五輪書

宮本武蔵の五輪書、現代語訳(大倉隆二訳)を購入して、水の巻を読むと心のあり様、姿勢、目の付け方、刀の持ち方など事細かく述べてあります。全て興味深いのですが、前回剣道6段のお客様が「踵重心では、スポーツはできません」と、剣幕を巻いておられたので、足の運び方について記載してみます。

足使いのこと。足の運びようは、爪先を少し浮かせて、踵を強く踏むようにすべきである。足使いは、場合によって大小、遅速はあるけれども、普段歩くようにすること。足使いのうち、飛び足・浮き足・踏み据(す)える(固着する)足というのがあるが、この3つは嫌う足である。この道(兵法)の大事にいう「陰陽の足」、これが大切である。陰陽の足というのは、片足だけを動かさないことである。切るときも、引くときも、受けるときも、つねに陰陽といって、右・左、右・左と踏むのである。くれぐれも片足だけを踏むことがあってはならない。よくよく吟味すべきである。

とあります。つまり、爪先を少し浮かせて踵を強く踏むことが大切なのです。これは、普段歩くようにとあることから、普段の歩き方が踵重心であることも分かります。現代剣道の足が、嫌う足→飛び足・浮き足・踏み据える足であることがよく分かります。そして、「くれぐれも片足だけを踏むことがあってはならない。よくよく吟味すべきである。」と念を押して書かれています→現代剣道は、片足だけで踏み込んでいるのです。

次回、踵重心の話をする時は、五輪書を持っていくことにします。