ニコニコ顔のCさん

5年前から、内臓疾患。
手術後、坐骨神経痛と診断され長時間のイス座位が出来ない70才代の男性Cさん。

「どこへ行っても薬か、けん引だけ。しっかり治らないので来ました。」

ご自身のカラダ事情を的確に説明出来る知性派。
色々触診をしているうちに、右足の内くるぶしと左太もも内側に飛び上がるほどの痛み。
丁寧に押圧し、鍼をその箇所だけに、9本と8本、合計17本刺し置き。

途中で気持ちよく眠りについたCさん。

『気持ち良さそうだし、もう治療は終わり!』

治療時間40分。

「足がポカポカして、初めて治療を受けた気がします。 」

とニコニコ顔で帰るCさんでした。

首をかしげる程良くなった症例(続報)

首をかしげる程良くなった症例(続報)

3週間に6回通院されたAさん。顔色も良く手足も温かくなりました。
そのため、腹診をしながら、カラダ全体のバランスを整える治療となります。

「本当に、良くなりましたね〜、お家で操体法をされていますか?」

「操体法?・・・・あゝ、指一本ずつ伸ばしたり、それから、水を飲んで、咀嚼(そしゃく)をしっかりとするようにしています。指摘されて、納得しましたから。ストレッチのような事も、毎日しています。」

「中々治らなかったものですから、これを機会に、しっかり治そうと思って・・」

やはり、Aさんは初回の診察でお教えした操体法を、毎日やっておられたのです。学習意欲と能力が非常に高い患者さんです。

几帳面な性格の方ですから、徹底的にしておられるのを、感じ取ることができます。必ずしもAさんのように上手くいくということは、ありません。今回は、むしろ珍しいケースだとは思いますが、「3週間に6回集中し施術、しかも毎日操体法を行う」というのは、治療パターンの一つとして考えられます。

改めて、操体法の素晴らしさを確認できた症例です。

人生は即興です

大学時代、共同生活をしていた親友Aさんが、患者さん。
世界ツアーをしている舞踏グループのメンバー。腰痛と古傷の膝が気になるそうです。

治療をしながら、昔話がポロポロ。

「石井さん(伝説の舞踏家)を大学に呼んだのは、Aじゃったろ?」

「違う、違うUだよ・・・ワークショップをアクアク(ジャズ喫茶)でする様になって・・・あの頃、転形劇場をやったり・・・大杉漣さんも来たよ、近藤等則さん、田中泯さん、そのポスターを作ったのが、畠山直哉。」

ポロポロ出てきます。訳が分からない勢いのある流れに飛び込み、遊び、もがき共に過ごした友。
その友のカラダを丁寧に触れる時、石井満隆氏のワークショップがよみがえります。

「人生は、即興です」

の一言で、石井満隆ワークショップが始まりました。その言葉の波動が、カラダに火をつけ、今までの生き様と、これからの生き様を踊って表現していったのです。

「お〜〜い、ここ痛いじゃろ」

私が触れたのは、膝の内側にあるしこり。丁寧に探り鍼を刺します。普段からカラダの手入れをしている
舞踊家の筋肉は、素晴らしく柔らかい。触れていくうちに、段々と頭が下がっていきます。何か神々しい
ものに触れている感覚。

治療しているにもかかわらず、私が治療を受けているような感覚になります。カラダは小宇宙。その小宇宙で表現している舞踊家は、神の域に近づいて行くのだろと思います。Aさんは、舞台に上がっただけで、観衆から拝まれような舞踊家になって行くことでしょう。大野一雄さんのように。

いつの間にか、治療は終わっていました。

即興ライブ

即興ライブ

料理人のAさんは、仕事柄立ちっぱなし。休日は、大好きなテニスで汗を流します。調子がいいと、
ドライブにも出かけます。ところが、運転中に、膝から足の甲にかけて筋肉が引きつってしまいました。
Aさんは、高校時代からカラダのケアを人一倍しているので、常に痛みの原因を、追求しています。

「膝の下の前側が、つってしもたんよ。それがな、日曜日じゃろ〜。火曜日になったら、もっとひどなったんよ!」

「こりゃあ、いかんとおもて(思って)必死でストレッチしたら、だいぶ、よおなったんよ。ほじゃけど、ここら辺(膝下)がな〜、はっとんよ。それと、左手でモノを持ったら、すべり落ちる時があるんよ。」

引きつった膝下も大変ですが、左手も大変そうです。料理人らし太い親指が、硬く腫れ気味です。
仰向けになってもらうと、やはり、左手首が浮き上がって硬くなっています。骨盤は、左が15mm程下がっています。

