カラダと鍼(はり)の説明 その2

「カラダは常に良くなろうとしています。そして悪い方向に向かって行くと痛みというブレーキを掛けて気付かせてくれています。ですから、痛みはありがたいんです。痛みを感じない病気もあります・・・・残念ながらこの病気の人は、早く亡くなってしまいます・・・・痛みを感じないので、無理ばかりするからです。私が、治療点を探す時、必ず患者さんの最も痛い場所を探します。痛みがなければ、治療が出来ないんです。」

山元式新頭鍼療法(YNSA)は、首診で12の内臓の状態を痛みの有無を診断します。上腕診では、大脳、小脳、脳幹、頸椎、胸椎、腰椎状態をやはり痛みの有無を診断します。なぜそんな事が出来るのか、私なりに患者さんに説明しています。

「内臓は平滑筋という自分の意志とは関係なく動く筋肉が働き、腕や脚などは骨格筋という自分の意志で動く筋肉が働くのですが、それらは、筋膜を通してつながっています。ですから、カラダの内と外は繋がっていて、首の様な薄い筋肉があるところは、内臓の状態が現れているのです(診断点)。その治療点がやはり筋膜を通して側頭部や頭頂部にあり、鍼を1本刺すだけで筋膜を通して内臓を緩(ゆる)めるのです。YNSAの創始者である山元先生は、首の診断点を見つけた後に、上腕の圧痛点を通して、大脳、小脳、脳幹、頸椎、胸椎、腰椎状態が分かる上腕診を見つけたのです。」

「そして、大切なことは治しているのは、患者さんのカラダであって、決して私が治しているのではないということです。私の鍼(はり)は、あくまで刺激を与えて補助をしているだけで、カラダが治しているのです。」

と説明しています。

カラダと鍼(はり)の説明

 

「60才以上の人は、90%以上椎間板に異常が認められるので、気にしなくてもいいです。椎間板のヘルニアは、マクロファージという大食細胞が、食べてくれますし、人は60~70%水で出来ているので、皮膚という水袋に骨が浮いていて、筋肉が支えていると考えた方がいいです。筋肉の周りに筋膜という主にコラーゲンで出来た膜があって、その筋肉は、細い筋肉の束が詰まっていて、その束も筋膜で覆われていて、その細い束にも、もっと細い筋肉の束があって、それも筋膜に覆われているんです。ですから、筋肉は立体的な筋膜に覆われているんです。」

 

私は、患者さんにカラダの説明をする時、まず骨は水袋に浮いているので骨は動くという認識を持ってもらいます。そして、立体的な筋膜がそれを支えてるとイメージしてもらいます。

「その筋膜は、カラダの浅いところや深いところを流れていて、その流れは12あります。丁度、東洋医学でいうツボの流れ、経絡と一致するんです。筋膜はコラーゲンで出来ていて、これは電導体ですから、鍼(はり)を刺すことで電気が走るのだと思います。よく東洋医学では、気という概念が使われますが、これは電気だと思います。電気はプラスとマイナスがあり、東洋医学の陰陽五行という基本概念と関係があると、私は考えています。」

と私見を述べて、さらに・・・

「カラダが凝(こ)ったり、血流が悪くて痛みがある個所は、筋膜がねじれています。一ヶ所にねじれが起こると、他の個所でねじれを作って、綱引きの様に引っ張りあうんです。ですから、遠くの患部とは全く違うツボに鍼(はり)を刺すと、一瞬で緩んでしまうんです。山元式新頭鍼療法(YNSA)は、そのツボ(治療点)を頭に見つけ出しています。」

と、鍼1本で痛みをとる事が出来るYNSAの説明をしています。

もっと自然にオープンに

患者さんのアドバイスで、待合室兼治療室の松板(まついた)壁面に子供達の幼い頃の写真を飾ったのは、本当によかったです。これを機に、治療の姿勢を変更しました。患者さんは籐(とう)の回転イスに座っていただき、私はそれより少し高いイスに掛けて治療をしていたのですが、今回から、私が床に座る事にしました。すると、壁に飾った子供達の顔が、私が患者さんの頭部に鍼を刺す時、壁に飾った子供達の顔が、しっかり見え応援してくれている様に思えるのです。

