40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その5)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その5)

その当時、患者さんと医者やカウンセラーは、言葉によるコミュニケーションと、薬物治療がメインでした。もちろん、それにより退院でき、社会復帰出来る患者さんも数多くいました。

残念ながら私はそれらの手段を使う事が出来ません。

その為、院長は、私が好きなことをやる事で患者さんに刺激を与えることを、望んでいました。

当時、舞踏ダンサー石井満隆氏から、太極拳を習っていたので、「朝の体操」という時間割を提案しました。

その結果、職員会議が始まる1時間前に太極拳を含めた体操を週3回行う事になったのです。

この「朝の体操」は、回復期の患者さんにとって、一つの目標になっていた様に思います。

病院の敷地内に、20畳くらいの簡素な床張りのレクリエーションルームがありました。

そこが、私の活動の場となったのです。

喜太郎のシンセサイザーを使った「シルクロード」のテーマを流しながら、ワイワイとおしゃべり。

当時の患者さんの笑顔や笑いが思い出されます。

そんな時、ある一冊の本に出会いました。それが、橋本敬三著「からだの設計にミスはない」

-柏樹社- でした。                            (つづく)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その4)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その4)

女医さんが、顔を近づけて絵を覗きこむので、うっとうしいと感じながらも、ドンドン色を塗っていきました。

『アレ?、この人オレの事、患者さんだと思ってる!』

と感じるのに、少し時間がかかりました。

『まあ~~いいか、患者さんに成り切ろう!』と、普段通りに塗る私・・・もっとも、一番変な格好をしているのが私・・・誰だって、正真正銘の患者さんだと思います。

途中からは、女医さんを無視して2人で夢中になって塗っていきました。

その時の会話が、楽しかったのです。

「この靴もう少しピンク色が欲しいなあ~」

「そうやな~~」

「私なあ~、チェッカーズのフミヤが好きなねん!」

「フミヤのセンスは、抜群やねん!」

「へ~~!」

まあ~、たわいもない話です。いつの間にか、女医さんもいなくなり何となく色塗りが収まり始めた頃、

「もう、ええんちゃう?」

という彼女の一声で終了。

その日の症例検討のミーティングでは、職員全員と見学に来られた先生方が集合します。私も、変な格好をしていますが、職員なので参加します。とは言っても、端っこで先生方の意見を拝聴するだけです。そのため全員が集まったころ、最後にコッソリと、ナースステーションに入ります。

ドアを開けると、真っ先に目に入ったのは、あの女医さん。ドアと向かいのコーナーに立っておられました。目と目が合った瞬間、女医さんは一瞬目を疑う表情をするも、直ぐに全てを理解されたようでした。

『すみません、別にだますつもりではありませんでした・・・』とポツリ。  (つづく)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その3)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その3)

『何描いてるって言われても、色塗って楽しんでるだけなのに・・・』

積み木を積み上げている時もそうですが、特別な事を表現しようと思っている訳ではありません。楽しいからやっているのです。その結果、不思議なパワーを感じる作品が生まれる時があります。

表現の一つとして、このような方法もありだと思っています。また、芸術活動を治療として捉える場合、行為そのものを治療とみなし楽しみながら、閉ざされた自己を少しずつ開放していく事は、大切な事と考えます。

話は少しそれますが、20年近く前、知的障害者の施設で、絵画指導を数年したことがあります。10名くらい集めて、ワイワイ楽しくやるのですが、私は素材を提供するだけ。

後は、それぞれ好き勝手に描いたり、貼り付けたり。

集団生活していると、しっかりした規則があります。その規則の中で、自由に楽しめる時間と空間を無理なく提供することが仕事であると考えていました。

結果、凄い作品が湯水のごとく生まれました。生命の根源に触れた気がしたのです。

これらの作品に触れると、ただ「参った・・・ごめんなさい」と頭を垂れるだけでした。

おっと、話がそれ過ぎました。

スーツ姿の女医さんの見ているところで、私達は色塗り。

「別に、何を描いているって訳でも・・・・ただ、色塗って遊んでいます。」

「そうですか。」

「ハイそうです~~、楽しいで~~す。」

このような会話が、続いたように思います。                (つづく)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その2)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その2)

