気を入れてます

70才代の女性患者Bさん、10年以上膝痛に悩まされ、2週間に1度ヒアルロン酸の注射をしていました。2週間前から通院され、今回で5回目の治療となります。また首が回りづらく、長時間立っていると腰痛になります。初回治療では、翌朝起きても膝痛がありませんでした。その日は嬉しくて午前中は、動き回ったそうです。膝痛がなくなって1週間以上経ち、本日の受診でやっと膝痛が出てきました。もちろん、今まで飲んでいた膝の痛み止め薬は飲んでいません。

合谷診:左(左外側の膝診を行います)

膝診:左頸椎#1~5(1)、左胸椎#12(1)、左腰椎#3~6(2)

首診:右心包(1)、三焦(1)、脾(1)

:左心包(1)、三焦(1)、胃(0)

(   )内置鍼数

デルマトーム(皮膚分節)からBさんの膝痛は、左膝が腰椎4番となります。

「これで、左膝どうですか?」

「・・・・大丈夫です・・・痛くないです。」

「そしたら今度、首診ますね。」

首診を行い、頭の圧痛ある診断点の治療(頭に置鍼5本)をします。これで、首の痛みが取れました。後は、右膝ウラ側から足首にかけての痛みの治療となります。デルマトーム(皮膚分節)から腰椎第5番となります。右耳前方の圧痛点に置鍼し、しばらく鍼を保持したまま1~2分経過。

「先生、何か別の器材を使っていませんか?全然違う感覚なんですけど!」

「・・・・気を入れています。」

「ええ、そうなんですか!」

「どうも、こうすると気が入るようです・・・これで、膝どうですか?歩いてみてください。」

「・・・・大丈夫です。」

「そしたら後は、お灸をしましょう。」

足に見つけた治療点にお灸をして終了(膝の突っ張りがなくなりました)。このペースで行くとBさん早く良くなる気がします!

干し柿とぬか漬け

友人から戴いた渋柿を干し柿にしました。南向きの部屋は、お隣さんが家を解体されたため、明るい日差しが入ってきます。干し柿には一番良いところでしょう。30~40日は干す必要があるそうなので、来月中旬ころに食べらそうです。剥(む)いた柿の皮は、ぬか床に入れることにしました。

小説家、古谷永塔子さんが「今夜、ぬか漬けスナックで」というぬか漬けに関わる本を出されておられます。その古谷永さんが、柿をぬか漬けにしてその感想を下記のように述べておられます。

「この前は、柿を漬けてみました。ガリっと固めの柿をぬか床に漬けると、程よくやわらかくなり、生で食べるよりも甘味が増したように感じました。

皮を剥いて漬けましたが、皮ごと漬けても。“皮がぬか床の味を良くする”という説もあるそうです」

今日ぬか床に入れた渋柿の皮が、深みのあるぬか床になっていく予感がします。古谷永さんによると、アボカドをぬか漬けにしても美味しいようで、何とチーズや茹で卵も入れて楽しんでいるようです。ぬか漬けは本当に楽しい!

私の手のひらの常在菌が、ぬか床で成長して私のお腹に入ってくれるのです。ぬか床は手をかけ過ぎても良くないし、放っておいても良くないそうです。昨日友人から戴いた無農薬の大根が、いい塩梅に漬かっているはずです。私は、ぬか床をたっぷり付けたままの大根を洗わずに食べています。ぬか床のぬかを水で洗うのは、もったいないのです。ぬか床そのものが乳酸菌の宝庫ですから。私はぬか漬けの初心者ですが、暑い夏を想定して色々試行錯誤して楽しもうと思います。

土偶を読む

患者さんからお借りした本が、非常に面白いのでご紹介します。

「土偶を読む」です。誰もが考えていない発想で土偶を表現したのは、竹倉史人氏です。竹倉さんは、武蔵野美術大学を中退後、東京大学文学部・宗教史学科卒業。人類の普遍的心性を探求すべく世界各国の神話や儀礼を研究する過程で、縄文土偶の研究に携わることになりました。

美術大学に籍を入れていた竹倉さんは、創造性がある発想が出来る人なのだと思います。土偶を「食べ物」だと見なしたのです。お祭りには必ず大根や人参などの「食べ物」をお供えします。これを幼い頃から「?」と思っていた宮司の息子であった私は、一瞬で腑に落ちました。土偶は「食べ物」なのです!