また、患者さんより目線が下の方が威圧的でなく、しかも従来のイス座りよりも下半身を安定させ丹田を使う武術をしている様になります。これは、意外な発見です。より一層、姿勢を意識して指針し、1本1本の威力を増していきたいと思います。

患者さんのアドバイスに耳を傾け、実行すると思わね展開もあります。例えば、フルスイングをしている私の写真から、私が松山東高等学校で野球部であったことが分かり、

「それじゃ、私の大先輩だ・・・私も松山東出身です!」

となり、今までの患者さん対鍼灸師という立場プラス松山東OB同士という関係も生まれて来ました。これは、「私とはこんな人間です」と、心を開いた結果の産物です。元々オープンな性格だったのが、コロナ禍で萎縮していたのかもしれません。もっと自然にオープンに!

実家で「たんぽぽクリニック」話

 

昨日は、東温市の実家で出張治療でした。小学校、中学校の同級生の女性患者Aさんとは、懐かしいのと同じ医療関係の仕事ということで、結構長話となりました。そこで、医療法人ゆうの森という在宅医療という形態での治療を行っているクリニックの話になりました。この法人は、「たんぽぽクリニック」という病院を設立し、あじさいの杜鍼灸院と徒歩5分くらいのところにあります。

この「たんぽぽクリニック」は、外来や入院は一切行わず、すべてのマンパワーを在宅医療に集中。計3箇所の在宅専門クリニックのほか、居宅介護、訪問介護の事業所を併設し、グループ診療やWebを活用した多職種連携など機動力に優れた対応態勢で、地域の在宅医療を牽引しています。四国で最初に在宅医療を行ったパイオニアです。今は、全国から研修に来るほどのクリニックになっています。

パソコンを前に数値を見る医療は、大切な医療です。それを元に、今後の方針を立てて行き、自己免疫力を上げる治療をする必要があります。鍼灸は確実にその成果を上げることができます。西洋医学と鍼灸などの東洋医学が、今後はもっと融合する必要があります。それを実現しているのが、山元式新頭鍼療法(YNSA)です。「たんぽぽクリニック」の医師がYNSAで施術出来れば、患者さんは幸せだと思います。

当院から歩いて5分ほどの所にある「たんぽぽクリニック」ご縁を感じます。

 

治すのはご自身のカラダ

70才までシャンソン歌手として活動し、フランスでも歌ったこともある女性患者Aさん。当院に通うきっかけは、妹さんの助言でした。妹さんは他県に住んでおられるので、電話での会話です。

Aさんの妹さんは、肺が弱く酸素吸入をしているとの事。そこで、妹さんの住んでおられる県の山元式新頭鍼療法(YNSA)認定鍼灸師を紹介したのです。しかし、鍼治療を勧めた妹さんは、鍼を信じていないことが分かりました。

まだ、鍼(はり)治療とはこの程度の認識なのです。こんなに優れた治療法であるYNSAがなぜ普及しないのか・・・・私自身毎日のように文章を書き、発信しているのですが、全く届きません。患者さんには、硬式ボールを使ったセルフケアを指導して効果が随分上がっているのに・・・・YouTubeも見てもらえていません。なぜでしょう?・・・・よく分かりません。

改めて、松山市針灸師協会が作ったチラシの一部を掲載します。

1 整形外科系の病気

肩こり症、変形性脊椎症、頸肩腕症候群(手のしびれ感と痛み)、寝ちがい、むち打ち症、五十肩、テニス肘、変形性膝関節症、捻挫、打撲、腰痛症、ぎっくり腰、椎間板ヘルニアなど

2 脳神経科系の病気

神経痛(三叉神経痛・肋間神経痛・坐骨神経痛)、顔面神経麻痺、自律神経失調症、頭痛、めまい、不眠症など

3 循環器科系の病気

どうき、息切れ、心臓神経症、高血圧症、低血圧症、不整脈など

4 呼吸器科系の病気

風邪ひき、せき、気管支炎、気管支喘息など

5 消化器科系の病気

胃炎、胃下垂、胃酸過多症、食欲不振、下痢、便秘など

6 耳鼻咽喉科系・口腔器科系の病気

急性扁桃腺炎、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、耳鳴り、中耳炎、難聴、メニエール症候群、歯痛、歯肉炎、口内炎など

