そっと静かに消えて下さる?

右足先の痛みがなくなった92才の女性患者Aさん。本日は、右腕特に小指側のしびれが気になり、カラダ全体がだるいそうです。

92才になられても、頭はしっかりしておられ、毎日室内の散歩はかかせません。ただ、なかなか熟睡できないそうです。

いつものように、腹診をしますが、特にコリや痛みはありません。

指先のしびれを天城流では、肩甲骨、大胸筋、肘の筋膜を剥(は)がして治します。ところが、高齢の患者さんに、ある程度の痛みをが伴う剥(は)がしは不向きだと考えます。

そこで、肩甲骨、大胸筋、肘の圧痛点に軽く中指を触(ふ)れるだけの操法で治療。

この間、穏やかな時間が流れ、スズメやカラスの話、冬眠の話など・・・

「爆睡をしてみたいワ❣️」

突然、Aさんがおっしゃっいます。そこで、踵(かかと)中央部の失眠(しつみん)というツボにお灸をすることにしました。左右のツボに5壮(同じツボに5回)程度お灸をし、再び右腕に触(ふ)レました。

「Aさん、随分手があったかくなりましたね~~」

「そうなの、ポカポカしてる❣️」

肩甲骨と胸の圧痛点に軽く中指を添(そ)える操法をはじめます。しばらくすると、

「なんか、カラダは眠っているのに、意識があるのよ❣️」

「ええ、この治療法では、そういう事がよく起きます。ですから、いびきをかいている患者さんに、話し掛けるると会話が出来、会話が終わると、患者さんが再びいびきをかき始めたりします。」

「不思議ね~~」

しばらくして、

「そっと静かに消えてくださる?」

という事で、爆睡される事を期待しつつ、忍者のように消えていく私でした。

 

3本指が鍼(はり)のかわり

92才の女性患者Aさん、右足先(第2、3趾)が痛く歩くのに不自由だそうです。 また、右腕にしびれを感じます。

「Aさん、ベットでじっとしていても右足先は痛いのですか?」

「ハイ、痛みはあります。」

ということで、足先から最も遠い右側頭部の圧痛点を探すことにします。 この圧痛点は、山元式新頭鍼療法(YNSA)に沿った3カ所です。本来なら、この3カ所に鍼を刺し置きすればいいのですが、Aさんは、鍼が嫌(きら)いなため、右手の親指、人差し指そして中指の3本を、鍼の代わりにします。

3本の指をAさんの右側頭圧痛点に、軽く触(ふ)れるだけです。この状態で15~20分経過。

「Aさん、右足先の痛みはどうですか?」

「痛くありません❣️」

右足先は良くなったようです。3点のうち2点は、右足先狙(ねら)いだったのですが、残りの1点は右腕のしびれ狙(ねら)いです。しかし、右腕のしびれはなかなか取れません。

そこで、お灸を右肘の圧痛点4ヶ所に3壮ずつ、第4指の圧痛点にも2壮しますが、お灸の熱があまりお好きではないようです。

 「Aさん、ユックリ起き上がって歩いていただいてよろしいでしょうか?」

「あっ・・・右足痛くないです❣️」

右腕のしびれは取れませんが、右足先の痛みは取れましたので、治療を終了しました。

足首は手首で治す

長時間の正座で感覚がマヒしてしまい、立ち上がろうとした時、左足首が可動域を超えて外側の靭帯を損傷してしまった30才代女性患者Cさん。

近くの病院に行き診てもらったところ、大した捻挫ではないと診断されました。

しかし、翌日から外踝(くるぶし)が紫色に腫れ上がり、もう一度、別の病院に行き、手当を受けました。現在は、包帯でしっかりと固定されています。

「Cさん、捻挫をしたら、まず患部を氷水で徹底的に冷やしてください。毛細血管が切れているのでその切り口を閉じなければ、どんどん内出血してしまいます。」

Cさんは、この重要な処置をしなかったため、内出血の腫れが出来てしまいました。

今回は、左足首は固定されているため、その対角に当たる右手首の圧痛点を見つけ出し、全身のバランスを取っていく事にします。

右手首周辺の皮膚を丁寧につまみ上げていくと、痛いところと、そうでないところがはっきりと、現れてきます。痛いところに赤印を付けていくと、手首外側に大きな長細い地図ができます。この形の相似形が、左足首外側に存在しているのです。

今回は、右手の圧痛地形図にクスノキの瘤(こぶ)を軽く当て、気持ちよく揺(ゆ)擦ります。

かなり、ほぐれて来たので、お灸をします。

最も痛いであろうところは最後に残し、徐々に外側から始めます。

「ここ、痛いですか?」

「痛い‼️痛いです‼️」

やはり、足首の患部に対応する部位が、飛び上がる程痛いのです。そこにしっかりとお灸をし、今回は終了しました。

追伸、Cさんから下記のメールが届きました。

佐伯先生にこの前お灸して頂いたら、それまでズキズキ痛んでいた靭帯の痛みは治っています(ビックリ!)

