土偶を読む

患者さんからお借りした本が、非常に面白いのでご紹介します。

「土偶を読む」です。誰もが考えていない発想で土偶を表現したのは、竹倉史人氏です。竹倉さんは、武蔵野美術大学を中退後、東京大学文学部・宗教史学科卒業。人類の普遍的心性を探求すべく世界各国の神話や儀礼を研究する過程で、縄文土偶の研究に携わることになりました。

美術大学に籍を入れていた竹倉さんは、創造性がある発想が出来る人なのだと思います。土偶を「食べ物」だと見なしたのです。お祭りには必ず大根や人参などの「食べ物」をお供えします。これを幼い頃から「?」と思っていた宮司の息子であった私は、一瞬で腑に落ちました。土偶は「食べ物」なのです!

まず、ハート形土偶は、二つに割られたオニグルミだったのです。実際、オニグルミが繁茂している会津地方から、ハート形土偶が多く出ているそうです。合掌土偶は栗、茨城県にある椎塚土偶は、ハマグリをかたどった土偶・・・・これは、見た瞬間ぴーんとくるはずです。また、みみずく土偶と呼ばれていた土偶を、竹倉さんは、星形土偶と命名し、その頭の部分を上から見ると、オオツタノハという貝殻そっくりです。まず、間違いありません。そして、有名な遮光器土器は、何とサトイモだったのです。

竹倉さんは、これらの研究を本にしようと試みますが、土偶研究の権威からお墨付きをいただけなないと出版できないこととなり・・・・八方塞がりになりますが、東工大で講演後、参加者達から爆発的な反響があり、美術家でありアートディレクターである玉城そのみさんが、企画したワークショップで竹倉さんが講演し、なんと私の親友である岩下徹氏が踊りのワークショップをしたそうです。やはり、類は類を呼ぶのです!・・・・というお話でした。