肝臓は何故再生する?

 

山元式新頭鍼療法(YNSA)創始者・山元敏勝先生の著書「あきらめなければ、痛みも麻痺も必ず治る!」から、科学が証明した、針の6つの効果の最後、自己治癒力について説明いたします。

『6、自己治癒力を高める

針は、人間がもともと持っている、病気を治す力を高めます。人間の体には「自己治癒力」という働きがあります。文字のとおり、人間は、自分で自分の体を治療して、治す力を持っているのです。いまお話しした敵と戦って体を守る免疫も、この自己治癒力のひとつです。体は切ったり転んだりして傷ができても、もとの状態にもどります。傷によって細胞が壊れても、細胞が再生して元の状態に戻るのです。また、風邪をひいたときでも暖かくして寝ていれば、薬など飲まなくても治ってしまいます。

骨が折れても、周りを固定して動かないようにすることで、骨が折れた部分はつながり、元の状態に近い形に回復します。トカゲが、敵から逃げるために自分でしっぽを切っても、元の状態に戻る事はよく知られています。実は、人間の内臓にも、そのような働きがあるのです。人間の肝臓は、切除しても元の形に再生します。仮に肝臓全体の80%を切除してしまっても、数ヶ月後には元の形に戻るものです。

人間の体にはこのように、かかってしまった病気や傷を自分自身で治す働きがあります。針には、この自己治癒力を高める働きがあるのです。このように針が持つ効果についてお話しすると、人間の体には、いかに自分の体を守り、元気を保つための働きがあるのかが、お分かりいただけると思います。針には、この人間がもともと持っている力を引き出し、強める働きがあるのです。』

山元敏勝先生が、肝臓の再生能力について説明されています。肝臓を80%取っても再生する!その理由をご存じでしょうか?それは、血液が小腸で出来るからです。小腸まで食べ物が行くとモネラという物質に変わります。このモネラが小腸の絨毛をで吸収されると赤血球になります。その大量の赤血球達が門脈を通って肝臓にいくのです。そこで、20%になってしまった肝臓を補うために、赤血球が肝細胞に同化し、数ヶ月で再生するのです。この事をしっかり理解しておいてください。

患者さんからの提案

鍼灸院を経営していて感じるのは、「鍼は痛いし、お灸は熱いので苦手」という感覚の人が多いという事です。確かに私の使用している鍼は、直径0.25mmで一般に使用されている1番鍼が0.16mmなので、刺入時は痛いことが多いのです。ただ、最近始めたお灸は、世界で最初に麻酔手術を行った華岡青洲の考案した紫雲膏をたっぷり皮膚にのせてモグサに火をつけるので、熱くありません。それでも効果があります。また、私は頭に鍼を刺しますが、刺した後は気持ち良さがあり、即効性があるので、一度体験するとほとんどの人が好きになります(金属アレルギーの方は、無理です)。しかし、それでも敷居が高いようで、1日の来院数は、4人弱です・・・何とか生活出来る程度です。そこで、患者さんからある提案がありました。

「先生、5分無料で中学生を休ませてあげたら、絶対いいですよ!」

確かに、スマホやタブレットばかり見て、カラダも歪んでいる中学生に門戸を開くのは、高い敷居を低く出来るチャンスかも知れません。そこで、写真のように、

「スマホ疲れのアタマと歪んだカラダを畳の上で心地よく正しましょう 5分間無料」

とキャッチフレーズを考え、下絵(字?)を作りました。津田中学校の生徒の通り道なので、読んで興味を持ってくれると良いのですが・・・・アイデアを出してくださった患者さんは、まずは身近なことで解決する事、それが色々な展開を生み出すとおっしゃっていました。9月から学期が始まるので、どういう展開になっていくか興味あります。

昼食後の楽しみ

大沼四廊先生主催セミナーのお楽しみは、昼食です。無添加添の食材と旬の無農薬野菜を中心にした美味しい料理を調理師Fさんが、たっぷり作って下さり、皆んなでワイワイワインを口にしながら、楽しい時間を過ごすのです。1時間30分位ゆっくり過ごすことに大変意義があると思います。参加された人達との楽しい情報交換、思わぬ気づきそして、大沼四廊先生からの学び。参加費が4500円は、本当に安いと思います。

参加者2名の指先の血液を顕微鏡で大きなモニターに写し出しており、参加者はそれを背景に昼食をとります。昼食後にその採取された血液がどのような変化をするのかが、楽しみなのです。女性の参加者Aさんは、赤血球が団子状に重なり合ってい動きもあまり無い状態だったのですが、昼食後は、赤血球がサラサラの単体でスムーズな動きをしています。これには思わず、大沼先生が、

