60才代の女性患者Cさん、両手の第一関節に*へバーデン結節というコブが出来ています。右肩も上がりにくく、正座が出来ません。
「最近、カラダが硬くなっている様な気がします。」
合谷診:右(右側を診断します)
上腕診:腰椎(1)、脳幹(0)
膝診:頸椎#7(1)、胸椎#1、#2(1)
首診:圧痛点なし
上記3本の置鍼で自律神経を整えました。
白内障のため、目の感覚点(治療点)に2本置鍼。次に、右肩が上がりにくいのでオデコの右側のB点、C点に1本ずつ置鍼。右後頭部のマスターキーという治療点に1本置鍼。
「これで、どうですか?」
「・・・・あっ少し上がりやすくなった。」
確かに上がる角度が、左肩に近くなってきています。今回は、あまり欲張らずこれぐらいで済ませて、へバーデンの治療になります。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、手指の屈曲が不能な患者さんに対して、下肢のヒラメ筋に置鍼する治療法を行います。早速、Cさんの右ヒラメ筋に鍼を刺し、上下に動かします。
「どうですか?」
「・・・・・握りやすくなって来た・・・・・2と3(人差し指と中指でピース・人差し指と中指、薬指で3)が出来る・・・・・凄い!」
指の強張(こわば)りが取れてきて、手全体が柔らかくなった印象を受けます。左右のヒラメ筋圧痛点に3個ずつパイオネックス(皮内鍼)を貼って終了としました。
「あれ?正座も出来るようになった!」
今回は、膝を特別に狙ったわけではないのですが、手を緩める目的でヒラメ筋の治療点を刺激した事で、膝も緩んだようです。カラダはこのように、繋がっているのです!
*人差し指から小指にかけて、第1関節が赤く腫れたり、変形して曲がってしまう原因不明の病気です。親指に現れることもあります。第1関節の手の甲側に、関節を挟んで2つのコブ(結節)ができるのが特徴です。
この病気を発見したイギリスのウィリアム・ヘバーデン(William Heberden)医師にちなんで、ヘバーデン結節と呼ばれています。変形の程度はさまざまですので、発症した全ての人に、強い変形が認められるわけではありません。
※一般的な呼び名としてDIP関節(遠位指節間関節)を第1関節と記載しています。