加藤直哉先生

 

ゆほびか(6月号)という健康雑誌に私の師匠である加藤直哉先生が、投稿されています。

その一部を、ご紹介します。

『痛みや傷の原因は脳だった!

ところで、私たちの体の痛みや不調は、どのようにして起こると思いますか?例えば、腰痛ならば、腰の骨や筋肉に異常が生じていると考える人が多いでしょう。

確かに、それも間違いないのですが、腰痛などの慢性痛の原因は、骨や筋肉の局所ではなく、「脳」まで及ぶことを忘れてはいけません。

多くの場合、痛みの発生後1ヶ月程度で、痛みの元となった組織の損傷は治癒し、痛みの感覚のみが残存します。この状態が、痛みが改善しない、あるいは、感情の昂(たか)ぶりによる痛みの増減といった慢性痛の状態で、単純な組織の治療だけでは解決しない場合が多くなります。

また症状も、局所のみならず、全身性の痛みに変化したり、天候での変化や、不定愁訴・感情などで痛みが増悪したりと、かなり複雑化してくるのです。

2段階で痛みを感じる脳のしくみも、慢性痛を悪化させます。

痛みが生じたとき、痛みの信号が脊髄・視床路を使って通って一次、二次体性感覚野に到達することで、最初の痛みを感じます。次に、脊髄・中脳路を通ってきた信号が脳幹、さらに島(とう)、扁桃体、前帯状皮質まで伝わります。慢性痛は、このような痛みの刺激が継続されるため、脳そのものが痛みに過敏になります。

第二痛を感じる島・扁桃体・前帯状皮質は、感情的認知的反応にかかわる場所ですから、長期間ストレスを受けると、痛みを増幅して感知するようになり、いつまでも症状が改善しないのです。

ですから、痛み・不調がある場合は、患部だけでなく脳もケアをすることがとても重要になってきます。』

痛みと脳の関係が密接であることを改めて認識しました。

感染対策期の影響

新型コロナの感染拡大を受け、愛媛県の中村時広知事は、8日、県内全域を最大警戒レベルの「感染対策期」に移行すると宣言した。8日から21日までの2週間を対策期間とし、松山市民に不要不急の外食外出自粛を要請。県民には外出や人との接触、会合の機会を減らす。松山市との不要不急の往来自粛。感染拡大地域への不要不急の出張往来自粛を求めた。事業者には感染防止対策の改めての徹底を要請する。

とクラスターが発生したため、愛媛県民に中村知事から要請があり、早速、高齢の患者さんからキャンセルの電話がありました。その方は、バスを乗り継いで来られるので、仕方がありません。当院には、車で来院される方がほとんどなので、それ以外のキャンセルは出ていません。

今日は、4才の女の子と一緒に30才代の女性患者Aさんが、来院。今回で7回目となります。最初のころは、眠り方が分からなくなったと、深刻な状態でしたが、徐々に平常に戻っています。調子が良くなった奥様の様子を見て、ご主人も来院されるようになりました。

現在は、足にパイオネックス(円皮鍼)を貼るだけの治療に移行しつつあります。足で痛みが取れない場合、頭に置鍼するという2段構えの治療をしているので、かなり余裕が出てきました。4才の女の子がそばに来ておしゃべりをしても、パイオネックスを貼っているだけなので、危なくありません。今日は、色えんぴつを渡して、お絵描きをしてもらいました。保育園の美術の先生をした経験を持つので、これはお手のものです。

ピカチュウを描いてくれました!

YouTube (首の痛みの取り方 その3)

YouTube制作

今回は、首の痛みの取り方の3回目。

 

古来からある尺膚診は、肘から手首までの状態を、切診(脈診及び触診)し五臓(肺、脾、肝、腎、心)の状態を把握する診断法です。私自身は尺膚診を習得している訳ではありません。一般的に脈診は非常に難しく、主観的であり過ぎるように思います。十人十色の診断が出来上がるように感じます。そのため、私はあきらめました。ただ、肘から指先までを上半身と見なす尺膚診の考え方をありがたく頂き、利用しました。インターネットから、「尺膚診のすすめ方」を引用します。なお、五主とは、皮毛、肌肉、筋、骨、血脈をいいます。

尺膚診のすすめ方

前腕内側を、術者の手掌をもつて肘から手首にむかい軽く切診する事により、五主の状態を通じて五臓の虚実を決定する。

1.肺(皮毛)

前腕内側の皮膚の枯燥、潤沢、寒熱、汗腺の開閉などの状態をみる。

2.脾(肌肉)

