操体法と併用

 

60才代の男性患者Bさん。10年ほど前、腰椎椎間板ヘルニアと診断され、整形外科に3ヶ月入院し、温熱、牽引療法やリハビリテーションを行ったのですが、現在、腰痛と右下肢のマヒがあり、坂道、階段の歩行が困難で、杖を突いて歩きたいのですが、見た目が恥ずかしいので無理をして歩いて来られました。また、他県2つの病院に行かれ、セカンドオピニオンも聞いておられます。来院されて、感じたのはカラダの歪(ひず)みです。長身で細身のため、歪みが目立ちます。足を引きずって歩行されているのを見て、「これは、操体法から始めるのがベストだろう。」と感じました。

「奥のベッドで操体法というカラダの歪みを取る治療法があるので、それを先にしましょう。」

と、Bさんを促(うなが)し、簡単な操体法の説明をして、早速操法。仰向けになってもらい、両膝を立てて、左右にゆっくり倒し左右差を感じてもらいます。Bさんは左に倒すと痛みがあります。そこで、痛みの一歩手前まで、両膝を左に倒し、ゆっくりと右側に戻す動きをしてもらいます。その時、私はBさんの両膝を軽く抑え、両膝が動かないようにします。

「決して無理しないで、ゆっくりと動いてみてください・・・カラダに、よおく聞き分けてみてください・・・・腰を使って、肩甲骨で・・・」

などと言葉の誘導を行います。

「これで、両膝をゆっくり左に倒してください・・・・・どうですか?」

「・・・・・あれ?痛くない!」

「そうでしょ・・・今度は、野球の硬球を使ってやってみましょう。」

と、硬球をベッドに置きその上に肩甲骨の圧痛点を乗せ、ゆっくりゆっくりと左腕を重力に逆らわず動かしてもらいます。

「これ・・・・・効きますね・・・・わあ、効く!」

左右の肩甲骨に同じ操法を行います。

「これで、立ってみてください。」

「・・・・・・あれ?普通に立てた!・・・・普通に歩ける。」

「これを毎日、やってください・・・・何度やってもいいんですが、あまり欲張らないでください。」

 

という事で、待合室兼治療室に移動して、鍼治療。いつものように膝診し足に7個のパイオネックス(皮内鍼)を貼り、自律神経を整えます。後は側頭部の腎治療点と後頭部のD治療点、耳ウラのIソマトトープの3本置鍼して終了です。

「先生、右膝から下のシビレが無くなりました・・・・・・友人に前から紹介してもらっていたのに・・・・・コロナ禍で、遠慮していたんです・・・もっと早く来ていれば良かった。」

「・・・ほんとですね・・・」

後は、なぜ肩甲骨の圧痛点に硬球なのか(YouTube参照)とか、山元式新頭鍼療法の自作YouTubeを見ていただいたりして、過ごしました。

沢山の食べ物

朝起きると、左首を寝違えていた80才代の女性患者Aさん。毎週の来院を楽しみにされています。Aさんは、スマートフォンで、ご自身の体調を随時メール送信してくれます(今早速、術後のもみ返しのような感覚は無いと連絡がありました)。そして、今日は写真でお分かりのように、沢山の食べ物をいただきました。本当にありがたいです。

いつものように膝診をして、足にパイオネックス(皮内鍼)を貼って、首の痛みを7割程とりました。次に首診で腎、胆、三焦に対応する側頭部に3本置鍼。これで8~9割首の痛みが無くなったようです。後は、パイオネックスを貼った個所に私が軽く指先を添える操法。

