指先の鍼

(この絵と治療内容は関係ありません・・・最近、分かりやすくYNSAを紹介したいので、イラストにしています)

月に1回のペースで来院される70才代の男性患者Cさん、最近は操体法のみの治療が多くなっています。今回もベッドに移動していただき、骨盤調整から始めることにしました。来院されるほぼ全ての患者さんは、右脚が縮んで左脚が長くなっています。第一腰椎の左から仙骨(お尻にある平たい骨)の右にかけて腸管膜根(ちょうかんまっこん)という小腸の根元があるのですが、これがストレスで縮み上がるため、右骨盤の位置と左骨盤の位置に差ができるのです。

「やはり、右脚のほうが左脚より1.5cmほど短いですね・・・・右脚を軽く引っ張りますね・・・左のつま先を軽く上げて、カカトをゆっくり押し込んでください・・・・決して力まないで・・・」

などと、言葉で誘導しながら操体法は始まります。1回の操法で骨盤は整いました。今度は両手のひらで正三角形を作り、その上に仙骨を置きます。両膝を立ててゆっくり倒してもらいます。これで気持ちのいいポジションを味わうという操法です。Cさんは、右手にお尻の圧力がかかったので、ゆっくり思い出したように、

「そういえば・・・仕事していて右手の人差し指と薬指が痛うて・・・まっすぐにならんのです。」

「・・・それは、頸椎7番・・・・Cさん、ここらあたり(右耳の下)に痛いとこありませんか?」

「・・・・そこが痛いです。」

「そしたら、OKグーグルタイマー3分お願いします。」

「タイマー3分ですね・・・ヨーイスタート。」

私はCさんの教えてくれた圧痛点に中指を軽く当てるだけの操法を始めました。YNSA(山元式新頭鍼療法)では、この圧痛点に鍼を刺すのですが、指先を触れるだけでも効果があります。

「右の中指と薬指はどうですか?」

「・・・・・あれっ、痛ない・・・まっすぐになってますね。」

と効果がありました。念のため、オデコの中央部にあるA点と右耳下の治療点にもう一度、指先を当て3分間の操法を行いました。そして、その2か所にパイオネックス(円皮鍼)を貼って治療終了です。あとは、Cさんの好きな足指をもむ操法を30分して終了。坂本冬美の曲を聴きながら、爆睡のCさんですが、この治療法は全ての患者さんにも出来るので、鍼灸が嫌い、怖いと思っておられる方はお勧めです。

切り干し大根製造所

農業従事の患者さんから、無農薬の大根をたくさんいただいたので、切り干し大根にしています。大根葉は、カラカラになるまで乾燥させ、ご飯と一緒炊くと、黄色い葉っぱの方が、香ばしいのには驚きました。ですから、捨てるところがありません。

しかし、冬大根はもうこの時期でほぼ終了とのことでした。これ以上ほっておくと、菜の花が咲いてくるそうです。春大根は、少し辛みが増しますが、みずみずしいそうです。夏大根は、圧倒的に辛みが増すそうです。暑い夏を辛いすり大根で乗り切るにはいいかもしれません。

隣にあった2階建て住宅がなくなり、空き地になったため、南からの日差しが出窓に入り込むので、切り干し大根製造所に早変わりです。よくよく調べてみると、切り干し大根だけで、味噌汁のダシがとれるそうです。私は、ダシは昆布と煮干しという固定概念の石頭でした。

切り干し大根だけで、どんな料理が出来るのか、ちょっと楽しみになってきました。

東温史談

 

「東温史談」という東温市の歴史を紹介する立派な冊子が届きました。これに、惣河内(そうこうち)神社宮司の佐伯敦が近藤林内物語 身宝は 芋に大根に 麦の飯 という文章を書いております。イラストは私が描きました。

