前回のフェイスブックでは、指の屈曲に問題がある患者さん2例紹介しました。今回も同じ指の屈曲が著しく困難な50才代の男性患者Aさんの紹介です。Aさんは、痛風を1ヶ月半前に患い、歩行が困難なほどの左足痛と腫(は)れに見舞われました。そのため、四つ足歩行のハイハイで移動しなければなりませんでした。時間の経過と共に少しずつ回復し、現在では農作業が出来るようになりました。しかし、右手の中指に痛風の症状が残り腫れ上がって、ゆっくりとしか握れず、完全な握りこぶしは出来ません。
そこで、右ふくらはぎのヒラメ筋を狙います。これは、以前にバネ指治療のメカニズムをご紹介したのですが、この理論がそっくりそのまま当てはまるので、もう一度ご紹介します。
『バネ指の治療にヒラメ筋に鍼を刺すのはなぜか?
前腕の深指屈曲筋をはじめとする屈筋群や、指の動きに関わる腱や腱鞘を使い過ぎた結果、腱と腱鞘が炎症を起こしスムーズな動きが出来なくなります。この時、最も影響を与える筋肉が、深指屈曲筋であると考えられます。この深指屈曲筋に対応するのが足のヒラメ筋です。この2つの筋肉は良く似ています。この似た2つの筋肉は片方が緊張して筋膜を絡(から)めると、もう一つの似たような筋肉の筋膜も絡んでバランスを取ります。
バネ指の原因となった前腕の深指屈曲筋の使いすぎ炎症及び緊張に対して、ヒラメ筋の筋膜が遠くから引っ張ってバランスをとっているのです。綱引きをする時、一番ハジの綱を持つ人が力持ちなのは、影響力があるから・・・・よく似ていると思います。』
以上の理論から、ヒラメ筋に刺鍼した結果、Aさんも驚くほどスムーズに指が動くようになりました。理論家のAさんは、「全く信じられない!」といった表情だったので、上記の説明をしたところ納得した様子で、
「世の中、知らないことばかり・・・・」
とつぶやいておられました。ヒラメ筋の圧痛点に3個パイオネックス(円皮鍼)を貼り、軽く指先を触れるようにアドバイスしたので、次回その経過を教えてもらおうと思います。