「先生、今鍼刺してるの?」

「いいや・・・・指だけですよ。」

「何か指先まで電気が走った・・・・つ~んと来るのよ」

「そうなんだ・・・・今は、指触れてないんだけど・・・・」

「えっ・・・・まだ、感覚あるのに・・・・」

「これで、どうですか?首。」

「・・・・・いいみたい、ほんの少し形跡がある程度・・・・(来た時が10なら今どのくらいですか?)・・・・0.5くらい。」

ということで、後は雑談となります。

「先生はお肉とお魚はどっちが好き?」

「魚が好きです。」

「肉は飽きるでしょう?・・・魚をお刺身にして食べて余る時があるでしょう?そんな時は、お醤油につけて、翌朝、ご飯につけて食べると美味しいの!」

「なるほど!早速それやってみます。」

などと他愛のないお話を毎週するのでした、おしまい。

打倒松山工業

近所のバレー部高校生が、3人も来院。3人とも腰痛で1人は何度も来院しているA君ですが、他のB君C君は、初めての治療です。今週末に大会があるので万全の体勢で臨みたいのです。今年は松山工業が強く、「打倒松山工業」でチームが一丸となっているようです。少しでもお役に立てればと思っています。

 

四国の松山で、山元式新頭鍼(YNSA)を私なりに咀嚼(そしゃく)、足に治療点を見つけ1人勝手に治療すればどうなるのか・・・・実験しています。かなりガラパゴス島状態になっているのですが、仕方ありません。コロナ禍というご時世が拍車をかけ孤立しまっくっていますが、楽しんでいるのです。

A君B君C君とも、足の治療で8割腰痛が軽減。残りの2割を頭の腰痛に対応する治療点に置鍼。3人とも痛みは無くなりました。足の治療点を探す時の痛みは相当です。苦痛で悲鳴をあげる3人ですが、結果がしっかり出るので、帰る時はにっこり笑顔なのが、本当に嬉しいです。何とか、松山工業に打ち勝ってもらいたい!

足首診と首診が初めて一致

20年程前から、首の痛みとそれに伴う頭痛(後頭部、側頭部)、吐き気に悩まされている40才代女性患者Cさん。初めての治療となりました。

膝診

左頸椎:#3、#4、#5

左腰椎:#3、#4、#5、#6

左大脳:圧痛点あり

首診、足首診

左小腸

膝診で足に8個のパイオネックス(皮内鍼)を貼り自律神経を整えました。首診の他、勝手に足首診をしているのですが、圧痛点が小腸で初めて一致。足首診もまんざら捨てたものではないようです。小腸の診断点が後頭部にあるので頭痛持ちのCさんには、ピッタリの場所です。左側頭部の小腸治療点に1本置鍼すると、後頭部の圧痛がなくなりました。普段は、目の奥も痛くなることも多いので、オデコにある目の治療点にも2本置鍼。ついでに左頬(ほほ)の頭痛治療点にも1本置鍼しました。45分程置鍼したままで過ごしてもらい、抜鍼しました。

「どうでした・・・痛かったですか?」

「最初(鍼を)刺した時は、痛かったです。でも痛気持ちよくなって来て、途中からは気持ちよくなって・・・・最後の頃は、全く気にならなかったです。目もスッキリして調子いいです。」

良かった良かった!

二度あることは三度ある

一昨日と昨日に続いて今日も、バネ指予備軍の60才代女性患者Aさんが来院されました。急に左手人差し指の第二関節が動きづらくなり、その指を引っ張り過ぎたため、人差し指の根元(MP関節)付近が内出血しています。梅雨になり低気圧で血流が悪くなり浮腫(むく)みが生じる気象病なのかも知れません。もし、今週来院される患者さんの中に、指疾患の方がおられたならば、梅雨との因果関係を考えていいかもしれません。

いつものように、自律神経と内臓を整えて(パイオネックスの治療)、気になる左手人差し指の治療となります。Aさんは、基本的に鍼を刺す治療はせず、パイオネックス(皮内鍼)のみなのですが、今回はAさんを説得して、左ふくらはぎのヒラメ筋に置鍼します。

「・・・・凄い、今足の親指と人差し指のところに、電気が走りました・・・うわ〜、ピリピリピリピリ来てる!」

「そうでしょう・・・・手の人差し指と足の人差し指とは、繋(つな)がっているんです。手の方には、深指屈筋という指を曲げる筋肉があるのですが、これに対応するのが、ふくらはぎのヒラメ筋。この2つの筋肉が引っ張りやいこしているんです。」

