クスノキの瘤(こぶ)で揺(ゆ)する

変形性膝関節症で右膝に人工骨を入れる手術を1年半前にした80才女性患者Aさん。

半年前から、当院を月に3回程度利用されています。

現在では、膝痛はなくなり、腰痛、肩凝りが気になっている程度です。

テニスのバックボレーを打つ格好をすると肩の三角筋中央部が、ピリピリと痛みが走るそうです。最初に腹診をして、お腹のコリをチェックし、足に鍼を刺してお腹をゆるめます。

「先生、不思議ですね~~、足とお腹が繋(つな)がっているなんて・・・」

毎回この治療をしているのですが、いまだにカラダの神秘に驚いておられます。

次に、右肩に対応する頭部に鍼を一本刺し置きします。右耳先端のやや斜め前上に

圧痛点を見つけました。

「クスノキの瘤(こぶ)で揺するの好きですか?」

「先生、あれ大好き? すっごく気持ちいい❣️」

仰向けの状態で、ポイントとなる肩甲骨や、膝うらにクスノキの瘤(こぶ)を置きます。あとは、手のひらサイズの瘤(こぶ)をAさんの右胸において、揺(ゆ)するだけです。

操体法の手技に、足指を一本一本丁寧に揺(ゆ)らす方法があります。その感覚で行うため、相当効果があるようです。

今度はうつ伏せで、右胸にクスノキの瘤(こぶ)が当たるようにして、腰にやや大きめの瘤(こぶ)を当て、揺(ゆ)すります。

「先生、肩もう楽楽楽~~❣️」

ということでAさん、気持ちよく帰られました。

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報

米寿を迎えた男性患者Aさんの続報です。

Aさんは、両膝の人工骨手術、腎臓摘出、心臓には3本のステントの手術と、西洋医学の恩恵を被(こおむ)って現在、88才。

10人の従業員を抱(かか)える鉄工所を経営しながら現役で働いておられます。

「先生、もうワシャ薬飲まん!薬飲んだら、肩が、いとうのうて(痛くなく)、ついつい無理して働くじゃろう。そしたらの、翌日いとうて、いとうてたまらん様になるんじゃけん。いっちょも(少しも)治っとらん。ワルなるだけじゃわい。」

「薬でだまされとるだけじゃ。ここ(当院)に来てからは、薬飲まんようにしとる。」

当院に入って来られるや否や、一気にまくし立てるAさん。大変お元気です。

よくよくお話を伺うと、Aさんは機械修理のエキスパートで、どんな機械でもバラバラの状態から組み立てる事が出来ます。そのため、鉄工所の難しい機械修理は、Aさんしか出来ません。今日も一日修理をしていたそうです。

一番痛いのが、右肩(三角筋という肩から上腕外側の真ん中くらいにある筋肉)。よっぽど肩が痛かったのでしょう。痛いところに大きな黒々とした「やいと」の跡が、かさぶたで残っています。

三角筋は前部繊維、中部繊維、後部繊維と3つの筋肉に分かれています。

前部繊維は、母指球の屈筋が、中部繊維は、胸の大胸筋が、後部繊維は、親指と人差し指の間にある母指内転筋が、それぞれ関係しています。肩甲骨や脇の下にある前鋸筋(ぜんきょきん)も関与しています。

