「私が幼い頃、よく咳き込んで病弱だったのね。戦前の話だけど・・・・祖母さんが、霊感の強いOさん宅に、連れて行って、ご祈祷をしてもらっていたのよ。ご祈祷が終わったら、私は仰向けになって・・・・そしたら、祈祷師のお婆さんが、煙の出てる線香を、顔の上でグルグル回すの。」
「へ~、そんなことやってたんですか。」
「そう、昔は医者も病院も少なかったから・・・・そしてね、提灯(ちょうちん)を持ったうちの祖母さんが、外に出て線香をグルグル回してお清めするのよ。」
「へ~!」
「夜遅くまで遊んでいると、そういう場面に出会すこともあって・・・・怖いのよ。」
「そりゃあ、怖いですね!」
おしまい。