一灸入魂

一灸入魂

「お灸の効果があって、次回もお灸でやって欲しい。」という声を聞くことが最近増えてきました。そして、私の姿勢が、大切であるのでは?と考えるようになりました。これは何となく感じただけなのですが。以前は、右脚をなげだしてお灸をしていたのです。これの方が楽だったからですが、お灸を受ける患者さんからすれば、しっかりアグラをかいて三角形を作った状態の私からの施術を受けたいはずです。

それで、最近アグラをしてお灸をしています。まだ、はっきりとは言えませんが、効果があるように感じます。そこで、今日の患者さんの声を上げてみます。

お灸2壮して、

「あんなんで、効くん?・・・・やわらかなっとる。」

お灸1壮して、

「ちょっと違う。」

その後、2壮して

「良くなった。」

2壮して、

「ゆるくなっとる。」

その後、1壮して、

「触った感じが違う。」

このように、少ない壮数で、しかも熱さをほとんど感じないお灸が出来ています。今後ともこれを続けてみようと思います。

限界集落?

私の弟が、地元の公民館で講演します。10月22日10時からです。時間のある方は、是非ともお越しください。私がいうのも何ですが・・・弟は優れ者です。面白い発想で限界集落からの挑戦を真剣にしています。限界集落とは、65才以上の人が人口の50%以上の集落をいいます。まず、ネーミングが悪い。誰がこんなバカな言葉を作ったのでしょう。

長寿健康集落と私ならネーミングします。血液学の第一人者・森下敬一先生がコーカサス地区(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア=黒海の東でトルコの北)の長寿研究を30年間されました。150才の元気な人々がザラにいたそうです。澄み切った空気を毎日肺にいれ、その地域にある野菜、穀物とヨーグルトを食べ、よく働き、よく笑う。これが、人が生きる原点です。

日本では、限界集落と言われている長寿健康集落が、コーカサス地区にあたります。これからは、若者がインターネットで仕事出来る時代、どんどんそんな若者が長寿健康集落に移住して、長生きを目指す段階になっています。もう薬なんかに頼る時代は終焉します。所詮、薬は石油製品、毒です。こんなもの飲み続けること自体が異常であると思いましょう。

弟に頼まれた絵、ボツになりました・・・さて、どんな講演になるのでしょう?楽しみです。

お灸効くなあ

1週間前から腰痛で、3ヶ月ぶりに来院の70才代男性患者Bさん。農作業を早めに終えて、来られました。

「ちょっと、1週間詰めて通おうと思う・・・慢性化して痛いんよ。」

合谷診:左(左の膝診を行う)

膝診:頸椎#3(2)、胸椎#11(1)、腰椎#2(1)、脳幹(0)、大脳(1)

首診:左腎(1)、左膀胱(1)、左肝(0)、左胆(1)、心包(0)、心(0)、大腸(0)、三焦(0)、脾(1)、

右腎(0)、右膀胱(1)、右脾(1)、右小腸(1)

(   )内は鍼の数

上記の置鍼13本を終えて、ある程度腰も軽くなったので置鍼30分の間に、見つけた足の治療点へお灸をすることにしました。来年のYNSA学会では、検証例を多くして発表出来るようにしたいと思っています。また、現在は上腕診はやめて、膝診のみを行い成果を出しているので、この発表もするつもりですが、発表の仕方がよく分からないので、心配です・・・まあ何とかなるか。

お灸の良さは、患者さんと雑談しながら施術できることにあります。

「柴犬は、メスが体高35~38cm、オスが38~45cm。それより小さいのが豆芝で豆芝という種類はないんよ。メスはキツネ顔、オスはタヌキ顔がええんよ。」

「ええ・・・そうなんですか、知らんかった。」

「メスは、スーッと面長。オスはチョットエラが張った感じがええんよ。」

「なるほど、ネコもそうなりますね!」

「朝、夕散歩1時間ずつ、好きじゃないとやれん。」

などと、話が弾んでいき野球、バスケットボール、卓球の話・・・と続くのです。

「ところで、今腰の状態どうですか?」

「・・・・・ええ感じ、お灸効くなあ!」

「結構、効くでしょう!」

左右の足に合計9壮し、内訳は全く熱さ感じない1壮、少し感じる4壮、気持ちいい3壮、熱い1壮。

「今日来た時の痛さが10じゃったら、鍼の後、お灸の後はいくら位になりますか?」

「10から8、8から2。」

お灸が効いているのが分かり嬉しいのですが・・・鍼の技量をあげなければと、感じたのです。

 

