3年ぶりの患者さん

3年ぶりに来院された70才代の男性患者Cさん、再来院から2回目 の治療となります。側屈すると右臀部から膝にかけて痛みが走ります。しかし、ゴルフスウイングのように捻(ひね)る動きでは痛みが出ません。昨日は、ゴルフを楽しんでおらたそうです。最近の治療では、畳部屋で骨盤調整と、左鎖骨の調整を最初にするようにしています。ただし、Cさんだけは、左鎖骨の調整をしないようにしています。前回の調整で、反対側の右肩辺りに痛みが生じたからです。理由はよくわかりませんが、かなりの痛みだったようなので、やめました。

治療を終えて、時間を置いた後、その痛みの理由を私なりに推測してみました。Cさんは、普段ガニ股歩きをしてます。そのため、畳部屋で仰向けになると、極端に足先が外側に開きます。つまり、背中側の筋肉が縮む傾向があるように思います。臀部に痛みがあるのは、ガニ股で臀部が縮んでその延長で脊柱起立筋を始めとした、背部の筋肉に緊張があるのだと思います。

その結果、前回治療(左肩甲骨付近に硬式野球ボール3個が当たるように、畳の上におき、患者さんは気持ちよさを味あう)では、左肩甲骨付近が緩んだぶん、右側が縮んで痛みが生じたのかも知れません。これは、あくまで推測なのではっきり言えませんが、今後ともCさんのガニ股と背中側、肩甲骨辺りの関係を調べてみようと思います。いつものように、頭に頭に10本の置鍼をした後、右臀部の痛みを聞くと、

「・・・まだ、お尻のほうに痛みがありますね・・・・太ももの外側の痛みは無くなっています。」

「そしたら、お灸をしましょうか?」

ということで、見つけた足の治療点にお灸をすることにしました。

「このお灸は、紫雲膏をたっぷり塗ったあと、モグサを乗せて火をつけるので、痛くないです・・・・どうですか?」

「全然痛くない。」

痛くないお灸を6壮した後、

「どうですか?」

「あれ?痛くない(右臀部)・・・・凄いな!」

「結構効くでしょ?・・・・ここへ、せんねん灸をすれば、いいんですよ・・・せんねん灸は、ちょっと高いから、紫雲膏とモグサ買ってやった方が、お得ではありますけど・・・」

「そうじゃね、紫雲膏とモグサを帰りに買います・・・・あれ、今度は左のお尻が痛くなった。」

「あああ・・・元々、左にも痛みがあったんですよ、右の痛みが無くなったんで、感じるようになったんですね。」

そこで、右足の治療点にお灸を3壮。

「どうですか?」

「・・・・・痛ない!」

ということで、本日の治療は終了となりました。

肩の痛みが無くなる

 

3週間前に作ったYouTubeあまり、見てもらってないのですが、肩こり、肩痛に効果があります。60才代の男性患者Aさんが来院。最近は畳部屋で両脚の長さを調整して、その後、左鎖骨の圧痛点を確かめて、その圧痛を取る操法をしています。Aさんは、6月7月と肩に何かが乗り付いたような痛みがあったのですが、8月になって痛みが無くなりました。

Aさんが仰向けになっていると、突然、左肩に痛みが出てきました。そこで、左の腰にある圧痛点に硬式ボールが当たるように畳に起き、両膝を立ててもらいました。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、ヘソを中心に膝の治療点は同側の肘、足首の治療点は同側の手首と考えられており、肩ならば同側の臀部、腰にあたります。そのため、Aさんの左腰に硬式ボールを置いたのです。

次に、後頭部にラムダ縫合というへの字の形をした縫合に肩の治療点があります。中央部から2 cmほど左に左肩の治療点があります。ここに置鍼すれば治療になるのですが、硬式ボールを使ったセルフケアでできます。ラムダ縫合のAさんに仰向きになってもらい、両膝を立ててもらいます。つま先をそらすと連動してアゴが上がります。ラムダ縫合の中央部から2cmほど左の治療点に、硬式ボールの縫い目合わせると、治療になります。

「Aさん、肩の状態どうですか?」

「・・・・痛くないですね・・・・ここ(左肩)を摘んで押すと・・・痛かったんですが、今は痛くないですね。」

「結構効くでしょう・・・・これを覚えておくと便利ですよ。」

という事で、Aさんには、納得してもらいました。興味ある方は、YouTubeをご覧ください。

骨盤調整と手当て

(この場所は治療点ではありません)

 