近藤林内(こんどうりんない)さんは、大庄屋として地域をまとめ、作り酒屋として美味しい酒をつくり、大繁盛し、その金を地域のために使った偉人です。焼けた惣河内神社を再建したのも近藤林内さんです。その一節をご紹介します。

『わしは大庄屋になってはおるが、村のみんなと同じただの百しょうじゃ。刀なんぞは、いらん。たまたま商売がうまくいってお金が入ってくるけど、それも、神様、仏様、そして村のみんなのおかげじゃ。みんな、苦しい生活をしよるんじゃから、わしらもがまんして、みんなと同じ生活をしよう。そして、少しでも、河之内のためになるようにお金を貯めようと思う。お前らにも苦労をかけるけど、がまんしてくれ。うちの店にお金がたくさんあるからといって、自分たちが偉いと思ってはいかんぞ。これはご先祖様が残してくださったお店や田畑があるおかげで、たまたま我が家にお金が集まっているだけじゃ。このお金は、決して自分のものではなく、みんなのものだから、世の中のお役に立つことに使わねばならん。そのためにはけん約し、一文たりとも無だに使ってはいかん。お米は神様からいただいた食べもので、大切なお金に代わるのだから、一粒も無だにしてはいかんぞ』

頭がさがります。

操体法とYNSAの融合2

(この絵と内容は関係ありません・・・こんな絵を制作中です)

2週間前に、

『4年前から通院されている60才代の女性患者Cさん。4年前は右股関節が痛くて、夜中眠れない日々が続きましたが、半年の治療で股関節の痛みはなくなりました。そして、3年間は週に一回のペース、最近は2週間に1回のペースで通院され体調管理をされています。Cさんには、頭の鍼、足の灸、操体法など様々な治療法を行っています。前回は操体法のみの治療で調子が良かったので、今回は操体法と山元式新頭鍼療法(YNSA)の新しい組み合わせを行なってみました。』

という書き出しで、操体法とYNSAの融合した治療法をCさんにおこなったのですが、その後の経過が良く、股関節や膝の痛みはなかったそうです。ただ、寒い日が続くと膝の冷たさを感じることがあるそうです。そこで、今回も前回と同じ治療法を行うことにしました。これは、YNSAで行う合谷診、膝診、首診を行い、鍼を頭に刺す代わりに、患者さんの頭の治療点へ、私が指先を触れる治療法です。

私が鍼灸師になる以前には、指先で患者さんに触れて治す操体法を行っていたのですが、その方法をYNSA(山元式新頭鍼療法)のシステムで行うのです。

合谷診:左(左側を診る)

膝診: 左頸椎#7、#6、胸椎#1、#9、#10、腰椎#1、大脳、脳幹、小脳

頸椎、腰椎、大脳の治療点に2分30秒触れると、それぞれの診断点がゆるみ、それ以外の診断点もゆるむ

首診:左腎、膀胱、肝、胆、心包、心、三焦、胃、小腸、肺

上記うち、肝、心、小腸の治療点に2分30秒ふれると、それぞれの診断点がゆるみ、それ以外の診断点もゆるむ

「OKグーグル、タイマー2分30秒お願いします。」

といって、指先が触れる時間をあらかじめ設定するようにしました。Cさんにとって、時間制限がある方が安心できるように思えたからです。上記のように、鍼を刺すのと同じ効果がでます。これは、4年間かかって築いた信頼関係があるから出来ることなのかもしれません。もし初来院で、鍼が嫌いな患者さんにこの治療法が出来れば、治療の幅が広がります。しばらくCさんには続けて行い様子をみてみようと思います。

鍼が怖いという患者さんに救いとなる可能性が出てくるかも?

YNSAの紹介

 

 

 

下記のようなYNSAの紹介文を書き、会社経営で成功している患者さんに見てもらったのですが、イラストを入れて、会話形式にして読みやすいようにしたら?

