鍼の重み

60才代の男性患者Aさん。10年前、犬の散歩中に左膝が抜けるような感覚になり、しかも野球でキャッチーをして膝を痛めてしまいました。昨年末から、膝にヒアルロン酸を注射して一時しのぎをしていましたが、ついに手術の予定日が決まりました。しかし、私の友人の紹介により、Aさんが通院され始め徐々に回復し、ついには手術をしなくても良くなりました。2ヶ月で12回の通院、今回の様子をご紹介します。

「前回の治療で調子よく帰ったんじゃけど、車から降りたとたん、左膝の内側が痛くなって・・・そして、翌日朝起きたら治っとたんよ。どしたんじゃろか?その後は、ずうっと調子がええんよ。」

「どうしたんじゃろ・・・・よう分からんね・・・」

前回の治療では、膝の外側を中心に治療をしたため、本来あった内側の痛みが出てきた可能性がありますが、翌日にすっかり治るのがよく分かりません。いずれにせよ、初期治療では、2日間痛みがなく3日目で痛み始めるパターンでしたが、今回は1週間痛みが出ませんでした。野球好きのAさん、5月末からの練習再開を目標にしていますが、かなり現実的になってきました。

合谷診:左(左上腕診、左膝診を行う)

上腕診:圧痛点無し

膝診:左頚椎#7、左胸椎#1、#2、#3、左腰椎#5、#6

首診:右大腸、右三焦、右脾、左三焦、左脾

上記に5本の置鍼で圧痛点消滅。左膝の治療点(G点)→耳ウラにあります・・・ここに2本置鍼して鍼治療は、終了。

最近、私の鍼に変化が生まれました。埼玉県におられる合気道とカタカムナ文字を融合された先生のセミナーを受けてから、1本の鍼に重さが生まれたようです。患者さんにとっては痛みが増しますが、その分本数が少なくなる傾向があるようです。今回も12ヶ所の圧痛点に対して5本の鍼で済みました。

また置鍼中、足に見つけた膝の治療点に紫雲膏をたっぷり塗った間接灸を7壯施術。これはやんわりと温かい感じがするだけですが、よく効きます。鍼が怖い患者さんには、これだけでいいと考えています。今後の展開が楽しみです。

お灸で膝が良くなった!

 

整形外科では、左膝の手術を予定していた60才代の男性患者Dさん、当院に2ヶ月前から週1回のペースで通われ手術をしなくてもよくなりました(最近、医師に診てもらい、膝の可動域が広がったので手術の必要がないと言われたそうです)。1回目の治療で膝ウラのシコリが消えたので、確かな手ごたえがありました。治療後、2日間は痛みが全くないのですが、3日目から膝の痛みが再発する状態が続いていました。今回は3日間痛みがないので芝刈りをしていたところ、左膝を捻(ひね)り以前の様な痛みが戻ってしまいました。

そこでDさんは、耳ウラの膝治療点(G点)を刺激し、肘と足の治療点にお灸をしたところ、随分回復したそうです。Dさんには、お灸でセルフケアする様に伝えており、その事が身についているのが嬉しくなりました。

「Dさん、それはえらい!大したもんじゃわい。」

と言って、いつもの様に治療を始めました。

合谷診:左→左の上腕診、膝診を行う

上腕診:左頚椎

膝診:左頚椎#2、#3、左胸椎#1、#2、左腰椎#1、左大脳

首診:圧痛点なし

4本の置鍼。

上記の基礎治療の後、耳ウラのG点に2本置鍼すると、膝痛は無くなりました。これで、治療を終了してもいいのですが、置鍼30分の間に見つけた膝の治療点にお灸をすることにしました。繊細な感覚をしているDさんは、カラダの微妙な変化を教えてくれます。最近の試みで、治療点に紫雲膏をたっぷりつけ、やや大きめのお灸をするようにした間接灸(じかに皮膚を焼かない灸)の治療をしています。そのため、灸の熱をDさんは感じない時もあるのですが、

「・・・・あれ?膝のここんとこが、温なった。」

「・・・・微妙に膝が動きよるのが、分かる。」

「紫雲膏をつけただけでも、膝が動いた!」

などと、実況中継をしてくれます。この熱くない灸治療は、繊細な感覚を持っている患者さんだけに効くのかどうか、症例を数多く作っていかなければならないようです。とかく、鍼(はり)は、怖い、灸は熱すぎるといって毛嫌いする人が多いのですが、明治時代になるまでは、鍼灸、漢方薬が日本の医療として発展していたのです。我々鍼灸師は効果、有効性をしっかり分かりやすく紹介する必要があるようです。

やっと書けます!

