飽食・美食が意味するもの

今回も、久間英一郎博士のコラムをご紹介します。何故、飽食・美食が人、文明を崩壊させるのか、を明確に書かれておられます。戦後80年近く、徐々に西欧化された日本で、食事の見直しが急務です。その理由がよく分かるのでお読みいただければ、ありがたいです。

『新型コロナウィルスに関しては様々な識者が様々に見解を出していますが、本誌に何度も登場していただいています石原結實先生が「ザ・フナイ」(5月号)に「新型肺炎の本当の原因はコロナウィルスではない!?」と題した大変興味深い投稿をされていますのでご紹介します。

「確かに直接の病原体は『新型コロナウィルス』ではあるが、実は本当の原因は別にある。...その背景には過食(食べ過ぎ)と運動不足がある」と指摘します。

その代表的な例として、古代ローマ帝国では何度となく疫病(ペスト、痘瘡など)に苦しめられ、最悪時には一日5千人から1万人の死者が出たという。彼らの食生活はというと「哲学者セネカが『ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べている』と喝破しているがごとく、宴会により満腹であっても鳥の羽で咽をくすぐって吐き、また次の2つ3つの宴会に向かったという。

米国ミネソタ大学のマレイ博士の論文にも、エチオピアの遊牧民に飢饉の時、食糧の供給が行なわれると、マラリアなどの感染症が突然起こった例、中世イギリスにおける痘瘡は貧しい人々より金持ちの人々をより苦しめた例、第一次世界大戦中に発生したインフルエンザにおいては、充分に栄養が行き渡っている人々に最大の死亡率が示された例が紹介されています。

これらの事実を基に博士は「栄養過多が様々な感染症を誘発する」と結論づけています。

今回、新型コロナ肺炎の発生源である中国もまた、石原先生によると(急激な経済発展による)飽食・美食に原因があると指摘しています。

20世紀の米国のガン・心臓病の激増もまた「食べ過ぎ・運動不足」が原因で、このままでは「米国が亡びる」との危惧から有名な「マクガバン報告」に繋がり、現代ではかなりの低下傾向を見せているのは記憶に新しい所です。

ここまでくると筆者が次に何を言いたいかおわかりでしょう。我国では、戦後急激な「食の欧米化」によって「食べ過ぎ、運動不足の蔓延とともに、ガン・心臓病などの生活習慣病が激増し、国民の医療費がなんと50兆円。約4割が税金とすれば毎年20兆円の税金が支払われていることに。しかもこれが毎年1兆円ずつ増えているという。

そこで筆者は10数年前から「食の改善による医療費半減」を目指し、全国講演会を始めた次第です。

石原先生のもう一つの指摘は、病気(疫病)は、「その時代の社会状況を反映している」だけでなく、「その時々の文明を終焉させ、次の文明を築くスタートになることも多い」ということです。

ならば、今こそ私たちはコロナ禍の苦労の中から病気の本質を学び、日本人に合わない欧米食文明を終焉させる必要があります。そうしないとコロナでの苦労が報われないのです。では、「食べ過ぎ、飽食、美食」のどこが良くないかを説明しなければなりません。

結論から申し上げますと、食べ過ぎ(動物性脂肪、タンパク質)は、*「腸内フローラ」を悪化させ、血液を汚し、これが免疫の低下、体質の悪化へと繋がるからです。食べた物は常に都合よく血となり肉となるとは限らないのです。量と質によっては容易に毒となり、自家中毒(自滅)を招き、細菌やウィルスの侵入を許す所となり得るのです。

これに対し、日本の伝統食は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが多く*「腸内フローラ」が最も喜ぶ食物なのです。

メディアでは「免疫」という言葉が踊っていますが、免疫の本質や由来についての説明はほとんどありません。

この免疫の実体は白血球であり、その白血球は、国際自然医学会の森下敬一博士によると赤血球から醸成されると言います。

つまり平たく言えば、食物は腸で赤血球となり、赤血球から白血球が生まれ、これが免疫をつくるのです。ですからコロナに捕まらない、病気にならないためには、食→腸(赤血球)→白血球(免疫)この一連の流れを健全にすること。そのためには食を変えるしかないことに気づかれると思います。

コロナ禍を伝統食復権のテコとしましょう。皆様お元気で!』

*『腸内フローラとは、腸内に生息している細菌のことです。

私たちの腸内にはさまざまな細菌が1つの種類ごとに塊を形成して存在しており、その形態がお花畑(フローラ)のように見えることから“腸内フローラ”という名前が付きました。医学的には“腸内細菌叢そう”と呼ばれます。

腸内に生息する細菌は1,000種類以上存在しており、どの種類の細菌がどのような割合で存在するかは個人差が大きいとされています。腸内の細菌は大きく分けて“善玉菌”・“悪玉菌”・“日和見菌”の3種あり、善玉菌は腸内環境を整え、悪玉菌は毒性物質を作り出して腸内環境を悪化させるはたらきを持ちます。一方、日和見菌は善玉菌・悪玉菌の多いほうと同じはたらきをする細菌です。そのため、善玉菌が減少すると腸内環境は悪化してさまざまな病気を引き起こす可能性があります。』