森下敬一先生、国会へ その2

 

昭和41年4月7日(木曜日)に森下敬一先生が、東京都赤十字血液センター技術部長の折、参考人として国会で述べられた言葉を、昨日から続けてご紹介します。

『私たちは新しい血液理論をすでに十年ほど前から提唱しておりますが、ガン細胞は赤血球からできるという理論は、私自身が五年前に書きました血球の起源という本の中にはっきり明記しております。昨年の七月にフランスの一流のガン研究者であるアルペルン教授が、これはオリジナルを私読んだのではございませんので、はっきり申し上げられませんが、マッチというフランス第一流の自然科学雑誌の中にガン細胞の増殖のしかたはどうも従来の考え方ではいけないらしいということで、どうももっと小さな血球様の細胞がお互いに融合し合って、そうしてガン細胞に変化をしているのではないかというような、私の考え方にたいへん近い理論を去年提唱しております。このオリジナルをぜひ私も検討したいと思っているわけですが、そういう考え方が出てきているように、ガン細胞というものは体内では決して分裂増殖をしておらないということを、私は確信を持って言えると思います。ぜひガン研究者にはこの点を既成概念にとらわれないで事実に忠実にひとつ御検討を願いまして、ぜひ再検討を試みられるようお願い申し上げたいと思います。

このガン細胞というものが分裂増殖しないということになりますと、当然治療対策は変わってまいります。現在は分裂増殖しているのだということで治療対策が立てられているわけですが、私はそうでないという考え方でございまして、もしそうでないということになりますと、当然治療対策は全面的に変えられなければならぬということになってまいります。ガンの治療対策としまして最も基本的なことは、先ほど申し上げましたように、ガン細胞は赤血球からつくられているわけでありますから、分裂増殖する細胞を撲滅するのではなくて――ガン細胞を撲滅しようという思想でつくられた治療法は全部だめであります。ガン細胞をつぶそうという考え方では――ガン細胞というものは、決してわれわれのからだの中で遊離している状態ではございません。ほかのからだの部分と完全に交通をしているわけでございますから、ガン細胞をつぶそうという考え方でつくられた化学薬品もしくは放射線というようなものは、必ず他の部分にも同じような打撃を与えるということを考えなければいけないわけです。したがいまして、こういう考え方のもとでつくられた療法というものは本筋ではないということになります。

残念ながら現在行なわれている療法の大部分がそれでございまして、そろいうことではなくて、ガンをなおすためにはガン細胞を赤血球に逆戻りさせればよろしいということになります。赤血球とそれから体細胞、ガン細胞もそうでありますが、すべて可逆的な関係がございます。からだのコンディションいかんによって赤血球がガン細胞、体細胞に変わっていったり、あるいは体細胞が赤血球に逆戻りをしたりという可逆的な関係があるわけですから、ガン細胞を赤血球に逆戻りさせる方法を試みればよろしいということになります。』

ガン細胞を赤血球に逆戻りさせる方法を明日のフェイスブックに記載します。森下敬一先生がウサギを餓死させ、腸壁と肝臓の状態を調べると細胞質が抜けてしまい、細胞膜だけになっていたという事実を何十匹のウサギで確認されています。これは、細胞質が赤血球に戻っていることを意味しています。森下先生は、餓死する1~2日前にウサギを調べると、細胞の周りには、細胞から出て来た細胞質が変化したと思われる赤血球、白血球が見られたそうです。

このように、けなげにも酸素の運搬を維持するため、赤血球の量を一定に保とうとウサギのカラダが変化していったのです。この可逆性こそが生命力です。

森下敬一先生、国会へ

 

今日来院されたお二人の患者さんは、私が名古屋の大沼四廊先生主催のナチュラルメデイスンで知り合った方の関係者でした。そこで、大沼四廊先生の師匠である森下敬一先生の話をすることにしたのです。下記のことを以前の投稿でしたのですが、この事を紹介しました。

『昭和22(1947)年、終戦後の食糧難の時代に、軍が池を遊ばせるのはもったいないので食用ガエルを養殖して食料の足しにしようと、新宿御苑をカエルの養殖池にした。それを耳にした当時学生の森下は、カエルを獲りに行ったところ、まだオタマジャクシだった。ウナギの頭に尻尾をつけたような大きなオタマジャクシで、これは食べられそうにないと思ったが、せっかく来たのだからと4、5匹持ち帰った。

