50才代の女性患者Bさん、8ヶ月ぶりの来院です。2日前から腰痛になり、前屈すると痛いそうです。ここで、師匠・加藤直哉先生の著書「山元式新頭鍼療法の実践」で腰痛に関する記述があるので引用します。
椎間板ヘルニアとは、「椎間板の軟骨が破れて、ゼリー状の髄核により神経が機械的に圧迫することで起こる痛み」というのがこれまでの説明でした。しかし近年は髄核そのものに、神経の炎症を起こす作用があることが分かってきました。つまりヘルニアの痛みは単なる圧迫によるものではなく、炎症によっておこるものと考えられるようになっています。そのため、神経の炎症が収まればヘルニアがあっても痛みは収まります。機械的な圧迫という要因を完全に否定するものではありませんが、「神経の圧迫だけで痛むのではない」、というのが正しい理解です。
また、炎症の痛みも、免疫細胞の一つ、「マクロファージ」が炎症を感知して、その原因であるヘルニアを食べてくれることで改善します。そのため、自然に消えていくヘルニアがたくさんあることもわかってきました。椎間板ヘルニアの90パーセントの患者さんは、自然治癒が期待できます。
とあります。椎間板ヘルニアの患者さんには朗報です。また、前屈をして痛みがある場合は、椎間板が原因で起こっている可能性があると、加藤直哉先生は、おっしゃっています。
Bさんは、前屈すると痛いので、前屈することで、椎間板の髄核を刺激し、神経の炎症を起こしていると考えられます。
合谷診(人差し指と親指の間の触診)右:右側から治療を始めます。
上腕診(肘内側の横紋の触診)
左:頸椎(1)、胸椎(3)、腰椎(5)、脳幹(1)、大脳(2)
右:胸椎(2)、腰椎(6)、大脳(1)
( )の数字は、置鍼の数を表します。
この置鍼で、Bさんは、前屈がスムーズに出来指先が、足の甲まで届くようになりました。
その後、肩甲骨と膝ウラに鍼を刺して抜き、後はゆっくり休んでもらいます。
「コホン、コホン!」
「あらら・・・ノドが痛いんですか?」
「10月下旬から、3ヶ月で4回も風邪をひいて、その度に抗生物質を飲んでいました。」
「じゃ・・・・ここ、痛くないですか?」
と、頭の頭頂部付近の圧痛点に親指押圧。
「痛い・・・・そこって、シャンプーするたびに、痛いところです‼️」
「ここは、ノドと肺のツボなんです・・・だから、痛かったんです・・・刺激してあげると、いいですよ。」
納得した顔のBさん。頭頂部に2本置鍼し、30分程休んで、治療終了です。
「これで、明日から仕事大丈夫です。」
とニコニコ顔で帰られました。