2ヶ月近く、購入したipad の調子が悪く、文書を書けない状態でしたが2回に渡る初期化でなんとかメドが立ちそうなので、ボチボチと文章を書き始めます。バックアップが完全に出来ているのか心配なのですが・・・

これを機会に、治療に関する文章のみを(あじさいの杜鍼灸院)のフェイスブックに、個人的な出来事は(Hiromu Saiki)のフェイスブックに載せるようにします。

さて、このブランクの間、治療方法に進歩が見え始めましたので、お伝えします。

本日来院の70才代の男性患者Aさん、昨日の朝から急に左臀部に痛みが走り、母趾球を踏み込んだ歩行が出来なくなりました。かろうじて、踵(かかと)だけを着いて歩くことは出来るそうです。Aさんの発言から、踵歩行で使う筋肉→前脛骨筋(ぜんけいこつきん)には異常がなく、母趾球で蹴(け)るときに使う脚の裏側にある筋肉群に異常があるのでは・・・と、推測してみました。

左の臀部に痛みがあるのですから脚ウラ以外にも背中側に異常があると考えてもいいでしょう。

いつものように、合谷診、上腕診、膝診を行い首診で内蔵の診断を行ったのですが・・・

合谷診:左→左の上腕診、膝診を行う

上腕診:左頚椎、左胸椎、左腰椎

膝診:胸椎#1、#2、腰椎#1~6、大脳

首診:省略

上記の頚椎治療点に1本、胸椎治療点に2本置鍼をして、膝診で腰椎の診断点を触れると、

「・・・・あれ?フニャフニャ・・・・Aさん、ちょっと歩いてみてもらえませんか?」

「・・・・・???痛ない・・・・楽!楽に歩ける???!」

「まだ、腰の治療点に鍼を刺してないんです・・・首と胸椎を緩めたんですが、かなりこっていたようですね・・・ついでに、お尻の痛みまで取れたようです。」

どうやら、首と背中の張りが、臀部の張りと拮抗して引っ張り合いをしていたようです。首と背中の張りがなくなったことで、臀部の張りもなくなったようです。もう、お尻は全く痛くないとのことでしたが、念のために耳ウラの腰椎治療点に1本置鍼をしました。今回は4本の置鍼で終了としたのですが、Aさんは鍼よりもお灸の方が好きなので、4本の置鍼をして30分休憩する間に、足に見つけた臀部の治療点に「痛くないお灸」をすることにしました。

最近のお灸では、紫雲膏(しうんこう)をたっぷり皮膚につけ、やや大きめの艾炷(がいしゅ=円錐形のもぐさ)を乗せて火をつけています。すると、やんわりとした暖かさか、気持ちいい熱さが伝わります(時に、全く熱さを感じないのに、効くこともあります)。

続きを読むやっと書けます!

カラダと向かい合う

1日に3回もキャンセルが続くと、さすがに心が折れるものです。特に、連絡がなくキャンセルになっていると、外出(買い物)することも出来ず・・・・こういう時は、文章を書いて心を落ち着かせるのが良い様です。今日最初の60才代の女性患者Aさんは、目が疲れています。そのため、オデコにある目の治療点に2本置鍼して・・・・それからは、おしゃべりだけ・・・前回は、硬式ボールを畳に置いてAさんがその上にカラダを乗せ、ゆっくり気持ち良さを味あっていただきました。

Aさんは、何事も言葉で理解しようとするタイプでご自身のカラダに向き合っている時も、言葉で頭を通して理解しようとしているようです。別にそれが悪いことではないのですが、少し疲れるのでは・・・・・もっと、楽な方法もありますよ・・・・と、提案するのも治療の一つ。