そのオタマジャクシは背中は真っ黒なのに裏返してみると白く透明で、体の割に大きな心臓がピクピク動いている。心臓に針を刺すと僅かな血液が注射筒に入ってきて、その血液をスライドに載せて観察したら、大きな堂々たる赤血球だった。

手足の無いオタマジャクシの心臓には、すでに成長したカエルと同じ血液が循環していて、当然それが造られる場所は何処かということになる。心臓がピクピク動いているすぐ下に、腸がきれいに渦を巻いて、蚊取り線香のようなスパイラルがあるだけで他には何も見当たらなかった。そのときに、赤血球を造っているのは間違いなく腸だなぁと、直観的に思った。これが、森下が腸造血説に至るきっかけだった。』

手と足がないオタマジャクシには骨髄がありません・・・にも関わらず今だに、骨髄造血説がまかり通っています。何でこの事に人々は気付かないのでしょうか・・昭和41年に、森下敬一先生が国会で参考人として証言されている文献がありますので、一部をご紹介します。

『私たちの新しい血液理論というのは、われわれのからだの中を流れている赤血球という細胞が腸でつくられ、腸でつくられましたこの赤血球がからだの中を循環いたしまして、そしてからだの中のすべての組織細胞に変わっていくということであります。皮下脂肪組織も、それから肝臓の細胞も、あるいは骨髄の細胞も全部赤血球からつくられております。この腸でつくられる赤血球の素材は食べものでありまして、簡単に俗っぽい表現のしかたをしますと、食は血になり、血は肉になるという考え方であります。この食は血になり、血は肉になっていくという考え方がいまの医学理念の中に存在をしておらないということが、現代医学をして一つの壁にぶつからしめている非常に大きな原因であるという考え方を持っております。

この赤血球とからだの細胞との間には可逆的な関係がございまして、生理的な条件下では赤血球がからだの細胞に変わってまいりますが、病的な状態では体細胞から赤血球に逆戻りをするというような可逆的な変化というものが実は存在しております。こういう、食べものがわれわれのからだの中を流れている血液に変わり、この血液がからだの細胞に変わっていっておる。しかもコンディションのいかんによっては赤血球と体細胞との間に可逆的な関係が存在しているというたいへん大事な事実がいまの医学の基礎知識の中に存在をしておらないということが、実はこれはガン問題にも関係いたしております。

といいますのは、結論的なことを先に申し上げますと、ガン細胞というものは、からだの中では細胞分裂増殖をいたしておらないという考え方を私たちは持っております。ガン細胞というものは分裂増殖をするというのが、いまのガン学者たちが信じておられる定説でございますけれども、われわれの体内のガン組織というものは、これは決して分裂増殖をしておらない。では、なぜガン組織が増殖をし、大きくなっていくかといいますと、これはからだの中のすべての組織細胞が赤血球からつくられているのと全く同じように、赤血球がガン細胞に変わっていっております。赤血球もしくは白血球がガン細胞に変化をしまして、そうしてガンが増殖をしていく、こういうたいへん大事な基礎知識がいまのガン研究の中に存在をしておらないということが、ガン研究を本筋に乗っけておらない真の理由であるという考え方を持っているわけです。』

この答弁後、数名のガンの専門医証言がありましたが、森下敬一先生の説明を取り上げられなかったようです・・・

Give and give

鍼灸院と看板を掲げると、敷居がどうしても高くなります。特に、当院は予約制のため、飛び入りの治療がしづらい状況にあります。そこで、ある患者さんから面白いアイディアを頂きました。

「先生、畳部屋でゆっくり時間を過ごすだけの時間を作ってあげたら、どうです?無料で。」

「確かに、それは面白いですね・・・・最近、畳部屋が少なくなっ来て、畳部屋でゆっくり仰向けになる事がないとおっしゃる患者さん、多いんです。」

その患者さんは、まず身近の人たちとしっかり接して、必要な物を、give and give 与え続けることが大切だと、指摘してくれました。確かに当院の近くには、中学校があり通学路になっており、信号も近くにあるため、朝の出勤時には、車の行列が出来るところ。この状況をしっかり把握して、次のステップに進むべき時期かも知れません。そうすることで、敷居が低くなって交流が自然に生まれてくるように思います。その様になれば、いつの間にか、give and takeの関係になっていくように感じます。

出来れば、中学校の2学期が始まる前に、看板を作るつもりです。今日は、パテを塗って準備が出来ました。明日、明後日でデザインの下絵が出来るといいのですが・・・お楽しみに!