と、ご意見を頂きました。全くその通りでした・・・・やり直しです。

『YNSAの成り立ちと、普通の鍼(はり)との違い

山元式新頭鍼療法(YNSA)は、1968年、麻酔科のドクターだった山元医師の失敗から始まりました。ドクターは、麻酔液を入れるの忘れて無菌水を60才代の女性患者さんに打ってしまったのです。すると患者さんは、注射を打ったところはもちろん、それ以外にも激しい痛みが生じました。ところが、患者さんのもともと治療を望んでいた部位の痛みが、しばらくすると全く無くなってしまったのです。

この失敗を、ドクターは「東洋医学のツボと関係がある」というお告(つ)げだと直感し、東洋医学を研究されます。当時(1960年代後半)、中国で発表された頭鍼療法を取り入れながら試行錯誤したのですが、効果はあがりませんでした。そんなある日、脳梗塞の後遺症で麻痺を起こされた60才代の男性が来院されました。左半身麻痺で左の側に全く感覚がなく、動かない状態でした。しかし、この患者さんの右側のこめかみの少し上あたりをに触れたとき、患者さんが「左腕に何かを感じる」と言うのです。再び頭部のそのポイントに触れると、今度は全く動かないはずの左腕がわずかに動く事が起こったのです。

ドクターはこの時、「頭部には腕以外にその他の体や内臓にもつながるポイントがある」と直感したのです。それからは、仮説を立てながら次々と治療ポイントを見つけ出していきました。そして、ウワサがウワサを呼び、1日に200人もの患者さんが来院するまでになったのです。この治療方法を1974年海外で発表すると瞬(またた)く間に広がり、現在までに、ドイツでは19万1000人、アメリカ合衆国では16万3000人、ブラジルでは14万9400人の医師が研修を受けました。この治療を数十年続けたので、ドクターは、のべ150万人の患者さんを診ることになりました。そして次々と治療点をみつけていき、今では14カ国以上の国々で補完代替医療として使用、研究されています。

日本では、2013年に学会が発足し、現在約600名の会員がいます。

YNSAの特徴

1)ツボが40ほどしかない←→経絡のツボ(361+たくさんのツボ)

2)西洋医学の知識の上に東洋医学の考えを加えているので、普及しやすい

3)服を着たまま、座ったままで治療できるので、手間がかからない

4)即効性がある

5)再現性が高い(秘技ではない)

6)治療率が高い

7)クスリのような副作用がない

8)新しい治療点、治療法が見つかる可能性がある』

大粒の涙、再び

先日、40才代の男性患者Aさんが来られて、ギックリ腰の痛みを9割ほど取りほぼ完治しました。そのAさんが、

「先生、息子。あれ一発で、治りました・・・翌日から練習が出来るようになりました・・・・けど、今度は、骨折してしもうて、Tクリニックに行ってます。明後日には、ギブスを外すんですけど・・・こればっかしは・・・」

「調子悪かったら、いつでも連れて来てください・・・診ますから。」

などと会話しながらも、『一発で治った・・・・やはり、デルマトーム(皮膚分節)の考え方は正しいと確信』しました。この時の様子を以前ご紹介しましたが、少し省略した形で再びご紹介します。

『スケードボードの練習をしていて、10日ほど前に左足内側を捻挫した男子小学校5年生A君、お父さんと来院されました。1週間前からは、右膝の内側も痛くなってしまいました。整形外科では骨には異常がなく、捻挫と打撲と診断されました。左足あぐらをかこうとすると痛みがあり、右膝は屈むと痛いそうです。

合谷診:左(左側を診断します)

膝診:頚椎#7~2、胸椎#2、#12、腰椎#1~6

首診:今回は診ない

置鍼2本のみ

小学5年生で、鍼治療が初めて・・・・まず、泣くことは覚悟で一発勝負にかけるか・・・・・見つけた足の治療点にてい鍼の押圧とお灸で、泣くことを避けるか・・・・・。

左右共に、腰椎4番のデルマトーム(皮膚分節)に関係があるので、2本の置鍼で終了することを念頭に入れ、A君には、荒治療ですが、左右の耳とこめかみ付近にある治療点に2本置鍼することにしました。

