2年前から通院の50才代女性患者Bさん、当初は、メニエル病、激しい肩こり、左膝痛等の疾患をお持ちでしたが、毎週の通院で良くなり、この1年間は月に1度の健康維持で通院されています。
今回は、首から肩にかけてコリが激しくて、頭が重いそうです。
「1ヶ月もよく保ちますね。」
「何とか、この日を目標にしてがんばっています。」
「なるほど・・・素晴らしいです。」
Bさんは、非常に感覚が鋭い方で、鍼の刺入時に様々なところが反応します。それを的確な言葉を言ってくれるので、鍼灸師としていつも勉強させていただいています。
いつものように合谷診(人差し指と親指の間の触診)を始めます。左手の方に痛みがあったので、左側から治療を始めます。次に、進化系合谷診(人差し指につながる中手骨を6等分し腰椎、胸椎、頸椎、大脳、脳幹、小脳の診断)を行います。
左:頸椎(1)、胸椎(1)、腰椎(2)、大脳(1)、脳幹(1)、小脳(1)
右:なし
( )内は圧痛点が無くなり治療できた置鍼の数。これで基礎治療が終わり、自律神経が整いました。次に首診ですが、下記のような結果になりました。
首診
左:腎(1)、膀胱(1)、心(1)
右: 肝(1)、胆(1)、心包(0)、大腸(1)、三焦1)、胃(1)、脾(1)、小腸(1)、肺(1)
(0)は、他の点に置鍼した影響で圧痛点が随分なくったことを示しています。
以上の治療で重い頭が軽くスッキリしたそうです。
Bさんの左腎の診断点の首の前側が、硬くこっているので、陰陽の陽である後頭部に置鍼することにしました。Bさんにとっては、初めてのことです。治療の過程でBさんが、感じたままの言葉をポロリ。
①「唾液が出てきました。」(三焦=消化器治療で置鍼)
②「目の奥まで来ました。」(大腸治療で置鍼)
①は、三焦の経絡(ツボの流れ)を見ると、耳の下を流れているのが分かります(写真参照ピンク色)。この流れに耳下腺という唾液を出す気管があるのです。ぴったりですね。
②は、大腸の経絡(ツボの流れ)は、写真で紫色。鼻の下で交差して鼻の横にある迎香(げいこう)で止まるように見えますが、これは目の下にある承泣(しょうきゅう)という胃経につながるのです。Bさんの「目の奥まで来ました。」は納得できます。
この時、右目に来たのか左目に来たのかを、もう少し詳しく聞くべきでした。右側頭部に置鍼したので、右目だと考えられますが、経絡の流れで考えると、大腸経(ツボの流れ)は、鼻の下で交差して左目に向かうので、左目に来たかも知れません。
いずれにしても山元式新頭鍼療法(YNSA)は、古来からあるツボの流れにも合致しているので、普遍性を感じます。