肩の痛みが無くなる

 

3週間前に作ったYouTubeあまり、見てもらってないのですが、肩こり、肩痛に効果があります。60才代の男性患者Aさんが来院。最近は畳部屋で両脚の長さを調整して、その後、左鎖骨の圧痛点を確かめて、その圧痛を取る操法をしています。Aさんは、6月7月と肩に何かが乗り付いたような痛みがあったのですが、8月になって痛みが無くなりました。

Aさんが仰向けになっていると、突然、左肩に痛みが出てきました。そこで、左の腰にある圧痛点に硬式ボールが当たるように畳に起き、両膝を立ててもらいました。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、ヘソを中心に膝の治療点は同側の肘、足首の治療点は同側の手首と考えられており、肩ならば同側の臀部、腰にあたります。そのため、Aさんの左腰に硬式ボールを置いたのです。

次に、後頭部にラムダ縫合というへの字の形をした縫合に肩の治療点があります。中央部から2 cmほど左に左肩の治療点があります。ここに置鍼すれば治療になるのですが、硬式ボールを使ったセルフケアでできます。ラムダ縫合のAさんに仰向きになってもらい、両膝を立ててもらいます。つま先をそらすと連動してアゴが上がります。ラムダ縫合の中央部から2cmほど左の治療点に、硬式ボールの縫い目合わせると、治療になります。

「Aさん、肩の状態どうですか?」

「・・・・痛くないですね・・・・ここ(左肩)を摘んで押すと・・・痛かったんですが、今は痛くないですね。」

「結構効くでしょう・・・・これを覚えておくと便利ですよ。」

という事で、Aさんには、納得してもらいました。興味ある方は、YouTubeをご覧ください。

仙台育英優勝おめでとう!

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宮城県代表の仙台育英高校が、東北勢初めて優勝!

東北とはあまり縁がない私ですが、嬉しくなりました。大学時代の先輩、後輩には東北出身の野球メンバーが数多くいたので、その方々が喜んでこんいるイメージが浮かぶと、本当に嬉しくなります。私がバットを短く持って、当てるバッチングだけしかしていなったのを見た秋田県出身の先輩が、

「佐伯、バッチングは、・・・キン◯マを、はさむ事。」

この一言で、私の野球人生がガラリと変わったのです。下半身の捻りを上手くバットに伝えると打球は飛んでいくのです。この一言を体得すると、もうホームランしか狙わないバッターに変身してしまったのです。どんなことがあっても、私はバッターボックスで構えるとホームランしか狙っていませんでした。170cm70kgの思い切りのいいバッターになってしまったのです。しかも、直球を「1、2の3」で待っている単純なバッター。変化球をヒットにする事はありませんでした。

それで打ったホームランは2本だけ。打撃に関しての記憶は断片的で、高校の打撃はほぼ覚えていません。大学でもいい加減なもので、2本のホームとランと、1本の三塁打を覚えているくらいですが、1番の記憶は、なんと言っても3年の春。ベーブルースがホームランを打った静岡県にある草薙球場での合宿のこと。

選抜高校野球準優勝投手という、鳴り物入りの初見投手が我がチームに入って来た時、大学野球の力を見せつけようと私が最初にバッチングゲージに入ったのです。その日は霧に覆われ湿気が多く、しかも練習用のボールとなると、ボロボロで重いのです。こんなボールは芯に当たらないと飛びません。公式試合で使用するボールは新しくて軽いので、真芯に当たっても手ごたえが無いのです。ところが、ボロボロのボールでしかも湿気がいっぱいの物を真芯で捉えると、物凄い手ごたえがあるのです。その時は、その感覚。1年生の初見がピッチングマシンにボロボロボールを入れて、

「ボールいきます。」

「ガキーン!」

とんでもなく重い感覚がバットを振り抜いた後まで、残りました。その重い感覚が一直線で外野席の芝まで(つまり、ホームラン)繋がっていったのです。「ドスン」という音を残して。しかも、2打席連続で・・・・これには、あの初見も頭を抱えて、

「スゲエーーーー」

とまでは覚えいるのですが、それ以降の私の成績は下がる一方・・・でも、こんな事を書く事が出来たのは、仙台育英高校のおかげです。・・・仙台育英高校おめでとうございます。ありがとうございます!

