの内側に置き、ユックリと揺(ゆ)するだけです。

「どうですか?」

「気持ちいいです。最初痛かったところが、徐々に痛くなくなって、気持ちいいです。先生、このイボイボ、絶妙ですね~~」

「これ、私に合っていると思います。」

15~20分くらいは揺(ゆ)すって、太ももが随分ゆるんできました。

「頭に鍼を刺したままですが、ユックリ起き上がって、正座をしてみてください。」

「・・・よっこらしょ!・・・アレッ、正座できた❣️❣️・・・・何ヶ月ぶりやろ?(10ヶ月ぶりです)」

確かに、しっかりとお尻が踵(かかと)について体重が乗っています。ただ、両膝の内側にまだ痛みがあります。そこで、対角の両肘内側の圧痛点を探してみます。

「痛った!先生、そこ痛い。」

肘と膝はお互い影響し合っているため、対角に位置する部位(右膝←→左肘)を治療すると連動して良くなることが、あります。そこで、両肘圧痛点に鍼を刺してみました。

頭に刺した鍼を抜いて、

「ユックリ起き上がって、正座してみてください。」

「・・・・張りがあるけど、痛みはありません❣️・・・これなら、お茶(茶道)できそう❣️」

とニコニコ顔のBさんでした。

クスノキの瘤(こぶ)で胸椎一点押し

スキー大好きな60才代の男性患者Aさん。いつものように温泉に入ってからの来院。

「ここへ、来るようになって、よく歩けるようになるでしょう。そうすると、翌日右股関節が痛くなって・・・プールに行って歩くと良くなって・・・そんなのを繰り返しながら良くなっています。」

「先生、今日は、胸椎の一点に来ています!」

Aさんは、スキーの最中に頭から飛び込んで埋まり、スキー板が雪面と平行になる事故を起こした事があります。その時、胸椎の一点が「ギック!」と来たそうです。

カラダが良くなってくると、その古傷が顕著に出て来るそうです。

「先生、一番大きなクスノキの瘤(こぶ)を、ここにお願いします❣️」

ということで、今回もAさん主導の治療です。腹診をするとおヘソの左右そして上にコリがしっかりあります。そのため、手首、足首の大事なツボに刺し置きします。ある程度柔らかくなったので、鍼を抜き、Aさんの指示通り大きなクスノキの瘤(こぶ)を胸椎の一点に合うように置きます。

枕もクスノキ。胸にもクスノキを置き、その上にAさんは、両手を置いて自分で圧をかけています。

「イボイボが気持ちいいですね~~。押しながら、手も胸も背中も気持ち良くなる❣️」

「胸椎の一点を押すと、顔面の左側に刺激が来る~~」

「先生、お腹触って❣️・・・・」

「アレッ、柔らかい、お餅みたいになってる!」

あまりに柔らかくなっているので、思わず声が出てしまいました。今のAさんには、この療法が一番あっているようです。

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報(その2)

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報(その2)

「先生、腕と肩はもう治った。じゃがの、左耳に水がたまって、よう聞こえんのよ。」

前回まで痛がっていた腕と肩はもう気にならないそうです。

ということで 、腹診をして、足に鍼を刺しお腹を柔らかくした後、山元式新頭鍼療法(YNSA)の耳に対応する部位に鍼を3本刺し置きします。

「先生、肩が治ったら思い出したんじゃけど、ココ(右股関節)が痛いんじゃ。」

確かに右太ももの裏側に板状の大きなスジがあります。右足首も冷(ひ)んやりしています。

そこで、右膝うらに手を当て、Aさんの皮膚を軽く刺激します。

この皮膚にアップローチする手技は、京都の丸住和夫先生が、仙台の温古堂で橋本敬三先生から操体法を学んでおられる時に、編出(あみだ)されました。

私は、東京で橋本敬三先生の弟子である三浦寛先生の門下に入り10年、身体運動の法則(基礎的なカラダの動かし方)と、皮膚の手技をはじめ様々な手技を学びました。この皮膚にアプローチする手技は、まだまだ発展途上です。山元式新頭鍼療法(YNSA)も頭皮へのアプローチで新たなツボが次々と見つかっています。

1個の受精卵が分割し内胚葉、中胚葉、外胚葉となり、そこから徐々に胎児となりますが、外胚葉の一部が窪(くぼ)み神経系、感覚器となりそれらの中心となる脳ができます。

そのため、皮膚と脳とは密接な関係があります・・・と、これくらいは何とか言えるのですが・・・なぜ?軽く皮膚に触れるだけで、患者さんのカラダが良くなるのか分かりません。

Aさんの右膝うらが、すっかり柔らかくなりました。今度は、冷えた足底を両手でつつむように触れることにしました。Aさんは爆睡中です。足底が温まったころに、起きてもらいました。