「それで、手の人差し指がゆるむのですか?・・・・あっ、ゆるんでる・・・楽に曲げることが出来る・・・・完璧ではないですけど・・・手の人差し指を引っ張ったりしては、ダメなんですね」

「そうですダメです。炎症を起こしているのですから、氷水で冷やせばいいんです。後で、やり方をお教えします。」

「鍼って、こんなことも出来るんですね・・・もう、ビックリです。」

などと話ながら、ヒラメ筋に刺した鍼を微妙に動かします(雀啄=じゃくたく)。足先のピリピリ感が少なくなったので抜鍼。その上にパイオネックスを3個貼り、私の指先を軽く置く操法を行います。そして、Aさんにも時間がある時にやっていただく様にお願いしました。

私の操体法の師匠・今昭宏先生から教わった氷水で炎症部位を冷やす方法を、Aさんにお教えして、終了となりました。

バネ指再び

 

前回のフェイスブックでは、指の屈曲に問題がある患者さん2例紹介しました。今回も同じ指の屈曲が著しく困難な50才代の男性患者Aさんの紹介です。Aさんは、痛風を1ヶ月半前に患い、歩行が困難なほどの左足痛と腫(は)れに見舞われました。そのため、四つ足歩行のハイハイで移動しなければなりませんでした。時間の経過と共に少しずつ回復し、現在では農作業が出来るようになりました。しかし、右手の中指に痛風の症状が残り腫れ上がって、ゆっくりとしか握れず、完全な握りこぶしは出来ません。

そこで、右ふくらはぎのヒラメ筋を狙います。これは、以前にバネ指治療のメカニズムをご紹介したのですが、この理論がそっくりそのまま当てはまるので、もう一度ご紹介します。

『バネ指の治療にヒラメ筋に鍼を刺すのはなぜか?

前腕の深指屈曲筋をはじめとする屈筋群や、指の動きに関わる腱や腱鞘を使い過ぎた結果、腱と腱鞘が炎症を起こしスムーズな動きが出来なくなります。この時、最も影響を与える筋肉が、深指屈曲筋であると考えられます。この深指屈曲筋に対応するのが足のヒラメ筋です。この2つの筋肉は良く似ています。この似た2つの筋肉は片方が緊張して筋膜を絡(から)めると、もう一つの似たような筋肉の筋膜も絡んでバランスを取ります。

バネ指の原因となった前腕の深指屈曲筋の使いすぎ炎症及び緊張に対して、ヒラメ筋の筋膜が遠くから引っ張ってバランスをとっているのです。綱引きをする時、一番ハジの綱を持つ人が力持ちなのは、影響力があるから・・・・よく似ていると思います。』

以上の理論から、ヒラメ筋に刺鍼した結果、Aさんも驚くほどスムーズに指が動くようになりました。理論家のAさんは、「全く信じられない!」といった表情だったので、上記の説明をしたところ納得した様子で、

「世の中、知らないことばかり・・・・」

とつぶやいておられました。ヒラメ筋の圧痛点に3個パイオネックス(円皮鍼)を貼り、軽く指先を触れるようにアドバイスしたので、次回その経過を教えてもらおうと思います。

ヒラメ筋の圧痛点

山元式新頭鍼療法(YNSA)では、手指の屈曲が不能な患者さんをヒラメ筋の圧痛点に置鍼し治療します。今日の治療では、2人の患者さんがそれぞれ右手親指と中指の屈曲が困難でした。

30才代の女性患者Aさんは、生後間もない赤ちゃんを抱えることが多いので、右手親指がバネ指のようになっています。それで、右ふくらはぎのヒラメ筋(ふくらはぎ内側)の圧痛点を探して置鍼。