前腕屈筋群の筋腹の部位にて肌肉の栄養状態、硬軟をみる。

3.肝〔筋)

手関節の腱の部位にて筋(スジ)の状態、硬軟をみる。

4.腎(骨)

橈骨と尺骨と手根骨の骨(コツ)の充実度をみる。

5.   心 (血脈)

血脈の流れの良し悪しをみる。

筋膜はがしの方法は、天城流湯治法(杉本錬堂氏創設)に基づいています。

興味ある方は、YouTube をご覧ください。

質問責め

「先生、何で?」「先生、何でここがザワザワするんでしょう?」

質問責めの女性患者Cさん。「さあ・・・よく分かりません。」「まあ・・・」などといい加減な返事をしていたのですが、あまりにも、言葉が先に出過ぎているので、

「いくら頭で理解したとしても、知れています・・・・実は、私がCさんのカラダの状態を聞くのが本当なんです。質問するのは私の方なんです・・・Cさんのカラダの状態を教えてください。」

と言ってからは、Cさん素直にご自身のカラダと向かい合い、適切な言葉で状態を教えてくれました。治療の途中では、Cさんの疑問に答える時間も取りました。次回の治療でどのような会話になるのか・・・・ちょっと楽しみです。

首の痛みの取り方 2

YouTubeを制作。

今回は、高麗手指鍼(こうらいしゅししん)の見方で首の痛みを取る方法を紹介しました。高麗手指鍼は、手首から上の手全体を、全身と見なします。つまり、手はカラダ全身の状態を移し出しており、手の緊張を取ると、カラダ全身もゆるむと考えます。

 

YouTubeでは、この実践の仕方を紹介しています。

私自身、高麗手指鍼の研修を受けていないので、あくまで高麗手指鍼の見方を取り入れて、操体法や天城流湯治法などの手法を加味して紹介しています。興味ある方はご覧ください。

バネ指に関して

バネ指の治療にヒラメ筋に鍼を刺すのはなぜか?

前腕の深指屈曲筋をはじめとする屈筋群や、指の動きに関わる腱や腱鞘を使い過ぎた結果、腱と腱鞘が炎症を起こしスムーズな動きが出来なくなります。この時、最も影響を与える筋肉が、深指屈曲筋であると考えられます。この深指屈曲筋に対応するのが足のヒラメ筋です。この2つの筋肉は良く似ています。この似た2つの筋肉は片方が緊張して筋膜を絡(から)めると、もう一つの似たような筋肉の筋膜も絡んでバランスを取ります。

バネ指の原因となった前腕の深指屈曲筋の使いすぎ炎症及び緊張に対して、ヒラメ筋の筋膜が遠くから引っ張ってバランスをとっているのです。綱引きをする時、一番ハジの綱を持つ人が力持ちなのは、影響力があるから・・・・よく似ていると思います。今日は、バネ指に関してYouTubeを作ります。

贅沢な時間

NHKが鍼の特別番組を放映したので、少しずつ世間一般に浸透し始めたのか、患者数0の日が今月に限っては、ありません。いずれにせよ、数千年の歴史ある鍼治療が、山元敏勝先生によって西洋医学との融合を計ったのですから、今後ますます進化していくことは、明らかです。私も、一鍼灸師としてその流れに乗っている幸せを感じます。

鍼灸師は、患者さんに触れることを仕事にしています。触れて患者さんのカラダの状態を把握します。最近、足の指を丁寧に診るようにしていますが、私の触れる指の角度、重心移動で患者さんの反応が一瞬にして変化します。私の場合、ツボを見つけた時、イメージが浮かぶ時があります(いつも浮かぶ訳ではありません)。点であったり、線、面であったり様々です。イメージに伴って、何とも表現できないある種の感覚が生まれる時もあります。多分、この感覚は患者さんが感じている感覚に似ているのだろうと思います。

患者さんに触れる手が、元気でなければ患者さんが体調を崩してしまいます。そこで私がやっているのは、熱い朝風呂の後の、水シャワー。寒い冬でも浴びています。シャワー後のカラダはポカポカと暖かいので、患者さんに触れる手は、元気です。それから、治療室の中央に高さ40cmの障子、引き出し付き3畳間があるので、いつでもゴロンと寝転がることができます。そこで、YouTubeで紹介しているセルフケアをしています。ここが「カラダ研究所」で贅沢な時間を過ごしています。

痛みに感謝

午前中に、YouTubeの制作。今回は、頭痛の改善法です。

筋緊張性の頭痛に対処する4分41秒の動画です。最近は、デスクワークでPCの画面ばかり見て同じ姿勢を長時間続けている方が多いと思います。そういう方は、首、頭、目などが痛くならなければ、カラダは壊れます。カラダが「止めて!stop!」のサインを痛みで示してくれます。痛みは本当にありがたいです。

