自力自療

60才代の男性患者Cさん、本日で4回目の来院。

長年、慢性的な腰痛に苦しみ、左足外側から足ウラまでしびれています。ところが、2週間前の3回目に足ウラへ、5本の置鍼をしたところ、

「足ウラが、熱くなって来た。」

「今までで、一番ええ(効いた)かもしれん。」

という言葉を残して帰られました。そしてその後、石のマットを購入し毎日、足ウラ刺激をしているそうです。そのせいで、本日の治療では、

「腰の調子がええ!」

事実、合谷診(親指と人差し指の間のコリで、頭に刺す個所を決める診断法)では、腰に反応がなく、もっぱら首に対応する個所に置鍼しました。

後は、奥のベッドで寝ていただき、久しぶりに軽く皮膚に触れる操法をして、ゆっくりしてもらいました。

次回の予約は、2週間後。

やはり、自力自療が基本であることを教えていただきました。

ありがとうございます!

最近の日課

人工芝に陶器で出来たボール(陶石と呼ぶことにします)を置き、ゆっくり歩いています。

患者さんにやっていただく時もあります。

本来なら、治療前にやっていただくのがベストですが、痛すぎて、多くの患者さんは片足を軽く置くのに精一杯。

仕方ないので、私の健康法としてやっています。

腰に張りがあるくらいなら、2カ所に足を置いたまま、しばらく立っていると、治ってしまいます。

ただし、土踏まずあたりの痛いところに陶石がないと、意味がありません。

しばらく立っていると、私の場合は、腰あたりが無意識に動き始めます。この動きをもっと大きくしようと思ったら、目をつぶるといいです。私の場合は、フラフラが激しくなり綱渡り状態になります。これは相当効きます。

ゴルフボールと人工芝でも同じ事が出来ると思いますよ~

纏足(てんそく)とツボの数

 

患者さんとの会話の中で、

「先生のフェイスブックに、足ウラのツボは3つしかない・・・と、あったでしょう。それで考えたんです・・・昔の日本は、裸足だったから、足の皮が厚くて、鍼が入らなかったんじゃないかと・・・」

なるほど、確かにそれは当たっているように思います。

そこで、改めて「鍼と足ウラ」をテーマに考え直してみる事にします。

鍼の歴史は、中国の石器時代まで遡(さかのぼ)ります。その頃は、 砭石(へんせき)という石針を使用、その後、骨針、竹針、紀元前11世紀から紀元前8世紀の青銅器時代から鉄器時代となり、金属製の針が登場。

その後、漢代に黄帝内経という東洋医学のバイブルが編纂(へんさん)され、6世紀に、朝鮮半島を経由して日本へ伝来され、現在に至っています。随分と昔から、現在使われているツボ(経穴)が存在していたのです。

当時の中国の生活と現在の日本の生活は違います。それでも、同じカラダなので、ツボは同じ。これは、正しいといえますが、昔の中国と現在の日本の生活の違いは、明らかな為、もっと必要なツボがあって不思議ではないとも考えられます。

非常に大雑把な話になりますが、現在の中国の多くの地域では、西洋と同じように靴を履いたままで、寝るとき以外裸足にならない生活をしています。靴を履くことで、怪我や暑さ寒さから身を守っていたのでしょう。

また、唐(618~907)の末期から纏足(てんそく)という悪しき習慣が、はびこり辛亥革命(1911~12)以降まで続いていました。女性は、幼児期より足に布を強くしばり、足が大きくならないようし、足の親指以外の指を足の裏側へ折り曲げ、靴を履いていました。女性は寝る時も靴を履いていたそうです。

この様な中国の歴史からは、足ウラにツボを見つける事は難しいと考えます。足ウラで湧泉(ゆうせん)、裏内庭(うらないてい)、失眠(しつみん)というツボしか存在いないのは、この纏足(てんそく)のためかもしれません。この3つのツボは足ウラの中央部に並んでいるため纏足(てんそく)でも鍼は刺せます。

6世紀、日本に伝わった漢方と鍼灸は、現在も医師が漢方薬を処方し、鍼灸師が施術する形で続いています。6世紀当時の日本人は、下駄、草履(ぞうり)、裸足での歩行で、足ウラには、強刺激であったと想像します。また、現在のように舗装された道で、車を走らすこともなく、ただただ歩くことが生活の大半であったと思います。

そうすると冒頭、患者さんがおっしゃたように足ウラは硬く、しかも不衛生なため、鍼は刺せない状態であったと思います。

また、常に足ウラは刺激されていた為、足ウラに鍼など刺す必要がなかったとも言えます。

私(現在、64才)の通った小学校で運動会は、全員裸足でした。高校の運動会でも、男子だけでする棒体操は、裸足でした。1960年代、ほとんどの日本の道路は、舗装されていない凸凹道、そこをただひたすら歩いていたのです。つい最近まで、足ウラの刺激を受ける生活が存在していたのです。

ところが、今の小学校では、「俊足」 という左右非対称のシューズで左回りが得意になるものが人気だそうです。こんなハイテクに慣らされている子供の足ウラが心配です。これでは、足ウラが「やわ」になります。