骨盤調整と手当て

(この場所は治療点ではありません)

 

体調管理で月に一回来院されている70才代の男性患者Cさん。今日は、あまり悪いところがありません。

「そうしたら、今日は足揉みをしましょう。」

と言うことになり、畳部屋に移動してもらいます。仰向けになったCさんはやはり、右足が1.5cmほど縮んでいます。この場合、足揉みをするだけでカラダがゆるみ、骨盤が元の位置に戻ります。15~20分足揉みをすると、左右差が無くなりました。山元式新頭鍼療法(YNSA)に於いても、上腕診で脳と脊柱の状態を診断治療する基礎治療を行います。これで、骨盤が元に戻るのです。同じ様に足揉みで骨盤が元に戻り基礎治療出来たことになります。

次に、仰向けになったCさんの後頭部を軽く私の両手のひらに乗せて、ゆっくりしてもらいます。しばらくすると、

「先生、左の腕(上腕)が痛くなって来たんですけど・・・」

「分かりました・・・・そうしたら、ここ(耳とこめかみの中間にある圧痛点)に痛いところありますか?」

とCさんに上腕の治療点に軽く右手中指の先を軽く触れる操法。これで、少し上腕が緩んだようです。ここまで来たら、私が見つけて勝手に治療点としている足のツボに軽くふれることにしました。

「先生、ゆるんで来て、気持ちいいです。」

やはり、この治療点は間違いないようです。これをどのように証明するといいのかが、難しいのです。

となりのトトロ

夏休み恒例「となりのトトロ」のテレビ番組が昨日ありました。しばらく観ていないので、とても新鮮に観ることが出来ました。主人公の一人、次女のメイちゃんが、ほぼ私と同じ世代です。私は今年で68才になるので、60数年前の時代背景になります。大学教授のお父さんが、田舎(多分、茨城県)に家族でお引越し。三輪トラックで舗装されていない道を走るというシーンは、心に響きます。私が幼い頃の道路は、赤土の凸凹道でした。

典型的な日本家屋に、戦後のアメリカからの影響で、洋間を作り足した家屋で繰り広げられる物語。私には2つの故郷が重なって見えてきました。1つは、実家の茅葺民家で11才まで過ごした体験。実家は神社の社務所だったので、遊び場は、神社。その御神木は樹齢1000年近い(正確にはよく分かりません)ウラジロガシ。このウラジロガシには洞があり、小さな子供達は、中に入ることができ、しかも中からよじ登って鳥居の天辺を眺めることが出来たのです。この遊びを毎日していたのです・・・なんと言う凄い体験なんでしょう。丁度、メイちゃんが大きなクスノキの洞に入って、トトロと出会うシーンと重なるのです。

2つめは、メイちゃんがトトロからもらったドングリを庭先に植えたシーン。メイちゃんがお父さんと姉のサツキを誘って夜に、何度も何度も両手を上げて皆んなで尻もちをつくシーン。すると、みるみるうちに、芽が出て一気に大木へと成長するのです。

私は長女がメイちゃんと同い年になる頃、京都の山奥、美山町というところで生活していました。トトロの映画と同じくらいの田舎でした。茅葺き屋根の民家で小さな庭に、柿の木が植わっていました。そこにドングリを植え、毎晩長女(メイちゃんと同じ帽子をかぶって)と私と元妻で何度も何度も両手を上げて皆んなで尻もちをつくシーンを再現していました・・・・今となっては、本当に貴重な体験でした。

「三子の魂百までも」といいます。我が子3人すっかりアメリカ人になってアメリカで生活していますが、美山町の生活が少なからず影響していると信じています。

生き物の本質

今回も森下敬一先生の研究掲載をおこないます。

『我々の体の中で、細胞が最も代謝されているのは肝臓である。肝臓は猛烈なスピードで代謝されているにも拘らず、肝細胞に分裂能力は無い。

Yノート7:森下博士 研究半生を語る(餓死寸前の動物の細胞は細胞質が抜けて血球数を保つ)

森下は永年に亘り顕微鏡を覗いて観察し続け、ついには右目の網膜が焼けるほどで、「右目の視力は殆ど無い」とよく述べていた。それほど観察しても、肝細胞が分裂するのを観たことが無く、また他者が提示した細胞分裂写真も見たことが無い。

肝臓は明らかに血球から形成されているし、絶食したり病気になった場合の肝細胞は赤血球または白血球に姿を変えて、肝細胞自体は細胞の膜だけが残って中はがらんどうである。

