白鵬の蹲踞(そんきょ)

白鵬の蹲踞(そんきょ)

初場所12日目の結びの一番は、2敗の玉鷲と1敗の横綱白鵬の大一番。

通算成績13勝0敗の白鵬絶対的有利の下馬表にもかかわらず、玉鷲が勝ってしまいました。

これは、全く予想外でした。

この予想外の説明をいたします。

大相撲では、塩をまき土俵を清め、お互いが呼吸を合わせて、蹲踞(そんきょ)し、仕切り線に両手を突き、見合います。この動作を何度か繰り返すことを仕切りなおしといい、時間が来ると、やっと立ち合いとなり、相撲が始まります。

この時の姿勢、所作がもっとも美しいのは白鵬。

玉鷲と白鵬が蹲踞(そんきょ)している姿を見比べていただくと、一目瞭然です。

玉鷲は膝に手のひらを付けていますが、白鵬は手の甲を付けています。

この差は、天と地ほどの違いです。玉鷲のように手のひらを膝に置くと、親指に重心がかかる傾向となり、脇が空きます。ところが、白鵬のように手の甲を置くと、小指に重心がかかる傾向となり、脇が締まります。

仏様の手のひらは、白鵬のように上を向いています。リラックスした、カラダが「ほどける」状態となり、「ほどける」→「ほとけ」となります。

次に、玉鷲と白鵬の足底の土俵に対する角度の違いを見てください。共に、カラダの軸は母趾球に乗ってはいますが、足底の角度が違うため、親趾(おやゆび)をはじめとする趾先(ゆびさき)にかかる体重が違います。つまり、白鵬の足の方が土俵を力強く噛みしめているのです。

そのため、立会いの瞬間、両者の姿勢が全く違います。

相撲は立会いでほぼ決まります。この時点で、白鵬の勝ちなのですが、何が起こるか分からないのが相撲・・・・・ということでした。