足ウラの微妙なセンサーが鈍ってきます。人間が本来持っている原始感覚を取り戻すため「子供には、砂利道を歩かせろ!」と、操体法の創始者、橋本敬三先生がおっしゃっています。

今こそ、足ウラに鍼が必要になって来ています。

ということで、どんどん足ウラのツボ探しをしています。

眉毛のキズは、胸椎9、10番

背中に張りがあり、右足がしびれる50才代の男性Bさんの続報です。

Bさんの背中の張りは、特に左側がしつこいようです。

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、眉毛の上にある圧痛点に置鍼し、胸椎(背中)や肋骨のコリを取っていきます。

そこで、Bさんの左眉毛を丁寧に診ていくと、正中線に近いところ(胸椎の9~10番に対応)に古いキズ跡があります。

これは幼い頃、転んで作ったキズで10mmくらいあります。

「痛ったたた!」

爪で軽くキズ跡を触れるだけで、もの凄い反応です。軽く痛くない程度でキズ跡を爪でほぐすと、

「背中、ケッコー楽になった!」

山元式新頭鍼療法は、鍼以外の刺激でも治療は可能です。

Bさんの気になるところは、やはり胸椎の9~10番あたりです。ソマトトープ(小さな人型)で眉毛のキズの位置と合致します。

今後、眉毛のキズをほぐしていくだけで、胸椎9~10番あたりの張りが取れていく可能性があると考えます。次回は、もう少し丁寧に診ていきたいと思います。

鍼は効くみたいじゃ

90才代の男性患者Aさん、主訴は頻尿。本日で4回目の治療となります。

ニコニコ顔で来院されました。

「先生、鍼は効くみたいじゃ!夜中に3~4回トイレに行きよったんが、2回になった。」

思わず、手を叩(たた)き喜ぶ私。

「Aさん、それは良かった!この調子でやっていきましょう。」

朝から縁起のいい話が転がり込んで、俄然やる気になる私。

さて、前々回にあった左足首のむくみは、見えません。しかし、毛細血管が拡張し皮膚を通して、透けてみえる細かい糸ミミズ様かたまりが目立ちます。

これを、細絡(さいらく)と呼びます。江戸時代の鍼灸師は、三稜鍼(さんりょうしん)と呼ばれる鍼で、瀉血(しゃけつ)し気の巡りを良くしていました。しかし、現在は、医師以外の瀉血は違法となります。

そこで、今回は左足の細絡(さいらく)の目立つ内踝(くるぶし)および、足底11ヶ所に3壮づつお灸をし、7ヶ所に置鍼しました。

右足は内踝(くるぶし)、足底に10ヶ所3~4壮のお灸のみとしました。そして、パイオネックスを左足に7個、右足に3個で終了。

Aさんは、ご高齢のため、徐々に刺激を増やしている状態です。

3日後の来院を楽しみにしています。

小指のしびれに少府穴(しょうふけつ)

背中に張りがあり、右足がしびれる50才代の男性Bさん。

合谷診(親指と人差し指の間のコリで頭のどこに置鍼するか決めます)を丁寧にすると、胸椎(背中)に対応する眉毛の上に置鍼するように合谷が教えてくれます。

左右合わせて10本を眉毛の上に置鍼しました。

右足にはオモテウラ合わせて、13本置鍼。途中で、

「両手の小指がしびれるんじゃけど・・」

なぜか、仰向けに寝て治療していると小指がしびれて来ます。そこで、小指をグーした時に、小指先が付くところ(少府穴=しょうふけつ)に鍼を刺して抜きます。

「しびれが無くなった。」

との事。このツボ、小指のしびれには即効性があるようです。

右足に縦横微塵に刺さった鍼を抜くと・・・

「足のしびれも無い。」

との事。しびれが生じている個所の圧痛点には、効く可能性大です。継続して治療してみようと思います。ただ、背中の張りは左は取れましたが、右側はまだまだ・・・

右眉毛の上には6本も置鍼したのに・・・・次回は、胸部のソマトトープを狙ってみます。

Aさんのくつ

若い頃、交通事故やスキー事故で全身打撲の男性患者Aさん。右足の骨折は40年以上経っても、股関節外側に慢性的は痛みがあります。

今回は、右足ウラの小指側を中心に置鍼することにします。

第4趾と第5趾の間に圧痛点があります。その1点を皮切りに、丁寧に圧痛点を探し、足ウラに6本、足の甲に2本置鍼。後は、ゆっくり30分ベッドで休んでもらいました。

Aさんの右足は、歩く時、小指側に体重がかかり、なおかつ、親趾が浮いた状態なのです。最も重要な親趾に体重がかからず、小指側にかかっています。この状態が続くと、右下半身の外側に張りが生じてきます。