お尻で足指アンマ

長年、腕や脚を酷使された70才代の男性患者Aさん。両下肢に痛みがあり、歩行時、膝を曲げ腰を引いた格好になります。2ヶ月の治療で、圧痛点が徐々狭まってきていますが、まだお尻の下に痛みが残っています。そこで、今回は操体法の創始者・橋本敬三先生が提唱されている方法をご紹介しました。

「痛ったたた・・・・これは、痛い!・・・・・けど、効いてる気がする・・・・・お尻が伸びよる気がする。」

と、最初は痛みに耐えきれなかったAさんが徐々に興味を示し始めました。

「これじゃったら、毎日やれそうに思う。」

この操法は、日本操体学会が発行している「イサキ」という小冊子に載っているので、ご紹介します。

『お尻で足指をあんまして1日そう快

図のように、足首を立てて、お尻を左右に移動することによって、食欲を増進させる方法もある。この方法は、食欲だけでなく、体のすべてに効果があるので、朝食前に3~5回やると、1日の好スタートが切れる。

前にも書いたが、現代人は足の指が退化して動きにくくなっている。革靴などで指がコルセットされて、奇形化しているからだ。足の指が動かないために、いろいろな病気や不健康の大きな原因になっていると言っても良い。

ハリや灸、マッサージなどで知られているように、足の裏には全身のツボがある。例えば足の親指は副交感神経に関係し、体液をつかさどる。腎臓、のど、舌、鼻、眼球、腸などに関係する。同じように、第2指は消化器系、第3指は循環器系、第4指は神経系、第5指交感神経や泌尿器系、生殖器にも関係があると言われている。だから足の指を揉むだけで大きな効果があるわけだ。この操体法は、お尻を左右に移動することによって体重で足の指が自然にマッサージされる。日頃動かしていないので多少痛いがそれぐらいの方が効果がある。

このやり方がする優れているのは、お尻を左右に動かすことによって全身が動くところにある。これで体の歪みも発見できるし、歪みもとれる。背骨も動くから足の指からの刺激だけでなく、先ほどの胸椎の胃液分泌の神経もし刺激され、食欲が増すわけである。ぜひ、毎朝食事前に3分間でもいいから数回やってみていただきたい。』

これは、本当に効きます。私もやっています!

利き酒大会

 

 

(昨日の様子です)

 

(昨日のことを書いています)

バタバタしていて、しばらく文章を書けない日が続いていました。今日は、これから冷酒飲み比べに行くことになり、バスを待っています。あじさいの杜鍼灸院は、「津田団地前行き」のバスに乗り、最終駅の津田団地前で降りて、徒歩1分のところにあります。ですから、津田団地前が始発でもあり、便利です。約30分かけて大街道という松山市の繁華街に向かうのです。昨日、突然居酒屋のご主人から電話があり、

「先生、お得意さんから飲み比べをお願いされたので、来られませんか?」

と誘われたのです。日本酒大好きの知人を誘ったのですが、リモート会議があるので参加出来ないとのことでした・・・・他に誘うことが出来る知人がいないのは、寂しい限りです。松山に帰って来て、6年経ちましたが飲み友達(お酒を飲めない友達はいます)が余りいないのに気づきました。今はバスに乗り大街道に向かっているのです。帰宅時ラッシュでバスが10分遅れているようですが、いつも鍼灸院で過ごしている私にとって、暮れゆく空をボーッと眺めるのもいいものです。

高校野球の名門、済美高校を通りもうすぐ、大街道に着きます。いつの間にか暗くなっていました。10月も半ばとなると6時になると夜です。松山市駅前に着くと乗車客がどっと増えて来ました。ここは市役所前、もうすぐ降りる用意440円を用意します。大街道で降りて、入り口の腰掛けに座って、時間潰し。松山は結構、自転車通勤が多いのに驚きます。さて、目的地「懐凪(かなぎ)」に向かいましょう。

ということで、効き酒大会となりました。初めてお会いする4人の方々と楽しい会話をして、美味しいお酒をいただきました!

