操体法

「先生、歩くとき膝がカクン、カクンいうのは少ななったんじゃけど、股関節が何やら痛いんよ・・・腰引いて歩く感じ・・」

と、同い年で誕生日も近い女性患者Aさんが、来院早々、待合室で歩きながら股関節の状態を教えてくれました。

「そしたら、今日は操体法だけでやりましょか?操体法じゃったら、自分で出来るけん。」

ということで、奥のベッドに移動し仰向けになってもらいます。Aさんは、14か月前にO脚を真っ直ぐにする手術を行っているので、左脚(脛骨という大きな骨)にクサビが入っています。その左脚の方が2cm程長い(骨盤が左に傾いているため)ので、その調整から始めます。私が右親指でAさんの左のカカトを押し込み、Aさんにゆっくり踏みこんでもらいます。これを2回行うと、ほぼ長さが整いました(クサビをいれた分だけ長いようです)。

次に、膝ウラの圧痛点を見つけ、つま先をスネに上げる動作を誘導し、圧痛点を無くします。今度は、両膝を立ててもらい、左右にゆっくり倒して可動域が大きく楽な方へ動くように誘導します。

「先生、右に倒すと左の股関節が痛いわい・・・・」

「・・・・どこが痛い?・・・・そしたらね、ここあたりに痛いところない?・・・あった?そこに、これ(陶のボール)を置いて、Aさんの感覚で、ゆっくりゆっくり筋肉を動かしてみてください。」

「・・・・先生、これ効くね・・・・ベッドじゃけんええね~、手の重さで・・・・ええ感じ。」

後は、Aさんの感覚に任せるだけです。楽しそうにゆらゆらしているAさんを見つめているだけで、生命体の素晴らしさを感じるのです・・・・やはり、操体法は素晴らしい!

「先生、軽い・・・・軽い・・・全然違う・・・・これじゃったら、毎日やれる・・・」

Aさんの股関節痛が治(おさま)ったようです。ゴルフボールを使ってこれからご自身でどれだけやれるか・・・次回の報告が楽しみです。