また、Aさんは、機械修理で指の屈筋を酷使しているので、それぞれの指を丁寧に診なくてはなりません。

まず、右手の親指から小指まで一本一本ストレッチ。ゆっくり気持ちよく・・・

「おおおっ~、これはよう伸びるのう~~イタ気持ちがええわい❣️」

あとは、右母指球や母指内転筋に鍼。指の圧痛点にお灸。肩甲骨や脇の下にお灸をして終了。3日後の予約をして帰られました。

次回はどんな話をしてくださるのか、楽しみです。

来院の前に治ってた⁉️

二日前にギックリ腰の30才代女性患者Cさん。

昨日、お尻に痛み止めの注射(ブロック注射ではないと本人の弁)をし、温泉でゆっくり。

そして理学療法士の先生に習ったストレッチが良く効いたようです。

温泉がたくさんある松山ならではの湯治法❣️

来院した時は、笑顔が爽やかで、ギックリ腰のイメージはありません。

ただ、背中を触ると骨盤の上に張りがあります。しかし、ふくらはぎはユルユル。足首の張りも感じられません。

『・・・んん・・・腹診をすると、何か分かるじゃろ・・・』

両膝の下に、長細いクッションを置いてやや立膝の状態で仰向けになってもらいます。

「腰痛くないですか?」

「大丈夫です。楽です!」

腹診をしても、どこも痛くありません。こういう時は・・・・山元式新頭鍼療法(YNSA)。

ダイオード鍉鍼(ていしん)という長さ14cmの棒で圧痛点を探しますが、結局見つかったのは、おでこの2か所だけです。そこに鍼を刺し置きします。

左側の腰が痛いので、左の太ももにクスノキの瘤(こぶ)を置き、軽く揺すります。

「痛った!」

どうやら、太ももは敏感です。そこで、丁寧に揺すること5~6分。何となく落ち着いて来たと感じたので、太ももに被(かぶ)せたタオルの上に軽く手のひらを添えます。

「ゆっくりしてくださいね~。どこか気になるところあります?」

「左の鍼、刺されてるところから、引っ張られてる感じがします❣️」

「あ~~、なるほど~~嫌な感じですか?」

「いや、そんな事はないです。引っ張られてる感じです。」

「じゃあ、そのままにしておきましょう。」

途中、太ももから膝うらに触れる場所を移し、10分くらい経ちました。もう太もも膝うら共に痛みはそれ程ありません。

「それじゃ、鍼を刺したままでユックリ起きてください・・・・・どうですか?」

「あれ? 痛くない・・・痛くないです❣️」

「うん~~良かった!じゃあ、鍼を刺したままでもう一回横になって休んでください。」

有線放送から流れる「ヒーリング・ベスト・セレクション」を聴きながらウトウトしてもらいます。

こんな感じでいつの間にか治療は終了。

「何が効いたのかよく分からないのですが・・・多分、温泉のストレッチが良かったんじゃないかと思います・・・」

湯治法は素晴らしい❣️

日本の鍼(はり)があまり痛くない3つの理由❣️

多くの人は、「鍼(はり)」といえば小学校の予防注射鍼(直径0.55~0.4mm)を想像し、いい印象はありません。大人になって血液検査を受ける採血注射鍼(直径0.8~0.4mm)にしても気持ちの良いものではありません。

皮膚に刺入した時の「チクッ」とした痛みが「鍼原体験」としてカラダにも心にも染み付いると思います。注射前日に眠れない恐怖を覚えた小学生(特に男の子)などは、大人になればなるほど、恐怖感が鮮明に蘇(よみがえ)ると思います。

また、鍼の発祥地中国は、直径が0.22~0.45mmの鍼が一般的です。ということは、注射鍼と同じ直径の鍼も使用している事になります。また、鍼先を直接皮膚に押し付けて刺入するため、痛みを伴います。私の想像では、一般の方がイメージする鍼が、この中国鍼ではないかと思います。

ところが、日本の鍼は患者さんに優しいのです。理由は3つあります。

①鍼の直径が中国鍼の半分以下。

現在、私が使用している鍼は、美容鍼直径0.12~0.14mm(これは、髪の毛の太さです)。治療鍼直径0.16~0.25mm。お相撲さんのようにガタイのしっかりした患者さんには、0.3mmを使う時もあります。以上のように直径が小さい上に、最新技術により先端に丸みを作って痛み軽減の努力をしています。

②鍼を鍼より5mm程短い管(くだ)に入れ、管(くだ)から出た鍼の柄(え)を軽く指さきで叩(たた)き皮膚に刺入。

この方法は、日本独自の技です。多くの鍼灸師は、使い捨てのプラスチック管とステンレス鍼を使用しています。このプラスチック管がポイント。

内径が3mmのプラスチック管に鍼を入れると皮膚には、角を丸く加工したプラスチック管とその中央部に鍼先が触れています。患者さんには、プラスチックの円形押圧の感覚だけが伝わっています。その瞬間、鍼を軽く叩(たた)いて皮膚に刺入すると、脳は痛みを感じない場合が多いのです。