また痛くなってくるのかなあ、と不安でしたが、今のところ大丈夫です。

佐伯先生のおかげです。ありがとうございます!

天才❣️

私の師匠、今昭宏先生のホームページに操体法における、想念の世界に関して、次の様な一節がありました。

「誰かにほめられたいとか認められたいといった思いが

強くなって、頑張り過ぎてくたびれるのは、

自分が自分をほめて認めることを忘れているからかも。

ときどき自分をほめて認めると楽しい。

「えらいぞ自分」

「たいしたもんだ私」

「素晴らしいぞ俺」

「私は天才だ」

などなど。

冗談でもウソでもいいからとにかく言うこと。

空間が明るく元気になります。(^^♪”」

「今先生は、天才だから!」

と、ニコニコ顔でさら~っと言い流す今先生。

授業中、何度も聞いたことがあります。

確かにその瞬間、明るく元気になります・・・ただし、今先生だから、嫌味に聞こず、明るくなると、心のどこかで思っているのは確かです。

私の人生でまだ一度も、「佐伯先生は、天才だから!」

と言ったことがありません。ただ、何度も、何度も「佐伯さんは、天才だ!」と言われた事はあります。

私が20才代、ニューヨークでビデオアートの創始者、ナムジュン・パイク(白南準)さんのアシスタントをしていた時、天才パイクさんから言われたのです。

掃除を丁寧にしたり、お疲れのパイクさんに指圧をしたりする度(たび)に、

「あ~~、佐伯さんは天才だ~」

天才のパイクさんに天才と言われると、うれしくて、うれしくて舞い上がり続けていました。

きっと天才という言葉は魔法の言葉なのでしょう。言い続けてたり、言われ続けていたりすると本当に天才に・・・・・・使ってみるか❣️

追伸、今先生、文章を使わせていただきました、事後報告で申し訳ございません。

陰と陽

造園業を営まれている患者さんから、クスノキの瘤(こぶ)について色々教えていただきました。瘤(こぶ)は、切った枝が1cmくらい残っていると、そこからポツポツとイボのような隆起が出来、そこから新芽が出て来るそうです。その新芽を摘み取ると次の年に新たなイボが出来、少しずつ底上げしていきます。この連続周期が数十年続いてこの瘤(こぶ)が出来上がるそうです。

という事は、この瘤(こぶ)は、新芽を作り出すイボの集団。イクラやタラコのような生命の塊(かたまり)とも考えられます。

それで、この瘤(こぶ)に触れた時、パワーの様なもの、あるいは、じんわりとした温かみを感じるのだと思います。同じ瘤(こぶ)でも切り取った断面の部分は、温かみが全くありません。ひんやりと冷たいのです。これは、木に含まれる水分が、断面から蒸発しているためだと思います。

つまり、この瘤(こぶ)という部分が、もうすでに陰(断面部)と陽(イボの表面)の全体を表現しているのです。その事を理解した上で、患者さんのカラダの虚実陰陽を探り治療することが大切になります。

今回の京都出張治療では、丸住和夫先生はじめ操体仲間、そして、患者さんやロンドクレアントに集う人々から多くの事を学びました。出会いに感謝❣️

正座が出来た❣️

昨年の4月から正座が出来なくなった60才代の女性患者Bさん。変形性膝関節症と診断され、今回の治療で8回目となります。徐々に回復し正座した時、太ももと踵(かかと)が接触するぐらいになっています。初診の時は、14~5cmくらいは空いていたと思います。

