70才代の女性患者Bさんが、籐の丸イスに座るや否や、
「先生、急に左膝が痛なった!」
痛そうに左膝をさすりながら、おっしゃいます。日課となっているグランドゴルフが出来ないとお友達に迷惑をかけるので、心配そうです。
上腕診の代わりに膝診で頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳、小脳の状態を診断しているので、膝の状態がよく分かります。早速、足の合谷診(第一中足骨と第二中足骨の間の触診):左(左側から始めます)。
膝診(膝窩横紋周辺の触診)
左:胸椎(1)、腰椎(1)、脳幹(0)、大脳(1)、小脳(0)
右:なし
Bさんの左膝窩(膝ウラ)は、どこを触っても痛くて張っています。そのなかでも最も痛い内側圧痛点を触って、Bさんの左眉の治療点に1本置鍼。
「痛い!先生、ものすごく痛い!」
「・・・・・(これは、効いたと思いながら、Bさんの左膝ウラを触れる)・・・あれ?」
「先生、どしたん・・・・(膝ウラが)痛ない・・・柔らかい!」
「どしたん・・・・(膝ウラの)どこ触っても柔らかい・・・Bさん、ここ(ふくらはぎ外側)は?」
「痛いです。」
「そしたら、もう一本刺そわい・・・・(耳前の圧痛点)・・・これで、どうですか?どうすると膝は痛なります?」
「歩くと痛いんです。」
「そしたら、歩いてみてください・・・・どうですか?」
「・・・・・あれ?痛ない!・・・・怖(こわ)・・・どしたんたった2本で!」
2人で顔を見合わせて驚いてしまいました。本来上腕診(肘窩横紋周辺の触診)で頸椎、胸椎、腰椎、脳幹、大脳、小脳の状態を診断して、頭部に置鍼して、肘内側をゆるめるのですが、山元式新頭鍼療法(YNSA)では肘=膝という原則があります。今回はこの原則にピッタリはまったようです。
後は、大脳の治療点と、首診で内臓の状態を診て、側頭部の治療点に5本置鍼して終了。
「先生、最初の2本の痛さと、他の鍼の痛さが全然違う。やっぱり痛いほど効くんじゃね。」
「ほうじゃね~」
と、同感したのでありました。