Aさんは、骨折を機にこのような姿勢を強いられたと考えます。それならば、直接土台の足ウラを刺激し、全身を揺するのも一つの方法でしょう。

「Aさん、ゆっくり起き上がってみて下さい・・・・足どうですか?」

「途中、ジワ~っと暖かいものが流れて来ている感じだったです・・・・・即効ですね。痛くないですね!」

さあ~いつまで続くやら・・・・次回の報告が楽しみです。

眼瞼下垂対策

3年前から眼瞼下垂が気になる60才代の女性患者Bさんの続報です。

両目とも眼瞼下垂のため、ひどい時は全く目を開けることが出来ず、仕事にならない事もあります。

今日も、目をショボショボさせ、閉じることが多いようです。

YNSA 勉強会メンバーの河野浩巳先生から教わった、「眼瞼下垂は感覚点の眼点」を真っ先に実行。その後、耳鳴り治療点にも置鍼しました。

感覚点の眼点は、顔の正中線から、約1cm横で、生え際から約2cm下の圧痛点です。

耳鳴り治療点は、オデコから後頭にかけての左右側頭部に4個所ずつ8個あります。

「先生、ちょっと目が開くようになっとる。」

目を見開くほどではありませんが、普通に近い状態になっています。河野先生、ありがとうございます?

そこで、今度は足の親指を頭のソマトトープ(小さい人型)と捉え、お灸を親指にします。

親指のウラ側は、顔になります。ちょうど目に当たる個所に圧痛点があるはず・・・・

「痛い‼️先生、そこ痛い!」

やはり左右ともに2個ずつ合計4個ありました。そこに、それぞれに10壮ずつ合計40

お灸をしました。

Bさん、目どうですか?」

「開く、結構普通に開くね〜」

成果は出たようです・・・続けばいいのですが・・・

「一番効いたわい!」

4カ月以上通院していない60才代男性患者Aさん、久々に来院されました。

最近の治療は、山元式新頭鍼療法(YNSA)を中心に行っているため、Aさんにとっては、初体験となります。

書家のAさんは、大作の制作に中腰の姿勢を強いられます。

そのため、慢性腰痛に悩まされており、今はイスに座っていても痛いそうです。

まずは、合谷診(親指と人差し指の間の中手骨の際のコリを診て、頭に置鍼します)。

Cさんは、頭に鍼を刺すたびに、合谷のコリがゆるんでいきます。

「どしたん、ゆるんでしまうげ~」

「おもしろいでしょ~~」

「う~~ん・・・不思議じゃの、ほじゃけん、ワシャ東洋医学が好きなんよ!」

頭に13本置鍼し、ベッドに移動してもらいます。

今は、明るい待合室で、座ったまま頭に鍼を刺し、奥の治療室でゆっくり休んでもらう治療法になっています。

「Cさん、足ウラに刺しますよ~~」

「お任せするけん、なんでもしてや。」

丁寧にコリを見つけ、刺入角度を決め刺していきます。左右の足ウラに合計9本。

「腰がゆるんで来よるんが、分からい。膝も効いとる・・・・不思議じゃの~~」

後は、ゆっくり休んでいただくだけです。

以前の治療法は、腰痛の場合、太ももの内側、ふくらはぎの圧痛点などに置鍼していたのですが、特別なことがない限り、今ではしていません。

山元式新頭鍼療法の創始者、山元敏勝先生にお会いしてから、もっと自由に伸び伸びと治療出来ています。本物との出会いが私を変えてくれました。ただただ、感謝しかありません。

「今までで、一番効いたわい、こやって座っとても、いっちょも(全然)腰が痛ないげ~」

嬉しいお言葉ありがとうございます!

アゴは足

3年前から、頭痛に悩んでいる40才代の女性患者Cさん、ここ3~4回の治療で頭痛を感じない日もあります。

前回の治療は、1週間前の日曜日でした。

翌日の月曜、火曜日は「ちょっと頭、痛いな~~」という感じだったのですが、水曜日の朝から調子が良く、頭も軽い状態が金曜日まで続きました。

ところが、土曜日朝起きた時から、頭が上から押され、その上、後ろから引っ張られる様な感覚の頭痛。松山市内を歩いていても、「ふわあ~」とした感覚に何度もなり、買い物もせず、家に帰ってしまいました。

そして、日曜日の今日、来院。

山元式新頭鍼療法(YNSA)で、合谷診をしながら、頭に13本置鍼。

この時点でで、頭痛が軽減しています。

「今は、どんな状態ですか?」

「痛いというより、重いものがアゴにあるって感じです。」

今回も前回と同様に、ソマトトープ(小さな人型)は、下顎骨を足そのものとします。足とは、踵(かかと)からつま先。横から見ると下顎骨と足は良く似ています。

「アゴの重い感じは、どこですか?」

「ここです。」

Cさんの触れている個所と、Cさんの足とをダブらせると、直ぐに足の圧痛点が見つかります。あとは、その周辺の圧痛点に置鍼。そうすると、Cさんのアゴにある重いものが、ノドの方に移動します。

Cさんのノド側は、Cさんの足ウラに当たります。そこで、足ウラの圧痛点に置鍼して、20~30分ゆっくりしてもらいます。

「Cさん、鍼抜きますね・・・・・・じゃ、ゆっくり起きてください・・・どうですか?」

「楽(らく)です!痛くない❣️」

次回も、一週間後の日曜日に予約して、元気よく帰るCさんでした。