7 泌尿器科系の病気

排尿困難、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、インポテンス、遺尿症、尿失禁など

8 眼科系の病気

仮性近視、眼精疲労、ものもらい、白内障など

9 産婦人科系の病気

生理痛、更年期障害、乳腺炎、冷え性、逆子など

10 小児科系の病気

夜泣き、夜尿症、小児喘息、虚弱体質など

11 内分泌科系の病気

糖尿病、バセドウ病、肥満症など

12 皮膚科系の病気

じんましん、帯状疱疹など

西洋医学とは違い専門的に分かれていません、何でもやります(手術やガン治療以外)。カラダは常に治ろうとしています。鍼治療は、その補助をしているだけです。治しているのは、ご自身のカラダであることをしっかり認識してください。興味ある方は、いつでもご連絡ください。

 

突然の患者さん

午前中は、2本のYou tube制作。その後は、11月7日「森の中に秘密基地を作ろう」という滑川渓谷の楓荘という場所でのコンサート参加のための練習・・・・と、決め込んで、普段着でくつろいでいたのです。すると、見覚えのない女性が突然入ってこられました。

「ちょっと、ご相談があるので・・・よろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ。」

「最近、左膝と右の手首が痛くなって・・・・・そこで、月に1回通っている内科医の先生に相談したところ、それは、外科じゃ・・・と言われんです。それで、外科に行って診てもらったんじゃけど、どこも悪ないと言われて、何もしてもらえんかったんです。それを、妹に言ったら、鍼(はり)がええと言われて・・・・看板を見て来たんです。」

「どこも悪ないと言われても、痛いのは事実ですからねえ・・・・・ここで打つ鍼(はり)は、患部に直接打ちません。まず、肘や上腕を診て、脳や背骨の状態を知って頭にある治療点に鍼を刺します。すると内臓を司(つかさど)る自律神経が整います。次に首の圧痛点を探して、頭の治療点に鍼を刺します。すると内臓が整ってきます。これだけで、今まで痛かった腰や肩が良くなることも多いんです。そして、今痛い個所の治療をすることになるのです・・・・しかも、患部ではなく頭に刺すので非常に安全です。」

「私は、それまでは、元気じゃったのに・・・70才を過ぎて、急に痛いところが出てきて・・・・何とか自分で治したいと思っています。」

「私は、鍼灸師になる前は、操体法という体の歪(ひず)みを取る民間療法を行なっていたので、それは、お教えできます。」

などという会話をしながら、彼女の左膝痛の投影している足の圧痛点を、押圧。

「痛い・・・・痛過ぎ!」

「こういうところに、痛みがあってそれを取ると・・・膝が良くなったりするんです。」

と、実際に体感していただきました。それで、ある程度納得していただき、明日のご予約をお取りすることが出来ました。明日が楽しみです。

素直なカラダ

背筋や腹筋を鍛えるローラーでエクササイズをしていた50才代の女性患者Aさん。頑張りすぎて「ギックリ背中」の重くもないけれど、軽くもない程度の症状があります。特に右肩甲骨あたりが痛くて仕方がありません。そこで、自律神経を整えたあと、B点というオデコにある治療点に置鍼することにしました。

合谷診:右(右側の膝を診ることになります)

膝診:頸椎#5

胸椎#3、#4、#8

上記に対応する治療点に置鍼2本(オデコと右眉の上)すると、診断点の圧痛が無くなりました。今度は、B点という肩の治療点(正中線から2cmほど右の生え際)に1本置鍼。これがずいぶん効いたようです。

「痛い・・・・・・・・痛くて、顔の筋肉を動かせない・・・・・・・痛い・・肩が緩んでいくのが分かる・・・・けど、痛い。」

もうこの3本の置鍼で十分です。このままの状態でゆっくりしてもらいます。Aさんは、健康管理に気をつけているためか、とても素直なカラダをしています。鍼(はり)という異物が入ると、カラダがその異物を取りのぞこうと押し出し始めます。過去に2~3回鍼が飛んで床におちることだありました。今回も顔面の痛みが無くなった時は、鍼の先がわずかに皮膚にくっついているだけの状態になっていました。

