肩痛を親指で取る

「ここで治療したら、翌日の午前中のゴルフは、調子ええんじゃけん。」

と口癖の70才代男性患者Aさん。まだ、一日中良かったという話は伺っていません。

「ワシャ、2日に1ぺん、水中歩きと500mのクロールをしよるんよ。50mでもしんどいのに、その10倍じゃけん・・・ふらふらになるんよ。飯いっぱい食べて、すぐ寝らあい(寝ます)。」

私の治療というより、Aさんの体調管理が素晴らしいということなのです。70才過ぎて、若者が参加する大会でも、予選を勝ち抜き、明日は12人によるコンペだそうです。

Aさんは、怪物ですね〜〜」

「ほうよ、皆んながワシのこと怪物じゃ言よらい(言っている)。」

180cmで筋骨隆々の70才代の飛ばし屋、まさしく怪物です。

今回は、右腰背部にコリがあります。

山元式新頭鍼療法(YNSA)で頭に16本鍼を刺します。その後、外果治療点という外踝(そとくるぶし)に鍼を刺すと、

「今、左肩に来たわい。つながっとるんじゃのう。」

「痛みがあります?」

「ちょっと、痛いわい!」

そこで、右親指を右肩と見なして、丁寧に圧痛点を見つけ鍼を刺したところ、

「痛ないわい。」

一瞬で痛みが取れました。

山元式新頭鍼療法(YNSA)を治療に取り入れ始めて、カラダの様々なところにソマトトープ(小さな人型)が存在するという真実を知り、自らが見つけだせるのだと実感しています。

追伸:腰のコリは取れ、明日のコンペが楽しみです❣️

眉毛の上

1年以上前から通院の50才代の女性患者Aさん。最近は体調も良くなり、1ヶ月ぶりに来院されました。

肩から首にかけて張りがあり、右耳後ろから側頭部にかけて痛みがあるそうです。

今回は、山元式新頭鍼療法(YNSA)とお灸での治療を試みました。

YNSA で右眉毛の上に鍼を刺した瞬間、

「先生、ちょっと‼️・・・」

突然のくしゃみと、鼻水と涙でAさんが、驚き動転・・・

目は、真っ赤になり涙で溢(あふ)れそうです。

ちょうど眉毛の上は、ソマトトープ(小さな人型)で胸椎に当たります。肺、気管支とも関係あるため、異常に反応したのだと思います。

「凄い、鼻が通るし・・・奥の方から一気に溢(あふ)れてくる感じ・・・」

落ち着いてきたので、もう1ヶ所眉毛の上の張りを感じるところに、鍼を刺してみると、

「くしゃみが‼️・・・~~~(*≧∀≦*)(*≧∀≦*)」

やはり同じ反応です。

鍼を刺したままにしていると、だんだん落ち着いて来るとの事でした。その間に、左足の内踝(くるぶし)、親趾(ゆび)などにお灸。

カラダ全身がリラックスしてきたので、刺した鍼を抜き始めます。眉毛の上の鍼を抜くと、

「先生、また、鼻がムズムズしてきます❣️」

「あらら・・・そしたら、パイオネックス(皮内鍼)を眉毛の上に貼りますね。」

という事でAさんのオデコは、くしゃみ止め用に2個、花粉症用に4個のパイオネックスで賑(にぎ)やかになりました。

「先生、目と鼻がスッキリしました❣️」

やはり、パイオネックスも効きます。あれほど真っ赤な目をしていたAさんの目が、さわやかになっていました。頭の痛みもなくなりました。

もしかして、花粉症などの症状と、眉毛の上は思った以上に密接な関係があるかもしれませんね~~

シュワシュワシュワ

山元式新頭鍼療法(YNSA)で治療中の出来事です。

70才代の女性患者Cさん、右膝に痛みがあります。
頭に10本、直径0.25mm、長さ40mmの鍼を刺し仰向けになって休んでもらいます。

その間にするのは、気になる右膝ではなく、右手のお灸。
鍼では、右膝のために頭へ2本刺し置きしています。鍼とお灸で右膝に集中治療をするのですから、良い結果が得られるはずです。

右手をカラダのソマトトープ(小さな人型)ととらえて、右膝に当たる小指の第2関節付近の圧痛点を探します。3壮ほどお灸をして、膝の痛みを聞き、その圧痛点を追いかけて小指の第2関節付近にお灸をしていきます。すると最終的に、膝の痛みが全くなくなりなした。