左母指球を丁寧に時間をかけて、ほぐします。すると、浮いていた手首が柔らかく沈み、骨盤も整い左右の足の差がなくなりました。手のひらと骨盤は、つながっています。手の甲には、腰痛点というツボが2つもあるくらいですから。

気になっている膝下には、直接鍼とお灸をします。かなりほぐれましたが、背中にひっかかりが出てきました。これには、肘下の張りとふくらはぎの圧痛点に鍼。すっかり良くなりました。

Aさんのように、常にカラダと向き合っている患者さんは、刻々と変化するカラダの状態を教えてくれます。その変化を追ったり、追わなかったりは、施術家の即興ライブです。

首をかしげる程良くなった症例

首をかしげる程良くなった症例

こんな症例は、あまり書くべきでは無いと思うのですが(毎回、こんな患者さんばかりでは、無いからです。初診だけの患者さんも、当然おられます)書きながらその理由が分かってくるかも知れないので、進めます。

細かい文字を読んだり、多くの方々の話を伺う仕事で、肩コリ、偏頭痛でお悩みの30才代の男性Aさん。
顔色が悪く、伏し目がちで足が冷えきっています。仰向けになって貰うと、左手首が極端に緊張して浮いています。
また、骨盤が左下がりのため、25mm長くなっています。ところが、丁寧にカラダのポイントを筋膜はがしすると、足の長さが整い、左手首もかなり柔らかくなっています。

咀嚼不足で内蔵が下がり筋膜が引っ張ると、肩の筋膜も引っ張り合い肩コリとなります。そこで、腹部に鍼を刺すと、筋膜がゆるみ肩コリを軽減できます。案の定、Aさんは咀嚼不足です。
鍼を刺そうと、Aさんのお腹を見ると、ヘソの右横に10cm程の大きな傷あと。

「6才のとき、尿道狭窄の手術をしました。でも、今は大丈夫です。」

『う〜〜ん、大丈夫じゃないな〜、腹の筋膜がからんでいるので、肩コリに影響しているはず・・』

と、傷あとをダイオードテイ鍼2本を箸のように使い、ほぐします。痛がるAさんに、

「すいません、チョットガマンして下さいm(_ _)m」

かなり効いたようです、右肩が柔らかくなっていまず。その後、腹部に鍼を刺し置きます。
手首、足首の圧痛点にも鍼を刺し置き、終了。
首の可動域が随分広がって、Aさん、

「首が随分軽くなりました。」

2日後に来院。
顔色が良くなり、肌がツルツルしています。骨盤も整っており、足の左右差ゼロ。

3回目の治療は、私が京都へ出張治療に行くため、1週間後。

今思うと、この1週間に、良くなったヒントがあるように思います。
初診日に、仰向け両膝1/2屈曲位で、自力自療の操体法をAさんにお教えしたのです。そして、思い出しました。

「1週間空きますから、ご自身で、操体法をやってくださいね!」

真面目なAさんは、毎日操体法を続けたに違いありません。それが証拠に、3回目の治療でAさんの足を触った時の驚き

『あれっ?熱いくらい暖かい!』

「足、暖かいですね〜〜」

「ハイ、今までは、足裏にホッカイロを貼っていたのですが、今は、必要ありません!」
手首、足首に施術し終了。

4日後に4回目の来院。
すっかり顔色が良くなり、カラダ全体のバランスが良くなっています。Aさんの気になるところは、昼間の食慾が無いくらいだそうです。もうこの時点で、ほぼ完治です。

3日後に5回目の来院。
相変わらずカラダのバランスがいいので、腹診から始めます。腹部の痛みもそれ程でもありません。
前腕と足首にも圧痛点がそれ程ありません。そのため、左右の足首に1本ずつ、左右の前腕に2本ずつ
しかも、一番細い鍼を刺し置きするだけにしました。すると、Aさんがボツボツ話しかけてきます。

「以前は、リラクゼーション、ストレッチ、病院と肩コリを治すために週に何回も行きました。それでも、一向に治らないんです。」

「友達に言われ、温寒湿布をしたり、お風呂でゆっくりしてもダメでした。でも、もう必要ありません。
早くここへ来ていれば良かった(すみません・・このお言葉は、事実なので、書きたくないけど、書きます)。」

「ここ(当院)に来て、随分節約できました。」

結論、Aさんは学習意欲が高く、しかも、学習能力が高いため、自力自療の操体法を短時間で習得した。
この症例を書きながら、思いついたので、Aさんに確認していませんが、おそらく、この結論が正しいと思います。

カラダはやっぱり偉い!