よくよく考えると、40年前に積み木活動を始め、木霊療法と呼ばれたのは、その6~7年後になります。失礼致しましたm(_ _)m

さて、精神科病院で、一日中積み木をする訳にもいけません。かといって、医者でもない私が、白衣を着て患者さんと接する訳にもいきません。

それならば・・当時尊敬していた石井満隆さん(舞踏ダンサー)になりきることにしたのです。茶色のネット帽に黒いテルテル坊主の様な服という、ケッタイなおっさんスタイル。

そして、二階にある踊り場に机とイスを置いて、スケッチブックにクレヨンで絵を描く事から始めました。

この病院は、開放病棟で多くの患者さんが生活しています。絵やデザインに興味ある若い娘は、すぐさま、

「オッチャン、何してんの?」

「あんな~~、絵描いてんねん!」

出身が愛媛の私、関西弁はまあまあ出来ます。そして、好き勝手に色を塗っているだけのスケッチブック。誰でも、参加出来ます。

「私もやるわ~~」

20才前後の色白ややポッチャリの可愛い娘が、クレヨンを持ち、描き初めました。

「オッチャン、これ靴に見えるなあ⁉️」

「あ~、そういえば、そうやね~」

もうこうなると、彼女に任せて、ドンドン描いてもらいます。

その時でした。

「これ何描いているの?」

グレーのスーツ姿で、いかにもお医者様という出で立ちの女性が、覗きこんで来ました。

          (つづく)

                          

                          

クスノキ枝折り相撲(すもう)

クスノキ枝折り相撲(すもう)

からかい、しらい滝かけて、クスの梢(こずえ) に雲が湧く

私の母校、東谷小学校校歌の出だしです。

からかいと言うのは、唐岬(からかい)の滝。しらいというのは、白猪(しらい)の滝。

正岡子規、夏目漱石が吟行された滝です。立派な滝を遥かに望み、4本の大きなクスノキが

枝を張り巡らせ、入道雲がにょきにょきと湧く・・・

クスノキの周りには、様々な形の枝が落ちており、それらが、最高の遊び道具でした。

授業中、ポケットに入っている枝を触っては、ニコニコしていました。

休み時間の「枝折り相撲(すもう)」の勝利を想像していたのです。

もしかしたら、クスノキのエネルギーを貰っていたのかもしれません。

授業が終わるとクスノキの影下で「枝折り相撲」。

2人が面頭向かい、クスの枝を十字に交差して、相手の枝を折っこするのです。

太い枝が、必ず勝つとは限りません。細くても粘りのある枝が、

「パキッ!」

っと、真っ二つに太い枝を折ることがありました。

この快感がたまらず、ひたすら細めで丈夫そうな枝を探し求めるのです。

たとえ最高の枝を見つけても、十字に組んだ後の重心移動と、そのタイミングが悪いと負けてしまいます。

子供は子供なりに、重心移動と重心安定の法則を体感し体得していたようです。

クスノキの恩恵に感謝。

クスノキから樟脳が出来ます

クスノキから、樟脳が出来ます。

その作り方は、クスノキの葉や枝、木っ端を粉砕し、それらを湯がいて、蒸気を集め冷やした蒸留水に浮いた結晶を集めて作るそうです。

そして、その効用は、血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用、鎮痒作用、清涼感をあたえる作用などなど、大変な力持ちです。かつては強心剤としても使用されたり、今でもリップクリーム、湿布薬など外用医薬品の成分として使用されているそうです。

ですから、クスノキの瘤に触れているだけで、元気になるのですね~~

これは、面白いですよ~~

写真は、ベットに置いたクスノキの積み木達*\(^o^)/*

木の瘤(こぶ)パワー

4本の大きな大きなクスノキが、小学校の校庭をおおいつくすほどの影を作ってくれました。その影の元、私達はジャングルジム、うんてい、ブランコ、砂遊び、相撲、石けり等の遊びに興じていました。

