2週間に1度のペースで来院される50才代女性患者Bさん。元々右股関節が悪く足を引きずって歩いていたのですが、それは治って普通に歩けます。ただ、しばしば右腰外側から膝下にかけて痺(しび)れと痛みが出る時があります。今回も痺れと痛みが右腰から右膝下にかけてあります。
合谷診:(人差し指と親指の間の触診)左に圧痛点→左上腕診、左膝診を行う
上腕診:頸椎(0)、胸椎(0)、腰椎(0)、脳幹(0)、大脳(0)
膝診:頸椎#6(1)、胸椎#11、#12(1)、腰椎#5、#6(1)、大脳(1)、小脳(0)
首診:右腎(0)、右膀胱(1)、右肝(1)、右心(1)、右三焦(1)、右脾(1)、右小腸(0、右肺(0)
左肝(0)、左胆(1)、左心包(0)、左心(0)、左肺(0)、左三焦(1)
置鍼11本
最後の左三焦の置鍼を、生え際から頭頂部までの中間にある治療点に行いました。すると、
「アレ?・・・・しゅわ~っと、脚の痛みが無くなっていった!」
と不思議な言葉がBさんの口から出てきました。腰痛や首痛などが、自律神経を整え、内臓を整えるだけでなくなることは、本当によくあります。しかし、今回のように1本の内臓に関する頭頂部の置鍼で今まで感じていた痛みがなくなっていたのは、私にとっては、珍しいことです。ここで、三焦の意味をPCから引用します。
『三焦とは漢方で、六腑(ろっぷ)の一つ。三つの熱源の意(英語ではTriple Heaterといいます)で、上焦は横隔膜より上部、中焦は上腹部、下焦はへそ以下にあり、体温を保つために絶えず熱を発生している器官とされる。みのわた。み‐の‐わた』
私は、特に今世紀になって注目されている筋膜、特に内臓を覆(おお)っている全ての筋膜の事のようにイメージしています。このように解釈するとヘソ以下の膀胱辺りの筋膜まで繋(つな)がるので下半身が緩(ゆる)んでも不思議ではありません。また、薬指から起こり前腕外側→上腕外側→肩→鎖骨→胸骨→横隔膜→三焦→股関節→膝ウラまでの経絡の流れがあります。つまり、腰から膝下までの痺れ、痛みが無くなっても説明出来ることになります。
しかし、私が左の三焦治療点に一番最後に置鍼した時、なぜ右腰から右膝下までの痺れと痛みが取れたのかは、疑問です・・・・・普通に考えると左の三焦治療点に置鍼すると、左腰から左膝下までの痺れと痛みが取れるはずです。
Bさんは、合谷診で左が反応しました。という事は左側の治療をし、自律神経を整えます。次に首診を行い内臓を整えるのですが、今回は右側に圧痛点が多かったので右側から頭に置鍼していきました。最後の最後に首全体が緩んだ瞬間、全てのバランスが整ったのだと思います。その場合は、左右関係なく痛みや痺れがなくなるのだと思います。実際には、右股関節あたりに少し痛みが残っていたので、右耳の上(Iソマトトープといいます)に置鍼して、痛みを取り終了となりました。