ET

いまでも、夢か現(うつつ)か・・・とあるシーンが脳裏に焼き付いています。

山元リハビリテーションクリニックでの2日目午後のセミナー。参加者が山元先生の治療を次々と受け、それを見学し質疑応答する時間です。

ある男性が、「○○が痛い」だったように思います。○○は何か忘れました。

山元先生は、その男性をマジマジと診て(特に顔面)、ゆっくりゆっくりと、右手を男性のおでこ付近に近づけ、人差し指を男性のおでこに、ぴたっと付けました。

「・・・・・どうですか?」

「・・・・・・治りました。」

『はああ~~~~~~~~~』と心の中で大声を出しながら、周囲を見ても、思ったほどの反応ではありません。むしろ困惑しているような雰囲気です。

今でも、あれはウソで、私の見間違いでは・・・・と、真剣に思い返します。思い返せば返すほど、映画のワンシーンと重なり、ますます想像の映像と化していきます。

ETが少年と指先を合わすシーン。

ETのストーリーは忘れてしまい、月に向かって自転車を漕ぐシーンと指先を合わせるシーンだけが記憶に残っているのと同じ、山元先生が男性のおでこにゆっくり人差し指を付けるシーンだけが、リアルな傷として脳裏に焼き付いて後は、ぼやけてしまっています。

「鍼以外でも代用できます。」とおっしゃった山元先生・・・・確かに、指で代用されていました・・・・ふう~~

皮膚の色変わった

週1回くらいのペースで来られている70才代男性患者Bさん。病院では、下肢静脈瘤、脊柱管狭窄と診断されています。初診では、両足底が深さ1cm位しびれて、歩行困難でしたが、今ではヒョコヒョコとした動きながら問題なく歩けています。

しかし指先、特に左の親趾に力が入らないそうです。

こういう時は、山元式新頭鍼治療法(YNSA)が一番・・・しっかりとYNSA を身に付けてから治療を・・・・と思っていたのですが、目の前の患者さんのカラダが、欲している治療を優先するべきだと、考え直しました。

そこで、左耳の上後方に位置するソマトトープ(小さな人型)の足の部分に5本鍼を刺し置き。ついでに、右耳上後方にも2本さしました。

しばらくして、左親趾を見てビックリ、

「あれっ、Bさん左の親趾、色変わっていません❓」

「・・・・・・^_^・・・^_^・・・・」

Bさんは、ニコニコ顔でうなずくだけです。紫色の皮膚から肌色に移行しているのです。

「ちょっとBさん、このクスノキの瘤(こぶ)に足を置いて、体重を乗せることできます?」

私は、Bさんの足元に大きなクスノキの瘤(こぶ)を置き、座った状態からゆっくり立ち上がるように指示しました。

「さっきは、立ち上がる時、手のひら突いてカラダを支えんと、立てんかったのに・・・

今は、手使わんと立てる❣️」

「ほんとだ、凄い!・・・それに、足の親趾、色が全然違うでしょ‼️」

「違う❣️」

目を疑ってしまいました。Bさんが立ち上がる時の親趾の色は、ピンクっぽく輝いているようでした・・・・

これを書いていて、今でも半信半疑です・・・・YNSA は凄い・・・

強烈な一撃

長時間の正座で感覚がマヒしてしまい、立ち上がろうとした時、右足首が可動域を超えて外側の靭帯を損傷してしまった30才代女性患者Cさん。1ヶ月前に治療し、ある程度良くなりましたが、まだ痛みが残っているそうです。

Cさんは、あるセミナーに参加したものの、後半からは、右目が痛くなり、しかもそれが偏頭痛となり全く集中出来なかったそうです。

また、肩甲骨と肩甲骨の間が痛くて仕方ないそうです。

一挙に3カ所を診る事になりました。こういう時は、一番キツそうな偏頭痛から・・・・

山元式新頭鍼治療法(YNSA)をしばらく封印しようと思っていたのですが、3ヶ所を一度に診るとなると、話はかわります。

①偏頭痛・・・おでこの右目、頚椎、動眼神経にあたるところに鍼を刺し置きします。

山元式新頭鍼治療法(YNSA)

②右足首・・・前回の治療から1ヶ月経っているので、直接右足首の圧痛点を丁寧に診てい きます。外踝(そとくるぶし)の下に鍼を刺した瞬間、

                           