まず、ハート形土偶は、二つに割られたオニグルミだったのです。実際、オニグルミが繁茂している会津地方から、ハート形土偶が多く出ているそうです。合掌土偶は栗、茨城県にある椎塚土偶は、ハマグリをかたどった土偶・・・・これは、見た瞬間ぴーんとくるはずです。また、みみずく土偶と呼ばれていた土偶を、竹倉さんは、星形土偶と命名し、その頭の部分を上から見ると、オオツタノハという貝殻そっくりです。まず、間違いありません。そして、有名な遮光器土器は、何とサトイモだったのです。

竹倉さんは、これらの研究を本にしようと試みますが、土偶研究の権威からお墨付きをいただけなないと出版できないこととなり・・・・八方塞がりになりますが、東工大で講演後、参加者達から爆発的な反響があり、美術家でありアートディレクターである玉城そのみさんが、企画したワークショップで竹倉さんが講演し、なんと私の親友である岩下徹氏が踊りのワークショップをしたそうです。やはり、類は類を呼ぶのです!・・・・というお話でした。

肘と膝

 

「先生、膝が腫れてしまってどうしようもないので・・・今日、診てくれませんか?」

60才代の女性患者Aさんから電話がありました。午前中に来ていただき、早速治療をすることになりました。左膝が腫れて右膝の1.2倍くらいになっています。

「膝のウラに風船が入っているような感じです。」

こういう場合は、まず氷水を入れたビニール袋と日本タオルで冷やすのが一番です。5~6分左膝を冷やしてから施術を始めました。

合谷診:左(左側から治療します)

膝診:左頸椎#6、#7(3)、左胸椎#6、#7、#8(1)、左腰椎#1、#2、#6(1)、脳幹(1)、大脳(1)

首診:左腎、膀胱、肝、胆、心包、大腸、三焦

:右脾

私は上腕診の代わりに、膝診をしているので、直接膝の状態が分かり大変スムーズでした。上記の置鍼(膝診のみ)だけで左膝の痛みがずいぶん軽減しました。次に、首診からは足に見つけた治療点に、てい鍼を押圧するだけの治療法にしました。というのは、てい鍼押圧は「異常な痛み」を伴い、「カラダが危機感を感じ、βエンドルフィンを出す」と考えているからです。この1週間数人の患者さんに試みているのですが、お灸施術をしなくても、てい鍼押圧だけで痛みが取れる患者さんが多いのに気づいたのです。Aさんもその一人です。腎、三焦、胆の治療点に、てい鍼押圧のみで膀胱、肝、胃、脾の圧痛点がなくなりました。

次に、G点という耳のウラにある膝の治療点と、デルマトーム(皮膚分節)S2の治療点に置鍼をすると、ほぼ左膝の痛みがなくなりました。少し残った痛みを足に見つけた治療点に、てい鍼押圧をすると、ほぼほぼ痛みがなくなりました。最後のアプローチとして、肘にてい鍼押圧。

「膝は肘でも治せるのです・・・・膝の痛いところと同じところが、肘も痛いのです・・・ほら?(と、同じ個所にてい鍼押圧)」

「えええええ、そしたら、昨日ここ(左膝頭)の魚の目みたいになったところ、指で取り出したんですけど・・・・ウミと血が出たんです。もしかしたら、関係あるんですか?」

「あああ、ありますね・・・・・ああ、それだわ!それが原因だったのだと思います。」

と、2人納得したのです。

森下自然医学

 

前日に続き、ガンについての話をします。

森下敬一先生の「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す」からの抜粋です。

『異化作用でガンを消去する

話をガンの治療に戻しましょう。

大学研究室で20年間の基礎研究を終えた私は、1970年から御茶ノ水クリニックを開設し、ガンの臨床に携わっています。クリニックを訪れる患者さんは、前述のように余命があとわずかなどと現代医学では見放された方が大多数ですが、ほとんどの方が確実に治っていきます。

ただし、家族や親戚に現在医学の医者がいる場合などは、私のクリニックの受診を止められてしまうこともあります。私にいわせれば、

「そうした“不要な阻止”で患者さんにストレスを与えなければ、もっと多くの方がガンから治癒されるのに残念だ」

と思わないわけにはいきません。実際、私は多くの方々が自然医食療法によってガンを克服して自然治癒されているサポートができたことを誇りに思い、感謝しているのです。

一般に、赤血球やリンパ球が融合して体細胞を合成していく生理機能を「同化作用」といいます。その反対の機能を「異化作用」といいます。そのうちの後者「異化作用」によって、ガン細胞などなどの腫瘍細胞を元の赤血球やリンパ球に逆戻りさせることもできるというのが森下自然医学の理論です。「異化作用」と言うのは聞き慣れて聞きなれない用語でしょうが、いわばデトックス(解毒)です。どんな病気でも体内から有害物質を排出し、血液をきれいにしていけば細胞機能が正常化して元気になり自然に病気は治っていきます。