半世紀以上まえのことです。

運動会は、全員裸足。小さな石を踏んだ時の痛い事!みんな、変な動きをしていました。

実はこの小さな石が、私たちに変な動きを作り、カラダの歪みを正していたのです。これが、操体法の手技である圧痛操法の原点です。  

クスノキに見守られてスクスク育った私。

クスノキの生き様の象徴ともいえる瘤(こぶ)パワーをありがたく頂くことにしました。

この瘤が作り出す石ころの様な凸凹は、校庭の小石に似ています。これに触れると、変な動きのスイッチが、入ってカラダが勝手に治りそうな気がするのです。

木霊療法と呼ばれた積み木(その1)

40年前、木霊療法と呼ばれた積み木(その1)

今から、40年程前、私は突然「積み木」というアート活動を始めました。今では、その場限りのアートをインスタレーションという専門用語で説明できますが、当時はその様な用語が存在しておらず、

「あんた、どんな芸術やってんの?」

「木を積み上げる・・・まあ~、積み木の様な・・・」

と、説明に戸惑いながらも、自らの作品に自信を持っていました。そんな折、大佛次郎賞作家で精神科医のA先生が、私の作品をヒントに「木霊療法」と称して、とある精神病院でイベントをしたのです。たまたま、イベントの様子をビデオで見ることが出来たのですが・・・

「オレのやってる積み木は、こんなもんじゃない!この病院でやってやる!」

と若気の至り。

ついには、この病院で作品を作ることになりました。積み木の群れの様な写真が、その時の様子です。その結果、作品を気に入って下さった院長の御尽力により、私は、その精神病院で働く事になったのです。しかも、院長直属の芸術療法科に1人勤務。

(つづく)

積み木操体

本日の治療は、積み木操体。

数年間、首肩のコリで悩んでいたAさん。真面目に数ヶ月、当院に通いコリを余り感じない程良くなりました。

それで、クスノキの積み木(木っ端)を背中、腰、首などに置き、ユラユラ気持ち良く動いてもらいました。

「どうですか?」

「気持ちいいです~~」

何度きいても、気持ちいいですの連続。

結局、治療はこれだけ。

治療を終えてAさんの肩、背中に触れると、ユルユル。

どうやら、積み木操体の道が見えて来ました*\(^o^)/*

足首痛が20秒で治った!

近くのスーパーに、愛車の青色軽トラで行った時のことです。

北風が吹き、もうすっかり冬、腕組みをしながら店内に入った瞬間、

「あれ?左足の外踝(そとくるぶし)に刺すような痛み!」

歩くのに支障はないのですが、気になる痛みです・・・

そこで私は、

「瞬間的に治す方法を見つけてやろう!」

と考え『ある行動』に出ました。そして、僅か20秒ほどで治してしまいました。

『ある行動』とは、一体どんなものだったのでしょう?

(1)左外踝(そとくるぶし)に、気持ちよく体重を乗せ、気持ち良さがなくなるまで味わった。

(2)左内踝(うちくるぶし)に、気持ちよく体重を乗せ、気持ち良さがなくなるまで味わった。

(3)右手首の小指側にある圧痛点を左親指で押し、イタ気持ちいい感覚を味わった。

・・・・・・

果たしてその答えは?・・・・・・(3)でした*\(^o^)/*

理由は、形態的連動。

形態的連動*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

って、聞いたことないでしょう??

痛みを感じるほどの負荷がカラダに掛かった時、瞬間的に対角の部位にその負荷を散らす事を、形態的連動といいます。

今回のケースでは、左外踝(そとくるぶし)と対角に当たるのが、右手首の小指側(尺骨頭ーしゃっこつとう)。ここに負荷が掛かってくるのです。

対角に掛かった負荷を上手に軽減する事で、痛みのある部位の負荷も軽減するのです。

カラダって、面白いですね~~