号鼓

 

私の知人から、太鼓を打ってカラダを整えて、心も整えるワークショップに参加するという話を聞きました。

『それって、弟が毎朝やってる事!』

と思ったのです。私の実家は東温市の山奥にある神社の宮司をしています。弟がその家業を継いでくれています。朝、太鼓を叩いて1日の始まりを記します。これを、「号鼓(ごうこ)」といって御本殿を清め、地域の人々の心を鎮め正すための太鼓だそうです。その後に祝詞を唱えるのです。

私も幼い時、父親に連れられ父親が叩く太鼓の横にすわり、

「ドドン、ドンドンドンドン・・・・」

という心臓に響く波動を全身に浴びて、緊張した経験を思い出しました。小さなカラダには太鼓の波動が直接伝わり心臓から揺さぶられるような衝撃を浴びます。これがお清めなのだと思います。この太鼓の波動を浴びるだけで身も心も清まる神道。これは、治療の道に通じます。私も最終的にには弟の太鼓が聞こえる場所で、治療をするのが一番よいのかも知れないと思うのです。

いずれにしても、あじさいの杜鍼灸院を始めてまだ、7年目。これから私の元へ全国の患者さんが集まる様な鍼灸院になれば、限界集落といわれるところで開業しても経営が成り立つ事でしょう。それが出来るように精進いたします。

足灸療法

今年の11月に山元式新頭鍼療法(YNSA)学会がリモートで講演会や発表があります。見つけた足の治療点の発表と上腕診の代用、膝診の発表をどのようにすれば良いのか、今年の発表を見て、それらを参考にして、来年は出来れば2つの発表をしたいと思います。

現在、上腕診(肘内側の触診)をしないで、膝診のみで行っているため、その正確さは上腕診以上にあると思っています。足の治療点に関しては、治療点を見つけるというよりも、発想の転換。その結果、成果が出ているので、その詳細説明が必要となります。試行錯誤しながらも、お灸だけの熱くない治療なので患者さんには好評です。今後、来年の発表に向けて「足灸療法」と勝手にネーミングしてまだまだ新たな治療点を見つけて行こうと思います。

現在、3人に「足灸療法」を施術していますが、今日ピッタリの患者さんに出会いました。以前にもご紹介した70才代の女性患者Aさん。非常に感覚が鋭いので、仰臥位のAさんの足に

私が指で触れていると、「カラダに水が流れている!」と突然喋り始めた経験があります。

今回はお灸を24壮中、18壮は全く熱さを感じない火加減だったにも、かかわらず良くなりました。

そして、途中から様々なところにしびれる様な感覚が、膝下、膝上そして、頭に出てきました。そして、モグサに火をつけると、

「・・・あれ?お椀がかぶってた感じだったのが、パッカッと開いてしびれる感じが無くなった。面白いね・・・私、お灸が合っていると思う。」

「今のお灸は、肝臓治療点です。」

「心当たりある、私色々なお薬を飲んでいるから・・・・」

次回からもAさんにはお灸施術で色々な発見をしていきたいと思っています。また、新たな足灸に適した患者さんを探して行こうと思います。

癌は第二の肝臓

 

森下敬一先生の長寿国の調査レポートを読むと、150才まで生きておられる方々は、毎日同じものを食べておられます。そこで、最近は玄米に黒米、黒豆を入れたご飯に、具沢山の味噌汁だけの食事にしています。今回は3合炊いて半合ずつのオニギリにラップをして6個を冷凍庫に入れ保存することにしました。これは本当に便利です。朝、冷凍庫から取り出して自然解凍。玄米粥にするつもりです。味噌汁は煮干し、昆布、玉ねぎ、ナス、芽ひじき、椎茸を入れて出し汁たっぷりにしています。

畑には、ミョウガ、ニラ、ネギ、シソ、ドクダミがあるので、それらを味噌汁にいれています。納豆と豆腐も入れるので、タンパク質も十分あります。料理の時間はほんの少しですみます。私は食い意地が張っていないので、当分このスタイルが続きそうです。森下敬一先生関連の記事を読んでいて、気になる個所があったので、下記に掲載します。

『東洋医学では癌は第二の肝臓と言う見方さえあります。肝臓が毒を集めて解毒してくれるから生きていけるように、癌細胞も毒を1カ所に集めてくれていると考えることもできます。西洋医学でも、昔から癌細胞はたくさんの毒素を排出していると言うことを指摘していますが、これこそ、血液の汚れを癌という浄化装置に集結している現象だと考えて良いでしょう。

血液の老廃物の掃除屋である白血球とがん細胞には共通点があります。

1)体内血液内を自由に動き回れる細胞は白血球とがん細胞だけである

2)白血球も癌細胞も活性酸素を多量に発生し、老廃物や弱った細胞を焼却して貪食する

この点からしても癌は血液の浄化装置だとする説が正しいことがわかります。癌を手術、放射線、化学療法で消滅させようとしても根本療法とは言い難く、血液を浄化することこそ、癌にお引き取り願う最善の手段と言うことになります。』

むずむず脚症候群の解説

 