カラダはやっぱり偉い!

右肘の外側の出っ張り(前腕外側上顆)が、痛い50才代の男性患者Cさん。
サイクリングが趣味で、時には、300kmも走ることがあるといいます。去年の夏、庭木を剪定(せんてい)
していて、急に痛くなりました。しばらく経って、収まっていたのですが、3〜4ヶ月前から再び痛みが戻ってきたそうです。

患者さんの多くは、股関節、太腿内側を押圧すると、痛くて悲鳴をあげるのですが、Cさんは、全く反応しません。自転車で走っているので、下半身の血流がいいのかもしれません。しかし、右肘は、いわゆる
テニス肘で、血行は良くありません。

天城流では、肘痛は肩甲骨のコリが原因と捉えます。そこで、肩甲骨の圧痛点を丁寧に見つけ、鍼とお灸で治療をしますが、中々痛みが取れません。

「チョット、しつこいですね〜〜。肘痛になってから、時間が随分経っているので、負荷があちこちにに分散しているみたいです。」

右肘や右膝の内側の圧痛点に鍼とお灸をしても、痛みは変わりません。
そこで、肩甲骨と肘の中間にあたる二の腕(上腕三頭筋)に、鍼とお灸。
やっと、痛みが半減しました。

「ここが、効きそうです。」

今度は、Cさんが前腕外側を指差して、教えてくれました。
そうです!本人のカラダが一番よく知っています。言われるままに、前腕外側に鍼とお灸をしました。

「あっ、随分いいですね〜〜。痛みが10から3位になりました。」

どうやら、Cさんのカラダは、施術途中で前腕が効きそうだと、分かっていたようです。その声無き声に、耳を傾けることが大切なようです。カラダはやっぱり偉い!

ジャンプ力アップの高校生B君の続報

ジャンプ力がアップした高校生B君の続報

予約日、当日電話が掛かってきました。

「あの〜Bですが・・・肘、治ったのでもう行かなくていいと思います。」

食事をしていた私は、

「モグモグモグあっそ〜か・・・そしたら、また悪なったらおいでや・・モグモグ」

ということで、あっけない結果となりました。
16才のB君は、やはりカラダが素直で、回復力が大人とは違うようです。
めでたし、めでたし!

バネ指が良くなった!

80才とは思えないしっかりした体型で、ツヤツヤしたお肌の女性Aさん。
毎日、NHKのテレビ体操をされているそうです。膝と腰が心配という事で治療になりました。
まずポイントになる場所を緩め、大腿部から足底にかけての圧痛点を押圧。

Aさんのカラダは、素直なため押圧だけで治りそうな予感がありました。すると、

「実は右手の中指が、弾発指(バネ指)で、曲ったままなんです。左手で持ち上げないとまっすぐにならないのです。」

とおっしゃっいます。
確かに、曲がったまんまです。

「これは、屈筋が萎縮してだけじゃから、ほぐしたら治るかも・・・」

前腕内側が、張ってゴツゴツした感じ。Aさんの筋肉は、元々柔らかいのに前腕だけ硬いのです。
丁寧に痛気持ちいい程度の圧でほぐしました。すると、

「あれ!動く・・・何年ぶりかしら・・・自分の意思で動かせるのは!」

という事で、バネ指が良くなりました。
Aさんのバネ指の原因は、前腕の萎縮によるものだったようです。全てのバネ指の患者さんに効果があるとは、決して言えませんが、Aさんにとっては、良い治療法だったようです。

五十肩は治る

「五十肩は、放っておけば治る」とよく言われますが、裏を返せば、「治せない」ということです。
私にとっても、天城流に出会うまでは、厄介な治療の一つでした。
ところが、天城流を鍼灸に置き換えて治療する事で、簡単に治しています。

大胸筋、肩甲骨、腋窩に鍼とお灸をするだけで約1時間で治ります。
写真は、治療後の患者さんが残されたメッセージです。

胎児のポーズ

高速バスに乗り、親指に人差し指、小指に薬指をからめてボーっとしていると、
カラダ全体が徐々に丸まってきて、子宮の中の胎児のような姿勢になります。

手をカラダとみなすと、中指が頭、左手人差し指は右手、左手親指は右足、
左手薬指は左手、左手小指は左足となります。

そう思って、左手を眺めていると、イラストのように足を抱えて丸まった胎児に見えてきます。
この事が、直接治療に結びつくかどうか・・・何とも言えませんが、将来の治療症例に役立つ予感がします( ^ω^ )