「東温史談」という東温市の歴史を紹介する立派な冊子が届きました。これに、惣河内(そうこうち)神社宮司の佐伯敦が近藤林内物語 身宝は 芋に大根に 麦の飯 という文章を書いております。イラストは私が描きました。
近藤林内(こんどうりんない)さんは、大庄屋として地域をまとめ、作り酒屋として美味しい酒をつくり、大繁盛し、その金を地域のために使った偉人です。焼けた惣河内神社を再建したのも近藤林内さんです。その一節をご紹介します。
『わしは大庄屋になってはおるが、村のみんなと同じただの百しょうじゃ。刀なんぞは、いらん。たまたま商売がうまくいってお金が入ってくるけど、それも、神様、仏様、そして村のみんなのおかげじゃ。みんな、苦しい生活をしよるんじゃから、わしらもがまんして、みんなと同じ生活をしよう。そして、少しでも、河之内のためになるようにお金を貯めようと思う。お前らにも苦労をかけるけど、がまんしてくれ。うちの店にお金がたくさんあるからといって、自分たちが偉いと思ってはいかんぞ。これはご先祖様が残してくださったお店や田畑があるおかげで、たまたま我が家にお金が集まっているだけじゃ。このお金は、決して自分のものではなく、みんなのものだから、世の中のお役に立つことに使わねばならん。そのためにはけん約し、一文たりとも無だに使ってはいかん。お米は神様からいただいた食べもので、大切なお金に代わるのだから、一粒も無だにしてはいかんぞ』
頭がさがります。