お灸で膝が良くなった!

 

整形外科では、左膝の手術を予定していた60才代の男性患者Dさん、当院に2ヶ月前から週1回のペースで通われ手術をしなくてもよくなりました(最近、医師に診てもらい、膝の可動域が広がったので手術の必要がないと言われたそうです)。1回目の治療で膝ウラのシコリが消えたので、確かな手ごたえがありました。治療後、2日間は痛みが全くないのですが、3日目から膝の痛みが再発する状態が続いていました。今回は3日間痛みがないので芝刈りをしていたところ、左膝を捻(ひね)り以前の様な痛みが戻ってしまいました。

そこでDさんは、耳ウラの膝治療点(G点)を刺激し、肘と足の治療点にお灸をしたところ、随分回復したそうです。Dさんには、お灸でセルフケアする様に伝えており、その事が身についているのが嬉しくなりました。

「Dさん、それはえらい!大したもんじゃわい。」

と言って、いつもの様に治療を始めました。

合谷診:左→左の上腕診、膝診を行う

上腕診:左頚椎

膝診:左頚椎#2、#3、左胸椎#1、#2、左腰椎#1、左大脳

首診:圧痛点なし

4本の置鍼。

上記の基礎治療の後、耳ウラのG点に2本置鍼すると、膝痛は無くなりました。これで、治療を終了してもいいのですが、置鍼30分の間に見つけた膝の治療点にお灸をすることにしました。繊細な感覚をしているDさんは、カラダの微妙な変化を教えてくれます。最近の試みで、治療点に紫雲膏をたっぷりつけ、やや大きめのお灸をするようにした間接灸(じかに皮膚を焼かない灸)の治療をしています。そのため、灸の熱をDさんは感じない時もあるのですが、

「・・・・あれ?膝のここんとこが、温なった。」

「・・・・微妙に膝が動きよるのが、分かる。」

「紫雲膏をつけただけでも、膝が動いた!」

などと、実況中継をしてくれます。この熱くない灸治療は、繊細な感覚を持っている患者さんだけに効くのかどうか、症例を数多く作っていかなければならないようです。とかく、鍼(はり)は、怖い、灸は熱すぎるといって毛嫌いする人が多いのですが、明治時代になるまでは、鍼灸、漢方薬が日本の医療として発展していたのです。我々鍼灸師は効果、有効性をしっかり分かりやすく紹介する必要があるようです。