肋間神経痛

週1回通院の女性患者さんのご主人が初めて来院されました。60才代の男性患者Bさんとお呼びします。Bさんは、腎臓は1個しかなく、くも膜下出血の手術もしており様々な薬を飲んでいます。その薬害のためか、全身の皮膚がただれています。Bさんは、鍼が嫌いで、奥様の当院受診の勧めも全く無視されていました。ところが、一昨日左脇腹に激痛が走り、病院では肋間神経痛と診断され、初めて来院する覚悟ができたようです。又、62才のときには、腰部椎間板ヘルニアとも診断されました。そこで、山元式新頭鍼療法(YNSA)の私の師匠である加藤直哉先生の著書「山元式新頭鍼療法の実践」の一部をBさんに読んであげました。

椎間板ヘルニアとは、「椎間板の軟骨が破れて、ゼリー状の髄核により神経が機械的に圧迫することで起こる痛み」というのがこれまでの説明でした。しかし近年は髄核そのものに、神経の炎症を起こす作用があることがわかってきました。ヘルニアの痛みは単なる圧迫によるものではなく、炎症によって起こるものと考えられるようになっています。そのため、神経の炎症が収まればヘルニアがあっても痛みは治まります。機械的な圧迫と言う要因を完全に否定するものではありませんが、「神経の圧迫だけで痛むのではない」と言うのが正しい理解です。また、炎症の痛みも、免疫細胞の1つ「マクロファージ」が炎症を感知して、その原因であるヘルニアを食べてくれることで改善します。そのため自然に消えていくヘルニアがたくさんあることがわかってきました。椎間板ヘルニアの90%の患者さんは、自然治癒が期待できます。

さて、最近では上腕診(肘内側横紋周辺の触診)の代わりに膝診(膝内側横紋周辺の触診)をしていますが、こちらの方が、私にとっては分かりやすいです。そのため、合谷診も太衝(たいしょう)=足の第一中足骨、第二中足骨の間の触診をします。

Bさんは、足の合谷診を含め、全て左に痛みがあります。

合谷診:左

膝診:左、頸椎(0)、胸椎(1)、腰椎(0)、脳幹(0)、大脳(0)、小脳(0)

Bさんは、肋間神経痛なので、やはり胸椎診断点の第4胸椎、第9胸椎辺りに圧痛点があり、特に第4胸椎の診断点が最も痛いようです。そこで、左眉の上に1本置鍼。

「はい・・・・これで、脇の下の痛みは、どうですか?」

「・・・・・・あれ?・・・・痛くない・・・・不思議ですね?」

「この1本で、治療終了・・・・ですが、内臓の状態とかも診ますね。」

その前に、左膝の触診をしても圧痛点が見当たりませんでした。この1本で膝全体がゆるんだことになります。次に首診の診断点で最も痛い腎と、2番目に痛い心の治療点に置鍼。

首診

左:腎(1)、心(1)

右:膀胱(0)、肝(0)、胆(0)、心包(0)、脾(0)

すると、右の診断点が全て緩みました。これで終了すればいいのですが、後頭部にある胸椎の治療点にもう1本置鍼して終了(何で置鍼したのか・・・・理由を忘れてしまいました)。

もう少し記録を丁寧にしましょう!