 理由は、触圧を感じる受容器からは、太い神経(高速道路の感じ)を経由して脳まで伝達するシステムがあり、痛覚の受容器からは、細い神経(一般道路の感じ)を経由するシステムがあるため、脳は早く到達する触圧だけを感じる場合が多いのです。

もう少し、具体的にいうと、ほっぺを叩(たたか)れると、思わず手をほっぺに持っていきます。これで痛みの個所を触圧し、太い神経の高速道路経由の感覚を脳に伝え、痛みを和(やわ)らげます。このシステムを、鍼の刺入時に使っているのです。

③日本独自の押手(おしで)技法。

鍼灸師がツボを探す時は、左の人差し指をセンサーにして、手のひら全体を患者さんの皮膚に軽く添(そ)えます。これを押手(おしで)といいます。ツボに鍼を刺すまで柔らかい左手のひらが皮膚に触れているため、それだけで、患者さんは気持ちいいのです。そこへ、ド ンピシャの鍼が入るとカラダはゆるむのです。

最近、日本でやっと「東洋医学って実はすごい」などとテレビ言い始めました。

チョット悲しいです。

これには、鍼灸師である我々にも非があると思います。ですから、もっと普通に当たり前に発信しようと思います。

日本の鍼灸および漢方は、仏教伝来と共に日本に浸透し独自の展開をしています。これらの貴重な研究資料を中国は逆輸入していたのです。

実は、中国の鍼灸の歴史は、1822年清の時代から衰退し、1925年、中華民国では中国医学の禁止令がでました。貴重な資料や研究は日本に数多くあり、私の母校である東京医療専門学校(呉竹学園)を1934~35年に視察した承淡庵(1899 - 1957)は、帰国後すぐに中国鍼灸医学専門学校を設立し、その門下が、1956年から各地に設立された中医学院で教鞭をとったという驚くべき事実があります。つまり現在の中国鍼灸の歴史は新しいのです。

もう少し、日本の鍼灸に興味を持って頂きたいものです。

    

ほぼYNSA(山元式新頭鍼療法)

昨年7月から1ヶ月に3~4回のペースで来院の50才代女性Aさんの続報。

病院では、変形性股関節症(右の骨が数ミリ削れている)と診断されました。やはり、まだ右股関節の外側からふくらはぎの下まで痛みがあるそうです。

今回は、山元式新頭鍼療法(YNSA)で治療します。

Aさんのように右下肢全体に痛みを感じる場合、右耳中央部の後ろから頭のてっぺんにかけての圧痛点を探します。

6箇所見つけ出して斜め刺します。同じ様に左側頭部の圧痛点を探しますが・・・

見つかりませんでした。

「へっえ~~、こんなことあるの⁉️」

チョットびっくりしました。

あとは、フォークソングを聴きながらゆっくり40分休んでもらいます。

『今日は、腹診で足に鍼を刺した以外は、全て頭に刺したので・・・どうなるのかな~~』

『考えてみれば、「ほぼYNSA治療」って初めて❣️』

「Aさん、起きてみてください。足の状態はどうですか?」

「・・・んん、あれっ・・・足全体は痛くない。横の奥にあるだけです❣️」

肩と背中の張りが緩んでいます。

Aさんに赤ボールペンで痛いところを描いてもらった右下肢の部位が、緑ボールペンの部位に減少していました(カルテをコピーしました)。

頭は開拓の余地がいっぱいあるようです。

カラダにお任せ

午前中、キャンセルがあったため、畳部屋でゴロゴロ。

クスノキの瘤(こぶ)に頭、背中、ふくらはぎ、太もも、足首を置いて揺(ゆ)すると、効きます。クスノキがシナモンと同類のため、10分ほどでカラダがカ~~ッと熱くなる感じです。クスノキから抽出された樟脳(しょうのう)がカンフルと言われるのが良くわかります。

午後からは、スキー大好き60才代男性患者Aさん。

前回までは、私が方針を立てその中にクスノキの瘤(こぶ)治療を加えていました。

しかし今回は、Aさんのカラダにお任せすることにしました。

過去2回、Aさんはクスノキを十分体感しました。しかし最も大きな瘤(こぶ)をメインでつかうことはありませんでした。そこで、大きな瘤(こぶ)をAさんの背中の下に敷くというやや大胆なことをしてみました。

