耳鳴り、頭痛に悩んでいる60才代女性患者Bさんは、変形性腰椎症、頚椎症でもあります。
山元先生は、いつものように左右の合谷診(親指と人差し指の間の触診)を同時に行います。
「先生、すごい痛いです。」
Bさんは、合谷診を受けるだけで、親指に痛みを感じるようです。
最近の山元先生は、合谷診の後、ほとんどオデコ中央部の生え際A点に置鍼されます。
「これの上と・・・下は?」
「下です。」
「この痛みと、これは?」
「それです。」
0.5mm単位で5本が密集しています。これは、腰と首に対応する置鍼です。
次に耳鳴り、頭痛に対する置鍼。
山元先生は、イラストの番号順①→②→③→④に置鍼されます。
「この辺(②の周辺)に打っていただいた時、こっていたんだなあ〜と感じました。」
「音が低くなって、小さくなって来ました。」
Bさんの耳鳴りが、改善したようです。最後、頚椎に注射をして終了となりました。
「耳鳴りは、詰め込んだものを、外に出してやる・・・・そんな、感じ。4つの点が色々重なっています。」
と、山元先生の説明がありました。しかし、「4つの点が色々重なっています」の意味合いが良く分かりませんでした。離れているのに何故重なっているのか?
そこで、解剖学的見地から、頭蓋骨を覆(おお)う筋肉を見てみると理解出来ました。
イラストのように、
①の鍼は、胸鎖乳突筋
②の鍼は、後頭筋
③の鍼は、上耳介筋
④の鍼は、側頭筋
とそれぞれ異なる筋肉を刺激しているため、重なっているのです。つまり、この4点に正確な置鍼をすることが、重要であることがよく分かります。