山元式新頭鍼療法(YNSA)で、膝、下肢に対応する頭部に鍼を刺し置きします。

あとは、松山から持ってきた2個のクスノキの瘤(こぶ)をBさんの両膝うらに置き、3個目の瘤(こぶ)を太ももの内側に置き、ユックリと揺(ゆ)するだけです。

「どうですか?」

「気持ちいいです。最初痛かったところが、徐々に痛くなくなって、気持ちいいです。先生、このイボイボ、絶妙ですね~~」

「これ、私に合っていると思います。」

15~20分くらいは揺(ゆ)すって、太ももが随分ゆるんできました。

「頭に鍼を刺したままですが、ユックリ起き上がって、正座をしてみてください。」

「・・・よっこらしょ!・・・アレッ、正座できた❣️❣️・・・・何ヶ月ぶりやろ?(10ヶ月ぶりです)」

確かに、しっかりとお尻が踵(かかと)について体重が乗っています。ただ、両膝の内側にまだ痛みがあります。そこで、対角の両肘内側の圧痛点を探してみます。

「痛った!先生、そこ痛い。」

肘と膝はお互い影響し合っているため、対角に位置する部位(右膝←→左肘)を治療すると連動して良くなることが、あります。そこで、両肘圧痛点に鍼を刺してみました。

頭に刺した鍼を抜いて、

「ユックリ起き上がって、正座してみてください。」

「・・・・張りがあるけど、痛みはありません❣️・・・これなら、お茶(茶道)できそう❣️」

とニコニコ顔のBさんでした。

玉杢(たまもく)?

昨日(2月6日)19時から、京都市内の「ひと・まち交流会館」で操体法勉強会がありました。そこで、私が使用しているクスノキの瘤(こぶ)をお披露目しました。

「玉杢(たまもく)や!これは、貴重ですよ。」

とお声が上がりました。瘤(こぶ)を輪切りにすると小さな年輪の集合体が平面になって現れます。これを玉杢(たまもく)というそうです。木の愛好家にとってはお宝もののようです。この事を知らなかった私は、まだまだ・・・です。

H「佐伯さん、どのくらい乾燥させているんですか?」

と質問があり、とっさに1年くらいと答えたのですが、よくよく考えてみると、3年近く経っていました。

実家の神社にあるクスノキを伐採し、それを弟(神主)が燃やしていたのですが、その木があまりにも面白い形をしていたので、

「これ、欲しい。積み木の作品か何かになりそうじゃ!」

ということで、保管していました。その後、友人から新たに譲り受けた木が約1年半くらいの乾燥状態です。ところが、良く調べてみると、自然乾燥は3年位必要です。

特にクスノキは、木目が交差しやすく、しっかり乾燥していないと割れてしまいます。

今使用している大きな瘤(こぶ)は、乾燥が1年半ほどですから、途中からひび割れが生じる可能性があります。特に伐採時期を間違うと、虫を寄せないクスノキでさえ、虫が集まって来ます。12月から2月初旬までの樹皮が水を上げない期間に伐採をします。

これも全て自然の摂理です。しっかりと学ぶ必要があるようです。

勉強会では、腸内細菌、唾液と虫歯の関係、裸足生活等、多岐(たき)にわたり話しあわれ、

ついていくのに精一杯。

博識でしかも、ご自身のカラダを通して研究実行されている丸住和夫先生に、心より尊敬いたします。

来月の勉強会が楽しみです❣️

追伸、弟からメールがあり、今回切って、研磨した瘤(こぶ)は、1年半前から乾燥したクスノキだったそうです。作業は全て弟がしています。ありがとう?

 

縄文の土偶とクスノキの瘤(こぶ)

縄文の土偶とクスノキの瘤(こぶ)というタイトルで、治療に使っているクスノキの瘤(こぶ)を縄文人はどのように捉(とら)えていたのか想像してみました。

 

 

これから喋ることは、全くいい加減な話です。

聞き流してください。

私は、縄文のファンで縄文人が、カヌーでカムチャッカ半島を渡り、アメリカ大陸に到達し、なおも南下を続け、マヤ文明など中南米にも影響を及ぼしたのではないかと、勝手な想像をしています。

また、ニカラグアで縄文土器が見つかり、ポリネシアの神話には、土器を持つ民族が突然現れたとあるそうです。

ですから、縄文人がカヌーで南下したのではないかと勝手に想像しています。

学者ではないので、想像はいくらしても罪ではないでしょう。

そこで、縄文の土偶がなぜあの様なハート型の顔や、遮光器土器の目、生命力溢れるフォルムを作り上げたのか?・・・・・・を想像してみました。

縄文人の作ったカヌーは、杉とクスノキを使用しています。クスノキの割合は少ないようです。ということは、クスノキの方が貴重だったのでしょう。クスノキは虫が寄り付かず、腐らないのでカヌーには最高の素材です。しかし、杉と違ってクスノキは枝別れをしていくので、まっすぐな材が少なく貴重だったのでしょう。

