指先で治す

雨の日は農業従事の方からの電話があることがあります。

「先生、今日治療できますか?」

「〇〇さん、はい大丈夫です・・・・10時30分でどうでしょうか?」

「了解です。」

農業に従事されている70才代の男性患者Cさんでした。Cさんには鍼灸治療をしていません。足指を丁寧に揉(も)む施術と、指先を軽く触れるだけの施術で鍼灸治療と同じ効果を上げています。足に見つけた治療点は、確信を持っていますが、どのように症例を発表すれば良いのかが、分からず悩んでいます。まあ、それはともかく今回も、Cさんには足にみつけた治療点に軽く指先を触れるだけで、診断点がゆるむという治療を行いました。まず足指を20分ほどゆっくりと揉(も)む操法で、頸椎の5番が緩みました。次に頸椎1番に当たる治療点に軽く指先を当てます。

「OKグーグル、タイマー3分お願いします。」

「ハイ3分ですね、ではスタート!」

Cさんは、ベッドの上で半分起きながら、半分寝ている状態でゆっくりされています。グーグルの3分終了の「ピポン、ピポン」という合図と共に指を離します。

「Cさん、ここ(頸椎1番の診断点)どうですか?」

「・・・・・痛くないです。」

「Cさん、ここ(胸椎12番の診断点)はどうですか?」

「・・・・そこも、痛くないですね。」

「あああ・・・ついでに、胸椎も良くなったようですね。今度は、腰の治療点に触れます・・・OKグーグル、タイマー3分お願いします。」

こんな調子で3分後には、腰椎の診断点が緩みました。同様に左足に見つけた腎臓、膀胱の治療点にそれぞれ3分ずつ指先を触れる操法をすると、左胆、左三焦(消化器系)、右心、右三焦の診断点も緩み、治療終了となりました。

鍼灸が怖いと感じておられる方は、この様な治療方法もありますので、気楽にお越しください。

助成金

松山市鍼灸師協会の総会が、3年ぶりに行われました(ところが、私は日にちを1日間違い、出席できない失態を犯しました・・・・ただ、ただ懺悔)私が公の組織に所属するのは、この協会が初めてです。所属すると松山市在住で国民健康保険をお持ちの方、あるいは後期高齢者医療制度が適応される方は松山市から1000円の助成金が出ます。そのため、当院の施術費4000円が3000円になります。当院の患者さんの1/3~1/4は、この制度を利用されています。

当院では、助成金とは別に回数券制度を行なっています。回数券は有効期限が半年と1ヶ月の2種類あります。回数券は5枚綴りになっており、5回ご利用の場合、本来なら20000円のところが、18000円(有効期限、半年)と16000円(有効期限、1ヶ月)となります。

この回数券と助成金を利用すると、5回ご利用の場合、本来なら20000円のところが、13000円(有効期限、半年)と11000円(有効期限、1ヶ月)となります。となりずいぶんお得です。有効期限が1か月の回数券は、週1~3回利用される患者さんから非常に人気があります。これだと、本来4000円の施術費が2200円になるのです。

また、この回数券はご自身はもちろん、ご家族、友人も使用出来ます。ただし、助成金の対象が同じというのが前提です。例えば、回数券を購入された方が国民健康保険適用の場合で、適用外の友人の方がこの回数券をご利用する時は、1000円いただくことになります。それでも、本来4000円の施術費が1000円になるのですから、非常にお得です!

ドンドンご利用してください!

水仙の球根も!

 

ヒマワリの芽が、ずいぶん出てきました。父親が中学校の校長をしている時、生徒に花を育てる教育をして「花校長」と呼ばれていた理由を少しずつ体感できています。

芽にも個性があり、2~3個植えた種の中でどれを間引きすれば良いのか・・・・いつのタイミングで選別すれば良いのか?水を与える時期と天気の関係など・・・農家の方々の大変さを少しだけ追体験できてる・・・・いやいや、まだまだダメです。

畑に入り芽を見ていると、巨人のガリバーになった気持ちになり、ワクワクします。それが夏になると2mに成長して私より大きくなる予定なのですから楽しみです。

患者さんから、水仙の球根をいただきました。この球根はヒマワリが枯れて、冬に咲く花として活躍してもらいます。冬は日当たりが悪くなるのでどの程度植えれば良いのか・・・実験するしかないようです。これも楽しみです!

