惚れる&惚ける

「これからの人生を楽しく笑って行きましょう」と書かれた紙には、

いたわりも、耳が遠くて、怒鳴り声

忘れ得ぬ、人はいるけど、名を忘れ

医者と妻、急にやさしく、なる不安

驚いた、「惚(ほ)れると、「惚(ぼ)ける」は同じ文字

これを下さったのは、80才代の女性患者Aさん。

いつもニコニコ冗談を言って治療を受けられます。今日は、人工関節の右膝が痛み、腰(胸椎12番~腰椎2番くらい)が痛いそうです。

まず右膝は、右肘で診ます。右肘の圧痛点に3本置鍼。

「どうですか?歩いてみてください。」

「あら?いいみたい・・・」

今度は合谷診(人差し指と親指の間の触診)で右の胸椎、腰椎のコリを確認。右耳の上にある胸椎12番に対応する圧痛点に置鍼2本。耳ウラの腰椎2番に対応する圧痛点に置鍼1本。

「どうですか?」

「いいみたいです~~」

「それでは、ベッドでゆっくり横になって、フォークソングを楽しんでください。」

Cさんは、フォークソングを聴きながら、当時の事を思い出すのが大好きです。

ゆっくりと時間が経って行きます。

「先生、1週間前から口内炎が舌にできて、痛いんですけど・・・・」

「じゃあ~、鍼刺しますよ。」

「口内炎にも、効くんですか・・・・やっぱり言ってみるもんだわ。」

という事で、オデコのツボに置鍼2本。

Cさんには、30分ゆっくりと横になってもらい終了。

「先生、舌はまだ痛いです。」

「そうですか・・・そしたら、パイオネックス(皮内鍼)を貼っておきましょう。」

置鍼したオデコに2個貼って様子をみることにしました。来週の報告がたのしみです。

ガニ股を治そう

「やっぱり運転しよったら、どうしても、ケンビキ(肩甲骨内側)が、痛なるんよ。」と運送業を営む50才代の男性患者Cさんが、来院するなり、おっしゃいます。

「そしたら、また石の上を歩いてもらいましょか。」

今回は、石の数を1~3に途中で変えたり、クスノキの瘤(こぶ)にしたり(写真参照)して、なるべく長く歩いてもらいました。約10分、頑張ってもらいました。

「今、ケンビキは、どうですか?」

「足ウラが痛いけん、ケンビキは忘れとらい・・・・もう、痛ないな、ひどいもんじゃな~。ピリピリしよったんが、治っとらい。」

どうやら、8~9割の治療はこれで終了。この状態で、合谷診(親指と人差し指の間の触診)をしてみると、右腰椎点にコリがあるだけで、調子はいいようです。オデコの左上(C点) に2本置鍼。左耳ウラに1本の置鍼。

もう一度、ケンビキ(肩甲骨内側)を丁寧に診ると、少しコリが残っています。そこで、左腸骨と腰椎の間の圧痛点に鍼を刺し抜いて、

「Cさん、ケンビキどうですか?」

「ん・・・大丈夫じゃ。」

「ここで治っても、運転しよったら、左足がだんだんガニ股になって、気がついたら、クラッチを小指側で踏みよるんじゃけど・・・・」

「少し左足を引いてみたら?・・・・剣道の構えみたいに・・・」

「そうじゃね~、それがええかもしれん。」

Cさんは、ご自身のガニ股が、お尻の筋肉を縮めそれが、ケンビキ(肩甲骨内側)の痛みに影響している事を理解していますが、なかなか、ガニ股歩きを治すことが難しいようです。

仕事の姿勢で歪みを作っている患者さんが、非常に多いのでこまめに指摘し続けるしかないようです。

下顎骨と腸骨

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週は、調子が良かったんです・・・けど、昨日、好きな歌手のミニコンサートに福山(広島県)まで行って・・・ショッピングモールで立ち上がったら、床、天井がゆらゆら・・・・調子が悪くなりました。後頭部が重いし、こめかみ、アゴが痛いです。それから、目が疲れて、見えない時があるんです。」

「・・・・そしたら、バランス感覚に関係ある、内耳神経や、目のツボにまず、鍼をしまし、ょう。」

と、いきなり内耳神経、目、耳のポイントに置鍼。その後、合谷診をしながら、頭に置鍼します。

「どうですか?・・・まだ、痛いですか?」

「アゴが痛いです!」

そこで、治療室の骸骨のモデル(トンスケと言います)を、まじまじと見て、Cさんのアゴ(下顎骨)と、ダブらせます。ダブらせたトンスケののアゴに対応するのは・・・・腸骨。