体調管理で月に一回来院されている70才代の男性患者Cさん。今日は、あまり悪いところがありません。

「そうしたら、今日は足揉みをしましょう。」

と言うことになり、畳部屋に移動してもらいます。仰向けになったCさんはやはり、右足が1.5cmほど縮んでいます。この場合、足揉みをするだけでカラダがゆるみ、骨盤が元の位置に戻ります。15~20分足揉みをすると、左右差が無くなりました。山元式新頭鍼療法(YNSA)に於いても、上腕診で脳と脊柱の状態を診断治療する基礎治療を行います。これで、骨盤が元に戻るのです。同じ様に足揉みで骨盤が元に戻り基礎治療出来たことになります。

次に、仰向けになったCさんの後頭部を軽く私の両手のひらに乗せて、ゆっくりしてもらいます。しばらくすると、

「先生、左の腕(上腕)が痛くなって来たんですけど・・・」

「分かりました・・・・そうしたら、ここ(耳とこめかみの中間にある圧痛点)に痛いところありますか?」

とCさんに上腕の治療点に軽く右手中指の先を軽く触れる操法。これで、少し上腕が緩んだようです。ここまで来たら、私が見つけて勝手に治療点としている足のツボに軽くふれることにしました。

「先生、ゆるんで来て、気持ちいいです。」

やはり、この治療点は間違いないようです。これをどのように証明するといいのかが、難しいのです。

感覚の鋭い患者さん

60才代の男性患者Aさん、非常に感覚が鋭く鍼を刺すたびに、痛みがどこに走るか教えてくれます。今回は右側の首痛と左肩痛が激しくて来院されました。特に右側へ首を回すと右首の根元に痛みが走るそうです。

合谷診:人差し指と親指の間の触診→左に圧痛→左膝

膝診:頸椎#1~7(3)、胸椎#7、8、9、12(1)、腰椎#6(0)、大脳(1)、小脳(0)

首診:右大腸(1)、右三焦(1)、左腎(0)、左膀胱(1)、左肝(1)、左胆(1)、左心包(0)、左大腸(0)、

左三焦(1)、左胃(1)、左脾(1)、左小腸(0)

(   )内は置鍼数

最近は上腕診の代わりに膝診のみにしています。理由は、詳細に痛みや硬結が分かるからです。そして、治療点(オデコ中央部)に爪を立て押圧すると、膝の診断点が反応するのが分かるからです。特にAさんのように感覚の鋭く素直な患者さんは診断点の緩みが面白いように分かります。

「痛い!・・・・あれ?首がよう回る・・・先生、この1本だけで、治った・・・そんな気がする。」

Aさんにはこの鍼が頸椎の治療点に刺しているとは、言っていないのにかかわらず、首が良くなったと教えてくれました。膝診では頸椎の1番から7番までの状態が分かるので、この1本で頸椎が完全によくなってはいない事が分かります。まだ、膝に痛みが残っているからです。そこで2本目の刺鍼。

「痛った!・・・・ここ(右側頭部)に走った・・・・ひどいな!あれ?ノドが楽になった・・・声がよう出る。」

なぜ右側頭部に痛みが走ったのか分かりませんが、ノドが楽になったのは、頸椎の治療点に刺鍼したためであろうと思います。次に胸椎の12番の診断点(左膝ウラ外側)の圧痛を左眉毛の内側上に置鍼して、左膝ウラの圧痛点が緩み柔らかくなったのを確認。この置鍼の影響で膝ウラ中央部の圧痛点がなくなりました。また、腰椎の診断点の圧痛もなくなりました。Aさんのように感覚の鋭い患者に接すると、改めてYNSA の創始者・山元敏勝先生の凄さを感じます。ピッタリと治療点と診断点が合致し、しかも他の診断点にも影響を与えるのが分かります。山元先生は、数多くの鋭い感覚の患者さんからの発見を独自に体系化されたのです。まさに天才です。

膝診の次は首診です。Aさんは右首に痛みがあるので、首の痛みを取る絶好のチャンスです。治療点は側頭部、頭頂部とあり、そこに置鍼します。胃の治療点(側頭部)に置鍼すると、

「ここは、胃の治療点です。」

「思い当たりがあります・・・暑いけん、冷たい水よう飲んどる・・・・目がよう見えるようになった。」

Aさんは、目に反応することが多いのです・・・というか、YNSAでは目が良くなったという患者さんがかなりおられます。この理由をもう少し考える必要があります。Aさんの訴えていた右首の圧痛部は、ちょうど大腸と三焦(消化器)の診断点にあたります。そこでそれぞれの治療点(頭頂部)に置鍼。

「先生、左より首が回るようになった・・・・ひどいな・・・先生、あとは左の肩だけじゃ。」

左の肩狙いでB点(オデコ中央部)に置鍼。

「先生、もう十分じゃ・・・・これで、ええもう痛ない。」

Aさん自ら、治療の終了宣言。本当に楽で楽しい患者さんです。

鍼を打たない鍼灸院

(写真は、ご本人とは関係ありません)