「痛っった‼️」

ずーーんとした強烈な激痛が走ったそうです。そのため、対角に位置する左手首の小指側の圧痛点を見つけ、軽く指先を添える操法に変更。すると、徐々にあの強烈な痛みが治まり、右足首の痛みが消えていったそうです。

それと共に、偏頭痛がいつの間にか無くなってきました。あと残るは、

③肩甲骨の間の痛み・・・手の甲の小さな人型(ソマトトープ)の肩甲骨は、中指の根元付近にあります。その近辺の圧痛点にお灸を1~3壮。これを左右の手にします。

その結果、肩甲骨の間がかなり緩みました。

①②③の症状に対しそこそこの結果が出たようですが・・・右足首の一撃が、カラダを瞬間的にかえるスイッチだったのかも・・・

カラダって、わからない・・・

再び打撲のCさん

ピアニストのCさん、2か月ほど前には、左薬指を打撲。

何とか治療し、その翌日、観客の人々はもちろんのこと、相棒の演奏家にも打撲負傷を気づかれないままピアノ演奏も出来ました。

ところが、10日前に反対の右小指を打撲してしまいました(*≧∀≦*)

今回は、プラスチックのギブスで小指を支持しています。そのため、その状態でピアノを弾くとプラスチックが当たり「カチカチ」と音を立ててしまいます。

「何とか小指が動けるようにする」のが、私のミッションです。

まず打撲した右小指に圧をかけます。  Cさんの右小指の第2関節を、両手の親指、人差し指、中指で軽く包みこみます。後は、微細な微細な圧をかけるだけです。

「先生、指が熱くなった!」の言葉で終了。

次は、右手小指の対角に当たる左足の第5趾の圧痛点にお灸を3~5壮します。

足を触っていると足ウラにも圧痛点があるので、そこにもお灸を3~5壮。

打撲してから10日間ほど経っているので、直接、右小指の圧痛点にパイオネックスという

円皮鍼を5個貼り付けました。

「先生、痛さは残るけど、動く❣️」

ピアノを弾くにはまだまだ力強さは、足りませんが、動く事は出来ました❗️

とりあえず、ミッションは果たせたようです。

Cさん、また経過報告よろしくお願いします~~

「もう、転んだり、打ったりせんように、お願い致します(#^.^#)」

60点でいいんです

92才の女性患者Aさんの続報。

昨日の治療後、足指の痛みはないそうですが、靴を履いて歩くと痛いそうです。

「あの~~右ふくらはぎにコリがあって痛いんですけど!」

昨日、こむら返りが起きそうになったのもこの個所でしょう、確かに大きなコリがあります。そこで、同側の肘内側の圧痛点に指を軽く添えるだけの操法。しばらくして・・・

「今、どんな感じですか?」

「何にも感じません。」しばらく、経って・・・

「右手の人差し指がしびれています。」しばらく、経って・・・

「手全体が暖かくなってきました!」

かなり血流が良くなって来たので、今度は山元式新頭鍼療法(YNSA)の理論で上肢、下肢に当たる「側頭部圧痛点」に、軽く指を触れるだけの操法。

Aさんは最近睡眠が浅く、なかなか熟睡出来ないので、ゆっくりしていただきます。

この指を軽くカラダに触れる操法は、鍼治療をするようになって、長らく封印していました。しかし、Aさんのように熟睡出来ないで、しかも鍼治療が怖い方には、有効な手段のように思います。