「痛い!痛い!・・・・お父さん痛い・・・」

何と、非情な鍼灸師!しかし、ここで心を鬼にして、治さなければ・・・・・「ゴメン!」

A君は大粒の涙をポロポロ流して・・・・私の息子に似ているので余計に、感情移入してしまって・・・

「左足首・・・どう?」

「・・・・・痛くない。」

「もう一回しっかりやってみ?」とお父さん。

「痛ない!」

「右の膝は、どう?」

「・・・・痛くない!」

急に笑顔になるA君を見ると、息子がニコッと笑った気がして・・・・ついつい感情移入。この2本で本日の治療は終了ですが、お灸で治療する方法も紹介するため、2壮ほど熱くないお灸を体験してもらいました。改めてデルマトーム(皮膚分節)の威力を感じた治療でした。足首と膝の痛みから解放されたA君の背中をさすりながら、

「よう頑張ったな!またいつでもおいでよ!」

「はい!」

めでたしめでたし。』

国家試験

今月26日には、鍼灸師の国家試験があります。私が受験したのが平成24年ですから11年前になります。簡単に国家試験といいますが、それはそれは、厳しい試験でした。

医療概論(医学史を除く。)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論、経絡経穴概論、はり理論及び東洋医学臨床論

上記のように12科目中、西洋医学が9科目もあるのです。多くの方々は、鍼灸師だから東洋医学ばかり勉強するように思われているようですが、逆です。テストの量も西洋医学の方が多くなっています。のんべんだらりと勉強していると、国家試験には受かりません。私の場合は、早朝学校(東京医療専門学校)に行き、休憩所で一人勉強していたのですが、徐々に仲間が増え始め、みんなで情報交換する勉強会へと発展していきました。

あの勉強会で国家試験に受かったと、今になって思います。専門学校には18才から定年過ぎた人まで色々な人々が集まってくるので、楽しい3年間を過ごすことができました。大学と専門学校を経験した私、どちらが勉強したか?と冷静に考えると、圧倒的に専門学校でした。それくらい、国家試験という壁が巨大にそびえていたのです。

ところが、国家試験に受かることは序の口であることが分かるのです。鍼灸をこれからどのように展開していくのか・・・・幸い、私は山元式新頭鍼療法(YNSA)という道を選ぶことが出来、私なりに歩んでいます。これからも、患者さんの感覚を頼りに少しずつ進んでいこうと思います。

飽食・美食が意味するもの

今回も、久間英一郎博士のコラムをご紹介します。何故、飽食・美食が人、文明を崩壊させるのか、を明確に書かれておられます。戦後80年近く、徐々に西欧化された日本で、食事の見直しが急務です。その理由がよく分かるのでお読みいただければ、ありがたいです。

『新型コロナウィルスに関しては様々な識者が様々に見解を出していますが、本誌に何度も登場していただいています石原結實先生が「ザ・フナイ」(5月号)に「新型肺炎の本当の原因はコロナウィルスではない!?」と題した大変興味深い投稿をされていますのでご紹介します。

「確かに直接の病原体は『新型コロナウィルス』ではあるが、実は本当の原因は別にある。...その背景には過食(食べ過ぎ)と運動不足がある」と指摘します。

その代表的な例として、古代ローマ帝国では何度となく疫病(ペスト、痘瘡など)に苦しめられ、最悪時には一日5千人から1万人の死者が出たという。彼らの食生活はというと「哲学者セネカが『ローマ人は食べるために吐き、吐くために食べている』と喝破しているがごとく、宴会により満腹であっても鳥の羽で咽をくすぐって吐き、また次の2つ3つの宴会に向かったという。