50才代の女性患者Aさん、3ヶ月前に来院され、1回の治療で良くなりその後、順調だったのですが腰痛が再発。調理の仕事のため、立ちっぱなしで両手も良く使うので、肉体的に大変です。前回は鍼治療だったので、Aさんはもちろん鍼治療に来られました。鍼治療の前に畳部屋で骨盤調整と鎖骨調整(最近の治療では、これを取り入れています)を行います。Aさんにとって、この操法が合っていると感じたので、もう少し続けることにしました。

大沼四廊先生に承諾を得て、骨盤調整と鎖骨調整は、操体法で行なっています。操体法の基本理念は、「カラダの歪みを気持ち良く正す」です。この治療法を20年以上行なっているので、鍼治療が嫌いな患者さんには、操体法のみの治療も可能です。

「どうですか?・・・腰」

「何か良いみたい・・・・肩を緩めると・・・・目が覚めてきた。」

「血流が良くなっているんですよ・・・・そしたら、今度は別のことをしましょう。」

大沼四廊先生に習った万能ゴムバンドの脚巻きをすることにしました。

「・・・結構キツく縛るんですね・・・えええ~こんなに!」

「ボクも、最初は恐々(こわごわ)やってたんですよ・・・でも、全然大丈夫なの・・・毎日、自分にやってるんじゃけど、血管年齢10才も若くなった!」

Aさんのゴムを解(ほど)くと、

「足の血色が良くなった・・・・軽い、右脚に比べて、左脚が軽い!」

今度は、右脚をゴムグルグル巻きで両脚が軽くなりました。ついでに両肩のゴムグルグル巻きで治療終了。

「どうですか?」

「腰、全然痛くない!」

鍼治療が怖い方は、こんな治療法もあります。興味ある方は、いつでもお待ちしています。

委中というツボ

 

60才代男性Aさん、3週間前にギックリ腰になり、2日間はベッドから動くことが出来ない状態。1週間は仕事を休み、その後歩行可能になったので、出勤出来るようになりました。前傾姿勢を取ると、腰全体が固まったようになり、痛みを感じます。

合谷診:人差し指と親指の間の診断、左に圧痛があるので左側を診断

膝診:胸椎#6、7(1)、脳幹(1)、大脳(1)

首診:右腎(1)、右膀胱(1)、右大腸(0)、右三焦(1)、左大腸(0)、左三焦(1)、左小腸(0)

(   )内は置鍼の数、(0)は置鍼しなくても圧痛点がなくなった事を意味します。

私は、勝手に上腕診と膝診を併用しています。上腕診では全く反応がなかったのですが、膝診では反応(圧痛点)があったので丁寧に診断、治療をしました。特に気になったのは、胸椎#6、7の診断点。この治療点は、膝ウラの中央部に位置します。ここは、委中(いちゅう)というツボなのですが、このツボは、腰痛のツボとして有名なのです。ということは、この委中が緩むと腰痛が解消する可能性があります。胸椎#6、7(1)=委中の治療点は、左眉毛の1cm上の中央部の圧痛点です。置鍼後、

「どうですか?・・・・前かがみをして・・・痛いですか?」

「・・・・・痛くない!」

やはり!と思ったのです。眉毛の上の治療点の置鍼は、膝痛を解消します(YouTube参照)。

その上、腰痛に効くとなると非常に便利な治療点になるかも知れません。今後とも研究する価値があるようです。

その後、万能ゴムバンドで両脚、骨盤のグルグル巻きをして終了となりました。まだ動作は腰痛を怖がっておますが、痛みはほぼないようです・・・・良かった、良かった!

高齢者の睡眠不足

90才代の男性患者Bさん、今月に入って睡眠不足で悩んでおられます。「高齢者 睡眠不足」で検索すると、様々な理由が列挙されておりBさんがどれに当てはまるか、分かりません。ただ、納得がいく説明があったので紹介します。

『生活習慣を整えて不眠を改善するためには、メリハリのある睡眠習慣を身に付けることが大切ですが、そのためには眠い時に寝床に付くのを心がけましょう。

高齢者の中には「やることがないから寝る」という方も多く、昼間に午睡する・夜も早めに寝るというケースも多いのですが、不要な睡眠をとると日中の活動時間が減り夜の睡眠の質が落ちてしまいます。