私が、小学生のころ・・・・60年前、社会科の授業で、第一産業(農林水産業)の割合が、80%だと習った記憶があります。高度成長期に突入し始め、中卒の若者が「金の卵」と言われ始めた頃です。都会に人々が移り住み始め、そこで第二次産業と呼ばれる製造業、建設業が脚光を浴び始めます。この当時の人々は、やはり肉体労働が主であったと思います。ところが、この様な産業分類自体が、古典的であるといわれる今・・・・気がつくと、肉体労働をしない仕事の方が、主流になりました。

PCの前で、カラダを固定し、目と頭に血液を流す仕事を当たり前にしています。人類史上、こんな不自然な期間は初めてだと思います。敏感な人々は、それを察知して痛みとして訴えてくれています。治療家は、その痛みに寄り添い分析し、解決するだけです。

YNSA は共同作業

全ての患者さんには、独自の感性があります。その感性を第一番に優先する治療が、山元式新頭鍼療法(YNSA)です。山元先生は、150万人もの患者さんから聞き取り調査をして、分析し、仮説を立て検証されました。山元先生の類い稀なる能力と人類愛が、何千年もの歴史ある鍼灸治療に一つの楔(くさび)を打ってくださいました。

YNSAの治療を始めて、まだ1年ほどの新座者ですが、私はこのYNSAに掛けます。なぜなら、この治療は、患者さん主導だからです。患者さんの感性に全てを委(ゆだ)ねているのです。カラダは常に治ろうとしているのです。その声を聞くのがYNSAです。お薬はいりません。カラダがお薬をだします。人工的なお薬にたよると、カラダが弱くなります・・・・・・そんなこと、普通に考えたら分かります・・・・多くのお薬は石油でできています。石油は、地球が生まれて地球に上手く還元出来なかった物資。これからできた物質を私は、信用しません。

カラダは常に良くなろうと働いています。その方向性や治療点は患者さんが教えてくれます。あちこち触って鍼を刺すと、カラダを良くしようとする気の流れが生まれます。その流れを作っているのが、患者さんのカラダなのです。つまり、鍼は補助的な物で、治しているのは患者のカラダなのです・・・・決してお薬ではないのです。

今日は、お酒を飲んで・・・・ちょっと強気ですみません。

指先のタッピング(軽く叩くこと)

私が20才代の頃だったか、30才代の頃だったか導引術に興味をもち、短時間でしたが、ある教室で学んだことがあります。ほとんどの事は、忘れましたが唯一しっかり身に付いたのが、指先のタッピング。

(今回のYouTube は、このタッピングが出てきます。興味ある方は、どうぞご覧ください)

 

脱力した指先が道具となり、患者さんの頭皮を刺激します。脱力した垂直の指先が頭皮に当たると、血流の悪いところに、ピリピリした痛みが生じます。それと同じ痛みを施術者の指先も感じるため、患者さんの痛みと痛みの個所が分かります。そのため、

「ここ痛いですね。」

「はい・・・???」

といったいった返事が返ってきます。こういう時は、

「私も、同じ痛みを指先で感じるんです・・・・だから、分かります。」

と説明するようにしています。とここまで書いて、何故同じ痛みを感じるのか・・・・・今まで考えたことが無かったことに気付きました。「指先 感度」で検索すると色々情報を提供してくれますが、よく分かりません。とにかく、人間の指先は高度なセンサーである事に間違いありません。

ここで、少し寄り道。

最近、患者さんの足にパイオネックス(皮内鍼)を貼って、患者さんには、そのパイオネックスに軽く触れて「ぼっ~~」とするように指導しています。また、当院の治療では、私がパイオネックスの上に軽く指先を触れる治療します。これは、効果が直ぐ出て患者さんからも好評です。

これは、指先から出る静電気と関係があると思います。冬になると衣服などの摩擦でカラダに静電気がたまり、ドアノブなどに触れると「バッチ!」と乾いた音の静電気が流れることがあります。この静電気、自然素材ならばゆっくりと流れるため、快適です。当院は天井、壁、床全て自然素材の板張り。私は床に座り込んで治療をしているので、アースをしていることになります。

静電気=気ですから、患者さんと私が指先を介して気を流しているのだと思います。

本題に戻ります。

指先は、高度なセンサー。タッピング(軽く叩くこと)でセンサーが感度良く働くのだと思います。タッピングしながら、痛みの変化を感じとれます。是非ともお試しください!