身体の中から有害物質を排出して血液をきれいにする事は、断食、最近の言葉で言えば“ファスティング”や「適塩・玄米」の食事療法によって可能となるものです。自然医食療法は、単純にビタミン、ミネラルをより多く体内に取り入れると言うような“栄養療法”ではありません。栄養摂取とはむしろ逆方向の代謝療法であり、断食と同等の「身体から有害物質や毒素などを排出する解毒・排毒作用」を玄米・菜食の1のつ命綱で生命維持を確実に確保しながら、的確に促進するものです。

(中略)

しかし、完全断食は一定期間以上の継続は不可能です。そこで、数ヶ月から数年にわたって必要最小限の玄米と自然塩で生命をつなぎ止めながら、通常では排出しにくい毒素を排出するように努めるのが森下自然医食療法です。

この方法を行うだけで副食や間食の量は減りますし、主食の玄米ご飯もよく噛んで食べることが必須条件ですから、食事の総量は自然に抑えられます。

体内に異化作用が進行すれば体重も落ちていきます。無理することなく“適度な飢餓状態”に体を保つことができるのです。当然、体脂肪も落ちます。それによって、体脂肪中に蓄積されていた有害物質もおのずと体から抜けていきます。

ただし、極端に体脂肪が少なくなりすぎても体力がなくなってしまいますから、おおむね「体脂肪率13%」ぐらいを目安にします。体脂肪率が中高年ともなると総じて高く30%を超える超えている人も少なくないので、13%と言う数字はかなり低いレベルです。この辺の数値に保たれていれば、血液の状態も良くなり「ガン細胞から赤血球やリンパ球への逆戻り」という劇的変化が起こるのが森下自然医学の理論です。この「ガン細胞の赤血球リンパ球への逆戻り現象」と言うのは血液生理学的な表現ですが、臨床的には”ガン腫の自然退縮“を意味します。たいへん重要な現象ですから覚えておいてください。』

現在、1日1食(たまに2食)にしている私ですが、170cmで、57.5kgになっていました。高校時代よりも体重が少ないのですが、体調はよいです。1日1食だと24時間断食状態なので、かなり解毒できていると思います。

ガンによる浄化作用

 

「血液をきれいにして病気を防ぐ、治す」

森下敬一先生の本の一節、ガンに関して述べておられます。私は、この考え方を支持します。

『ガンによる浄化作用

さて話をガンに戻すと、見方を変えれば、ガンと言う病気になるのは必ずしも悪いことばかりでもありません。むしろガンを「体内が有害物質で汚染された警鐘」だと捉えるのが森下自然医学の考え方です。

いまのようにガンが多くなかった1950年代より前の時代には、血液が有害物質で汚染されると人間は敗血症となり、解毒機能が劣化してすぐに死んでいきました。敗血症は血中に細菌類が繁殖する異常状態です。これに対しガン腫は、血が汚れたとき警鐘を鳴らしように、血を浄化しようとしてできる性質を持っています。

いわば、敗血症で亡くなる前にガンにかかることによって、ガンという浄血装置で有害物質を排出するチャンスをもらえたと見ることもできます。その点から言えば、ガンは敗血症による処刑が先延ばしされる、一種の猶予期間という側面もあるわけです。

ですから、ガンになってしまったら、まず食生活を始めとする生活習慣など自分のやってきたこと全てを反省することから出発すべきです。そういう機会を、病気になったことで与えられた。そんな謙虚な気持ちを持つことも大切です。そのような意識でガンと向き合えば、病気も必ず治ります。ガンを悪魔の巣窟のように唾棄すべきものだとだけ捉えるのではなく、むしろガンに感謝する。

そういう精神状態になると、人間的に成長することさえできるようになります。心の状態がそのようなそのようになることで、やがて病気も自然に治っていくのです。』

納得します。

明日、のボール野球

 

なぜか、あじさいの杜鍼灸院のフェイスブックに投稿出来ないのですが・・・・まあ、そのうち再開出来るでしょう。

明日、「のボール野球」が、坊ちゃんスタジアムで行われます。今回は、松山東高野球部の前身、「球技同好会」創部130年記念として、脇町高校野球部OBをお招きしての対抗試合となります。

野球という言葉を草案された中馬庚(かのえ)氏が、校長を務めたのが脇町高校。ところが、正岡子規の本名が正岡昇(のぼる)で、の=野、ボール=球。それで、正岡子規が草案したと世間で広まり、松山東高と脇町高校との関係もギクシャクしておったそうです。その解決策としてこの交流戦が始まったようです。