「・・・うんん・・・ちょっと、寝たようじゃのう・・・」

「ここ(右股関節)どうですか?」

「おおおう~~、軽い軽い、楽じゃ❣️」

娘さん運転する車で元気良く帰られるAさんでした。

追伸:左耳の状態を聞き忘れました。次回伺うことにします。

クスノキの瘤(こぶ)で揺(ゆ)する

変形性膝関節症で右膝に人工骨を入れる手術を1年半前にした80才女性患者Aさん。

半年前から、当院を月に3回程度利用されています。

現在では、膝痛はなくなり、腰痛、肩凝りが気になっている程度です。

テニスのバックボレーを打つ格好をすると肩の三角筋中央部が、ピリピリと痛みが走るそうです。最初に腹診をして、お腹のコリをチェックし、足に鍼を刺してお腹をゆるめます。

「先生、不思議ですね~~、足とお腹が繋(つな)がっているなんて・・・」

毎回この治療をしているのですが、いまだにカラダの神秘に驚いておられます。

次に、右肩に対応する頭部に鍼を一本刺し置きします。右耳先端のやや斜め前上に

圧痛点を見つけました。

「クスノキの瘤(こぶ)で揺するの好きですか?」

「先生、あれ大好き? すっごく気持ちいい❣️」

仰向けの状態で、ポイントとなる肩甲骨や、膝うらにクスノキの瘤(こぶ)を置きます。あとは、手のひらサイズの瘤(こぶ)をAさんの右胸において、揺(ゆ)するだけです。

操体法の手技に、足指を一本一本丁寧に揺(ゆ)らす方法があります。その感覚で行うため、相当効果があるようです。

今度はうつ伏せで、右胸にクスノキの瘤(こぶ)が当たるようにして、腰にやや大きめの瘤(こぶ)を当て、揺(ゆ)すります。

「先生、肩もう楽楽楽~~❣️」

ということでAさん、気持ちよく帰られました。

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報です。

Aさんは、両膝の人工骨手術、腎臓摘出、心臓には3本のステントの手術と、西洋医学の恩恵を被(こおむ)って現在、88才。

10人の従業員を抱(かか)える鉄工所を経営しながら現役で働いておられます。

「先生、もうワシャ薬飲まん!薬飲んだら、肩が、いとうのうて(痛くなく)、ついつい無理して働くじゃろう。そしたらの、翌日いとうて、いとうてたまらん様になるんじゃけん。いっちょも(少しも)治っとらん。ワルなるだけじゃわい。」

「薬でだまされとるだけじゃ。ここ(当院)に来てからは、薬飲まんようにしとる。」

当院に入って来られるや否や、一気にまくし立てるAさん。大変お元気です。

よくよくお話を伺うと、Aさんは機械修理のエキスパートで、どんな機械でもバラバラの状態から組み立てる事が出来ます。そのため、鉄工所の難しい機械修理は、Aさんしか出来ません。今日も一日修理をしていたそうです。

一番痛いのが、右肩(三角筋という肩から上腕外側の真ん中くらいにある筋肉)。よっぽど肩が痛かったのでしょう。痛いところに大きな黒々とした「やいと」の跡が、かさぶたで残っています。

三角筋は前部繊維、中部繊維、後部繊維と3つの筋肉に分かれています。

前部繊維は、母指球の屈筋が、中部繊維は、胸の大胸筋が、後部繊維は、親指と人差し指の間にある母指内転筋が、それぞれ関係しています。肩甲骨や脇の下にある前鋸筋(ぜんきょきん)も関与しています。