前回は、硬式ボールを通してご自身のカラダに向かい合っていただきました。どうやら、この方法がAさんにとって、真新しいことだったようです。今回は、その体験から、ご自身に納得できる言葉による治療を望まれたようです。つまり、言葉による理解ではなくカラダに向かいあうという事がいかに大切であるかという事を、言葉で表現したかったようです。とにかく、私はお話を聞き、AさんがAさんの答えを見つけるまでお付き合いする・・・・そんな時間を過ごしながら、私の体験談も話したり・・・

気がつくと、次の患者さんがやや早めに来られたので、オデコの鍼を取り治療をして終了となりました。今後はどの様な治療になっていくのでしょう・・・なる様になるのでしょう・・・

クスノキ伐採

松山市内にある神社の裏山のクスノキが伐採されています。巨木を次々と切り倒しているのに、驚きました。軽トラックで取りにいったのですが、その膨大な量に圧倒され、次回に改めて挑戦することにしました。当初は、3~4年時間をかけて素材集めをしようと思っていたのですが、今回の伐採だけで、十分等身大の龍が出来ると思います。

等身大といっても、全身を作る訳ではありません。頭部と胴体の一部を作り地面を海の様に見せて、大きさを想像してもらうつもりです。土台は大きな石と土で作り上げしっかりと固める事が重要です。それさえ出来れば、龍に乗れることも出来ると思います。インスタ映え出来る作品にするつもりです。

それにしても・・・・どうやって、運ぼう?

お灸は、きさじい

「今日は、(お灸を)足にして!」

と、80才代の女性患者Aさんが、来院するや否やおっしゃいます。前回は「鍼が合う」とおっしゃっていたのですが、意外な言葉に軽い驚きがありました。Aさんは、痛みに対して非常に敏感で鍼灸治療は本来あまり好きではありません。ところが、半年前から、左膝が痛くて歩けなくなりそうになり、親族の勧めで通院するようになり、現在は膝の痛みはありません。

体調管理のため、週に1回のペースで治療しています。私が足にやっている灸は、糸状灸という糸のように細い灸と米粒大(米粒の大きさ)の中間くらいの大きさです。そして、紫雲膏という火傷に効く軟膏を皮膚に塗り、その上にお灸をのせ線香の火をつけて焼き切るようにしています。紫雲膏の量とお灸の大きさと、患者さんの感性を見極めながら施術します。8割方は、1壮(1回のお灸)だけで、診断点の圧痛はなくなります。見つけた足の治療点は、今月から、お灸の残りカスを写真に残し治療点として記載しています。1日に1~2の症例が出来るので年内には、数百の症例は出来上がると思います。

私自身にも、このお灸をするのですが、一瞬だけ「ドン!」と熱さが来ます。その熱さからエネルギーをもらえるのです。ほんのちょっとの火が、とてつもないパワーをもたらす・・・・何という効率の良さなのでしょう!患者さんの様子を見ていても、狙った診断点のところが異常に緊張し、その後緩むのが見て取れます。ですから、治療点と確信しているのです。

これは、頭部の治療点を押圧した時の、診断点の緊張と同じ感覚です。

「お灸は、きさじい。」

ポツンとAさんが帰られる時に漏らした言葉・・・?

「きさじい???・・・・何という意味?」

「・・・あの人の仕事は、きさじい・・・なんか言うんよ。」

「きさじい・・・効率がええとか、早いとか?そしたら、お灸は即効性があるいうこと?」

「そうそう!」

伊予弁・・・・恐るべし!

ベースギターをカラダで弾く

今日は、ipad の状態が良くなく、全く仕事にならない1日となっていたのです・・・ストレスがちょっと・・・

そんな時、16:30からのバンド練習が始まりました。ベースギターを始めて半年、やっと「スタンドバイミー」のベースギターをやれるようになりました。ある程度出来るようになったのですが、ヴォーカルが歌いにくい音程だったので、半音下げたキーにしたところ、2弦の音を指が押さえることが出来なくなりました・・・・・何で?・・・・・何で?・・・・・とカラダが動きます・・・・いつの間にか、ギターを抱え始めました・・・・・そして、ついにはギターを後ろに引き始めました。すると左薬指が弦を弾き安くなるのです・・・・・すると、骨盤でカラダをスムーズに動かしています・・・・・右手首もギターを骨盤に合わせて、固定するように押さえています。

