置鍼2本

 

「今日は、よう寝たけん体調がええんよ・・・あんまり痛いところがないんとちゃうかなあ・・・」

3年間肩の上がりが悪く、ゴルフも本来は飛ばし屋なのに、短い距離を刻(きざ)むゴルフしか出来なかった40才代の男性患者Aさん。週に2日の通院を続け、3か月でしっかり両肩があがるようになり、5か月目の現在では、可動域を徐々に広げている段階です。

ゴルフでは、全盛期に近い試合が出来るようになり、率先して「打ちっぱなし」の朝練が出来るまでになりました。

「そしたら、両手をグーして、パー!」

これは、左右の偏(かたよ)りを推測するのに役立ちます。このときの施術者(私)は、ボーーっと患者さんの手を眺(なが)めます。左右をキョロキョロ見てはいけません。ボーーっと見ていると、どちらが白っぽいかが分かります。白っぽい手の方が、血流が悪いのです。今回のAさん、あまり差がありませんでした。そして、Aさんの言う通り、上腕診(肘内側の横紋周辺の触診)は、どこも痛くありません。

「ホントじゃね・・・柔らかいね・・・そしたら、首触って、内臓の状態を診(しら)べるけんね・・・」

首も柔らかく、左の腎、膀胱の診断点に少し痛みがある程度です。こう言うときは、腎と膀胱の診断点で痛い方を聞いて、その治療点に置鍼します。Aさんは腎の診断点の方が痛いようです。

そこで、置鍼。しかし、最近少し変化があります。置鍼1本にかける時間、想い、イメージが密になった気がするのです。感性の豊かなAさん、そこを感じとっているようなのです。

「先生、今の効いた・・・・・肉が鍼を咥(くわ)えるように取り込みよる・・・効いた、効いた!・・肩もよう上がる。」

「そしたら、ここ痛い?」

「・・・・痛ない。」

膀胱の診断点の痛みが無くなったようです。そこで、左肩の可動域をアップするため、左耳の上にある圧痛点に置鍼。

「先生、これも効いた・・・・もうええ、先生、十分じゃ!・・・今日はこの2本でええ!」

ということで、終了。後は、世間話に花が咲きました🌸