「顔を振ったら、落ちそう・・・・」

と、Aさん。

普段から、水や食べ物を研究して、カラダに悪いものを入れていないAさんは、どこかちがうようです。そんな素直なカラダのAさん、「ギックリ背中」は治ったようです。久しぶりにたった3本の置鍼で終了となりました。

魚の目には、お灸

 

左足ウラに魚の目が出来た60才代の男性患者Aさん。ご自身が、カミソリで皮膚を削っていたのですが、お灸で治療できる事を伝え、早速治療することになりました。1週間に1度のペースで通院され、今回で4回目、ちょうど1ヶ月経ちました。最初と2回目は、50壮くらい米粒より小さめのモグサを魚の目の最も痛い所に置き、焼き切りました。

普段は、質の良いモグサを使っているのですが、魚の目を焼き切るには、質の悪いモグサの方が良い様です。質の悪いモグサには、モグサ以外のものが入っているので、高温になり効果があります。モグサ治療が初めてのAさん、

「これは、効く!痛みが全く変わってきた・・・・ありがとうございます。」

と、その効果に驚いています。3回目は40壮ほどにしました。すると、それから12日後の今朝、硬くなっていた皮膚が、

「ポロッと取れ・・・・足ウラがきれいになりました・・・・かすかに、痛みが残る程度。」

「それは良かった・・・・そしたら、今日が最後のお灸にしましょう!」

という事で、今回は20壮ほどで終了となりました。魚の目の患者さんと、ここまでじっくり向き合ったのは初めてでした。鍼灸の専門学校に通っているころ、「魚の目は焼き切って治す」と聞いていたのですが・・・・本当でした。魚の目はお灸で治しましょう!

学会発表は、無し

治療院中央部に、高さ40cmで3畳弱の畳部屋兼、物入れの空間があります。ここでヒマな時は、横に転がり、セルフケアの方法を考えます。その途中で骸骨のモデル(トンスケと呼んでいます)を、マジマジと見つめていると、治療点が閃(ひらめ)く時もあります。最近、患者さんの様子をフェイスブックにあまり揚(あ)げなくなったのは、新しく見つけた治療点を、YNSA学会に発表出来ず、まだ認可されていないからです。そして、運動器系(内臓を除く筋骨格)の障害は、これらの治療点で治していることが多いからです。現在では、これらの治療点は間違いないと確信しています。

今年は、コロナ禍で全国大会がどうなるか・・・とにかく、発表は出来ないそうです。そのため、来年の発表となります・・・ただ、コロナ禍が続けば、無理かも知れません。いずれにせよ、来年YNSA学会の認定試験を受ける権利をいただけるので、それに向け症例検証をしていこうと思っています。もう少し足裏の反射区を勉強する必要があるかもしれません・・・やることが、一杯です。

乳様突起

乳様突起(にゅうようとっき)という出っ張りが耳ウラにあります。この下に山元式新頭鍼療法(YNSA)の膝治療点があります。この治療点、大変良く効きます。

山元敏勝先生が、なぜここに膝の治療点を見つけられたのか?と常々考えます。この治療点をG点というのですが、AからGまでその治療点を記載してみます。

A=頚椎#1~7

B=肩、僧帽筋

C=肩関節、上腕、肘、手の指

D=腰椎、腰、膝、下肢

E=胸椎#1~12

F=座骨神経

G=膝

となり、それぞれの治療点は、生え際の正中線から耳にかけて人型を描くように並んでいます。A~Gまでもぼやっと拡散したソマトトープ(小さな人型の投影)と考えられます。すると、耳ウラの乳様突起が膝の様に見えてきます。山元先生は天才ですから、乳様突起を膝頭と直感的に気付かれたのだと思います。

このように、カラダの部位はよく似た所が随所にあります。それを見つけ、新たな治療点を発見するのは、楽しいのです。