60才代の男性患者Cさん、1ヶ月に2回位の割で来院されます。40才頃から三叉神経痛と群発頭痛に悩んでいました。その頃は、雨が降る直前に、左目からオデコにかけて激痛が走るため、天気予報士以上の預言者だったそうです。また、第六感も働き人を見ると、その人格が直ぐに分かる眼力もあったそうです。その能力の代償が、痛み。
三叉神経は、脳から眼神経、上顎神経、下顎神経(共に感覚神経、運動神経)として顔面に三叉(みつまた)状になり広がっています。Cさんの場合は、眉毛辺りの眼神経に血管が当たり、激痛が走ったようです。2度にわたる手術(アルコールで焼き切るそうです)で、何とか痛みは無くなりましたが、今回、左目がムズムズするため来院となりました。
Cさんの群発性頭痛は、目の上が痒(かゆ)くなる兆候があると、突然起こります。1ヶ月も続くことがあり、病院で酸素吸入と点滴を受けて回復するというパターンだそうです。幸い、当院に通院することでこの2つの痛みはまだ出ていません。
合谷診(人差し指と親指の間の触診):右(右側から治療します)
上腕診(肘内側の横紋の触診)
左:頸椎、胸椎、腰椎、大脳、小脳
右:脳幹、小脳
それぞれ1本の置鍼。
「先生、目が開いた・・・よう見える・・・ムズムズがもう無いわい・・・鼻も通ってきたわい。」
「鼻もしんどいん(疲れているの)?」
「ほうよ、なんせ孫が仰山(ぎょうさん)おろう・・・それが、こないだいっぺんに来たんよ・・・そしたら、うつってしもうて・・・」
お孫さんが10数名おられ、一堂に会すると、おじいちゃんやられます。
こういう時は、頭頂部にある脳神経9番(舌咽神経と肺)に対応する治療点に置鍼をします。ついでに、オデコの感覚点(鼻)にも置鍼。その後は、ゆっくりベッドで休んでいただきます。
「先生、痛みが無いなった分、気象予報士になれんのよ・・・じゃけど、雨の前は眠ならい(眠くなります)・・・起きたら、いっつも晴れとらい(晴れています)・・・もう、眼力ものうなってしもうた。」
と嬉しそうにおっしゃるCさんでした。