また今回のように山元式新頭鍼治療(YNSA)の理論を、指で軽くカラダに触れる操法に取り入れることは可能だと思います。

山元先生も、

「別に鍼にこだわる事はない。他の手段もある。」

と、おっしゃいました。現在進行中のクスノキの瘤(こぶ)を使った療法(自称:クスノキ木霊療法)との融合も遠い将来可能かも知れません。

おっと寄り道をしてしまいました。

Aさん、最後に左手の小指と親指の先(井穴=せいけつと呼ばれます)にお灸を1壮づつして終了。随分と足が軽くなりました。

Aさん、足が弱らないように、毎日屈伸運動をされています。大変いい事ですが、少しオーバーワークのように感じました。そのため、右ふくらはぎにコリが出来たようです。

気持ち良くふくらはぎのストレッチをする事、これが大切です。

「気持ち良さがお薬です。ですから、あんまり頑張り過ぎないでくださいね~~」

「あらっ・・・そうなの!私、痛いぐらいやらないとダメかと思ってた❗️」

「いやいや、そんな事ないんです。気持ち良く、ほどほどで・・・60点でいいんです。」

と、しっかり操体法の奥義をお伝えしました。次回は、動きの操法を、ご高齢の方が楽しく出来るように工夫してみようと思います。これは、とても重要な事だと思います❣️

足の指が痛い

92才の女性患者Aさん、本日は2番目、3番目、4番目の両足指が痛いそうです。そのため、靴を履いて外を散歩することが出来ません。

ゆっくりベッドに寝ていただき、足ではなく手の人差し指、中指、薬指にお灸をすることにします。足の指の痛いところと、同じ位置の手の指に1~3壮します。

「それでは、ゆっくり起き上がって下さい~~・・・歩いてもらって、よろしいでしょうか?」

「・・・あまり痛くは、ないです・・・靴履くと、どうか分からないですけど・・・」

ある程度、良くなっているようです。

続いて、左足首の外側圧痛点に、指を軽く添(そ)えるだけの操法を初めます。しばらく経つと、

「なんか、反対側の右足の中指だけに痺(しび)れと痛みが集まってきたの!」

「そうですか? そうしたら、その指を意識して、ゆっくりとそこに息を通すようにしてください。1回通したら普通呼吸を2~3回して、またゆっくりと息を通して下さい。」

しばらくすると、

「なんか、こむら返りしそうなの!」

「あらっ、右の足ですか?・・・・そしたら!」

と、右足ウラをしっかりと抱(かか)えて、ふくらはぎをゆっくり伸ばします。

「あ~~気持ちいい!」

どうやら、これを機に指先の痛みが随分なくなったようです。

今度は、痛みが集まってきた右足の3番目の指と同側の中指。この指の圧痛点に軽く触れます。しばらくすると、

「もう、足先に痛みは無いけど・・・ここが痛くなった。」

Aさんは、右脇腹を押さえます。

「そうしたら、この触れてる指と別のところ(ソマトトープで胸部)を触れますね~~」

「あれっ、痛くない❣️」

「足の痛みはどうですか?」

「大丈夫です。」

「今日は、このくらいで、終わりにしましょう。明日、様子を教えてください。」

明日の治療をお約束して、本日は終了。

山元先生のお言葉

 

山元式新頭鍼療法(YNSA)の初級、中級、上級に分かれており、分厚い教科書や、セミナーごとに配布される資料が参考書となり、実技の助けとなっています。

東洋医学の教科書は、古典(2000年も前)からの資料が随所に使われている為、ある人は、このツボ、ある人はこのツボ・・・さあ~~あなたは・・・⁉️的なことが多いのです。

これでは、普及出来ません。

ところが、YNSAは、ソマトトープ(小さなの人型)をキーワードにした西洋的見地と陰陽五行の東洋的見地が合理的に融合している為、理解しやすく、しかも驚くべき成果を上げています。

その結果、今や多くの国の医師国家試験に、YNSA が出題されるようになっています。

14カ国以上の国々で医療として認められ、その多くが保険診療の適用になっています。

本家本元の日本。

鍼灸師が、成果をあげましょう。

今後、日本でも確実にYNSAが普及し特に鍼灸学校は生き残りの為、積極的にYNSA導入を考えていくでしょう。YNSA が生み出した大きな潮流に私もしっかりと身を委(ゆだ)ねようと思います。

山元先生のセミナーで、参加者に治療をしていき、自由に質問を受ける時間がありました。

その治療法は頭の至るところ(A~I点)に点在するスイッチを押すとカラダ中の特定個所が、反応するというものです。

参加者が訴える痛みの個所は様々であるにも拘(かか)わらず、何と山元先生は、全てA点で治療されます。これが、最新の治療法です。進化しています。

この予想外の治療法に先生は、

「生き物だからね~~」「立体的に渦巻いているいるから・・・・」

という2つのお言葉。

私は、フラクタル理論であろうと感じました。先日、葛飾北斎の大波について述べましたが、進化した大波の絵は、先端の波にも波があり、その先端にも波がある・・・という連続性を描いています。