米国ミネソタ大学のマレイ博士の論文にも、エチオピアの遊牧民に飢饉の時、食糧の供給が行なわれると、マラリアなどの感染症が突然起こった例、中世イギリスにおける痘瘡は貧しい人々より金持ちの人々をより苦しめた例、第一次世界大戦中に発生したインフルエンザにおいては、充分に栄養が行き渡っている人々に最大の死亡率が示された例が紹介されています。

これらの事実を基に博士は「栄養過多が様々な感染症を誘発する」と結論づけています。

今回、新型コロナ肺炎の発生源である中国もまた、石原先生によると(急激な経済発展による)飽食・美食に原因があると指摘しています。

20世紀の米国のガン・心臓病の激増もまた「食べ過ぎ・運動不足」が原因で、このままでは「米国が亡びる」との危惧から有名な「マクガバン報告」に繋がり、現代ではかなりの低下傾向を見せているのは記憶に新しい所です。

ここまでくると筆者が次に何を言いたいかおわかりでしょう。我国では、戦後急激な「食の欧米化」によって「食べ過ぎ、運動不足の蔓延とともに、ガン・心臓病などの生活習慣病が激増し、国民の医療費がなんと50兆円。約4割が税金とすれば毎年20兆円の税金が支払われていることに。しかもこれが毎年1兆円ずつ増えているという。

そこで筆者は10数年前から「食の改善による医療費半減」を目指し、全国講演会を始めた次第です。

石原先生のもう一つの指摘は、病気(疫病)は、「その時代の社会状況を反映している」だけでなく、「その時々の文明を終焉させ、次の文明を築くスタートになることも多い」ということです。

ならば、今こそ私たちはコロナ禍の苦労の中から病気の本質を学び、日本人に合わない欧米食文明を終焉させる必要があります。そうしないとコロナでの苦労が報われないのです。では、「食べ過ぎ、飽食、美食」のどこが良くないかを説明しなければなりません。

結論から申し上げますと、食べ過ぎ(動物性脂肪、タンパク質)は、*「腸内フローラ」を悪化させ、血液を汚し、これが免疫の低下、体質の悪化へと繋がるからです。食べた物は常に都合よく血となり肉となるとは限らないのです。量と質によっては容易に毒となり、自家中毒(自滅)を招き、細菌やウィルスの侵入を許す所となり得るのです。

これに対し、日本の伝統食は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが多く*「腸内フローラ」が最も喜ぶ食物なのです。

メディアでは「免疫」という言葉が踊っていますが、免疫の本質や由来についての説明はほとんどありません。

この免疫の実体は白血球であり、その白血球は、国際自然医学会の森下敬一博士によると赤血球から醸成されると言います。

つまり平たく言えば、食物は腸で赤血球となり、赤血球から白血球が生まれ、これが免疫をつくるのです。ですからコロナに捕まらない、病気にならないためには、食→腸(赤血球)→白血球(免疫)この一連の流れを健全にすること。そのためには食を変えるしかないことに気づかれると思います。

コロナ禍を伝統食復権のテコとしましょう。皆様お元気で!』

*『腸内フローラとは、腸内に生息している細菌のことです。

私たちの腸内にはさまざまな細菌が1つの種類ごとに塊を形成して存在しており、その形態がお花畑(フローラ)のように見えることから“腸内フローラ”という名前が付きました。医学的には“腸内細菌叢そう”と呼ばれます。

腸内に生息する細菌は1,000種類以上存在しており、どの種類の細菌がどのような割合で存在するかは個人差が大きいとされています。腸内の細菌は大きく分けて“善玉菌”・“悪玉菌”・“日和見菌”の3種あり、善玉菌は腸内環境を整え、悪玉菌は毒性物質を作り出して腸内環境を悪化させるはたらきを持ちます。一方、日和見菌は善玉菌・悪玉菌の多いほうと同じはたらきをする細菌です。そのため、善玉菌が減少すると腸内環境は悪化してさまざまな病気を引き起こす可能性があります。』

99%は、遺伝子組み換えの小麦

非常に興味深い文献に出会いましたので、ご紹介します。アメリカの地方都市に行き、肥満が当たり前の光景を目の当たりにするのですが、この論文を読むと納得できます。また、コロナ禍でアメリカ人の犠牲者が極端に多かった理由もわかります。今一度、日本の伝統食を見直してもいいのでは、ないでしょうか?