ソケイ部を緩める

 

最近、股関節の手術をする中高年齢層の方が増えているように思います。これは、股関節の過緊張を招く普段の姿勢、歩き方が原因です。股関節が緊張すると、ソケイ靭帯(股関節にある靭帯)が緊張し、その中を通る動脈、静脈、リンパ腺を圧迫することで、様々な機能の低下を招くことになります。二足歩行を始めた人類は、四つ足歩行の哺乳類に比べ、ソケイ部に負担がかかるのですから、ソケイ部が緩るむ生活をする必要があります。

それではどの様な姿勢と歩き方をすれば良いのでしょうか?

大野朝行先生の著書「生命の神業」から引用します。

『マノスへ(脱力した立ち姿)の姿勢を作って歩いてみましょう。まずは菱形筋(背中上部の筋肉)を意識して寄せます。すると、肩甲骨が寄って、胸の肋骨が引き上がり、顎も上がり、肩は後方に移ります。骨盤が後方に回旋して背中が陸(平ら)になります。同時に肛門は前方に移動して、お腹が引っ込みます。大腿の内転筋も動いて足先はややハの字になります。そこから小股でゆっくりと歩いてみましょう。脚は股関節から振り子のように降ります。これは腸腰筋を働かせています。

歩いた時に腰や大腿に力みを感じる時は歩幅が大きいのです。力みを感じないところまで歩幅を小さくします。歩幅を大きくすると、蹴る歩きになりやすいからです。

また、足を高く上げるのは大腿筋を使う無駄な動きです。踵を地面すれすれにして歩きましょう。力みをなくして歩くほど、アワ(生命力)が増えます。』

ヨモギ狩り

患者さんや患者さんの友人、私の友人からヨモギ情報をいただき、ヨモギ狩りをしていただきました。皆様、本当にありがとうございました!これらの貴重なヨモギをカリカリに乾燥させ、ミキサーで何度も何度も細かくしていくと、ヨモギの葉の裏側にある2種類の毛だけが残っていき、毛玉の様になります。これがモグサです。

愛媛県で唯一モグサ作りをしておられた棟田商会さんが、今年3月で店を閉じられました。そのため、「あじさいの杜オリジナルモグサ」を作ることにしたのです。鍼灸の専門学校では授業でモグサ作りをするところもありますが、私の母校では作りませんでした。そのため、初挑戦となります。まずどのくらいの量が必要なのかもよく分かりません。1度作ってみて、それから次のステップに進もうと思います。

今日の午前中、東温市の友人のl田んぼの畔(あぜ)にあるヨモギをいただきました。ゆっくりと散歩するだけで、気持ちよく、しかも「チネオール」という精油を含んでいるヨモギに触れるだけで、元気をもらえます。このモグサ作りが上手くいくと、何人かを集めてワークショップが出来るかも知れません。そうすれば、お灸が身近なものになって行くかもしれません・・・・まあ、とにかく作ってみます!

芽が出た!

駐車場に作った石垣畑にヒマワリの種を植え、芽が出始めました。当たり前のことですが、日当たりのいい場所から芽が出ます。この調子で夏までにどのようになっていくのか・・・さっぱり見当がつきません。

畑の南半分は、3階建てビルの影になるので、冬場は全く日が当たりません。そこで、あじさいの杜(もり)作りをしようと改めて思いました。実家の惣河内神社は、父親の意志を注いで弟夫婦が可憐な山あじさいを育て、「あじさいの杜」として有名になってきました。実家と松山では温暖差はあるものの、日陰になるため、山あじさいでも育つような気がしてきました。

畑の1/3位を可憐な山あじさいの杜に挑戦してみようと思います。残りの半分は、日当たりを好むヒマワリを夏に、冬は水仙を植えてみましょう!残り半分はやってから考えましょう。チョット先が見えてきました。

操体体操

 

少し先になるのですが、6月16日(金)13時からキャメルKというギャラリーで、「操体体操」というお話をすることになりました。その後、あじさいクラブとして演奏があります。演奏に関しては次々と新曲を練習し始めて、チョット焦っています。