この同じかたちの連続性こそが、生命体の証(あかし)です。

山元先生は、その事を北斎のように感じられ、治療されているのだと思います。

つまり、A点という狭い範囲に、ソマトトープという小さな人型を見出し、その人型の腰とか首を治療されているのだと思います。

ならば、頭にこだわる必要がないのかもしれません。足首にも渦巻く小さな人型が存在していてもおかしくありません。いや、存在しているはず・・・これから、面白くなりそうです。

新しい操法


「あれ~~、珍しく腰にきてる!」

夜行バスで京都に着いた時(7:30)、久々に腰痛を感じました。午前10時から、今日は7人連続で治療しなければ・・・・

そこで、京都駅ビル地下一階の喫茶店で、自力自療の操体法。

幸い、壁際のコーナーに席が取れました。

『何か、新しい方法を見つけよう❣️』と決めました。そこで自己診断、腰痛の場所は?・・・・ちょうど、腰椎4、5番あたり。

天城流ならば、ふくらはぎの圧痛点の筋膜を剥がします。山元式新頭鍼療法(YNSA)では、

腰椎のソマトトープ(小さい人型)は、耳の後ろにあります。これを組み合わせると、新しい治療法が生まれます。

いつの間にか、右手親指で右耳後ろの圧痛点を押していました。ちょうど、右肘が壁に当たり固定できるので、微妙に首を親指に押し当てると効きます。これでYNSA は出来ました。

次は、天城流。

右ふくらはぎの圧痛点を左膝に当てます。これで、準備OK❣️

あとは、右手親指に微妙な体重移動をしながら、気持ちよい感覚を味わうだけです。2~3分で終了。

喫茶店を出て、歩いてみました。OK大丈夫❣️

今度、患者さんにお教えします~~

追伸:バスを待つ間、耳ウラを軽く押し、気持ち良く体重移動するだけで、効きます〜〜

 

百聞は一見、一触にしかず

山元先生との出会いの後、治療に変化は・・・・あります!

まず、ツボの見つけ方が、指の腹部分から、爪さきに比重をおくようになりました。それに伴い、狭い範囲に宝物が潜んでいるのでは・・・・という、ワクワク感が増してきました。

山元先生が頭以外で、足首の外側を丁寧に診ておられた様子が鮮明に記憶にあるため、自然と患者さんの足首が、頭の側頭部のように見えます。

実際、丁寧に診ていくと、ゴロゴロツボが出てきます。ツボの流れを知っているため、見落としていた名の無いツボが、いかに多いことか!既成概念にとらわれている自分に気づきます。

それから一番変わったことは、山元先生の治療姿勢のイメージが施術中にも浮かんでくるため、ある時は、山元先生に診ていただいている感覚。ある時は、山元先生になった感覚で施術を行えます。

これは、本当に大きな財産です。百聞は一見、一触にしかず❣️

90才の神業

山元敏勝先生の神業を目の当たりにしてから、中途半端な頭鍼をする気が無くなりました。

当分の間、頭以外の鍼で治療します(ただ、患者さんからのリクエストがあれば、行います)

山元先生の鍼の多くは、頭に刺しますが、たまに、足首外側(崑崙=こんろんというツボの周辺)に丁寧な鍼を刺しておられました。先生の頭の中には、足首も小さな人形(ひとがた)が見えているのだと思います。

患者さんから聞き出した痛点、響きから導き出した理論は、Somatotope (ソマトトープ)という聞きなれない言葉が、キーワードになっています。

私は、これを小さな人形(ひとがた)だと、解釈しています。たった1つの受精卵が分割して人が生まれます。そこには部分と全体が写し出されており、カラダの一部分にも、小さな人形(ひとがた)をした全体像が数多く存在していると考えます。

山元先生の理論では、この小さな人形(ひとがた)には陰と陽が対(つい)で存在しています。

西洋医学と東洋医学の見事な融合です。

もう一つ、山元先生の治療で、膝の痛みを肘で取ることもありました。これは、東洋医学的発想。先生は自由に時空を飛び回り超越した視点で、治療されています。

これは、治療された患者のべ人数150万人という体験がなせる技です。そして、最も凄いことは、90才を迎える先生の理論が現在も、進化し続けていることです。あの葛飾北斎が90才で描いた肉筆画の大波の方が、富嶽三十六景の大波よりも進化していたように・・・・