「膝の痛みが無くなったので、鍼を抜いていきますね~~」

「・・・・あれれ??・・・先生、鍼抜いた瞬間、シュワシュワシュワっと痛みが戻って来た‼️」

「ありゃりゃ・・・そしたら、ここにもう一度、鍼を刺しますね・・・どうですか?」

「・・・・お~~痛くなくなった❣️」

「じゃあ~~このまましばらく、休んでください。」

15~20分くらいゆっくりしていただき、鍼を抜いていくと、痛みの振り返しはありませんでした。Cさんニコニコ顔で治療終了となりました。

で、私のやったお灸は一体何だった・・・・・呆然としてしまいました。
もしかしたら、YNSA には、余計な施術が必要ないのかもしれません。
しばらく、色々勉強してみます。

最近の治療法

山元式新頭鍼療法(YNSA)をメインの治療に移行しつつあります。

勿論、鍼がきらいな患者さんには、操体法、天城流などで治療致します。

YNSA の特徴の一つが、副作用がないことです。

例えば、美容鍼で顔に刺鍼する場合、手や足に鍼を刺して、血流が頭や顔に集中しないように気をつけます。

ところが、YNSA では手足に鍼を刺す必要がありません。理由は、頭にあるスイッチに鍼を刺して、カラダ全身の血流を良くするからです。そのため、副作用が無いのです。

また、YNSA と他の治療法を併用することも可能です。

YNSA で頭に鍼を刺したまま、手の指関節にお灸をする治療法が多くなっています。

先日の60才代の女性患者Bさんにも、YNSA の鍼を頭に刺したまま、指にお灸をしました。

半年前は、正座が出来なかったBさん。先月から出来るようになりました。

しかし、正座した時に、膝の痛みはあります。

そこで、頭に鍼を刺したまま仰向けになっていただきます。

右手小指の第2関節の周辺が、右手をソマトトープ(小さな人型)として見た場合、右膝にあたります。丁寧に第2関節周辺を見ていくと圧痛点が見つかります。

Bさんは、へバーデン結節のため第1関節や第2関節が腫れています。これと正座が出来ないという因果関係はあると思います。

お灸を 第2関節にするたびに、正座をしてもらいます。

「不思議ですね~~、右も左もお灸のたんびに、痛いところが、全く同じところへ、移動しますね~~」

実際には、移動しているのではないのです。元々痛みは存在しているのですが、強い痛みを取ると、存在していた痛みを感じられるのです。

これを何度も繰り返していくうちに痛みがなくなり、美しい正座が出来るようになりました。

Bさんには、指関節を普段から揉(も)んで柔らかくするように伝えて治療を終えました。

天城流とYNSA を合体

右手を仕事で使い過ぎ、右腕が上がらなくなった50才代の女性患者Cさん。

髪を洗うことも出来ないそうです。痛い場所が、肩関節から上腕外側にかけての三角筋。

治療をしていて最近思うのは、ソマトトープ(小さな人型)。色々なところに、ソマトトープや、カラダの一部分が隠れているのでは・・・・?

山元式新頭鍼療法(YNSA)の山元先生の治療を拝見してからは、カラダには、三角形を基礎とした渦巻くような流れがあり、随所にソマトトープ化が出現している・・・と考えるようになりました。

「Cさん、肩の痛いところを教えてください。」

 

「え~と、ここ‼️」

Cさんの右肩前部繊維に圧痛点。

三角筋は前部繊維、中部繊維、後部繊維と三つの筋肉に分かれています。

天城流では、前部繊維は、同側の母指球の圧痛点。後部繊維は、同側の手の甲、親指と人差し指の間の圧痛点(俗に、合谷と呼ばれる点)をそれぞれ治療します。

Cさんの右母指球から指先までを、Cさんの上肢のソマトトープ化した部位と考え、いつも以上に同側の親指を丁寧に診ることにしました。すると、Cさんの指摘した右肩圧痛点と、それに対応するCさんのソマトトープ化した親指には、全く同じところに圧痛点がありました。

という事は、右親指の圧痛点に鍼を刺し圧痛点が消滅した時、右肩の痛みもなくなるという事になります。

結果、肩の痛みはなくなりました。

「先生、これで髪毛洗える❣❣️」

天城流と山元式新頭鍼療法(YNSA)の合体治療が出来ました。

武道家の呼吸

60才代、剣道の達人Bさんが、今回の患者さんです。

剣道の構えは右足が前で、左手で竹刀をしっかり支えます。しかし、達人となると、一般人が考える剣道とは違う動きをする事があるようです。左足及び、左腰を前に出したり、右手で竹刀を操る練習をされるそうです。

そのため、右肘の内側と、左膝の内側に張りと痛みがあります。

ベッドで仰向けになってもらいます。やはり、左足の方が15mmほど長く、骨盤が左に傾いています。剣道の構えで踏み込む時は、左足を使うため、どうしても左重心で左足が長くなります。

こういう時は、操体法で骨盤調整します。

仰向けのまま両膝を立てもらいます。左膝の内側にある大きなコリを、左足先を上げる(背屈といいます)事で取っていき、次に両膝を左右に倒したり、左膝に軽く圧力を掛けたりして、骨盤を調整します(今回は、詳しい手技の説明は省略します)。