操体法という民間療法を医師・橋本敬三先生が作られたのですが、あまり世には知られていないので、その紹介をすることにしました。私が30才の時、「からだの設計にミスはない」という橋本先生の本に出会い、非常に気になっていたのですが、離婚を機に操体法を学ぼうと決心しました。橋本敬三の弟子である三浦寛先生の元で、10年学び、その後やはり弟子の今昭宏先生に1年間学びました。そのため、鍼灸師として生活より操体法指導者としての生活の方が長いのです。今年で23年目となります。

その、「からだの設計にミスはない」の冒頭が魅力的だったのでご紹介します。

『日本は宝島

私の治療法ね、橋本式だとか、私が開発したものだとか、皆さんよくおっしゃいますが、これね、私が自分で発明したことなんか、何にもありゃしない。全部、民間から頂戴したものです。

私は50年も医者っていう名前で生きてきたけれども、その間にね、私は現代医学のアカデミー、いわゆる西洋流の医学からは何にも得たものがなかった。私に知恵を授けてくれたのは、みんな町の、民間の治療師や漢方医たちだったんです。

日本は宝島でね、宝がいっぱいあるんですよ。地理の上から見ても、日本は大陸のふきだまりで、いろいろなものが大陸から吹き寄せられてくる。この先はもう海に落っこちるだけとなれば、いいもの悪いものがどんどんたまってくる。古来からずいぶんと積もり積もってきたんだろうが、悲しいかな、どれが宝で何がガラクタかとんと区別がつかない。中には、21世紀の全人類に福音となるような宝だって埋まっているのだろうが、西洋から来たものだけが宝に見えて、古来から東洋に伝わり民間に残されているものをはガラクタに見えてしまうんだなぁ。私はこのガラクタのように思われているものの中から、21世紀の人類残す宝物を頂戴したと言うわけです。

(中略)

私は、若い頃、大学の研究上、研究室で神経生理をやっていたが、とうとう食いつめて、民間の病院に飛び込んだ。ところが、大学では研究ばかりで、臨床まるっきり経験していなかったために、すっかり現代医療に自信を失い、民間医療に目を向けたってことだから、私もあんまり自慢するほどのこともないわけだよなぁ。』

Cさん、続報

 

2週間前、1日中眠くてどうしよもない状態が続いていた30才代の女性患者Cさんの続報です。2週間前は、バスから降りていつの間にか道に倒れ込み寝てしまうほどでした。現在、眠気は無くなったのですが、一番気になるのは、側頭部の痛みです。

「仙骨を温めると調子が良いんです。」

と突然Cさんがポロッと発言されました。「そうですか・・・それは、良かったですね。」と反射的に応対したのですが、よくよく考えるとデルマトーム(皮膚分節)と関係があると思いました。写真のようにS1~5は、下半身の青い部分に神経支配があります。そのため、仙骨を温めると下半身も温まるのだと思います。次回の治療時にその説明をしようと思います。

さて、Cさんの側頭部痛ですが、Jソマトトープ及びKソマトトープが効果的でした。頭頂部を境に両親指の第一関節から末端までの大きさで頭の治療点があります。その側頭部にあたる圧痛点を見つけ、4本置鍼。

「どうですか?」

「・・・・・あれ?痛くない・・・・さわっても、硬いのがなくなっている・・・すごい!」

諸先輩が、Jソマトトープ、Kソマトトープの効果を発表されていますが、本当に効きます。これには、置鍼をした私自身が驚いてしまいました。頭痛には、Jソマトトープ、Kソマトトープ!です。

心腎不交

2週間前、1日中眠くてどうしよもない状態が続いていた30才代の女性患者Cさんの続報です。2週間前は、バスから降りていつの間にか道に倒れ込み寝てしまうほどでした。現在、眠気は無くなったのですが、精神的にややうつの状態で、一番気になるのは、頭頂部のコリと熱。頭頂部に500円玉ほどの大きさ2カ所が動かなくて、熱を持った状態です。