「Fさん、Fさん見て、見て・・・・サラサラになってる!」

と、嬉しそうに調理師Fさんに大声で呼び寄せ・・・・Fさんは、嬉しそうに安心した様子で眺めておられました。

続いて、男性参加者Bさんの血液が、顕微鏡で写し出されます。Bさんの血液は、昼食前サラサラで全く問題がありませんでした。そのため、どれだけサラサラになって行くのだろうと、大いなる期待を持って見ていたのです・・・・・が、

「・・・赤血球が団子状になっていますね、これは血流が良くなって血管内にこびり付いていた赤血球が、流れ始めた結果、このようになるのです。ですから、この団子状の赤血球をサラサラにして行けばいいのです。」

非常に納得のできる説明に、リアルな血管の状態をイメージ出来ました。実際、その後Bさんは、発酵カシス(ニュージーランド産の果実)を飲むだけで、血液がサラサラになりました。この顕微鏡での血液観察は、いずれやってみたいです。例えば、鍼を頭に置鍼した前後の変化、操体法前後の変化を可視化すると、患者が治療を意識しやすくなると思います。益々面白くなりそうです。

変化

名古屋の大沼四廊先生主催の「ナチュラルメディスン」のセミナーに来週の日曜日に再び参加します。先生のセミナーや治療を受けることで、私の治療方法が変わってきました。操体法というカラダの歪みを取る民間療法を中心に治療をしていこうと、6年前に開業していたのですが、3年前から山元式新頭鍼療法(YNSA)に移行していました。ところが、大沼四廊先生の大沼理論に遭遇し、再び操体法を自由に加える治療に変化しているようです。

大沼理論で最も納得出来るのは、カラダの歪みのメカニズムです。このメカニズムのため開業以来、常に感じていた患者さんの2つの歪みの傾向の理由がわかりました。2つの傾向というのは、

1)9割以上の患者さんの脚の長さは、右脚が短く、左脚が長い

2)8割の患者さんの左合谷(人差し指と親指の間のくぼみ)の方が右合谷より圧痛点が多い

1)の理由は、以前にも紹介しましたが、「腸管膜根」という第1腰椎の左から仙骨の右にかけて存在する小腸の始まる部分が、ストレスにより縮み右腸骨が上がるためです。これを「上前方変位」といいます。この骨盤の歪みにより、第12胸椎と第9胸椎と第3頚椎に歪み圧痛点が生じます・・・・なんと、こんな単純な真理があったのです。

2)の理由は、1)の理由で右腸骨が縮み右ソケイ部が萎縮するため、そこを通る大動脈、大静脈が圧迫され、右下腹部がうっ血する傾向が多くなります。その結果、右側を上にして眠るため左側が圧迫されます。鎖骨は第1肋骨に乗っかっている関節(鞍関節といいます)なので、平行移動しやすいのです。そうなると、その周辺を通っている左鎖骨下動脈を圧迫し、左腕の血流が悪くなってしまうのです。

こんなメカニズムが分かると、操体法を使って効率よく歪みをとる方法を考えるようになります。

自由な発想でやれるので、ますます治療が楽しくなっています。

マノスへの姿勢

 

「自分でお灸をするのと、ここ(鍼灸院)でお灸を受けるのとでは、効果が違う。」

施術をしている時、60才代の男性患者Bさんが突然おっしゃたのです。Bさんは、今年1月には膝の手術を予定していたのですが、4ヶ月の通院で、膝が回復し正座ができるようになりました。そして、熱心に自宅でもお灸をご自身でされています。ところが、効果が違う・・・・なぜなのでしょう?多分、多分ですよ・・・姿勢が違うと効果が違うはずです。

 

自宅でお灸を足にする場合、片足あぐらにして、かがみ込んでお灸をします。この時点で無理な姿勢になっています。魂合気の創始者、大野朝行先生の唱えられるマノスへ(自然摂理に沿った姿勢)の状態で施術を受けると、気や血の流れが良くなり効果が上がるはずです。今回は、座いすに座ったままで、マノスへの姿勢をとって施術を受けるようにお願いし、お灸のみ足の1点に25壮ほどして終了。

「・・・・皿(膝の)が動きよる・・・・ちょっと、かゆい感じ。」

「・・・膝の内側が温もってきた・・・そこと、膝は確実につながっとる。」

足に見つけた治療点は、お灸が最も効果的なようです。もうこの治療点は間違いありません。それを実証するだけの症例を沢山作りたいと思っています。

鍼とお灸の使い分け

私は鍼灸師ですが、国家資格として「はり師」と「きゅう師」の2つを持っています。ところが、はりときゅうの使い分けをあまり考えていませんでした。そこで、ヒントになる文献に当たったので、掲載します。

『 では、お灸と鍼はどうやって使い分けていると思いますか?