山元式新頭鍼療法の実践ガイド YNSA症例集より、加藤直哉先生のむずむず脚症候群に関する記述を載せます。

『むずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)は、今から70年以上前の1945年にスウェーデンの神経学者エクボン博士によって提唱された疾患である。じっとしていると湧き上がってくるような不快感があり、足を動かさずにはいられない、夜に症状が強くなる、動くと症状が軽くなるといった特性がある。安静にしていると、居ても立っても居られなくなる場合も多く、人によっては、不快感のため睡眠に支障をきたし、明け方まで眠ることができない場合もある。

疫学的な調査で患者数がとても多いことが知られており、わが国の患者数は200~400万人(人口の3~5% )、欧米ではさらに多く、全人口の5~10%の患者がいると報告されている。

今後、さらに多くなることも予想される疾患であり、臨床でも遭遇する可能性が高いRLSの一例を報告させていただく。

むずむず脚症候群の原因は盛んに研究が進められている。まだ完全に証明されてはいないが、現在、ドーパミン機能障害が原因の1つと考えられている。

ドーパミンは神経伝達物質の1つで、やる気や感情だけでなく、筋肉などの運動や、数々の感覚の信号を伝える役割を持つ。このドーパミンがうまくパフォーマンスしてないことが、RLSの原因の1つだと考えられている。実際、RLSは安静になると症状が強くなり、足を動かしたり、マッサージしたり、動き回ると症状が軽くなると言う特徴がある。これは運動によって即時的にドーパミンの分泌が増えるためと考えられており、この現象からもドーパミンが関わっている事は間違いなく、本症例ではでもドーパミンの改善作用を持つビ・シフロールが処方され、1部改善がみられていた。

このことを踏まえた上、RLSの治療にYNSAは非常に相性が良いと考えられる。まずは脳点の治療によってドーパミンの放出量を改善できる可能性があるからだ。実際、ドーパミンが関わる疾患で有名なものにパーキンソン病があるが、今回の症例集でも示したようにYNSAによってパーキンソン病の症状が改善したと言う報告が多い。また脳幹から脊椎に至る自律神経の調整、下肢そのものの治療点としてのI・J・Kソマトトープの治療における下肢の改善などがさらに、その可能性を高めるだろう。』

むずむず脚症候群

「先生、5時間眠れるようになった。ワシにとっては、5時間で十分・・・・足のムズムズもピタッと無いなった・・・ほじゃけん、今日で治療終了してもらえますか?再発したら、また来ます。」

「そりゃあ良かった!お灸が効いたんですね。」

「そうそう、あれが効いた。」

足に見つけた治療点に紫雲膏をたっぷり塗って、その上に大きめのモグサを乗せ火をつけるお灸治療。これは、ほんのりと熱が伝わるか伝わらないか位の刺激ですが、効きます。70才代の男性患者Aさんには、両足に10壮ずつお灸をしたのです。Aさんは、マジックペンで印をつけた治療点にテープを貼りお風呂に入るそうです。そのため1週間経った今日も、青マジックペンの跡がしっかりとあります。薬局で買った「せんねん灸」をここにしているそうです。

お灸の良さは、会話にあります。鍼治療の場合は、鍼を刺入している時に会話は出来ませんが、お灸の場合はお灸をしながら、会話をゆっくりすることが出来ます。またモグサの焼ける香ばしい匂いで落ち着きます。研究熱心なAさんは、色々と質問をしてくれます。

「先生、この鍼というのは、やっぱり中国から来たもんですか?」

「いいや、この鍼は山元式新頭鍼治療いうて、宮崎のお医者さんが作ったもんで、ドイツ、アメリカ、ブラジルではすごく普及してるんですよ。1973年に日本で発表したんですけどね、あまり反響が無かったんです。逆に海外のお医者さんが興味をもち・・・・とくに、ハーバード大学の研究所では、鍼を打って、MRIで脳の変化を資料として残したり・・・医師の国家試験にこの鍼(YNSA)が出たりするんですよ。日本では、2013年にやっと学会を立ち上げて、少しずつ普及している感じです。」

「ハーバード大学いうたら、世界一の大学。」

「そうなんです。その大学の先生が、宮崎まで何回も勉強しに来ているんですよ。」

などと、会話がはずみます。それにしても、山元敏勝先生が日本で発表して40年後にやっと日本で学会が発足・・・・その間に、海外では数十万人の医師がYNSAを研修され、実際に数万人の医師が治療をしているのです。この気の遠くなるような日本の遅れ様に失望してしまいます(日本では、医師が少なく鍼灸師が9割程度です)。

まあ失望ばかりしていても仕方ありません。Aさんのむずむず脚症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)について「YNSA 症例集医道の日本社」で、私の師匠である加藤直哉先生が記載した個所があるので、明日ご紹介します。