また、Aさんは、機械修理で指の屈筋を酷使しているので、それぞれの指を丁寧に診なくてはなりません。

まず、右手の親指から小指まで一本一本ストレッチ。ゆっくり気持ちよく・・・

「おおおっ~、これはよう伸びるのう~~イタ気持ちがええわい❣️」

あとは、右母指球や母指内転筋に鍼。指の圧痛点にお灸。肩甲骨や脇の下にお灸をして終了。3日後の予約をして帰られました。

次回はどんな話をしてくださるのか、楽しみです。

来院の前に治ってた⁉️

二日前にギックリ腰の30才代女性患者Cさん。

昨日、お尻に痛み止めの注射(ブロック注射ではないと本人の弁)をし、温泉でゆっくり。

そして理学療法士の先生に習ったストレッチが良く効いたようです。

温泉がたくさんある松山ならではの湯治法❣️

来院した時は、笑顔が爽やかで、ギックリ腰のイメージはありません。

ただ、背中を触ると骨盤の上に張りがあります。しかし、ふくらはぎはユルユル。足首の張りも感じられません。

『・・・んん・・・腹診をすると、何か分かるじゃろ・・・』

両膝の下に、長細いクッションを置いてやや立膝の状態で仰向けになってもらいます。

「腰痛くないですか?」

「大丈夫です。楽です!」

腹診をしても、どこも痛くありません。こういう時は・・・・山元式新頭鍼療法(YNSA)。

ダイオード鍉鍼(ていしん)という長さ14cmの棒で圧痛点を探しますが、結局見つかったのは、おでこの2か所だけです。そこに鍼を刺し置きします。

左側の腰が痛いので、左の太ももにクスノキの瘤(こぶ)を置き、軽く揺すります。

「痛った!」

どうやら、太ももは敏感です。そこで、丁寧に揺すること5~6分。何となく落ち着いて来たと感じたので、太ももに被(かぶ)せたタオルの上に軽く手のひらを添えます。

「ゆっくりしてくださいね~。どこか気になるところあります?」

「左の鍼、刺されてるところから、引っ張られてる感じがします❣️」

「あ~~、なるほど~~嫌な感じですか?」

「いや、そんな事はないです。引っ張られてる感じです。」

「じゃあ、そのままにしておきましょう。」

途中、太ももから膝うらに触れる場所を移し、10分くらい経ちました。もう太もも膝うら共に痛みはそれ程ありません。

「それじゃ、鍼を刺したままでユックリ起きてください・・・・・どうですか?」

「あれ? 痛くない・・・痛くないです❣️」

「うん~~良かった!じゃあ、鍼を刺したままでもう一回横になって休んでください。」

有線放送から流れる「ヒーリング・ベスト・セレクション」を聴きながらウトウトしてもらいます。

こんな感じでいつの間にか治療は終了。

「何が効いたのかよく分からないのですが・・・多分、温泉のストレッチが良かったんじゃないかと思います・・・」

湯治法は素晴らしい❣️

ほぼYNSA(山元式新頭鍼療法)

昨年7月から1ヶ月に3~4回のペースで来院の50才代女性Aさんの続報。

病院では、変形性股関節症(右の骨が数ミリ削れている)と診断されました。やはり、まだ右股関節の外側からふくらはぎの下まで痛みがあるそうです。

今回は、山元式新頭鍼療法(YNSA)で治療します。

Aさんのように右下肢全体に痛みを感じる場合、右耳中央部の後ろから頭のてっぺんにかけての圧痛点を探します。

6箇所見つけ出して斜め刺します。同じ様に左側頭部の圧痛点を探しますが・・・

見つかりませんでした。

「へっえ~~、こんなことあるの⁉️」

チョットびっくりしました。

あとは、フォークソングを聴きながらゆっくり40分休んでもらいます。

『今日は、腹診で足に鍼を刺した以外は、全て頭に刺したので・・・どうなるのかな~~』

『考えてみれば、「ほぼYNSA治療」って初めて❣️』

「Aさん、起きてみてください。足の状態はどうですか?」

「・・・んん、あれっ・・・足全体は痛くない。横の奥にあるだけです❣️」

肩と背中の張りが緩んでいます。

Aさんに赤ボールペンで痛いところを描いてもらった右下肢の部位が、緑ボールペンの部位に減少していました(カルテをコピーしました)。

頭は開拓の余地がいっぱいあるようです。

カラダにお任せ

午前中、キャンセルがあったため、畳部屋でゴロゴロ。

クスノキの瘤(こぶ)に頭、背中、ふくらはぎ、太もも、足首を置いて揺(ゆ)すると、効きます。クスノキがシナモンと同類のため、10分ほどでカラダがカ~~ッと熱くなる感じです。クスノキから抽出された樟脳(しょうのう)がカンフルと言われるのが良くわかります。

午後からは、スキー大好き60才代男性患者Aさん。

前回までは、私が方針を立てその中にクスノキの瘤(こぶ)治療を加えていました。

しかし今回は、Aさんのカラダにお任せすることにしました。

過去2回、Aさんはクスノキを十分体感しました。しかし最も大きな瘤(こぶ)をメインでつかうことはありませんでした。そこで、大きな瘤(こぶ)をAさんの背中の下に敷くというやや大胆なことをしてみました。

午前中、大きな瘤(こぶ)の上でゴロゴロし、効果を実感。また、感覚、運動神経が鋭いAさんのカラダなら勝手に反応するだろうと思ったからです。

「先生、背中が気持ちいい~~❣️」

「カカトにとんがったのが欲しい❣️」

「背中が暖まってきて、腕の重さで指、手、腕が引っ張られてる~~」

「音楽のリズム(ボサノバ)に任せて、素直に動いていると・・・なんだ、どうなってんだ・・・ああ、これは効く~~ああ~~~、❣️」

「クスノキの感触って、やわかた(柔らかいけど、硬い。硬いけど柔らかい)で、いいんだよね~~。ハマりますね~~このまま(の状態)でいたい❣️」

色々、喋ってくれます。

私はというと、強烈な睡魔に襲われ、踏ん張るのに精一杯。前回もやはり、強烈な睡魔を感じたのですが、何かあるのでしょう。よくわかりませんが・・・

追伸:Aさんの手のしびれがなくなりました。