森下は、ウサギをはじめ色々な動物を何十匹も餓死させて実験した。食べ物を与えないでいると、最後は自分の毛を食べる。だから腸の中に、自分の体毛がたくさん詰まっている。そのような状態で、腸壁の組織、肝臓の組織、その他も全身的に何回も調べたが、細胞の中は空っぽになっていた。核が一部残ったりすることはあるが、細胞質は全部抜けてしまい、細胞膜だけはしっかり残る。

細胞質は何のために、何処へ行ったのか。これは、明らかに細胞質が赤血球に解体したということを動物実験で観察できる。餓死する1‐2日前に動物を調べると、細胞の周りには、細胞から出てきた細胞質が変化したと思われる赤血球・白血球がある。それによって、血液中の赤血球数は一定数を保ち続けようとしているのだ。断食では腸で造血できないために、まず脂肪組織を血液に戻し、骨髄脂肪も赤血球に戻っていく。その赤血球の逆分化の状態を、飢餓状態のハトやニワトリでマンチェスター病院の病理学研究者らが観察し、骨髄造血説が主張されるに至ったのである。

テレビなどで癌細胞として放映されるHeLa細胞というのは、いわば分裂するように調教されているもので、森下の印象では、原虫か細胞かよく判らない丸い球体が、両側で逆回転をしてフワッと分かれるのを観たことがある。そのことを細胞分裂と言っているのかと思ってみるが、一般的に細胞分裂と考えられている現象は、どうもそれではないらしい。違うとすれば、森下は医学上の定理とされている細胞分裂(細胞は細胞から)という現象を観たことが無い[5]。』

上記の記載にある、

「断食では腸で造血できないために、まず脂肪組織を血液に戻し、骨髄脂肪も赤血球に戻っていく。その赤血球の逆分化の状態を、飢餓状態のハトやニワトリでマンチェスター病院の病理学研究者らが観察し、骨髄造血説が主張されるに至ったのである。」は、骨髄造血説が唱えられる非常に偏った現象時における特殊な赤血球の成り立ちを、あたかも常時、骨髄から赤血球が出来るとしたに過ぎないのです。大沼四廊先生がおっしゃるように、存在説があるだけで骨髄での造血説は、世の中には無いのです。また、飢餓状態で生命を保とうとして、必死で赤血球の量を一定にする活動が生き物の本質です。赤血球は酸素を運んでくれる最も大切な細胞だからです。そのため、必死に変化するのです。それが、生き物です。

モネラ

昨日に続き、森下敬一先生の研究をご紹介します。

森下先生は、医学生の時、オタマジャクシの心臓から摘出した血液に、立派な赤血球があることから、骨髄造血説が間違いであると確信します。なぜなら、オタマジャクシには手足がなく、骨髄がないからです。そして、直感的に血液は腸から出来ると思いました。まず、骨髄造血説を否定する実験をします。それを記載します。

『人間も含めて動物の骨髄組織は、重量的にみると約95%が手足の長管骨にある。長管骨に出入りする血管というのは、針の孔くらいが1ヶ所だけポツンと開いていて細い血管が1本通っているだけであり、骨髄組織を遮断することは難しくない。当初は結紮していたが、順天堂医院で外科だった医師が入室し電気メスで焼灼してスピーディーになった。

教室には常に10人ほどの研究員がおり、長管骨を遮断したあとの動物の赤血球数を調べたが、手術のストレスが残る1週間から10日を過ぎれば赤血球数はちゃんと元に戻り、長管骨を遮断しても事実上血液の量に増減が無いことを確認した。』

とあります。つまり、骨髄以外から赤血球が作られるという証明になります。実際、骨髄から針の太さの血管が通っていることだけで、血液を作る臓器ではないことが分かります。そこで、腸造血説に必要となる食べ物から作られるモネラという重要な物質についての記載があります。

『森下は、若いころから「自然界においては、すべてのものは動き変化していく」という考え方をもっていた。「細胞は細胞から」というのは、原因も結果も無いということになる。ある原因があって結果が生まれる。その結果がまた原因として次の結果を生み出す。そうした因果関係を明らかにしていくのが科学の使命であって、科学という以上は、ものごとの因果関係が説明できなければならない。同じものが続くというだけでは、原因も結果も無いということで、何も生まれてこないではないか。