以前述べたようにクスノキからできる樟脳は、カンフルと呼ばれ強心剤にもなるほどの成分を持っています。感覚の鋭い縄文人なら直感的にそのことは理解していたでしょう。

その感覚で、クスノキの瘤(こぶ)の生命力に触れた時、ハート型の顔、遮光器土器の目、生命力溢れるフォルムが出来上がったのでは・・・・

まあ~~勝手なもんです・・・

写真を載せておきますね~

クスノキの瘤(こぶ)で胸椎一点押し

スキー大好きな60才代の男性患者Aさん。いつものように温泉に入ってからの来院。

「ここへ、来るようになって、よく歩けるようになるでしょう。そうすると、翌日右股関節が痛くなって・・・プールに行って歩くと良くなって・・・そんなのを繰り返しながら良くなっています。」

「先生、今日は、胸椎の一点に来ています!」

Aさんは、スキーの最中に頭から飛び込んで埋まり、スキー板が雪面と平行になる事故を起こした事があります。その時、胸椎の一点が「ギック!」と来たそうです。

カラダが良くなってくると、その古傷が顕著に出て来るそうです。

「先生、一番大きなクスノキの瘤(こぶ)を、ここにお願いします❣️」

ということで、今回もAさん主導の治療です。腹診をするとおヘソの左右そして上にコリがしっかりあります。そのため、手首、足首の大事なツボに刺し置きします。ある程度柔らかくなったので、鍼を抜き、Aさんの指示通り大きなクスノキの瘤(こぶ)を胸椎の一点に合うように置きます。

枕もクスノキ。胸にもクスノキを置き、その上にAさんは、両手を置いて自分で圧をかけています。

「イボイボが気持ちいいですね~~。押しながら、手も胸も背中も気持ち良くなる❣️」

「胸椎の一点を押すと、顔面の左側に刺激が来る~~」

「先生、お腹触って❣️・・・・」

「アレッ、柔らかい、お餅みたいになってる!」

あまりに柔らかくなっているので、思わず声が出てしまいました。今のAさんには、この療法が一番あっているようです。

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報(その2)

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「先生、腕と肩はもう治った。じゃがの、左耳に水がたまって、よう聞こえんのよ。」

前回まで痛がっていた腕と肩はもう気にならないそうです。

ということで 、腹診をして、足に鍼を刺しお腹を柔らかくした後、山元式新頭鍼療法(YNSA)の耳に対応する部位に鍼を3本刺し置きします。

「先生、肩が治ったら思い出したんじゃけど、ココ(右股関節)が痛いんじゃ。」

確かに右太ももの裏側に板状の大きなスジがあります。右足首も冷(ひ)んやりしています。

そこで、右膝うらに手を当て、Aさんの皮膚を軽く刺激します。

この皮膚にアップローチする手技は、京都の丸住和夫先生が、仙台の温古堂で橋本敬三先生から操体法を学んでおられる時に、編出(あみだ)されました。

私は、東京で橋本敬三先生の弟子である三浦寛先生の門下に入り10年、身体運動の法則(基礎的なカラダの動かし方)と、皮膚の手技をはじめ様々な手技を学びました。この皮膚にアプローチする手技は、まだまだ発展途上です。山元式新頭鍼療法(YNSA)も頭皮へのアプローチで新たなツボが次々と見つかっています。

1個の受精卵が分割し内胚葉、中胚葉、外胚葉となり、そこから徐々に胎児となりますが、外胚葉の一部が窪(くぼ)み神経系、感覚器となりそれらの中心となる脳ができます。

そのため、皮膚と脳とは密接な関係があります・・・と、これくらいは何とか言えるのですが・・・なぜ?軽く皮膚に触れるだけで、患者さんのカラダが良くなるのか分かりません。

Aさんの右膝うらが、すっかり柔らかくなりました。今度は、冷えた足底を両手でつつむように触れることにしました。Aさんは爆睡中です。足底が温まったころに、起きてもらいました。

「・・・うんん・・・ちょっと、寝たようじゃのう・・・」

「ここ(右股関節)どうですか?」

「おおおう~~、軽い軽い、楽じゃ❣️」

娘さん運転する車で元気良く帰られるAさんでした。

追伸:左耳の状態を聞き忘れました。次回伺うことにします。