少し分かりました・・・・・ベースギターは、指だけでなくカラダで弾くんだ!・・・っと。

 

東温市の実家に帰り、出張治療をしています。宮司をしている弟が、地域おこしのキーワードとして「龍」を設定しました。この地域は河之内という歴史文化のあるところで、しかも雨滝という龍神伝説のある渓谷があります。そして、地上から河之内を見ると、龍の形をしていることが分かります(弟の宮司が見つけました)。そんなこともあり、6月の「坂の上ミュージアム」で行われる日仏文化交流展までに、河之内にある休耕田に龍のオブジェ(試作品)を、作ることになりました。ミュージアムにはオブジェの写真を展示しようと考えています。

現在、松山市の神社にある伐採中のクスノキをいただける事になり、それで出来る大きさの龍を制作します。ゆくゆくは、等身大のスケールの大きな龍の頭と胴体の一部を作れるといいのですが・・・・・クスノキの収集には、時間がかかると思います。何年か先になるでしょう。野外で人を圧倒する作品を作るのは、大変な事ですが・・・・挑戦してみます。

つぶやき

 

ちょっとつぶやきたい・・・・あまりにも日本の現代医学は専門化しすぎていませんか?皮膚科、内科、外科、耳鼻咽喉科、精神科等々・・・・人間は機械ではありません・・・宇宙です・・・深淵なる法則に従っている生命体です。

この宇宙に、石油で出来た薬や、高額な機械で分析して数値化して治療をしていますが、これが治療と言えるのでしょうか?

このような治療は、人類の歴史の上で今後どのように評価されるのでしょうか?治療というベクトルに向いているのかどうか・・・私には、分かりません・・・・傲慢すぎる言い方ならば、ごめんなさい。

鍼と灸をしないでも鍼灸治療ができる

 

4ヶ月前は、全身が凝ってしまい、どうしていいのか分からない状態で来院された70才代の女性患者Aさん。週に一回のペースで通院されているので、随分安定した状態をキープしておられます。本日は左腕を上げようとすると肩(三角筋)が痛いそうです。

「そしたら、それを先に治しましょう・・・・畳の部屋で、硬球を使ってみましょう。」

と、Aさんには仰向けになってもらい、左臀部の圧痛点を探しそこに硬球が当たるように畳に置きます。Aさんの右膝を立ててもらい、右母指球を畳に押し付けると体重移動で左臀部の押圧を調整できます。これをしばらく続けて、

「Aさん、左腕を上げてみてください。」

「・・・・上がる・・・痛みは、ちょっとあるだけです。」

「そしたら、ベッドを暖かくして左を上にして横向きに寝てもらいましょう。」

今度は、臀部の圧痛点に私が中指を軽く置くだけの操法。これを5分ほどして、

「Aさん、左腕を上げるとどうですか?」

「・・・・痛くない!」

「そしたら、いつものようにしましょうか・・・Aさん、お灸は好きですか?」

「痛いし、嫌・・・・鍼も痛いし・・・・」

「そしたら、指当てるだけでやりましょうか?」

ということで、指先を足(靴下をはいたまま)に触れるだけの治療にしました。鍼灸師になる前は、指先を触れるだけの治療をしていたので、Aさんには最適だと分かりました。足に見つけた治療点は間違いないので、足に数分間中指を置き、膝診、首診の圧痛点を取ることができます。その結果は下記の通りです。

合谷診:左(左上腕診、左膝診を行う)

上腕診:胸椎(膝診と同時に圧痛点消滅)

膝診:頸椎#5〜7(2回の指置きで圧痛点消滅)、胸椎#1(1回の指置きで圧痛点消滅)、脳幹(圧痛点自然消滅)

首診:左腎(自然消滅)、左膀胱(自然消滅)、左肝(自然消滅)、左胆(1回の指置きで圧痛点消滅)、左心包(1回の指置きで圧痛点消滅)、左大腸(自然消滅)、左三焦(1回の指置きで圧痛点消滅)、左脾(1回の指置きで圧痛点消滅)右脾(自然消滅)、右小腸(自然消滅)