お灸は血の流れを良くし、鍼は気の乱れを調整する医術として発生したと古来より考えられています。東洋医学の専門家は血と気の言葉の背景にある意味がわかりますからこの説明が一番簡潔なのですが、それ以外の方には良くわからないと思いますので、私なりの簡単な言葉での解釈を付け加えます。

ヒトは体の調子が崩れてきたとき元に戻りたいという現象として「症状」が表れます。この時はまだ体力があります。鍼治療で大丈夫です。

身体を休めずに同じ生活を続けると体内で熱を作る力が衰え冷えを受けやすい状態になります。灸治療が必要です。

体力のある病気の人に対しては鍼治療単独で緩解しますが、体力を消耗し身体が冷えを感じている人や長期間患っている病気の人は、灸治療が必要だという事です。体調が少しくずれた患者からガン患者まで鍼灸治療が幅広く適応なのはこんな理由からです。』

と半年前に書いていて、それっきり書いていない文章を見つけました。もうすっかり忘れていました・・・・・ただ、最近は、頭に置鍼した後、足にお灸をすえるパターンが多いことに気がつきました。お灸に使うモグサの減り具合が顕著です。しかも、紫雲膏をたっぷり盛って大きめの艾炷(がいしゅ)を乗せて火をつけるのですが、患者さんは熱さを感じることなく、カラダは反応するという現象が起こります。

患者さんは、「なぜ?」とした顔をみせるのですが・・・・私自身も説明する事ができず、「何でじゃろ?よう分からんのです。」

と答えるのですが・・・それだけでは、申し訳ないので、

「皮膚付近は40°C位になって、いい状態になってるし、多分紫雲膏の成分も染み込んで効果が出ているんだと思います。」

と言い訳程度にしゃべる事もあります。そんな昨今、鍼からお灸に移行しつつ、鍼治療も極めようとしています・・・・マノスへ(自然の摂理にかなう)の姿勢で!

アワの取り入れ

 

魂合気の大野朝行先生が、YouTubeで「アワの取り入れ」という感性を高める動きを紹介されています。これは、私が鍼を刺鍼する時に、意識的に取り入れています。患者さんにとっては、その1本が痛いようです。ただし、1本で2~3本の効果を出しているように感じます。ところが、40才代の女性患者Aさんにとっては、余りにも痛すぎて気分が悪くなってしまいました。そのため、鍼を抜きゆっくり過ごしてもらう事にしました。そして、今後の治療方針をお互いで話し合うという、今までには無い時間を過ごす事になりました。

Aさんは、今までの治療をどのように感じていたのか、素直に話してくださいました。これからAさんには、1本ずつどのように感じるのか、もう少し詳しく聞いてみようと思います。今回は気分を悪くした治療だったので、料金を頂かないで帰っていただきました。

毎日が、勉強です。

タスキ

 

 

今年は、2年ぶりに日仏文化交流展があります。前回は、コロナ禍にアートでメッセージという思いで、クスノキ(薬の木が由来)を使って祈念のインスタレーション(その場限りのアート)を作りました。今回は、その小規模バージョンで前回の1/10位の大きさになります。先日、その打ち合わせがあり、20人位集まりチラシ配布の段取りに大忙しでした。私自身は、グループ展の経験があまりないため、みんなとワイワイ楽しく過ごす時間が新鮮でした。

実家の社務所で祝い事の準備をしている感覚になり、幼い頃の場面が浮かんできたのです。当時の世話係のおばさん達は、着物姿にエプロン。日本手ぬぐいで包かむりそして、タスキをしていました。おくどさんに乗った窯(かま)からは湯気が舞い上がり、熱気に包まれていました。幸いなことに、私はまだ日本の日本らしい風景を体験しています。

この日本を突き詰めた動き、言葉、思想が大野朝行先生が追求されておられるカタカムナと合気道を融合された世界に行き着くように思います。大野先生は、少し前の日本で当たり前に使われていたタスキを奨励されています。私も治療時にタスキをするようにしました。

腰痛の人が腰にコルセットをまくように、肩にタスキをするのです。この利点は、肩甲骨と肩甲骨の間にある菱形筋(りょうけいきん)という筋肉を意識し、縮めることにあります。すると、仙骨まで軽く縮まりカラダに軸が出来るのだと思います。この姿勢で鍼を患者さんに刺すと、気の流れが全く違うように思います・・・・昔の日本は宝の宝庫!