「・・・・あれ?動くようになった・・・・先生、スゴイ・・・」

動きはスムーズになったのですが、まだ親指の根元付近には圧痛点があるので、それに対応する右足の第一趾の圧痛点にパイオネック(円皮鍼)を貼り、そこに私の中指を軽く触れる操法を行いました。これで、親指の圧痛が薄れました。

60才代の男性患者Bさん、右手中指が脱臼したような状態で、全く曲げることが出来ません。そこで、右ふくらはぎ内側の圧痛点を探して置鍼。

「・・・・先生、電気が走る・・・・膝に来た・・・・・頭に来た・・・・・そしてノド通って、胸まで・・・・・」

感受性豊かなBさんは、現象の言語化をスラスラとしてくれます。

「先生、指が動くようになった・・・・ひどいな~・・・・あれ?もしかして膝が動くようになったかもしれん・・・ちょっと動かしてみようわい・・・・先生、膝まで良うなっとる・・・・ひどいな~」

ということで、ヒラメ筋の圧痛点はよく効くのです。

YouTubeで処方箋

 

今回は、膝の内側痛を取る方法を紹介しました。今回は、非常短時間のYouTubeで膝の内側が痛い患者さん用の処方箋として作りました。この短時間動画をたくさん作り、全ての患者さんにYouTubeの処方箋を見ることが可能となれば、早期回復の役に立つと思います。

患者さんの傾向としては、腰痛、肩こりが多いのですが、部位も原因も人によって様々に違いがあるので、様々なアプローチは必要となっていくと思います。患者さんのカルテをもう一度見直して、そのアプローチを見つける必要があります。

ボチボチやっていこうと思います。

膝痛

高校バレーボール春の県大会があり、優勝したチームの主力選手A君。試合中から右膝に痛みがあったそうですが、何とか頑張って翌日に来院。膝屈伸すると膝外側が痛みます。そこで、パイオネックス(円皮鍼)を7個左右の足に貼り、膝の痛みが半減。ただ、まだ膝の奥に痛みが残っています。

 

そこで、側頭部にあるG点に3本、耳の下の乳様突起周辺のG点に3本置鍼。

「これで、膝はどうなってる?」

「・・・・痛くない・・・全く痛くないです。」

待合室で治療を見ておられた、お父さんは、目を丸くして、

「本当に痛ないんか?」

「うん、痛ない。」

「〇〇君も連れて来んといかん、結局、彼は試合に出れんかったんじゃけん。」

こうやって、少しずつ口コミで増えていけばいいのですが、実際には、中々増えません。まだまだ、鍼治療に対して偏見が多いようです。ただ、コロナ禍で外出しづらい中、何とか生活出来ているので良しとしています。というか、コロナ禍でこもっている間に、ドンドン創造的な活動を行うチャンスがあると考えましょう。明日、早速始めます!

音が聞こえる!

70才代の女性患者Bさんは、耳鳴りと難聴のため、私は大声で話さなければなりません。今回は、自律神経と内臓の調整をする前に、左右の耳周辺へ6本ずつ12本と後頭部に1本の合計13本を置鍼。そして、足首から下にパイオネックス(円皮鍼)を貼っていきました。すると、

「先生、音楽かけとるん?」

「はい、かけてますよ。」

「あれ?やっぱり・・・・来た時には、聞こえなんだけど・・・・今、聞こえる!」

「あああそうですか!それは、良かった・・・・・だれが歌いよるか分かりますか?」

「・・・・それは、わからんけど・・・・」

「坂本冬美です。」

「私、好きじゃ。」

などと、会話が弾みました。Bさんは、後頭部に刺した鍼が特に良く効いたそうです。以前には、Bさんのご主人の右側頭部と後頭部に置鍼して、その3日後に聞こえなかった音が聞こえるように治療をしたことがあるので、お二人とは、相性がいいようです。

置鍼は、耳中央部に向け扇(おうぎ)状に刺すといいようです。それにしても、この耳に対する置鍼を発見された山元敏勝先生には、ただただ、感謝と尊敬の念があるのみです。少しでも山元先生に近づけるよう、足首から下の治療点を見つけ続けようと思います。