午前中、大きな瘤(こぶ)の上でゴロゴロし、効果を実感。また、感覚、運動神経が鋭いAさんのカラダなら勝手に反応するだろうと思ったからです。

「先生、背中が気持ちいい~~❣️」

「カカトにとんがったのが欲しい❣️」

「背中が暖まってきて、腕の重さで指、手、腕が引っ張られてる~~」

「音楽のリズム(ボサノバ)に任せて、素直に動いていると・・・なんだ、どうなってんだ・・・ああ、これは効く~~ああ~~~、❣️」

「クスノキの感触って、やわかた(柔らかいけど、硬い。硬いけど柔らかい)で、いいんだよね~~。ハマりますね~~このまま(の状態)でいたい❣️」

色々、喋ってくれます。

私はというと、強烈な睡魔に襲われ、踏ん張るのに精一杯。前回もやはり、強烈な睡魔を感じたのですが、何かあるのでしょう。よくわかりませんが・・・

追伸:Aさんの手のしびれがなくなりました。

新頭鍼療法(YNSA)の進化形

くつ下が履(は)けなかった50才代女性患者Bさんの続報の続報

くつ下はもう履(は)けるようになり、左股関節は余りに気になりません。

「先生、今日は肩から首にかけてパンパンなんです❣️」

「あらら、ほんとだ!これは、しんどいでしょ~」

ということで、ベッドに仰向けで寝ていただきます。いつもの様に腹診。

今回は、五臓全てに圧痛点、あるいはコリがあります。こんな時は、最も痛い箇所と2番目に痛いところを確認します。

①脾臓と②肝臓ということで、方針が立つのですが、チョット専門的になるので省略。

最近特に意識していることは、「一鍼入魂」というよりも・・・「一鍼入無」というか・・・Don’t think,feel it. ブルースリーの名言の様な感じです。

鍼を刺した後、目を瞑(つむ)り鍼を持った右手と鍼を支えている左手で「感じています」

何も感じない時もあれば、急に眠くなることも、ピリピリ感じることもあります。

感じることがあれば、患者さんのお腹は柔らかくなっているようです。

Bさんの場合、4~5本の刺入でお腹が柔らかくなりました。お腹が柔らかくなると、ウラ側にある腰も緩んできます。

頭痛持ちのBさん、今回は頭に鍼を刺すだけの山元式新頭鍼療法(YNSA)で治療することにしました。YNSAは今なお進化しています。そのため、今回はその進化形を活用します。

 Bさんは、感覚が鋭く素直なので、カラダの反応が素早く出ます。

「あ痛った‼️(中国式での刺入のため、痛みは伴います)・・・・鼻が通ってきました❣️」

「右耳の下から、唾液が・・・すごい出てます。梅干しを見た時みたいな、感じで出てきます❣️」

40分ほど頭に14本刺し置きました。

「は~い、ユックリ起きてくださ~い。」

「あっ、肩が軽くなっています❣️・・・頭が、冴えた感じです~~」

実際、肩から背中にかけて、ゆるゆるになっていました。

YNSAの進化形恐るべし。

「言葉は運命のハンドル」という操体(医師、橋下敬三先生の治療を含めた生き方)の教えがあります。いい言葉を使えばいい人生になり、悪い言葉を使えば悪い人生になる。

このことを、客観的に証明したのが、水の研究者、江本勝さんです。水に良い言葉つまり良い波動を与え凍らした結晶は、美しく、悪い波動を与え凍らした結晶は美しくない、という写真集「水からの伝言」を出版されました。

人のカラダも60~70%は水。自ら喋る言葉がカラダの水に最も影響します。いい言葉の波動はもちろんのこと、良い文字の波動も水に影響を与え、美しい結晶を作ります。これは確か「水からの伝言 2」に掲載されていたと思います。

私は、2004年スペイン、マジョルカ島のジョアン・ミロ美術館で滞在芸術家として2ヶ月、子供達にワークショップを行いました。この時、ご飯を入れたビンAには、「グラシアス(ありがとう)」ご飯を入れたビンBには「トント(ばか)」と2週間子供達に言ってもらいました。その結果、ビンA、ビンBともに、同じようにカビました。