  

紫雲膏灸

紫雲膏灸は、故安藤譲一先生が漢方薬の軟膏である紫雲膏を、お灸の熱を和らげる緩衝材として日本で初めて活用し、そのお弟子さん達が始めた灸法だそうです。私はそんな方法があるとは知らず、勝手にやっていたのですが、これは効果的なお灸で普及には最適であると思います。

今日は、足に見つけた治療点にセルフケアと、人体実験を兼ねて紫雲膏灸をやりました。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、上腕診といって脳と脊椎の状態を診断する基礎治療を最初に行います。これで、自律神経を整えます。この上腕診と同様に膝を診断することで、正確な基礎治療をおこなうことができます。

これは、YNSAの治療法の一つとして、臍(へそ)を中心に折り曲げて対応する点を治療点としてみなしているから言えることです。もう少し具体的いうと、肘に圧痛点があれば、膝にもあり、膝の圧痛点を取れば、肘の圧痛点が取れるということです。つまり、手の親指=足親指、手首=足首、肘=膝となり、この場合の肘とは、上腕になります。

上腕診では肘周辺の圧痛、硬結を診断し、頭に置鍼して圧痛、硬結をとります。これは肘周辺がゆるむだけではなく、膝がゆるむことも意味します。

実際、私は膝診で圧痛、硬結をさぐり、頭に置鍼して膝のゆるみを確認しています。膝がゆるんでも、肘に硬結が残る場合は、もう一度頭に置鍼するようにしています。膝診は、足のアプローチによるセルフケアに最適です。見つけた足の治療点に紫雲膏灸をやり、膝診でその診断点がゆるむことを確認できるからです。

今回の人体実験とセルフケアを兼ねた紫雲膏灸で、足の治療点を確認できたのが大きな収穫です。

日本少年

 

リードギター歴40年以上のベテランギタリストが、あじさいの杜鍼灸院で練習を始め、いつの間にか私がベースギターを弾くハメになり、「あじさいクラブ」が出来上りました。つい先日、メンバーのマネージャー兼ドラム担当のHさんが、中学高校ブラスバンド部だった女性をスカウトしてきました。

この女性は、夏目漱石研究をライフワークにしており、漱石が学習院大学教授に応募したにもかかわらず、漱石を蹴落とし教授の座を射止めた重見周吉という愛媛県今治市出身の人物を描いた本『「日本少年」重見周吉重の世界』を出版されています。重見周吉は、14歳で京都同志社に進学してキリスト教に受洗し、米国留学エール大学理学部を卒業すると、直ちに医学部へ進学しました。「日本少年」はこの時、留学を継続し、医学を修める学費稼ぎのためにコネチカット州ニューヘブンで執筆された自伝的エッセーです。

このエッセーは英語で書かれていたため彼女がそれを日本語に訳しました。それ以外にも夏目漱石との比較、新渡戸稲造の「武士道」との比較など鋭い視点で描き、当時の文化人交流の様子を徹底的に調べ上げた貴重な本となっています。この本、是非ともおすすめします!「日本少年」の中で、灸(やいと)について描かれている箇所があるので、紹介します。

『僕がいまだに否応なく思い出す最大の恐怖は、やいとの厳しい試練だ。これは日本で病を癒し回避するお家芸だ。

灸とは、もぐさでちっぽけな円錐型をいくつも作ったものを背中のそれぞれのツボに置き、前に話をした例の線香で火をつけるものだ。肉が灼かれた時どういう気持ちがするか想像してみて欲しい。僕はこの残酷な施術には断固抵抗したものだ。(中略)

ところが僕は父の部屋のしきいをまたいだ途端罪人にされてしまった。しかも疾患があってもなくても、厳しい父と母はやいとをしなさいとしょっちゅう言い張るのだった。極めつけは、父が僕をじっと押さえつけた状態で母が僕の裸の背中を灼こうとしている時、僕が苦悶をあらわにしている様子だ。

どんなことにも平常心でいるよう、落ち着かせるための手段として飴をくれるという約束を交わしていたのだけれども、このときばかりは飴も一気には効を奏しなかった。僕はけたたましい声を上げて泣き(たとえ痛みがなくても泣き続けて)、足をバタバタさせてあばれた。』

とあります。世間一般には、この火傷(やけど)をつくる恐怖の羽交締(はがいじ)めが、強烈なイメージとして浸透しているのでしょう。私は鍼灸師として、このイメージを打破をする必要性を感じており、現在、紫雲膏(しうんこう)のてんこ盛り(耳かきですくって皮膚に盛ります)にモグサを置く方法で施術しています。何とこれが好評なのです。

「先生、これは気持ちがいい、いいですね~」

この言葉を信じて、試行錯誤中です。