松山東高の野球部監督をされていた稲見達彦氏(我々の頃の監督さん)が、「のボール野球」を正岡子規がやっていた当時の野球を復活させようとの思いで、作られました。投手は下手投げで、打者はボールの高さを要求し、投手は要求されたボールを投げればストライク。ワンバウンドのボールを取るとアウトなど、子供から中高年まで楽しめる素晴らしいスポーツです。

明日は、怪我なく楽しんでいい一日にします。

操体法だけの治療 その2

月に一度、体調管理で通院されている70才代の男性患者Cさん、両膝に痛みを感じるときがあります。まず、足指を丁寧に揉みほぐします。その後、

「私が、足元にいるこの感じと・・・・・頭の上にいる感じは、どちらがいいですか?」

「・・足元の方です。」

患者さんのカラダは素直に、私の熱量を感じとって反応してくれます。そこで足元に戻り、Cさんの左親指に軽く指をそえ、右手の平を膝ウラにあてるだけの操法を始めます。

「両肘が重くなってきました・・・やっぱり、肘と膝はつながっているんですね。」

そこで、Cさんの膝ウラにあてがっている右手の平を外しました。

「・・・これで、どうですか?」

「・・・・・少しずつ、肘の重みが少なくなっています。」

ある程度、落ち着いて来たので今度は、私の立つ位置を確認することにしました。

「私が、足元にいるこの感じと・・・・・頭の上にいる感じは、どちらがいいですか?」

「今度は、頭の方がいいです。」

そこで、頭の方に移動して、両手で水をすくうような体勢でCさんの後頭部をささえます。しばらくして、

「指先がジンジンしてきて、血流を感じます・・・・肘の重さはなくなって来ました。」

の言葉の後、熟睡されました。今後ともCさんには操体法の治療を進めたいと思っています。

 

 

 

操体法だけの治療

「今日は、操体法で行きましょうか?」

と、70才代の女性患者Aさんとの会話中に、当たり前のような言葉として出てきました。Aさんも納得した表情でニッコリ。Aさんには、山元式新頭鍼療法(YNSA)、足へのお灸、操体法の3つの施術から選択する様にしています。それぞれに良い反応があるので、その日のAさんの心身の状態を伺いながら決めるようにしています。頭が重く、肩こりで肩が痛いそうです。奥にあるベッドに移動してもらい、指先を丁寧にもんでいく操法を行うと、

「ここ(腰)から下が、温くなってきた。」

「頭どうですか?」

「ちょっと、軽くなってきよる。」

今度は、足首内側の三陰交に軽く中指を当て、反対の手の平を軽く土踏まずに当てます。

「・・・・これは、効いとる・・・・・肩が軽なってきよる。」

途中、Aさんが咳き込むため、頭頂部の舌咽神経と肺に効く治療点に1本置鍼。それ以降、咳き込むことはありませんでした。この治療点は、実によく効きます。

「頭の重さがなくなってきた・・・後は、膝あたりが重い。」

最近は、デルマトーム(皮膚分節)で治療点を見つけているので、膝のデルマトームは腰椎4番となります。この治療点は耳付近にあります。軽く中指を当てるだけの操法を行います。

「目をつぶっとるのに、急に目の前が明るくなった。」

「・・・・そういう事、よくあるんです・・・面白いでしょ。」

「面白いね~・・・・今度は、重いのが膝から、足首に移ってきた。」

しばらくして、重さがなくなり終了となりました。鍼灸治療をやる以前には、このような治療を行なっていたのですが、当時と違う点は、知識量です。デルマトームなどと全く縁のない治療をやっていたのですから、今思うとぞっとします。操体法でも進化していきたいと思います。

てい鍼は効きます

左股関節が痛く、40分間の通勤歩行が出来なくなり、和式トイレも使用出来なくなった50才代の女性患者Aさん。知人の紹介で来院されました。痛い箇所は、左臀部と左股関節でデルマトーム(皮膚分節)では、S2、L2辺りになります。

合谷診:左(左の膝診を行います)

膝診:左頸椎(1)、左胸椎(1)、左腰椎(2)、左脳幹(0)

首診:右膀胱(2)、左膀胱(1)、左心包(1)、左三焦(1)

(  )内は置鍼及びお灸の数

腰椎をねらう時、デルマトームのS2、L2をねらった置鍼を行い、和式トイレのスタイルが出来るようになりました。首診での治療は足に見つけた治療点に、てい鍼で押圧するだけで首の圧痛がなくなったり、柔らかくなったりするので、お灸は1回だけで十分だということに気づきました。

そして、最後に見つけた股関節の治療点にお灸を2壮ずつ3か所にすると、可動域が上がり、痛みもなくなりました。Aさんには、この治療点にせんねん灸をするよう、お勧めしました。