40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その5)
その当時、患者さんと医者やカウンセラーは、言葉によるコミュニケーションと、薬物治療がメインでした。もちろん、それにより退院でき、社会復帰出来る患者さんも数多くいました。
残念ながら私はそれらの手段を使う事が出来ません。
その為、院長は、私が好きなことをやる事で患者さんに刺激を与えることを、望んでいました。
当時、舞踏ダンサー石井満隆氏から、太極拳を習っていたので、「朝の体操」という時間割を提案しました。
その結果、職員会議が始まる1時間前に太極拳を含めた体操を週3回行う事になったのです。
この「朝の体操」は、回復期の患者さんにとって、一つの目標になっていた様に思います。
病院の敷地内に、20畳くらいの簡素な床張りのレクリエーションルームがありました。
そこが、私の活動の場となったのです。
喜太郎のシンセサイザーを使った「シルクロード」のテーマを流しながら、ワイワイとおしゃべり。
当時の患者さんの笑顔や笑いが思い出されます。
そんな時、ある一冊の本に出会いました。それが、橋本敬三著「からだの設計にミスはない」
-柏樹社- でした。 (つづく)