「私が小さいころ・・・5~6才じゃったろか。食中毒になってな。そしたら、母親が足に灸(ヤイト)をしてくれたんよ。それがなあ、効いたんよ。」
「えっっっっ、それって裏内庭(うらないてい)じゃ・・・・足のウラ側じゃったでしょう?」
「それは、よう覚えてないけど・・・・・それがな、普通ヤイトしたら痛かろ。 それが、全然痛ないんよ。」
「はあ~??効いとるけん、そうなるんじゃろうなあ~」
「それからな、お腹がグルグル動いて、すーっとしてきて治ったんよ。」
食中毒に裏内庭(うらないてい)という方程式を知らない鍼灸師はいません。しかし、実話を教えてもらえる機会はそんなに多くないと思います。今回初めてリアルにイメージできました。80才代の女性患者Aさんが幼い5~6才のころ、今から70年以上前の愛媛県では、民間療法として食中毒の対処法が伝わっていたのです。
現在のように病院が多くない一昔前は、お灸が生活の一部として重要な位置を担っていたのです。もう一度、民間療法を見直してみるのもいいと思います。