骨盤が整った時点で、山元式新頭鍼療法。合計9本の鍼を頭に刺し置きします。

次に、右手を全身と見立てるソマトトープ(小さな人型)。

Bさんの痛みは、右肘内側と左膝内側。これを、右手に当てはめると、右薬指の第2関節の外側と、右親指第1関節の内側に当たります。これらの個所にある圧痛点にお灸を3~5壮。

最後に、外果治療点(外くるぶしの圧痛点)3カ所と内くるぶしの圧痛点1カ所にパイオネックスを貼って終了。痛みがなくなりました。

操体法の治療中、息を吐きながら動いていただいたり、吸いながら動いていただいたりするのですが、達人となると、息を吸っているのか、吐いているのか分からなくなります。

最初は、

「はい、ゆっくり息を吐きながら、動いて下さい。」

などと言っていたのですが・・・息を吐いても吸っても同じようにお腹が動くので・・・・

「・・・息は、ゆっくり・・・」

お任せすることにしました。

「普段、息を吸いながら動くことは、あまりないのですが・・・」

「いや、打ち込む前に相手に気づかれないよう、息を吸い、一気に動く事もあります。」

武道家に呼吸法を軽々しく言えないと痛感しました。

近くで治療している私が、吸っているのか、吐いているのか分からないのですから、試合中の相手が、動きを察知するのは非常に難しいだろうと伺い知りました。

武道家の呼吸法恐るべし。

へそは正面

昨年7月から1ヶ月に3~4回のペースで来院の50才代女性Aさん。

病院では、変形性股関節症(右の骨が数ミリ削れている)と診断されました。

右の靴下がはけず、階段を上る時は、右足が外を向いてしまいます。そのため、左足だけで階段を上がっていました。来院初日は、極端に右足を引きづるヒョコヒョコ歩き。職場でも、

「どしたん、その歩き方‼️」

と言われていましたが、今回で26回目の通院。ついに右股関節の奥に一点の痛みが残る程度にまで回復しました。

「先生、母親の介護をしていて、ふと思ったんですけど、右足を前に出して母親を抱えると、右股関節に負担がかかるんじゃないかと・・・・・」

「あらら・・・その通り❗️介助している様子を、もう少し詳しく聞かなかった私が、悪るかったです・・・・・(≧∇≦)」

「右利きのAさんが、右足を出して抱えるとおへそが左向いて、正面にならないでしょ。その分余分な力が入るんです。左足を出すとおへそが正面向くので楽ですよ。」

私は、立て続けに喋り続けます。

「プロゴルファーが、ホールインしたボールを取る時、右足前にして右手で取るのは、カッコイイ~って思うかもしれんけど、腰に良くないの。おへそが左に向いて捻れてるでしょ~~。左足を前に出すと、おへそが正面向くので、取りやすいんです❣️」

「台所に立つ時も同じ、右手で包丁を持つんだったら、左足が前ですよ~~」

今回の治療は、山元式新頭鍼療法に、右手小指圧痛点のにお灸。これで、右股関節の痛みは無くなりましたが、改めて、日常の姿勢を問診することの重要さを感じたのでした。

そして、重心安定の法則「足は親指、手は小指」にもう一つ「へそは正面」を付け足すことにしたのでした❣️

クスノキの瘤(こぶ)渡り

左O脚をややX脚にする手術を受けた60才代の女性患者Aさんの続報。

「先生、ずいぶん良くなったので、小走りしてみようかと思たんよ。」

「通勤でここ(あじさいの杜鍼灸院)通るじゃろ。ほじゃけん、車から降りて、お陰様で調子がええって言おうと思たぐらいなんよ❣️」

Aさん、外果治療点だけで相当回復したようです。

これだけ回復すると、次の段階に進めます。そこで今回は、クスノキ木霊療法の「瘤(こぶ)渡り」。写真のように瘤(こぶ)を置き、なるべく壁や柱に触れないで渡るゲーム。

操体法の創始者橋本敬三先生が、「生体の歪みを正す」(創元社)p226で、

小学校の軒下に砂利道をつくらせて虚弱児童を毎日裸足で100メートルぐらい歩かせたら非常に有効であった。この話を、出征中、同僚の軍医に話たら、帰ってからこの人は1メートル四方ぐらいの砂場のような小石場をつくり、毎日そこで足踏みをさせて大いに有効だと語ってくれた。