「Cさん、お尻に痛いところがあるか、チェックしますね・・・・どうですか?」

「痛い!」

圧痛点に2寸の長い鍼を3本刺し置き。それでも、まだアゴの痛みが少し残っています。Cさんにその個所を教えてもらい、それが、腸骨のどこに当たるか見当をつけ押圧。

「痛い、先生、そこ痛い!」

Cさんの痛がる個所に2寸の鍼。すると、

「来た!・・・・アゴ・・・痛ない、大丈夫です。」

やはり、腰の腸骨と、アゴ の下顎骨はしっかり対応しているのです。

クモ巣とおへそ

60才代の常連の男性患者Aさん、体調が悪くなると、当日電話で来院。平均すると月に2回くらいの治療となります。本日は、左腰外側に痛みがあります。

合谷診をして、頭に置鍼した後、Aさんに左腰の痛いところを教えてもらいます。

最近は、左腰痛ならば、左肩の圧痛点に刺鍼する治療法で対応しています。山元式新頭鍼療法(YNSA)を治療の中心に置くと、明確な造形がイメージできます。

子宮内の赤ん坊は、おへそが中心で、渦巻き状に成長を続けます。これは、山元先生が見て閃(ひらめ)かれたクモの巣の造形につながります。

おへそがクモの巣の真ん中。Aさんを小さくして、大の字になってクモの巣にかかってもらいましょう。勿論、クモの巣中心に、Aさんのおへそがあります。

すると、Aさんの左腰圧痛点が、同じラインの左肩にも圧痛点として出ています。その左肩圧痛点に刺鍼すると、左腰圧痛点が消失していきます。すると、新たな圧痛点が出てきます。それも、このラインを見ながら刺鍼して治療していきます。

今回のAさん、最後の最後のに、

「先生、左の足の小指側に一カ所、もの凄く痛いところがある」

と右足親指で、場所を教えてくれました。そこで、Aさんの左手小指側に圧痛点を探します。

「痛い‼️先生、そこめっちゃ痛い‼️」

圧痛点に刺鍼。

「先生、痛ない‼️」

素直なカラダのAさん、ありがとうございます!

愛媛県はどこ?

大型台風10号が、四国を直撃。しかも豊後水道を通り、佐田岬を縦断となると、松山市は大変と多くの方々は、想像されることでしょう。

ところが、強風を感じることなく、雨がシトシト降って夕方を迎えました。

四国山脈は思いのほか標高が高く石鎚山1982m、剣山1955mあり、石鎚山は西日本では一番高いのです。そのため、反時計回りの南東の風は、高知県、徳島県大雨と強風をもたらすのです。

被害が多い地区の方々には、申し訳ないのですが、愛媛県でも松山市あたりは台風の影響は

少ないようです。ただし、注意報、警報は出ています、油断は禁物。

日本列島の地形をカラダと見なすと、愛媛県は・・・・太ももの内側かな・・・

足ウラが大事なんじゃ

3日前に、「ケンビキだけが、痛いんじゃ・・・ここよ。」と来院された運送業を営む50才代の男性患者Cさん、本日も来院。

「どうですか?」

「やっぱり、ケンビキ(肩甲骨痛)が気にならい。」

「そうなん・・・また、ガニ股になっとるね~」

「気をつけとるんじゃけどな~~」

そこで、今回は人工芝の上に置いた陶器の球の上を歩いてもらう事にしました。ゴルフボール位の大きさ。この上に足ウラを置き、体重を乗せると、

「痛っっっった‼️・・・これは、無理じゃ・・歩けん」

「痛かろう・・けど、ちょっとガマンして・・・・やれる範囲でやってみて・・・」

痛かろが、どうであろうが、7分間自身のカラダと付き合っていただきました。その後、前回同様、肩甲骨に対応する腸骨周辺の圧痛点を探しますが・・・・なかなか見つかりません。

「前は、すぐに見つかったのにな~」

「あんまり、ここじゃ!ちゅうとこが、ない・・・」

などと言いながら、臀部に3本置鍼し、20分程ゆっくりしていただきます。鍼を抜いた後、

「Cさんもう一度、人工芝の丸い石、歩いてみます?」

「・・・・う~ん、歩いてみよか」

するとCさん、歩けなかった丸い石を、嫌々ながらも歩けました。

「歩けるようになっとる・・・やっぱり、足ウラが大事なんじゃ・・・」

「そうじゃろ・・・土台じゃけん。」

Cさん、足ウラが柔らかくなると、ケンビキ(肩甲骨痛)が気にならないようです

柳の下のドジョウ?

30才女性患者Aさん、右肩甲骨の内側に痛みを感じ、カラダをひねると痛みが増します。

合谷診では、やはり胸椎にコリがあります。左肩甲骨に対応する左生え際C点に3本置鍼。

前日、運送業を営む50才代の男性患者Cさんが「ケンビキだけが、痛いんじゃ・・・ここよ。」と来院されましたが、AさんもCさんと同じところに痛みがあります。ということは、Cさんと同じ治療法が考えられます。

肩甲骨と胸椎の間の痛みを、腸骨と腰椎の間にある圧痛点に置鍼し、肩甲骨の痛みを取る。

はたして、「柳の下のドジョウ」になってしまうのか・・・やってみないと分かりません。

Cさんの場合、腸骨の圧痛点は、比較的簡単に見つかりましたが、Aさんの場合、なかなか見つかりません。この場合、患者さんにどこが痛いのか、しっかりと聞くことが大切です。

その痛点に対応する腸骨と腰椎の間の位置を推測し、押圧すると見つかりやすいです。ようやく見つかり、置鍼。一カ所見つかると、徐々に見つかり始め、合計5本の置鍼となりました。

