指先が突破口?

「私の右脚には10人の脚が、束(たば)ねてあるんです。」

と、痛い右膝のことを表現していた70才代の女性患者Cさん。最近では、1本脚になっていますが、施術後2日ほどで、元に戻るそうです。これからの治療に何か突破口を見つけたいと思い、今回は鍼を打たないことにしました。Cさんが右膝を出して、

「先生、ここ(右膝)がやっぱり痛いんです。」

「そしたら、ここ(右肘)に必ず痛いところがあるので、ここをほぐしてみましょう。」

と、右肘の圧痛点を気持ちのいい程度で、3~4分ほぐします。

「これで、右膝はどうですか、立ってみてください。」

「・・・・・軽くなりました。」

「そうでしょう・・・・ご自身で、気持ちよく右肘をほぐしていけばいいんです。今日は、鍼を刺さないで治療しましょう。」

足の合谷診(足の第一中足骨と第二中足骨の間の触診):右側が痛いので、右から治療。

膝診(膝窩横紋周辺の触診)

左:胸椎(膝ウラに圧痛点がある)

右:胸椎(膝ウラに圧痛点がある)

右足甲に私の右手を置き、Cさんにつま先をスネの方に上げる動きをしてもらいます。実際には私が右手で押さえているので、つま先は動かないのですが、Cさんのカラダがゆっくり連動して動き、これだけで膝ウラにある圧痛点が消えます。これで、自律神経が整いました。

首診

右:腎、膀胱、心、三焦(消化器)、小腸

上記診断点に圧痛があります。1番痛い膀胱と腎の治療点(オデコの生え際あたり)に私の薬指と中指を軽くそえるだけです。これを5分ほど続けると、

「先生、右手が暖かくなってきました・・・・」

そこで、腎、膀胱の診察点を押圧すると、圧痛が無くなっていました。

「Cさん、この頭の天辺から、オデコまでに治療点が並んでいるので、痛いところを爪でこうやってこすってもいいですよ。」

「先生、それ気持ちがええです。」

しばらく続けると、全身が暖かくなってきたそうです。これで、内蔵の調子が良くなったので、右膝の治療になります。前回耳ウラの膝治療点(G点)に貼ったパイオネックスがまだあるので、そこに軽く指先を置きます。7~8分は経ったでしょうか。

「Cさん、歩いてみてください。」

「・・・・体重をかける事ができます。」

そこで、今度は後頭部にあるマスターキーという治療点に指先を軽く置きます。5~6分経って、

「今度は、どうですか?」

「・・・・先生、いいです。大丈夫!」

ということで、治療終了となりました。Cさんには、ご自身で軽く触れる方法をお教えし、いつでもどこで出来るように提案したのです。次回が楽しみです。