質のよい睡眠をとるために体のコンディションが整うのは平均して午後10時半ごろなので、なるべく遅くまで起きていて、本当に眠くなるまで床に入らないようにしましょう。

また、日中の午睡前にカフェインの入ったコーヒー・紅茶などを飲むと、寝起きにスッキリするのでおすすめです。』

Bさんは几帳面な性格なので、毎日の生活パターンが決まっているようなのです。驚いたことに、午後6:30には入床するそうです。これでは、眠れる訳ありません。

「そんなに早く床についたら誰でも、眠れませんよ。」

「・・・いや、そういう生活をしとるけん、中々変えられん。」

非常に頑固なBさんですが、「質のよい睡眠をとるために体のコンディションが整うのは平均して午後10時半ごろ」ということをしっかり説明して、「眠い時に寝床に付く」という生活習慣を作るように説得しようと思います。

万能ゴムバンド恐るべし

 

40才代の男性患者Cさん、インターネットで当院を見つけて初めての来院。1週間前から左肩甲骨の内側が痛くなりました。建築業の仕事に携わっておられるので、筋肉質のガッチリとした体型で、触れると筋肉が硬いのでカラダ全体が硬く感じられます。

最近の治療では、大沼理論を取り入れて畳部屋で左右差のある脚調整と、左鎖骨の上にあるくぼみに親指を入れ、圧痛があるかどうかのチェックをします。ほぼ全ての患者さんは、右脚が縮み左鎖骨のくぼみに痛みがあります。Cさんもこの2点は同様にありました。これらは、操体法で解決します。

その後、山元式新頭鍼療法(YNSA)で11本置鍼。これで8割方痛みが取れました。残りは、足に見つけた治療点3か所に合計8壮お灸。これで9割痛みが取れましたが、まだ少し痛みが残るので、万能ゴムバンドを左肩から前腕にかけてグルグル巻きにしました。

「これで、どうですか?」

「・・・・・あっ、全く痛みがないです!」

万能ゴムバンド恐るべし!

ストレス

40才代の女性患者Bさん、月に2回来院されています。今回は頭痛、脇下の痛み、腰痛。そこで、大沼理論によるカラダの歪みチェック。畳部屋で仰向けになってもらいます。大沼理論の通り右脚が2cmほど縮んでいます。第1腰椎の左から仙骨の右にかけて腸管膜根という組織がありそこから7mもある小腸がクネクネと骨盤に収まっています。なんらかのストレスが加わると、その腸管膜根が、縮み右側の骨盤が上に上がります。これを「上前方変位」といいます。そのため、右脚が短くなります。

Bさんに操体法の左のカカトを踏み込む操法をおこなうのですが、中々元に戻りません。よほどのストレスがあるに違いないと思い、足の指を丁寧にもむ操法を20分行いました・・・・それでも、まだ右脚が縮んだままです。ただ、カラダ全体が緩んだのは分かります。そこで左を下にして横向きになってもらい、右股関節を弓のようにそらして軽く膝蹴りをするような操法を2回。これでやっと、左右の脚がそろいました。

「患者さんの9割は、右脚が縮んでいるんです。」

とBさんに腸管膜根の話をし始め、

「ストレスとかありますか?」と尋ねると、

「職場で、一人正論を言うのだけれども、あまりにも高圧な態度の人がいて・・・すごいストレスなんです。」

「うん・・・・やっぱりそうですか・・・寝る時の姿勢は、どうですか?」

「左を下にして横向きで寝ます。」

「やっぱりそうですか・・・右骨盤がうっ血しやすいので、どうしても左を下にして寝てしまうんです・・・・そうすると、左の鎖骨が圧迫されて、左鎖骨下動脈という大切な動脈が詰まって、血流が悪くなるのです。」

「・・・・それで、足の指がガチガチなのかもしれない・・・・」

Bさん、大沼理論をカラダを通して理解されているようです。理論を理解されると、スッキリするもので、頭痛、脇下の痛み、腰痛がいつの間にかなくなっていました。今日は、鍼を打つ事なく治療終了となりました。

眉毛の上は、膝に効く

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、脳(大脳、小脳、脳幹)及び脊椎(頚椎、胸椎、腰椎)の状態を診断して、治療する基礎治療があります。その診断する個所が肘内側と上腕にあります(上腕診)。この治療で自律神経を整えているのです。ところが、上腕診で中々圧痛点が見つからない患者さんに出会い・・・・どうしたもんか?悩んでいた時、「もしかして、膝に圧痛点があるかも?」と探ったところ、あったのです。

そこで、私は上腕診+膝診を同時に行うようになりました。上腕診と膝診の併用はより正確さを増すように思います。特に膝痛の患者さんに対して眉毛の上の治療点に置鍼した時、一瞬で膝が緩む事があるので非常に有効です。

今回のYouTubeは、この体験を踏まえって作ったものです。興味ある方は是非ともご覧下さい。