「なんじゃ~~、変わりない!おんなじじゃ!」

と、ガッカリ。しかし、もしかして・・・と思い、子供達に目を瞑(つむ)ってもらい、ビンAとビンBの匂いを比べてもらいました。すると、

「ビンBはひどい匂い、でもビンAは、全然ちがう香ばしい❣️」

という驚きの答えが返ってきました。実際、私もその違いに驚きました。

改めて、美しい波動の凄さを感じたのです。

書道家の患者さんから、「夢」という素晴らしい作品をいただき、待合室の壁に掛けました。この書が放つ柔らかい響きが心地よく、この空間のヘソが出来ました。

60才を過ぎた私ですが、「夢」をまだまだ追いかけます❣️

「Come on!」大坂なおみ選手の拳(こぶし)

日本国籍の大坂なおみ選手が、全豪オープンで決勝に進出し、世界ランキングも1位になる勢いです。恥ずかしがり屋の大坂選手のインタビューが自然体で、ほんわかしているので、いつも楽しみにしています。インターネットで、下記のエピソードを見つけました。

全豪オープン大会前の会見で大坂選手は「今の私の最大の目標は“大人になること”。今の自分は、3歳児のようなものの考え方だから。実は一冊のノートがあるの。毎晩、寝る前にノートにみんなに披露するジョークを書き留めている」と発言。記者からどんなジョークを書いているのか聞かれると、「今のもジョークよ!」と会場を盛り上げた。

粋(いき)な話ですね。

このお茶目な自然体が、独特の雰囲気を生み出しています。

試合中でも、この自然体を感じる時があります。それが、納得したプレーの時に出るガッツポーズ

「Come on !」

の拳(こぶし)です。よく見ると、常に親指がまっすぐでそれ以外の指が曲がっています。大坂選手にとって最大の握り拳(こぶし)に、親指を使っていません。

これは、カラダの自然法則(身体運動の法則における身体安定の法則=足は親指、手は小指)が身に付いている証拠です。

もし親指を最大限に曲げたガッツポーズをとると、カラダが緊張します。

無意識のうちにそのことが分かっている大坂選手は、やはり只者(ただもの)ではありません。

こういう人を天才と呼ぶのでしょう

白鵬の蹲踞(そんきょ)

白鵬の蹲踞(そんきょ)

初場所12日目の結びの一番は、2敗の玉鷲と1敗の横綱白鵬の大一番。

通算成績13勝0敗の白鵬絶対的有利の下馬表にもかかわらず、玉鷲が勝ってしまいました。

これは、全く予想外でした。

この予想外の説明をいたします。

大相撲では、塩をまき土俵を清め、お互いが呼吸を合わせて、蹲踞(そんきょ)し、仕切り線に両手を突き、見合います。この動作を何度か繰り返すことを仕切りなおしといい、時間が来ると、やっと立ち合いとなり、相撲が始まります。

この時の姿勢、所作がもっとも美しいのは白鵬。

玉鷲と白鵬が蹲踞(そんきょ)している姿を見比べていただくと、一目瞭然です。

玉鷲は膝に手のひらを付けていますが、白鵬は手の甲を付けています。

この差は、天と地ほどの違いです。玉鷲のように手のひらを膝に置くと、親指に重心がかかる傾向となり、脇が空きます。ところが、白鵬のように手の甲を置くと、小指に重心がかかる傾向となり、脇が締まります。

仏様の手のひらは、白鵬のように上を向いています。リラックスした、カラダが「ほどける」状態となり、「ほどける」→「ほとけ」となります。

次に、玉鷲と白鵬の足底の土俵に対する角度の違いを見てください。共に、カラダの軸は母趾球に乗ってはいますが、足底の角度が違うため、親趾(おやゆび)をはじめとする趾先(ゆびさき)にかかる体重が違います。つまり、白鵬の足の方が土俵を力強く噛みしめているのです。

そのため、立会いの瞬間、両者の姿勢が全く違います。

相撲は立会いでほぼ決まります。この時点で、白鵬の勝ちなのですが、何が起こるか分からないのが相撲・・・・・ということでした。