70才くらいの男性患者Iさん。興奮すると口びるが震え、手にも震えがきます。
合谷診で右A点(おでこの生え際、正中線よりやや右)に8本置鍼。
特に口びるの震えが激しいので、右眉毛の口腔治療点に1本置鍼。
それでも、振戦は治りません。
Iさんは、パーキンソン病ではなく、本態性振戦と思われます。
本態性振戦の原因は、不明。精神的に緊張すると症状が悪くなることなどから、興奮したときに働く交感神経が関係していると考えられます。
そこで、山元先生はIさんの右手を取り、手のひらの圧痛点を探します。
「ここ?」
「今、痛いです!」
圧痛点にパイオネックスを貼ります。
「どうですか?」
「あっ・・・震えを感じません!」
と、震える手で答えるIさん。
実際には、震えているのですが(多少震えが小さくなったかも知れません)、Iさん本人が、震えを感じないのですから、治療は終了。
「ハッハハハハハ」
「合谷のうしろで震えは止まる。」
合谷のうしろとは、どうも労宮穴(ろうきゅうけつ)を指すようです。
針灸経穴辞典(東洋学術出版社)によると、作用:清心、安神、涼血、和胃とあります。
鍼狂人・藤本蓮風先生も労宮穴をセンサーとして捉えて労宮穴で触診することを勧めておられます。
暗闇を歩く時は、労宮穴を突き出し気配を感じ取るわけですから、立派なセンサーです。
また、労宮穴は心包経ですから、震えとの関係も何となく納得できます。
実際、労宮穴に灸をしてみると、カラダが身震いするほどの反応があります。直刺だと相当効くでしょう(自分にはちょっと刺せません・・・鍼灸師なのに・・・)
レポートはもう2~3日続けようと思います。お付き合いありがとうございます