「ひねっても、痛みが無くなりました。ガムテープのノリの部分が少し残っている感じです。」

そこで、胸部ソマトトープ(小さな人型)の肩に対応する、胸骨柄の圧痛点(イラスト参照)に鍼をして、改善出来ました。どうやら、ドジョウは見つかったようです。

ケンビキが痛い

「ケンビキだけが、痛いんじゃ・・・ここよ。」

運送業を営む50才代の男性患者Cさん、入室するや否や、訴えて来られます。

松山市に戻り、開業したのは3年前。それまで、色々なところで生活していたので、記憶が定かでない方言があります。

ケンビキがそれです。これは、口内炎、肩コリ、歯痛等を指すようです。Cさんの場合、肩甲骨の内側を押さえながら喋っているので、肩コリと推測できます。ただ、鍼灸師ならば「腱引き」という民間療法を思ってしまいます。私も一時期、腱引き治療をしていた時もありました。これは、達人ともなると、凄い技です。

いずれにしろ、Cさんの肩コリ。何とかしなくてはなりません。

「また、ガニ股で歩いたり、運転も、ガニ股になっとるんじゃろ?」

「ほうよ、ほうよ、気にはしとるんじゃけど、気がついたらクラッチも小指側でな、こやって、こやって踏んどらい。」

「そんなことしよったら、ここで治しても、ついじゃろ(同じでしょう)。」

「分かっとるんじゃけどな~、ついつい楽じゃけん。」

「それが、いかんのよ。」

大した指導にはなっていませんが、一応注意だけはしておきます。

今回は、ケンビキという肩甲骨内側を指定し治療を願っているので、

「ケンビキだけじゃな~、そしたらな、痛いほうを上にして、横になってくれます?」

肩甲骨と骨盤の腸骨は、よく似ています。骨盤は、仙骨+尾骨と寛骨からなります。寛骨は、腸骨と坐骨と恥骨からなります。と文字で表すと混乱しますので、イラストで確かめてください。

よく似ている肩甲骨と腸骨は圧痛点も同様に現れます。Cさんは肩甲骨の内側の1点が痛くてしかたがありません。そこで、腸骨稜から内側の圧痛点を探します。

「痛った‼️そこじゃ。」

しっかり2寸の鍼で3本ほぼ同じ個所に刺しました。

「どうですか?」

「ありゃ、痛ないわい。」

本日は、短時間の治療で終了しました。

下顎骨と寛骨

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさんの続報です。

「先生、先週は調子良かった。水曜日には、友達と初めて食事に行けた。今までやったら、夜に外出なんか、考えられんかったのに・・・」

「それは、良かった!・・・・頭の後ろに刺したんが、良かったんじゃろか。」

いつものように合谷診をして、頭に置鍼。しかし、Cさんは、アゴに痛みが残っています。そこで、頭の後ろに6本置鍼。

これは、頭頂部から後頭部の正中線上にあるソマトトープ(小さな人型)の、アゴを狙って鍼を刺したのです。

これで、かなり痛みが軽減しました。まだ残っている痛みをどこで取るか・・・

そこで、考えました。以前、

頭骸骨⇄仙骨

下顎骨⇄寛骨(腸骨+坐骨+恥骨)

頚椎⇄腰

といった相関関係を述べたことがありました。⇄は、よく似ていて、圧痛点も相関関係にあると考えます。とすれば、下顎骨あたりが痛いCさんは、寛骨に圧痛点があり、鍼を刺して治るのでは・・・と思い、丁寧に診ていき見つけました。

「痛い!先生、そこ痛い!」

2カ所に4本刺して抜きました。

「先生、消えた!痛みがなくなった。」

長持ちできるように、寛骨の圧痛点3カ所にパイオネックス(円皮鍼)。さて、今回はどの位保つのでしょう?ちょっと、楽しみです。

小指を握る

夏の全国高等学校野球大会が、始まりました。愛媛代表の宇和島東は12日に試合があるようです。しっかり応援しますよ!先日、ある試合を民間放送で、たまたま見ていたら、

「いいピッチングをしていますね~。グラブ持ってる小指をしっかり使って投げているので、いい投球が出来るんです。」

この解説を聞いた途端、この人凄い!こんな解説を聞きたかったんじゃ!と嬉しくなりました。もちろん、作戦や試合の流れを解説するのは、大切で興味ありますが、どちらというと、大人が好きなテーマ。

それに対して、カラダの使い方をしっかりと解説することは、これから、野球をしたい子供達に必要な教えとなります。

では、右ピッチャーが投げる瞬間に、グラブをしている左手の小指を握ると、カラダはどうなるか・・・・右ピッチャーがボールを投げ始める時は、重心がしっかり右足にかかります。次の動作は、かかった重心をスムーズに左に移す事となります。その重心移動を素早くスムーズにするために、左手の小指を握る必要があるのです。

左小指を握ると、左半身が屈曲し、右半身の動きを素早く誘導するのです。これが、ポイント。

操体法で常に「足は親指、手は小指」と言っているのは、この事です。