とあります。神社で砂利道を、お百度詣りをするのは、実は、ご本人の健康のためにもいいことだったのです。

実際2004年、スペイン、マジョルカ島のジョアン・ミロ美術館で2カ月滞在して子供達と一緒に積み木遊びのワークショップをしたことがあります。

広い前庭に砂利、積み木、砂で道を作り、6周(300mくらい)し、10分お昼寝を2週間。

この時は、子供達のカラダが見事に変化し、元気になりました。

あの時の集大成が、クスノキ木霊療法の瘤(こぶ)渡り。

砂利道を歩くと痛いため、逃避反射をします。無意識の動きです。これは、カラダが欲している動きで、歪みを取ってくれます。

京都で操体法を追求し普及されている丸住和夫先生は、「おっとと・・・操体」と命名され無意識の動きを引き出しておられます。

また、総合格闘家の先駆者、平直行先生は無意識の動きと武術の本質を追求し、新たな治療法を確立されています。

私の師匠、今昭宏先生は、自発動と呼び皮膚に軽い刺激を与えながら、無意識の動きを導いています。

このように、無意識の動きに焦点を当て、治療している方々は、操体法関係者に数多くいます。つまり、橋本敬三先生の思いが、形を変えて展開しているのです。

さてAさんの瘤(こぶ)渡り。

「先生、これ痛気持ちがええね~~❣️」

と楽しそうです。5往復くらい柱、壁を伝(つた)いながら渡れました。背中の張りが、ビフォー、アフターでは全く違います。ある程度良くなった患者さんには、非常に効果的です。

その後は、外果治療点とその周囲に合計8の置鍼。頭には3本の置鍼で終了しました。

随分良くなったAさん、次回何を喋ってくれるか楽しみです。

カラダのスイッチ

左O脚をややX脚にする手術を受けた60才代の女性患者Aさん。

左脛骨を切り、脛骨の角度を変える手術を受け5ヶ月近く経過。左足をかばうため、右股関節から足首にかけての「気持ち悪さ」がありました。しかし、

「先生、前回の足首にした鍼が効いた気がするんよ!気持ち悪いのがのうなったわい。」

前回は、左足首の外側(外踝=そとくるぶし)の圧痛点4ヶ所に鍼の刺し置きをしました。これは、山元先生の完全なる真似事です。山元先生は、著書の中で、

「あの天井の電気を見てごらん。ほんじゃ今度はこの壁を見てごらん。ねっ、壁にスイッチがあるでしょう。ほんでこのスイッチを入れんと天井の電気はつかんでしょ。このスイッチが頭にあるんだよ。」

先生のスイッチという言葉を実感しています。確かに頭にスイッチがあります。

さらに、先生は足首の外側にも外果治療点という4ヶ所のスイッチを見つけておられます。

私は、この4ヶ所に鍼を刺し置きしただけです。

Aさんの過去のカルテを見ると、全く外果治療点に触れていません。ところが、前回、先生の真似事をしただけで、結果が出てしまいました。これは、凄いことです。そこで、今回も外果治療点4ヶ所と、その周辺の圧痛点に置鍼(鍼の刺し置き)。

その後、外果治療点4ヶ所にパイオネックス(円皮鍼)を張って終了としました。

「先生、正座が出来た❣️」

さらに、一歩進んだようです~~

皮膚の色変わった

週1回くらいのペースで来られている70才代男性患者Bさん。病院では、下肢静脈瘤、脊柱管狭窄と診断されています。初診では、両足底が深さ1cm位しびれて、歩行困難でしたが、今ではヒョコヒョコとした動きながら問題なく歩けています。

しかし指先、特に左の親趾に力が入らないそうです。

こういう時は、山元式新頭鍼治療法(YNSA)が一番・・・しっかりとYNSA を身に付けてから治療を・・・・と思っていたのですが、目の前の患者さんのカラダが、欲している治療を優先するべきだと、考え直しました。

そこで、左耳の上後方に位置するソマトトープ(小さな人型)の足の部分に5本鍼を刺し置き。ついでに、右耳上後方にも2本さしました。

しばらくして、左親趾を見てビックリ、

「あれっ、Bさん左の親趾、色変わっていません❓」

「・・・・・・^_^・・・^_^・・・・」

Bさんは、ニコニコ顔でうなずくだけです。紫色の皮膚から肌色に移行しているのです。

「ちょっとBさん、このクスノキの瘤(こぶ)に足を置いて、体重を乗せることできます?」

私は、Bさんの足元に大きなクスノキの瘤(こぶ)を置き、座った状態からゆっくり立ち上がるように指示しました。

「さっきは、立ち上がる時、手のひら突いてカラダを支えんと、立てんかったのに・・・

今は、手使わんと立てる❣️」

「ほんとだ、凄い!・・・それに、足の親趾、色が全然違うでしょ‼️」

「違う❣️」

目を疑ってしまいました。Bさんが立ち上がる時の親趾の色は、ピンクっぽく輝いているようでした・・・・

これを書いていて、今でも半信半疑です・・・・YNSA は凄い・・・