週に2回の通院で、自律神経と内臓の調整をしているので、徐々に症状が安定してきており、具体的な症状がはっきりしてきたようです。そこで、感じたのは東洋医学的な見方の*「心腎不交」*「心火上炎」です。

*心腎不交とは心火上炎などで生じた過剰な熱が腎(じん)の津液を消耗させてしまった状態を指します。イメージとしては鍋の中に入っている水が強火を受けることで蒸発しているようなものです。心腎不交の具体的な症状としては心火上炎の症状にくわえて下半身の重だるさ、手のひらや足の裏の不快なほてり感、寝汗、口の渇き、聴力低下や耳鳴りなどが挙げられます。

*心火上炎とは主に激しい怒りや精神的なストレスが慢性的にかかり続けた結果として現れる病能です。心火上炎の具体的な症状としてはイライラ感、焦燥感、多動、不眠症、のぼせ、顔面紅潮、口の渇き、口内炎などが挙げられます。心火上炎は心火旺(しんかおう)や心火亢盛(しんかこうせい)とも呼ばれます。

そこで、いつものように合谷診、膝診、上腕診、首診を行います。

合谷診:左(左側を診ます)

膝診:(省略)

首診:(省略)

膝診をしていると、Cさんが突然、

「頭が熱くなる前は、ずっと両脚のふくらはぎの奥がつった状態が続いていたんです。だから、背中が丸まった状態にいつもなっていたんです。」

「なるほど・・・・今、膝をチェックしていますが、これはふくらはぎの奥にあるヒラメ筋という筋肉のチェックです・・・・これが背骨の状態を表していると、考えています。背骨が萎縮していると、そこから出る自律神経の働きが悪くなります。ですから、ふくらはぎ、背骨、自律神経はつながっていると考えられます。最初に来られたときは、眠くなる原因が分からなかったのですが、自律神経を整えてはっきりと症状が出てきたような気がします。」

膝診をして、頭に置鍼(自律神経の調整)したあと、心と腎に関連する治療点に置鍼することを決めていました。膀胱に1本、心包に2本置鍼。

「これで、頭はどうなっていますか?」

「・・・えええええ?冷たい・・・不思議・・・・もう熱くないです。」

「よっしゃ!」

おもわずガッツポーズを取ってしまいました・・・・ちょっと、恥ずかしい・・・もっと淡々とすべきでした。

「これは、東洋医学的な考え方で、心腎不交といって心臓と腎臓がアンバランスな時の症状なんです。」

「腎臓ってどこにあるんですか?」

「背中の下の方です。」

「あああここ・・・ここ、硬くて痛い時があるんです・・・なるほど!」

と、Cさんは、納得された様子でした。これで、治療はほぼ終了。あとは、見つけた足の治療点にお灸をして完全終了となりました。

壁に感謝

 

長距離運転の仕事が入ったので、体調管理のため来院された30才代の男性患者Aさん。Aさんは、置鍼後の反応が早いのです。

「先生、全身が疲れとるんじゃけど、特にふくらはぎ・・・・長距離運転するけん・・・診てください・・・・前回の花粉症の治療で、花粉症良くなりましたわ!」

「それは、良かった!」

前回は目と鼻の治療点(オデコ)と、肺、舌咽神経の治療点(頭頂部)に置鍼したあと、オデコにパイオネックス(円皮鍼)を4個貼ったのが効いたようです。次回から花粉症の患者さんには、パイオネックスをおすすめしようと思います。Cさんの自律神経と内臓の状態を整えたあと、やはり両ふくらはぎに張りが残りました。このふくらはぎの張りにはデルマトーム(皮膚分節)を考慮した置鍼が一番効きます。写真で見るとブルーのS2の個所です。このS2の治療点が耳の前面(D点)にあり、正確に置鍼すると一瞬で緩みます。

「先生、鍼が刺さった瞬間、ふくらはぎに血が通うのが分かりましたわ。」

反応の早いCさんは、左右2本の置鍼で緩みました。全ての患者さんがCさんのような反応ならば良いのですが・・・・決してそうではありません。本日の急患の男性患者さんは、全く反応がないような状態でした。なぜこんなに違いがあるのかを考えるのは、次のステップとして必要なことだと思います。こういう壁に感謝です。