食べ物が消化されてモネラになって、モネラから原始的な赤血球になり、更に高次元の体細胞に発展していく。

物質と生命の間には越えがたい溝があるわけだが、その溝に橋渡しをするものがモネラというもの。*オパーリンは、物質がだんだん変化して、生命の一歩手前の「コアセルベート」ができるというところまでは証明した。これは世界的に受け容れられている。*オパーリンはコアセルベートまでは観ているのに、その間が断層になっている。そこを埋められるのは、「モネラ」の概念しかない。

Yノート6:森下博士 研究半生を語る(モネラの考え方)

例えば、卵の黄身が孵化するとき、卵黄を構成している卵黄球というのはひとつの有機物質だと考えて良い。有精卵を数日ほど孵卵器の中に置いておくと、最初に卵の黄身の表面に赤い点々がたくさん出てくる。その部分だけを取り出して顕微鏡で観てみると、明らかに赤血球である。それは何処から出て来たのか。その赤血球が寄り集まったブロックが、互いに繋がり合って血管ができ上がる。その血管の一部が拍動し始めて、まず心臓の原型みたいなものができ、そのポンプのような力で血管の中を赤血球が効率的に輸送されていき、ヒヨコの全身がつくり上げられていく。最初は、卵黄球というブロックが集まった物質である卵黄しかないのに、何処から赤血球が出て来たのかということになる。だから、特殊な有機物から細胞ができ上がるということは判っている。

モネラというのは、ヘッケルというドイツの生物学者が、微生物の世界や動植物の世界を観て、モネラという存在を介して細胞が生まれてくると述べている。論文では、モネラから発展する色々な細胞の絵を描いているのだが、その大元になるのはモネラであるという考え方で、それは彼の顕微鏡的な観察である。

学説としては、赤血球から白血球、白血球から細胞、或いは、赤血球から直接様々な細胞へ、の両方がある。血液からそれぞれの細胞になるのは、組織細胞からの導引である。導引されてある組織に入ったものは、その細胞になる。例えば肝臓に導引されて、周りがすべて肝細胞なのに1個だけ腎細胞になるというわけにいかない。』

*オパーリンは1920年頃、生命の起源について自説の本質部分を発表している。当時、最初の生命については自家栄養的好気性細菌(遊離酸素を使って無機物を酸化することでエネルギーを得、これを利用して二酸化炭素を還元して有機物を合成し、増殖していく微生物)というのが定説となっていたが、彼はその説を批判し、「他家栄養的嫌気性細菌こそ最初の生命である」と植物学会で述べている。

今回はこれまでにしておきます。森下敬一先生を学ぶことで、大沼理論の概要が徐々に分かって来始めました。楽しくなってきました。

オタマジャクシ

腸造血説が生まれるエピソードを、Wikipediaからご紹介します。

『森下博士 研究半生を語る(腸造血説に至るきっかけ)

昭和22(1947)年、終戦後の食糧難の時代に、軍が池を遊ばせるのはもったいないので食用ガエルを養殖して食料の足しにしようと、新宿御苑をカエルの養殖池にした。それを耳にした当時学生の森下は、カエルを獲りに行ったところ、まだオタマジャクシだった。ウナギの頭に尻尾をつけたような大きなオタマジャクシで、これは食べられそうにないと思ったが、せっかく来たのだからと4、5匹持ち帰った。

そのオタマジャクシは背中は真っ黒なのに裏返してみると白く透明で、体の割に大きな心臓がピクピク動いている。心臓に針を刺すと僅かな血液が注射筒に入ってきて、その血液をスライドに載せて観察したら、大きな堂々たる赤血球だった。

手足の無いオタマジャクシの心臓には、すでに成長したカエルと同じ血液が循環していて、当然それが造られる場所は何処かということになる。心臓がピクピク動いているすぐ下に、腸がきれいに渦を巻いて、蚊取り線香のようなスパイラルがあるだけで他には何も見当たらなかった。そのときに、赤血球を造っているのは間違いなく腸だなぁと、直観的に思った。これが、森下が腸造血説に至るきっかけだった。』

とあります。食べ物が腸に行き、血液になる何と単純明解な事でしょう!また、陰陽五行の東洋医学の世界では、肝臓-胆嚢 心臓-小腸 脾臓-胃 肺-大腸 腎臓-膀胱 が陰陽の関係にあり、心臓-小腸が表裏一体であることが古代より伝わっているのです。小腸で血液が出来、心臓で運ばれるという事実を物語っています。