『その106.コロナ禍を伝統食(和食)復権のテコとせよ!②

生理学博士 久間英一郎

現在のコロナ対策は、マスク、手洗い、三密回避、換気に要約されるかと思います。その"ココロ"は「ウイルスを体内に侵入させない」こと。つまりは、"敵は外にあり"という思想です。

筆者は、長年「食と生活習慣病」をテーマに研究してきた経験から、生活習慣病のほとんどは食生活の間違いによって引き起こされた"自滅病"であることを学びました。つまり"敵は我(内)にあり"だったのです。この立場から、もう一つのコロナ対策を考えてみたいと思います。

まずは、遺伝子組み換え小麦とコロナとの関係について。遺伝子組み換え小麦については昨年、小誌(その100)に書きましたが、復習すると、今日、世界の小麦生産の99%は遺伝子組み換えという。なぜかと言うと、生産量が100年前の約10倍というほど生産性が高いので全世界がこぞって採用したからです。

他方、その安全性はどうなったか。遺伝子組み換え技術によって小麦のグルテンタンパクの構造が大幅に変化した結果、激しいアレルギーが起き、腸の粘膜上皮の炎症、腸管のバリアー機能の損傷によって関節リウマチなどの自己免疫疾患、脳障害、神経障害、さらには肥満、糖尿病、高血圧、心臓病などを引き起こすのです。これがセリアック病です。全米で100人に1人という爆発ぶりという。

ここで注目すべきは、遺伝子組み換え小麦が腸の粘膜上皮・腸のバリアー機能を損傷させる点です。

なぜ、腸粘膜が重要かというと、国際自然医学会の森下敬一博士によると、腸の粘膜上皮は「食」という物質から「血」という生命に進化するドラマティックな造血の舞台だからという。その造血の舞台が損傷を受けると、健全な「血」ができようもなく、健全な免疫もまた育ちようもないのです。

また、腸のバリアー機能の損傷は、コロナウイルスの侵入を容易に許すことにつながりかねません。

このように、遺伝子組み換え小麦を常食することは、慢性的にアレルギーのリスクを背負って生きていることと同じになりますので、コロナウイルスを引き込まないためにも、撃退する免疫力を育てるためにも遺伝子組み換え小麦及びそれから作られたパン、パスタその他の食品を可能な限り摂取しないよう心掛けていただきたいと思います。

以上を頭に入れて世界のコロナ感染地図を重ねると、アメリカを筆頭に小麦を主食とする国がずらりと並んでいます。逆に米を主食とする国は比較的少ないことが分かります。(図1参照)

遺伝子組み換え小麦の危険性を指摘したウィリアム・デイビス博士の著書『小麦は食べるな!』の表紙に(図2)の標記がありました。これはまさに、コロナ患者の症状や後遺症を示しているようにも見えてきますし、逆にこのような基礎疾患を持っているとコロナに感染し易いよ、激症化し易いよと言っているようにも見えてきます。

パンは含有水分の関係から喉の通りが悪く、バターやミルクそれに肉類がつきもの。和食の大豆・魚に比較して脂肪の質が悪いのが問題。これが生活習慣の原因ともなり、また医療費増大の一員ともなっています。

だからこそ私達にできることは、コロナ禍の中、欧米食を止めて伝統食(和食)に戻り、本来の自己免疫力を取り戻すことが生活習慣病の予防に留まらずコロナの予防にもつながることを理解する必要があると思います。』